10 冷たい校舎村9
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[ 姉から手紙が届いたらしい。 姉が姿を消して以来、初めて届いたその手紙を、 父は開封すらせずに捨てたらしい。 らしいっていうのは、そのことを私は知らなかったから。 私が知っていたのは、 父が酷く不機嫌ということだけだった。
そして、私に新たな判決が下される。 それは、提案ではなく決定で、命令であり絶対だった。 今までそうやっていくつものことを諦めてきたけれど、 今回ばかりは無理だった。 到底受け入れられないと思った。 それでも、不服申し立てなど許されない。 逆らう選択肢なんか、なくて ]
(0) 2021/06/10(Thu) 00時頃
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[ その姿を見つけたのは、母親だった。 受験勉強に励む娘のために部屋に夜食を運んだ母は、 めった刺しの状態で、ベッドにもたれて 床に座り込んでいる娘の姿を発見する。 窓は締まり、部屋に荒らされた後はなく、 折り取られたカッターの刃が散らばる中で、 血に塗れた娘の手にはカッターナイフが握られていた。 事件性はないらしい。
運び込まれた病院に、付き添ったのは母親だけ。 父親の姿はそこに、ない ]
(1) 2021/06/10(Thu) 00時頃
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[ 廊下に落ちているカッターの刃に、 折り取られた使用済みのものが混ざっている。
今日の朝は何食べる? どこかのクラスの屋台に行くつもりなら気を付けて。 屋台は全部、3-9の屋台に変わってしまったから* ]
(2) 2021/06/10(Thu) 00時頃
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―― 朝:保健室→ ――
[ いつも通りの時間に目覚めた。 目が覚めたら、左の手首を握りしめるのがいつもの日課。 布団の中で、まだ半分寝ぼけた頭で、 今日も私は右手の指先に力を籠める。
昨日の夜切った傷口は、確かな痛みを私に伝えて、 寝ぼけた頭でそれでも私は安心する ]
……あれ。番代さん、いない。
[ 私の起きる時間は割と早めの方だと思う。 でも、もう番代さんの姿はなかった。 芽衣と綿見さんはどうだったかな。 番代さんは早起きなのかな、 それとも、あまり眠れなかったのかもしれない。 そんなことを考えながら、 保健室に設置されている水道で顔を洗って、 身支度を整える ]
(29) 2021/06/10(Thu) 01時頃
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[ 保健室から出ようとして、私は目を瞬いた ]
カッターナイフ、なくなってる……。
[ 夜中に抜け出した時は、こんなことにはなってなかった。 カッターナイフをできるだけ踏まないように 気を付けて歩いたし、 購買で買ったものは使用後紛れさせておいた。 それが、綺麗になくなってる ]
(30) 2021/06/10(Thu) 01時頃
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[ まあ、カッターナイフが廊下にごろごろしてる方が おかしかったんだ。 なくなったって全然おかしくない。 むしろこっちの方が正常でしょう。 相変わらず文化祭だけど ]
(31) 2021/06/10(Thu) 01時頃
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[ 実は私は姑息なことを考えていた。 クレープ、残ってるかなって。 残ってるなら、 今のうちにこっそり食べてもいいかなって。 そうしたら、綿見さんに話しかける勇気が出るかなって ]
(32) 2021/06/10(Thu) 01時頃
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[ 多分、向井君とは入れ違いだった。 8:50のチャイムが鳴った時、私は食堂で 最後の一個だったクレープを頬張っていたから。 8:50にチャイムが鳴るんだなあ、なんて、 まだ私はその意味に気づかないままで ]
(33) 2021/06/10(Thu) 01時頃
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……あれ?
[ クレープを食べたという口実を得て、 私は綿見さんにどう話しかけようかと 思案しながら廊下を歩いて、気づく。 カッターナイフ、なくなったわけじゃなかった。 一部区間が片づけられてただけだった。 片づけられていたのは、 保健室から教材倉庫のあたりまで。>>2:645 そこより向こうは 相変わらずカッターナイフが散らばってる。 まるで、何かの道しるべみたいに。 教材倉庫の扉は開いてた。>>25 それなら、片づけた本人がいるんだろう。 お礼を言って、朝の挨拶をして、それから。 そんなことを考えながら、ひょいと覗き込む ]
(34) 2021/06/10(Thu) 01時頃
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おはよ、う……?
