10 冷たい校舎村9
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[ 姉が消えたその日から、なにもかも変わってしまった ]
(0) 2021/06/08(Tue) 00時頃
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[ まるで、繰り上がり当選みたい。 ほとんどいないものみたいに扱われてた、 なんの期待もされてなかった私は、 黒沢家の出来の悪い方だったはずの私は、 その日から「私たちの子はお前だけだ」って 言われるようになってしまった。 母が、明日の朝ごはん、何食べたい?って聞くから、 試しにサンドイッチって言ってみた。 姉は和食が好きだったから、それまでずっと、 黒沢家の朝ごはんは和食だったから。 軽い気持ちで、ちょっと試してみたくなっただけ。 次の日から、朝ごはんはパンとコーヒーになった。 お味噌汁も、納豆も、焼き魚も、 完全に朝の食卓から姿を消してしまった。 まるで最初からなかったみたいに ]
(1) 2021/06/08(Tue) 00時頃
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[ だけど、そこそこ出来が悪くない、程度の私が、 姉になれるわけがない。 どんなに努力したって、私は私だ。 進学したのは豊高で、 役職は副会長で、 成績は上位に食い込んでるけど、トップはとれない。 姉のような人望だってない ]
(2) 2021/06/08(Tue) 00時頃
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[ 姉でさえ、両親に見放された。 姉より出来の悪い私に、そんな日が来ないわけがない。 その日は明日?明後日?今日かもしれない。 失望のため息を一つつかれるたびに、 私の残機が減っていく。 ねえ、私の残機はあといくつ? 見放されるXデーまであと何日? カウントダウンはどこまで進んだ? ]
(3) 2021/06/08(Tue) 00時頃
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[ 失敗をするたびに、焦燥感に襲われる。 呼吸がしづらくて、胸が苦しくて、心が痛くて。 ねえ、物理的な痛みってすごいの。 そっちに気を取られてる間だけ、 心の痛みがどこかへ行くの。 そうやって私は、心の痛みを物理的な痛みにすり替えて 誤魔化す方法を覚えた ]
(4) 2021/06/08(Tue) 00時頃
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[ 最初は一回だけのつもりだった。でも駄目だった。 半年に一回になり、三か月に一回になり、 一か月に一回になり、二週間に一回になり、 今はもう、一週間に一度はしないと耐えられない ]
(5) 2021/06/08(Tue) 00時頃
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[ 廊下に落ちているカッターナイフが増えている。 剥き出しの替え刃もばら撒かれているから、 怪我をしないように気を付けてほしい。
相変わらず誰かが自分に向かって ため息をついたような気がする? 大丈夫。そのため息の本当の行き先は――――* ]
(6) 2021/06/08(Tue) 00時頃
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―― 現在:1階保健室 ――
[ 見つかった予備の毛布に、 ベッドから回収した毛布を足せば、 なんとか人数分の寝床は確保できそうだった。 きっと保健室は女子に譲ってもらえると思うので、 男子の人数分、5枚の毛布を抱えて、 保健室を出ようとした時だった ]
(40) 2021/06/08(Tue) 01時頃
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えっ、
[ チャイムが鳴った。>>#2 朝鳴ったっきり一度も鳴らなかったのに。 いや、それよりも、 チャイムの前にかすかに聞こえたのは、
「もしなんかあったら大声で呼べよな」>>1:263
わかったって返事しながら、 そんなこと起こるわけないって、どこかで思ってた。 それなのに、どうして悲鳴が聞こえるの? ]
(41) 2021/06/08(Tue) 01時頃
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[ 毛布を思わず投げ捨てようとして、思いとどまった。 だって廊下にはカッターナイフが落ちて…… こんなに落ちてたっけ? 剥き出しの替え刃なんてあったっけ? いや、今はそんなことよりも、 優先すべきことがあって。 とりあえず、刃物が落ちてて危ないから、 毛布は廊下に投げだせない。 私は毛布を抱えたまま、声のもとを探そうとする。 いったん毛布を保健室に戻せばいいっていうのは、 頭から完全に抜けてしまってた* ]
(42) 2021/06/08(Tue) 01時頃
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―― 回想:文化祭当日 ――
[ 綿見さんの眉が寄った。>>7 やっぱり私は綿見さんの気に障ったみたい。 それでも、綿見さんは返事をしてくれたから、 私はちょっとだけ肩の力を抜いた ]
すぐ戻るって言ってたから。 柊君、ずっと忙しかったし、
[ そもそも客引きは本来柊君の仕事じゃない。 柊君が快く引き受けてくれたから、 お言葉に甘えているだけ。 そんな優等生な回答をするけど、 実際のところ私に客引きなんてできないし、 抱えたチラシを持て余しているので、 柊君には早く戻ってきてほしいところなわけで、 私って、本当に口だけだ ]
(64) 2021/06/08(Tue) 01時半頃
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[ 内心で自嘲しながら、 綿見さんの視線に混じる棘には気づかないふりで、 大丈夫、って言葉を続けようとして、固まった。
何かあるなら、言えば。>>8 吐き捨てるように言われた言葉 ]
(65) 2021/06/08(Tue) 01時半頃
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[ 綿見さんは、私の返事を求めていないように、 そのまま背を向けて、さっさと行ってしまう。 私は心臓がうるさくて、 およそ盛況な屋台にふさわしくない顔をしていた。 綿見さんは、気づいてる。 私が、気づかないふりをしてるだけだっていうこと。 そして、それを不快に思ってる。
気づかないふりをするのが 最善だって思ってた。>>0:490 真正面からぶつかっても、 きっと、余計こじれるだけだって。>>0:651 でも、それって間違いだった? 私、また間違えた? ]
(66) 2021/06/08(Tue) 01時半頃
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……私、綿見さんに、何かした?