[ 倉庫にいたのは綿見さんだった。>>27 片づけてくれて人にお礼をとか、 綿見さんにどんな風に話しかけようとか、 そんなことは全部頭から吹き飛んでしまった。 だって、その背中で中の様子はよく見えないんだけど、 どうしてだろう。血の匂いがする** ]
(38) 2021/06/10(Thu) 01時頃
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―― 昨日の夜:3-9教室 ――
[ 振り返ったら、芽衣と目が合った。>>45 それから、元気のない様子の鳩羽君の姿も 目に入ってきたと思う。 鳩羽君が九重さんを探している声は 私の耳にも何度も届いてた。 その鳩羽君の元気がなくて、九重さんの姿はない。 ということは、あのマネキンを残して、 九重さんはいなくなってしまったってこと……なのかな。 あのマネキンが九重さんだったんなら、 グロ注意って表現はふさわしくなかったかもしれない ]
(94) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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そうだね。 何にも食べずに寝るのは、ちょっとつらいかも。
[ おなかが減って夜中に目が覚めちゃうかも、なんて 芽衣に言いながら、 こんな時でも私の頭には打算があった。 この時にはもう、 私は夜中に少し抜け出すつもりだったから、 おなかが空いてるせいで芽衣が目を覚ましたら、困る ]
(95) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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[ ただでさえ、学校に泊まるなんて状況に、 落ち着かなくてなかなか眠れなかったりしそうだし、 せめて眠りに落ちやすいように、 おなかは満たしててくれた方がいいな、なんて。 私、そんなこと考えてた。
鳩羽君が芽衣に精神世界の話をしてる時>>47 私も一緒に聞けたかな。 現実ではありえないことがいっぱい起こってるから、 私はすんなりと受け入れて、思った。 ああ、それなら時々届くこのため息は、 そんなつらい状況だったのに、なにも気づかなかった、 クラスメイトの私たちに向けられた失望のため息?って ]
(96) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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[ 誰かのため息が届くたび、左手首を握りしめて、 ああ、早くやらなくちゃって、思って ]
(97) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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[ クラスメイトの誰かが自殺を図ったかもしれない。 そんな誰かの精神世界で、九重さんの姿が、 殺されたマネキン……のようなものになっていた。 結びつけてしまいそうになるけど、 ここが九重さんの精神世界だったなら、 まだ私たちがここにとどまっているのはおかしい。 ちょっと嫌な想像が頭に浮かんだ。
……自分が味わったのと同じ痛みを味わえ、 なんて思ってるわけじゃ、ないよね。
そんなことはないと思う。 ここにいるみんなの顔を一人ずつ思い浮かべても、 そんな風に考えるとはとても思えない ]
(98) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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[ 私?もちろんそんなこと考えるわけない。 痛い思いなんて、みんなはする必要ないよ ]
(99) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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お菓子パーティーしちゃう? 私、全然お菓子詳しくないから、 芽衣のお勧めを教えてくれたら嬉しい。
[ 芽衣はいくつかの選択肢を提示してくれた。>>49 食べずに寝るのはもちろん却下。 そして、クレープ食べたい!っていう勇気は、 まだその時の私にはなかった ]
(100) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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[ 友達やクラスメイトのみんなと、 夜の学校に泊まってお菓子パーティー。 こんなおかしなことにならなければ、 絶対に起こりえなかったことだ。
九重さんは見つからないし、鳩羽君の元気はない。 ここは誰かの精神世界で、その誰かは自殺を図ってる。 そんな状況なのに。 不謹慎にも私は、ちょっと楽しかった。 思いもかけない機会が与えられて、 この世界を楽しんでたの。 翌朝、あんなことが起こるなんて夢にも思わずに* ]
(101) 2021/06/10(Thu) 11時半頃
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―― 現在:教材倉庫 ――
綿見さん!?大丈夫!?怪我、とか……
[ 後ろ姿の綿見さん。立ち込める血の匂い。 私は慌てて声をかけて、でも途中で飲み込んだ。 綿見さんが振り返って私を見たから。>>123 その顔は青かったけど、怪我をしてる様子はなさそうで、 でも、その代わりに綿見さんがこちらを向いた時、 ちらりと見えた奥にあったのは……。
そんな私の思考は、綿見さんの声に途切れる ]
(135) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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えっ?あの、私、 誰かがカッターナイフ片づけてくれたのかなって、 お礼、言おうと……
[ 何しに来たの。 昨日からうるさい。 嫌がらせ?
綿見さんの言葉がいちいち私に突き刺さる。 昨日から。寝るところの段取りをしたりしたこと? よかれと思ったつもりだったけど、出しゃばってた? 目障りだったのかな? 私、余計なことした? ]
(136) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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ち、ちがう。わたし、そんなつもりじゃ、
[ 嫌がらせのつもりなんて、なかった。 でも……でも、いい子アピールって言われたら、 私、否定できる? 私の生きざまは、いい子の優等生アピールと何が違う? ]
(137) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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[ がくがくと体が震えた。 左の手首を握りしめても、ちっとも冷静になれない。 空回りする私の頭は、 「あなたが生まれていればよかった」という 綿見さんの言葉の違和感に気づけなかった。
文句。文句なんてない。私には。>>124 だけど、気づかないふりをしている私の態度は、 綿見さんに文句があるように見えていた? ]
(138) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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わた、わたし、は、 [ 何かあるなら言えば。>>2:8 綿見さんのその言葉はずっと私の頭に残ってた。 綿見さんはその「何か」がずっと文句だと思ってた? 違う。全然、違うのに。
私、綿見さんに何かしたかな?とか、 綿見さんの気に障ることをしたならごめんなさい、とか、 言わなきゃいけないと思った言葉は色々あったけど、 でも、言いたい「何か」はそれでもなかった。 私が綿見さんにずっと伝えたかったのは ]
(139) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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わたしは、ずっと…… わ、私のこと、きらわないで、ほしい、って……。
[ 酷く情けなくて、みっともなくて、 でもそれがやっぱり私が言いたかったことだった ]
(140) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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馬が合わないとか、そういうことがあるのは もちろんわかってる。 友達になりたいとか、そんなことは言わない。 仲良くしてほしいなんて、贅沢は言わないから、 その……きらわないで、ほしい、って……、 本当は、ずっと、言いたかった。
[ わかってる。これは、みっともないだけじゃない、 すごく身勝手な言い分だって。 でも、言えばって言われたから、言ってしまう ]
(141) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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……わ、わたし、綿見さんに嫌われてるの、つらい。
[ まだ新しい傷口にいくら指先をねじ込んでも、 誤魔化せない。こころが痛い。 私は、綿見さんに嫌われ、 疎まれていることが、酷く辛い** ]
(142) 2021/06/10(Thu) 15時頃
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―― 昨日の夜:購買へ ――
それなら、食べたことのないお菓子に挑戦してみる、 とか?
[ 芽衣もお菓子にはあまり詳しくないらしい。>>148 それなら、ってそんな提案をしつつ、 私は芽衣と購買へ向かう ]
お菓子、食べないわけじゃないんだけど、 うちの母は、手作りにこだわる人だから、 あまり市販のお菓子、食べたことなくて。
[ 母は完璧な主婦であろうとする人。 それはお菓子の分野もそうで、 私にとってお菓子っていうのは、 母の焼いたクッキーやマドレーヌだった。 きっとそれは、贅沢なことで、感謝すべきことで、 でも、少し息苦しいことだった ]
(205) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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[ 生徒会の仕事中、誰かがお菓子を持ち込むことはあった。 摘まんでいいよって言われたけど、 何かをしながら食べるのは行儀が悪いって しつけられていた私には、どうにも抵抗があって、 せいぜい、キャンディを口に入れるくらいだった。 「黒沢さんは真面目だからなあ」なんて言われて、 きっと褒められていないその言葉に、安心してた。 「黒沢さんでもそんなことするんだね」って、 いい意味で言われたとしても、そんな言葉は怖かった ]
(206) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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やまないね。
[ 芽衣の言葉をオウム返しして、>>149 私も窓の外を見る。 真っ暗な夜の中、白い雪はまだちらちらしている。 ここが誰かの精神世界だとして、 始まりはどこからだったんだろう? この雪も、誰かの心に降ってるの? そんなことを考えている私は、 芽衣が窓に顔を向けた本当の理由を知らないままで ]
(207) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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どうかした?
[ こちらに顔を向けた芽衣は、>>152 なんだか少しもの言いたげな顔をして見えて、 私は首を傾げる。
私がここを作ったの?って聞かれたら? きっと私は、私じゃないよって答える。 精神世界の話を聞いた時も、 その本人が自分である可能性なんて考えもしなかった。
死ねたら楽だろうなって思うことはある。 だけど、実際に死ぬとなると、それって全然違うでしょ? 死ぬのにはきっと、覚悟とか、勇気が必要で、 そして私にはその両方ない。 私はそう思ってた ]
(208) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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[ 棒倒しみたいな危ういバランスで、 でも倒れずに自分は生きているんだと思ってた。 危ういけど、私は倒れないって思ってた。 じりじりと砂を削られても削られても、 なかなか倒れないから、 いつか倒れることなんて忘れてたの。
倒れる時はあっけないんだってこと、忘れてたの ]
(209) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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[ 認知のゆがみに私は気づかない。 自分は違うと思いながら、 他のみんなのことも違うと思っている。
どこかに必ずこの世界の主はいるはずなのに、 誰のことも「きっと違う」と思っている。 全くイメージが浮かばない「誰か」に対して、 どうして気づけなかったんだろうと胸を痛めている ]
(210) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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[ 芽衣が案内してくれた購買のお菓子コーナーには>>155 いろんな種類のお菓子があって、 どれも美味しそうで、目移りして困る。 ほとんど食べた記憶のないスナック菓子? それともチョコレート? チョコレートも種類がいっぱいで、 どれを選べばいいのかよくわからない ]
そうだねー。
[ 芽衣に返事をしながら、 綿見さんは私が買ったお菓子を受け取ってくれるかなあ? なんてちょっと弱気になってしまう。 食べ物に罪はないから、受け取ってほしい ]
(211) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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[ 芽衣が選んだのはドーナツ。>>156 だけど、私はこんな小さいドーナツ食べたことなかった。 ドーナツも、やっぱり私にとっては、 母が作るものだったから ]
子供の頃、覗いてみようとしたら、 行儀の悪いことはやめなさいって怒られちゃった。
[ 食べ物で遊ぶのはやめなさい、だったかな。 母はそう言うことにもうるさかった。 ちゃんと手を洗って。椅子に座って。 両手できちんと持って食べなさい。
見えるもの、同じ。>>157 きっと芽衣は何の気なしに言ったんだと思う。 いつもの私なら、そうだねって流して、 それで終わりだったと思う。 でもなぜか……なぜかその時は、 思わぬ言葉がぽろって零れた ]
(212) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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同じかな。同じ、なのかな。
[ 私はドーナツの穴を覗いてみたことがない。 だから本当にその先に見えるものが同じかはわからない。 ……なんてことを言うつもりはないけど ]
私と芽衣が見えてる世界は、実は全然違ってたりして。 ……なんてね。
(213) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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ごめん!なんか、変なこと言っちゃった。 あ、私はこれにしようかな。
[ 私はそう言って、チョコレートを手に取った。 冬季限定って書いてある。 よくわからないけど、 冬しか食べられない特別?なチョコレートってことよね。 特別?の割には、あのチョコにもこのチョコにも 冬季限定って書いてあるんだけど* ]
(214) 2021/06/10(Thu) 20時頃
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―― 現在:教材倉庫 ――
ちがう。私、被害者なんて思ってない。 綿見さんが悪いなんて、思ったことない。
[ 必死に伝えても、私の言葉は届かない。>>193 私、自分が何かしたとしか考えたことなかった。 私の何かが不快にさせたとしか思ってなかった。
綿見さんを惨めにしている。 綿見さんを虚仮にしている。>>194 正しい良い子ぶっている。
そんなつもりなかった。 でも、やっぱり私が優等生のふりをしたことが、 綿見さんを不快にさせた? でも私、こんな風にしか生きちゃいけないんだもの。 やっぱり、私の存在そのものが、 綿見さんを不快にさせてる? ]
(241) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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[ 目の前が真っ暗になった、その時。 綿見さんのまとう空気が変わった>>195 ]
(242) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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……え。あ、うん。 黒沢だけど……? だ、大丈夫?
[ へなへなと座り込んでしまった綿見さんに>>197 ぎょっとして、慌てて私もしゃがみこんだ。 めまい?貧血? どうしたのかと、綿見さんの顔を覗き込もうとしつつ、 頭の中では現状を整理しようとして ]
(243) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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[ そう、今何が起こっていたのか、 冷静になるターンっていうものがやってくる。 えーと、綿見さんはどうやら私を誰かと人違い?して、 ……今、この校舎に入る女子って あと芽衣と番代さんだけだったと思うんだけど、 とりあえずそれは置いておいて、 私は人違いされてるのに気づかずに、 みっともなく子供っぽいお願いみたいなことをした、と。 ……冷静になってみたら 相当恥ずかしいことを言ったような気がする。 嫌わないでほしい、って。 嫌われてるの、辛いって。 なんというか……なんというか、伝えるにしても 他にもっと言い方ってものがあったんじゃない!? ]
(244) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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[ 自覚するともう駄目で、どんどん顔が熱くなる。 きっと今私は耳まで真っ赤になってると思う。 蚊の鳴くような声で、私は何か言葉を探した ]
え、えーっと……誰と間違えられたか ちょっとわからないんだけど…… ……その、綿見さんを虚仮にするような人は、 正しくないし、いい子じゃない、んじゃないかな……。
[ もごもごと言ったけど、これはその、 いたたまれなくて、頭が回らないまま口走っているので あまり気にしないでほしい* ]
(245) 2021/06/10(Thu) 21時半頃
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―― 昨日の夜:購買へ ――
[ なんでもないって芽衣が言ったら、>>247 私はそっかって返事する。 聞きたいことは聞くよ。 言いたいことは言わなくていいよ。 多分それが私と芽衣のスタンスで、距離感だった。
芽衣のことを信用してないわけじゃない。 大事な友達だと思ってる。 でも、友達が少ない私は、壊してしまうのが怖くて、 繊細なガラス細工みたいに怖々触れることしかできない。 シャボン玉が割れないように、 そうっと見守るような気持ちで、 私は芽衣との友情を大切にしてた。 向井君でも割れなかった窓みたいに頑丈な友情って、 どうやったら築けるのかな? ]
(278) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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[ 芽衣が選んだドーナツは、すごく甘いらしい。>>254 ほうじ茶もって言われて、そうするって頷いた。
怒られても、こっそり芽衣はやってたらしい。>>255 そうなんだ、って答えた私は、きっと目を丸くした。 怒られたことをこっそりするなんて、 私には考えられないことだった ]
(279) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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[ 母は、完璧な主婦であろうとしてた。 家はいつも綺麗に整っていて、 食べ物はいつもきちんとした手作りで、 子供のしつけにも熱心だった。
……それは、本当に母の意思だった? ]
(280) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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[ そんなことを突然考えたのは、どうしてだろう。 私の耳に、ばりんという袋を開ける音がして>>258 私ははっと我に返った。 見ると芽衣がドーナツの袋を開封してて、 え、これ、どういうこと? 全然意味が分からない ]
え、でも。
[ 差し出されたから、とっさに受け取ってしまったけど、 まだお会計すらしてなくて、 こんなところで、た、立ち食い?するつもりなの? おろおろしている私は、芽衣よりずっと背が高いのに、 まるで芽衣がお姉さんで、私が妹みたいだったと思う ]
(281) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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[ 芽衣は個包装を開けたりしなかった。 ビニールに入ったままのドーナツを覗き込む。 私がいるって芽衣は言う。>>259 乃絵ちゃんは?って芽衣が言う ]
え、あ。
[ 行儀が悪いからやめなさい。 食べ物で遊ぶのはやめなさい。 母の声が脳裏に響いて、ここは購買の中で、 私たちは椅子に座ってもいなくて、 そもそもドーナツは会計前で ]
(282) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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[ ここには私と芽衣しかいない。 それでも、心臓が早鐘を打っていた。 怒られたことをこっそりするなんて、 私には考えられないこと、だった。 少し震える手で、私はドーナツの穴を覗き込む ]
……芽衣が、見える。
[ 私をじっと見つめる、芽衣が見えた。 芽衣は、私を見てた ]
(283) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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[ 私の父は私を見ていない。 自分は間違っていなかったと証明したいだけ。 姉で失敗した、そのやり直しをしたいだけ。
私の母は私を見ていない。 私の母は、私が好きな食べ物すら知らない ]
(284) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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……うん。同じだね。
[ だけど、今、私は芽衣を見てて、芽衣は私を見てた。 ほっと息を吐きだして、 私はドーナツを目から離して微笑む。
お姉さんみたいな芽衣は、私の頭に手を触れる。>>260 前みたいにベンチで座ってるわけじゃない、 きっと触りにくいと思うのに ]
(285) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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……そうだね。その時は、聞いてね。
[ 時々、何が正しくて、 何が間違っているかわからなくなる時があるの。 私が白いと思っても、 父が黒だと言ったらそれは黒いことになるから。 そんなことがわからなくなるなんて 優等生失格だと思うけど ]
(286) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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えっ、そういうシステムなの!?
[ 冬季限定チョコレート。>>261 限定期間が終わったら、次の限定がやってくるんだって。 思わぬシステムにびっくりしつつ、 結局甘いものしか選んでないことに気づいたら、 番代さんや綿見さんの分まで、 お茶を買っていくんじゃないかな。 ……受け取ってもらえなくても、 明日飲めばいいんだし(弱気)* ]
(287) 2021/06/10(Thu) 23時頃
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―― 現在:教材倉庫 ――
[ お互い真っ赤な顔でしゃがみこんでいたけど>>269 大丈夫、今の私には綿見さんの顔が真っ赤なことまで 認識するような余裕はない。 具合が悪いわけじゃなさそうって確認するだけで 精一杯だった ]
(298) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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う、ううん。……その、 私が綿見さんのこと、虚仮にしてるとか、 そんな風に誤解されてたんじゃなくて、よかった。
[ 丁寧に謝罪されて、頭まで下げられてしまって、>>271 私は慌てて首を横に振る。 後回しみたいになってしまっているけど、 相変わらずここは血の匂いがするし、 さっきちらりと見えたのもあるし、 きっと綿見さんはパニックになっていたんだと思う。 あの言葉が私に向けられたものじゃなくて、 私がそんな風に誤解されてたわけじゃないってわかって、 なんというか、それで十分だった ]
(299) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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[ そうして、少しばかり冷静になった、と思ったけど、 綿見さんに投げかけられた質問で、>>275 また血液が顔面に戻っていく。 それはちょっと本当に、 恥ずかしくていたたまれないので忘れてほしい。 いや、ええと、内容は忘れてほしくないんだけど、 あんな子供みたいな伝え方をしたのは忘れてほしい ]
(300) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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あ、え、えっと……うん。 私、ずっと、本当は……、 綿見さんと、仲良くなりかった。 [ 仲良くしてほしいなんて贅沢は言わないって>>141 ついさっき言ったくせに、 結局私はそんなことを言ってしまう。 だって、嫌われてるの辛いって、 もう一度言葉にするのものすごく恥ずかしくて。 辛いっていうのを遠回しに伝えようとしたら、 それってやっぱり仲良くなりたいからで。 ああ、とってもいたたまれない ]
(301) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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[ 直すところがあったら言って!なんて 別れ話にすがる女の子みたいなことも言えるわけないし、 やっぱり私は真っ赤な顔をしたまま、 おろおろと言葉を探す。
買い出し一緒に行きたかったし、 試作品の試食にも参加したかった。 色々なことが浮かぶけど、 なんだかストーカーみたいで 全部口に出しちゃ駄目なやつな気がする ]
(302) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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[ 結局何も言えなくて、しばらくおろおろしてたけど、 はっと我に返った。 そう、綿見さんの後ろにあるもののこと、 絶対忘れちゃいけなかった ]
そ、その、綿見さん、 それより、その……後ろにあるのって、
[ 何?って、聞いた私は、 多分ものすごく聞きづらそうな顔をしてた。 誰?とは言わなかった。 人間だって、私の知ってる誰かだって、 そんな風に思いたくなかったから* ]
(303) 2021/06/10(Thu) 23時半頃
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―― 現在:教材倉庫 ――
……え、だって、それは人違いだったんでしょう?
[ 酷いこと言われてたのに。>>321 その言葉に私は眉を下げて、狼狽える。 え?人違いだったのよね? あの言葉は、綿見さんを虚仮にする誰かに 言いたかったこと、だよね? そういう流れだったはず。 綿見さんだって謝罪してくれたんだし、 私の都合のいい解釈じゃないはず。……よね? ]
(333) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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う。だってそれは、 まさか人違いされてるとは思わなかったし、 私が綿見さんに言いたかったことって、それだし。
[ 嫌わないでとか、仲良くなりたいとか、 もう一度言うのは恥ずかしいので“それ”で誤魔化した。 代名詞ってこういう時便利だ。 積極的に活用していこうと思う ]
(334) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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[ 何?って聞いたそれは、>>322 やっぱりマネキンらしかった。 見ない方がいいと言って電気を消す綿見さんに、 私は反論しなかった。 でも、他にも見に来る人がいるかもしれない。 その前に、お布団かけておいた方がいいかもしれない。 そっか、って頷きながら、私はそんなことを考える。
マネキンは番代さんの姿をしてるらしい。 番代さんが酷い有様になる理由がわからなくて、 その上マネキンに変わるなんていうのも意味不明で、 私にはこの世界の仕組みがさっぱりわからない ]
(335) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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九重さん、鳩羽君があんなに探したのに 見つからなかったし、 番代さんの姿も今朝から見てない。 だから、この校舎で死んだら、マネキンがここに残って、 現実世界に帰る……んだったらいいんだけど、 問題は、そうなってるのかどうか、 ここにいたら確認のしようがないんだよね。
[ そうだったらいいと思う。だけどその説にも、 他のどんな説にも何の根拠もなくて、 証明する方法がない ]
(336) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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でも、この校舎の主は、 文化祭の思い出が大事なんでしょう。 その思い出を台無しにするようなことはしないって…… 思いたいな。
[ きっとしないよ、なんてやっぱり言い切れなくて、 希望を口にすることしかできないんだけど** ]
(337) 2021/06/11(Fri) 01時頃
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[ 姉はきらきらした人だった。 姉を中心に人が集まる。 信頼されて、慕われて、 いつもたくさんの人に囲まれているような人だった ]
(348) 2021/06/11(Fri) 01時半頃
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[ 私は背景みたいな人間だ。 優等生ってことになってるけど、大した存在感はない。 だから、私に大した感情を抱く人もいない。 嫌われてはいなくても好かれることもない。 仲のいい人の名を上げろと言われて、 私を一番に上げる人なんかいない。 そんな私だったから、芽衣と仲良くなれたのだし、 それでよかったと思っているけれど ]
(349) 2021/06/11(Fri) 01時半頃
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[ でも、綿見さんは違った。 好きでも嫌いでもないどうでもいい枠がお似合いの私に、 感情を向けてきた人。 それが好きの方じゃなかったのは悲しかったけど、 でも、背景のはずの私に、感情を向けてくれる人は、 きっとそれだけで私にとって特別だった。 だって、好きの反対は無関心だもの** ]
(350) 2021/06/11(Fri) 01時半頃
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―― →3-9教室へ ――
[ 綿見さんとの話が終わった後、 私は予定通り保健室に行って、 番代さんの使ったベッドから掛け布団を回収した。 毛布でしのいでくれている男子たちのことが 頭に浮かばないではなかったけど。
教材倉庫に戻って明かりをつける。 綿見さんは見ない方がいいって言ってくれたけど>>322 番代さんによく似たマネキンを見下ろして、 そっと掛け布団をかけた。 床とか壁の血はどうしようもないけど、>>646 一番無残になってるおなかの部分はこれで隠れた。 それでも、見ない方がいいとは思う。 小さな子供の足跡みたいなのがあるけど、 小さな子供なんてここにはいないはずなのに…… ]
(416) 2021/06/11(Fri) 13時半頃
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[ 教材倉庫から出たら、扉に注意喚起の貼り紙をしておく。
「注意! 番代さんに似たマネキンがあります」
番代さんのマネキンとは書きたくなくて、 そんな書き方になった ]
(417) 2021/06/11(Fri) 13時半頃
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[ その後向かったのは3-9の教室。 黒板に伝言しておいた方がいいと思ったからだ。 もちろんその途中で誰かに会ったら、 直接口頭で伝えるはず。
教室について早速黒板に向かえば、 連絡事項が増えてる。>>341 目を通して私は眉を寄せた ]
(418) 2021/06/11(Fri) 13時半頃
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樫樹君も?
[ マネキンが増えた。樫樹君が探されてる。 ということは、それはきっと、 樫樹君に似たマネキンだったんだろう。 唇を噛みながら、私もチョークを手に取って、 その下に付け足す。
「教材倉庫に番代さんに似たマネキンがありました」
九重さんに、番代さんに、樫樹君。 3人の姿が消えて、3つのマネキンが増えた。 この校舎には、もう7人しかいないのね** ]
(419) 2021/06/11(Fri) 13時半頃
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―― 3-9→廊下 ――
[ 7人しかいない。そう思ってから、私は首を横に振った。 それ、本当にそう? だって私、綿見さんにしか会ってない。 7人いるってどうしてわかる? 本当はもっと校舎にマネキンがあって、 その代わりに消えた人がいるかもしれないじゃない。
指先についたチョークの粉を払い落しながら、 私は何かに急き立てられるように教室を出る ]
あ、鳩羽君。 ……おはよう。
[ そうして、廊下でばったり鳩羽君に会った。>>426 良かった。鳩羽君はいた。 なんだかほっとして、挨拶はちょっと遅れた。 でも、って少し考える。 この校舎で会えたのは、本当にいいことなの? ]
(434) 2021/06/11(Fri) 15時頃
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[ ここは、誰かの精神世界らしい。 ここにとどまり続けたらどうなるの? マネキンと代わった人はどうなったの? 無事に現実に帰れたんなら、 そっちの方がいいことじゃない? それに、少なくともマネキンと代わった人は、 この世界の主じゃない。 それって、いいことなんじゃない? ]
(435) 2021/06/11(Fri) 15時頃
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鳩羽君、今日は誰かと会った? 私、綿見さんとしか会ってなくて。 あと……番代さんが、いなくて。 代わりに、マネキンを見つけたの。
[ そんな話をしたら、鳩羽君は見たっていう。 貼り紙を見たのかと思ったら、 布団のお礼を言われたから、 鳩羽君は中に入っちゃったみたい。 折角見なくてもわかるように貼り紙をしておいたのに。 注意喚起が足りなかったかな? ]
(436) 2021/06/11(Fri) 15時頃
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[ 鳩羽君が、樫樹君のことを教えてくれようとしたら、 私はもう知ってる、って返した ]
黒板に書いてあったのを読んだ。 炭蔵君の字だと思ったけど、 鳩羽君も確認したの?
[ 貼り紙をしておいても入っちゃった鳩羽君だ。 黒板の情報だけで私に教えてくれたとは思えない。 発見場所のことや、 喫茶店に運んでくれたことを聞けたら、 私も鳩羽君にありがとうを言ったはず* ]
(437) 2021/06/11(Fri) 15時頃
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―― 廊下:鳩羽君 ――
[ こちらに挨拶を返してくれた鳩羽君は、>>445 昨日の夜に教室にいた時よりは元気に見える。 昨日はちゃんと寝れた?なんて尋ねながら情報共有。 番代さんとか、昨日眠りが浅そうだったし>>2:626 まともなお布団で眠れたわけじゃない男子勢は きちんと眠れたのか気になった ]
……ああ、うん。 それはなんだか、わかる気がする。
[ 信じたくないから見た。>>446 鳩羽君の言葉は、なんだかわかる気がした。 いくら信じたくなくても、自分の目で確認したら、 信じるしかないもの ]
(468) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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心の準備ができたならよかったかな。
[ 私がそう言ったら、 鳩羽君は樫樹君のことを教えてくれた。 鳩羽君が会えたのは炭蔵君。 黒板の字を確認済みだったから、 炭蔵君がいることはわかってたつもりだけど、 やっぱりこうして聞けるとほっとする。 あと確認できてないのは、芽衣、向井君、柊君の3人 ]
(469) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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……きっと、大丈夫だと思いたい……けど。 こればっかりは確認できないもんね。
[ 無事だといいなって言う鳩羽君に頷く。>>448 でも、無事だと断言はできないけど、 実際にあんな目に遭ってるってことは ないんじゃないかな ]
実際にってことは、ないと思う。 だって……その、現実では起こりそうにない、 感じじゃなかった?
[ 九重さんに似たマネキンのいた教室には、 天井に見ない方がいい感じのお札が貼ってあったらしい。 番代さん似のマネキンのそばには、 小さな子供の裸足の足跡がいっぱいあった。 樫樹君はわからないけど、私の知っているふたつは なんというか……どっちもオカルトっぽい、というか、 あんな死体が現実で見つかったら大事件だと思う ]
(470) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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……鳩羽君さ、 笑いたくない時は、無理して笑わなくていいよ。 無理してでも笑いたいなら、それでもいいけど。
[ 鳩羽君の笑顔は無理しているのがありありと見えて、 私は思わずそんなことを言ってしまった。 私だって、無理に笑うことはある。 笑いながらでないと言えないことだってあった。 だけど、いつも明るい鳩羽君の無理した笑みは、 見てるだけで少し痛々しい ]
(471) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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どうなんだろうね。 メールの送り主、ここにいる……んだよね? 別に文化祭の思い出を上書きしたいわけじゃなくて、 記憶の補助?っていうか、 舞台が整ってる方が覚えておきやすい?とか、 そういうの、あるかもしれない。 「ここでこんなことがあったなあ」って 思い出しやすくなる、みたいな?
[ マネキンのことも、この校舎のことも、 メールの送り主のことも、 全部推測しかできないから、私の口調はあいまいになる。 断定できることが何もないから ]
(473) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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そもそも、こんな校舎を作るつもりがあったのかも わからなくない? 本人にそんなつもりはなくて、 ただ、すごく文化祭のことを考えてたら、 こんなことになっちゃった……って可能性もある、かも?
[ その時考えていたことが強く反映されたから、 本当の文化祭の時にはなかったものが増えてる、のかも。 わからないけどね、って私はやっぱり首を傾げる ]
(474) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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そんなの当たり前じゃない?
[ イヤな気持ちになってない?>>450 って窺うような顔をされたら、 そんなことないよって首を横に振る ]
人の気持ち、わかりたいとは思うけど、 わからなくて当たり前だとも思う。 私、自分の気持ちだってよくわからないことがあるもん。
[ 私は、いつも自分のことを疑ってる。 本当にそう思ってる?本当に?って ]
(475) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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寄り添いたいっていう気持ちで十分じゃないかな。 ちょっとズレちゃってたりすることも そりゃあるかもしれないけど、 でも、寄り添おうとしてくれたその気持ちが嬉しいって、 考えようとしてくれたことが嬉しいって、 そう思う人はきっといるよ。
[ 鳩羽君、優しいなあって私は思う。 思うけど、このところ優しいねって言ったら否定される 案件が続いてたから、私は言葉にしなかった ]
(476) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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んー……そうだねー……。
[ 楽しい?って聞かれて、私は少し言い淀んだ。>>451 九重さんの姿をしたマネキン。 番代さんによく似たマネキン。 あんなものがある世界のことを、 楽しいっていうのは少し気が引けた。 でも、と私は少し困った顔をして、 鳩羽君の顔を見上げる ]
(478) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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……来れてよかったとは思ってる、かな。 ずっと気になってたことが叶ったりもしたし。
[ 夜の学校に泊まって、女の子たちでお菓子を食べた。 なにより、ずっと気になっていた綿見さんと話ができた。 柊君の素顔に、ほんの少しだけ触れた気がした。 ここに来て初めて叶ったこと。 ここに来なきゃできなかったこと。 そういうものは確かにあった ]
鳩羽君は? こんなとこ、来たくなかった?
[ 鳩羽君はどうなのかな。私はそう聞き返した* ]
(480) 2021/06/11(Fri) 17時半頃
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―― 教材倉庫:綿見さん ――
え、だって綿見さん、嫌がらせされてたんでしょう? 貶したり、虚仮にしたりするような人から 身を守ろうとするのは当たり前じゃない?
[ 私自身に投げつけられた言葉じゃなかったから、 私は冷静に思い返すことができる。 貶したり嫌がらせしたり>>123 いつも文句を言ったり>>124 虚仮にしたり>>194 綿見さんの向こうにある血の匂いの原因を目撃して、 ショックを受けてるところに、 そんな人が来たとなったら、 先手必勝、攻撃は最大の防御、ってなっても、 仕方ない気がする ]
(504) 2021/06/11(Fri) 19時頃
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[ 仕方ないんだから、自分のことを 「こんな奴」みたいな言い方はしなくていいと思う。 困ったように眉を下げて、綿見さんの顔を見てたら、 天然?>>488 ]
て……!? うん、自分でも不器用だなとは思うけど、 天然!?
[ 優等生に擬態してるのに不器用っていうのも どうかと思うけど、実際そうだ。 不器用だから、優等生のふりにもぼろが出る。 人間関係はその中でも一番苦手。 みんな私のことをどうでもいい枠に置くって思いながら、 どうでもいい人間として振舞うことばかり得意だった ]
(505) 2021/06/11(Fri) 19時頃
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[ 初めてちゃん付けで呼ばれて、 やっぱり頬が熱くなるけど、 綿見ちゃんと呼ぶ勇気はまだ出ない。無理 ]
(506) 2021/06/11(Fri) 19時頃
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[ 自分で死んだのか。殺されたのか。>>489 綿見さんのその疑問は考えたことがない視点で、 ああそうか、自殺の可能性もあるのか、って 今更気づく ]
……殺された、って思ってた。 だって……そんな素振り、なかったよね?
[ 番代さん、死にそうに見えた?私は全然見えなかった。 綿見さん、番代さんに話したいことがあったって 言ってたよね? そんな素振りは見えなかったから、明日話そうって 思ったんじゃない?
……でも私、この校舎の主が全然わからない。 そんな素振りのある人に気づかなかった ]
(507) 2021/06/11(Fri) 19時頃
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[ 校舎の主が何を考えてるかはわからない。>>490 綿見さんのその意見ももっともだった ]
……そもそも、メールの送り主が、 どこまで自覚があるのかもわからない、よね。 だって自覚があるとしたら、 それってとぼけてるってことでしょう。 こんな状況でとぼけられるほど、その、図太い人が、 その……自殺とか、するかな、とか……。
[ 誰かわからない。でも、きっとこの中にいる、 メールの主のことをあまり悪く言うのも気が引けて、 私は言葉を選ぼうとしたけど、 選んだ末に出てきたのが図太いだった。選べてない ]
(508) 2021/06/11(Fri) 19時頃
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うん。いこっか。 でも、やっぱり布団かけていい? あと、入口に貼り紙も。
[ 教室の黒板にっていう綿見さんの提案に頷く。>>491 今までなら提案されることもなく、 さっさと綿見さんはひとりでそうしたんだと思う。 誘ってくれて嬉しかった。 見ない方がいいよって制止しつつ>>489 結局私の意思を尊重してくれたことも** ]
(509) 2021/06/11(Fri) 19時頃
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―― 教材倉庫:綿見さん ――
[ 私が天然というのには同意しかねるけど>>592 自殺の線は薄いという同意は得られた。>>594 誰が殺したのか、 何に殺されたのか、 綿見さんの問いに、私はううん、と少しうなる。 数学と違って、方程式もなければ証明もできない、 そんな難問 ]
(608) 2021/06/11(Fri) 22時半頃
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……この校舎に殺された、んじゃないかな。 だってそうでなきゃ、私たちの中に 犯人が混ざってることになる。 こんなことしておいて、 平然としてるとは考えられないっていうのもあるけど、 何の痕跡も残さずにこんなことできるとは思えない。
[ 番代さん似のマネキンの抱き締められたような潰れ方。 そんなの、どうやるの? 九重さん似のマネキンの、切られた首。 あんなことしたら、 返り血でとんでもないことになるよね? ]
(609) 2021/06/11(Fri) 22時半頃
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[ でも、って私は首を傾げた ]
九重さんっぽいマネキンのあった教室、 天井にお札がいっぱい貼ってあったらしいんだけど、 そういうのが一番好きそうなのって、 九重さん、だよね……。
[ 校舎の主が、九重さんのためにお札まで用意した? だとしたら悪趣味極まりないと思うけど、 本物のお札がどういうものか、私は知らない。 校舎の主は悪趣味のために そんなことをわざわざ調べたの? ……それもなんだかしっくりこないというか ]
(610) 2021/06/11(Fri) 22時半頃
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[ 自殺に勇気がいるというのには、>>595 それはそうだった、って頷いた ]
それなりの勇気とか覚悟とか、いるよね。 死に損なうと悲惨、かあ……。 でも、助かるかもしれないなら助かってほしいって やっぱり、思っちゃうな……。
[ そんなことを話しながら、二人で初めての共同作業。 どのタイミングだったかな、 綿見さんのごめんが聞こえたら>>596 返す言葉を探した私は、やっとそれを思い出した ]
(611) 2021/06/11(Fri) 22時半頃
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……あ。あ! そうだ、綿見さんが食堂に用意してくれたクレープ! あれ、今朝いただいちゃったの。 美味しかった!ごちそうさまでした!
[ そうだよ。話しかける理由がほしくて、 あと、単純に食べたくて、食べちゃったクレープ。 お礼を言うの、うっかり忘れるところだった* ]
(612) 2021/06/11(Fri) 22時半頃
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―― 廊下:鳩羽君 ――
[ 鳩羽君はよく眠れたらしい。>>536 やっぱり男の子はたくましいなあ、なんて、 眠れなかった面々を知らない私は素直に安心した。 九重さん似のマネキンの話になると、 私はそうだけど、そうじゃないよって首を横に振った ]
あれは、全部柊君が考えてくれたの。 私はちょっと手伝っただけ。 ああいうこと、ぱっと思いつけるの、すごいよね。
鳩羽君こそ、 いっぱい九重さんのこと探してくれてたでしょ。 探してる声聞こえてたもん。 ありがとう。
[ 言い方は悪いけど、あれで一つの諦めがついたというか。 九重さんはもうここにはいないって、 納得できたんだと思う ]
(636) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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階段……って、樫樹君、 文化祭の日も階段から落ちたよね。 なにも、そんなこと再現しなくてもいいのに……。
[ そんなことを言いながら、 私は番代さんに似たマネキンの状態を 説明しようか悩んでいた。 鳩羽君がオカルトの類に強いなら言ってもいいけど、 刺激が強いからお布団かけたのに、 結局口頭で説明しちゃったら、意味がない気もする ]
(637) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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ここに電波が届いたら、 無事だよって連絡が届いたかもしれないのにね。 でも、もしかしたら、 先に帰って、まだ帰ってこない私たちのこと、 心配してくれてるかもしれないよ。
[ これは、だったらいいよねっていう希望的観測。 心配だっていう気持ちはもちろんわかる。 私だって心配だもの。 でも、もう手の届かないところに行ってしまった人を、 心配し続けるより、他にできることってないのかな。 ああ、そういえば、 黒板に集まらないかって提案が書いてあった。>>341 21時の少し前って、 きっと、チャイムが鳴る時間のことだよね ]
(638) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 無理して笑わなくていいって言ったら、 鳩羽君の笑顔、ちょっと自然になった。>>540 それが本当に自然に出たものならいいんだけど、 私が無理してるって指摘したから、 頑張って自然っぽく笑おうとした、なんてことはない? 私、口を開こうとしたけど、 その前に鳩羽君の話が始まったから、 遮るわけにもいかなくて、開いた口はまた閉じる。
俺ばっかり喋ってるって言いながら、>>450 鳩羽君、ちゃんと私の話も聞いてくれるじゃない。 断定の出来ない、語尾が?ばっかりの私の話、 きっと聞きにくかったと思うのに。 この後しっくりくることになるなら、よかった ]
(639) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ それから、鳩羽君は自分の話をしてくれた。>>542 うん、って聞きながら、>>543 私、なんだか似た話、聞いたなって思う>>2:236 ] あのね、……うーん、あんまりうまく言えない、 かもしれないけど。
[ 鳩羽君の考え方が、間違ってるとは思わない。 苦手なことをわざわざやるべきとも思わない。 でも ]
(640) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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無理してでも笑いたい、っていうのも、いいと思う。 苦手なことをわざわざすることもないと思う。 苦手なのに落ち込んでるところをわざわざ見せろなんて、 そんなこと言えないもん。 だから、無理に変わろうとしなくていいと思う。 でもね、それとは関係なしに、 知っててほしいなって思うの。
(641) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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鳩羽君、考えたい、寄り添いたいって思うんだよね。 同じように、鳩羽君のことを考えたい、 寄り添いたいって思う人もいるよ。 その人たちは、考えたいって思って、考えるんだよ。 だから、考えさせたら悪いって、 鳩羽君が思う必要はないと思う。 むしろ、鳩羽君が嫌じゃなければ、 考える機会を与えてあげてほしいって思う。 その方がきっと嬉しいよ?
(642) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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でも、そのために、わざわざ苦手なことを しなさいっていうのも違うと思うから。 そういう人もいるって、覚えていてくれるだけでいいの。
[ ごめんね、変なこと言って。 やっぱり言いたいことを長々と語っちゃった。 私も話が長いよね ]
(643) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ こんなこと滅多に話さない。>>546 その言葉には完全同意だった。 知らなかったみんなの顔、色々知れたと思うもの ]
馬鹿な鳩羽君? 学校サボった鳩羽君のことかな?
[ あの時よりは少し踏み込めたって思ってもいいかな? そんな風に思ったから、私は馬鹿を否定しなかったので、 綿見さんのパンツの危機についての秘密は守られた。 おめでとう?* ]
(644) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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