[ もうとっくに綿見さんはいなくなったのに、 私はぽつんと呟いた ]
それなら……その方が、いいな。
[ 綿見さんに、なにか不快に思われるようなことを してしまっていたなら。 その失態に落ち込むけど、私は素直に謝るだろう。 だけど、もし、もしも、私が何かしたわけじゃなく、 私という人間を綿見さんが嫌いなのだとしたら。 私の人間性そのものが問題なのだとしたら。 やっぱり私はどうしようもない出来損ないだ** ]
(67) 2021/06/08(Tue) 01時半頃
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―― 現在:廊下 ――
[ 毛布を抱えた私の機動力は低い。 聞こえた悲鳴も声が遠くて、どこから聞こえたのか よくわからなかった。 でも、鳩羽君のうろたえた声が聞こえて>>72 その後階段を駆け上がっていくのが見えたから、 ああ、上の階なんだっていうことはわかった。
カッターナイフ塗れの廊下に、 絶対に毛布を落とすわけにはいかない。 だから私は毛布を慎重に抱えて、 あっという間に見えなくなった鳩羽君を追いかける。 上履きの底の耐久力を信頼して、 足元はあんまり見てない。 というか、毛布を抱えてると見えない。 時々、ばきっと踏んだ替え刃が折れる音がした ]
(97) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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[ 途中、休憩所で毛布をおろして>>1:651 ようやく私はまともに動けるようになる。 廊下に人影が見えた。向井君と炭蔵君だ。>>93 あそこは、3-9の教室の前? 教室で何かあったの? ]
何があったの?
[ 声をかけながら、私は二人に近づいていく。 まだ私は、悲鳴の発生源が、 もう一つ先の10組の教室であることには 気づいていなかった** ]
(98) 2021/06/08(Tue) 10時半頃
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―― 現在:3-9前廊下 ――
隣?
[ 炭蔵君が示したのは、隣の教室、3-10>>119 そんなところで一体何があったんだろう? 私たちの教室のすぐ隣で、悲鳴を上げるような 何かがあったなんて、あまり考えたくない。 そんな思考は保健室と聞いていったん途切れた>>120 ]
保健室? 向井君、怪我したの?
[ 向井君は元気がなさそうだけど、>>96 ぱっと見た感じ、大きな怪我はなさそうだった。 だけど、なにしろ廊下はカッターナイフだらけだし、 怪我をするのも無理もないと思う ]
(122) 2021/06/08(Tue) 13時半頃
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私は、 ……うん、確認してくる。
[ 向井君の様子も気になるけど、 大きな怪我ではなさそうだし、 付き添いは一人で十分でしょう。 こういう時、かける言葉ってなにが相応しいのかな。 お大事に……あまりぴんと来ない ]
気を付けてね。
[ 足元のカッターナイフに。 悲鳴を上げるような何かに。 朝、教室を出ていく人にかけた時より、 その言葉はずっと現実味を帯びてしまっていた* ]
(123) 2021/06/08(Tue) 13時半頃
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―― 現在:3-10教室 ――
[ 悲鳴を上げかけて、必死で飲み込んだ。
3-10は異様な光景になっていた。 教室の真ん中に椅子が一つ。>>#6 そこには、血を流した誰かが座っていて、 柊君が教室のカーテンを必死で外していた。>>121 もつれる舌で、私は必死に、喘ぐように声を出す ]
なに、これ……何があったの?
[ 血を流した誰かは、女子の制服を着ていた。 上を見上げるような格好のその子は、 九重さんによく似ていて、 だけど、目も鼻も口もない、のっぺらぼうだ ]
マネ、キン?
[ でも、それならどうして血を流してるんだろう? ]
(124) 2021/06/08(Tue) 13時半頃
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[ 足が震える。床に座り込みそうになって、 でも廊下にはカッターナイフだらけで、 必死でこらえた私は、ふらっと教室内に足を踏み入れた ]
……手伝う。
[ 何か作業をしたかった。 柊君とは反対の端からカーテンを外していく。 まだ足はがくがくしていて、 外すというよりカーテンに縋りついているみたい ]
柊君は、何があったか、知ってる?
[ 外し終えたカーテンを柊君に差し出しながら、聞いた** ]
(125) 2021/06/08(Tue) 14時頃
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[ 私は全然ちゃんとなんかしてないんだけど。 向井君の目に、ちゃんとして見えたなら、>>147 それはきっと、喜ぶべきことなんだろうと思う ]
(154) 2021/06/08(Tue) 16時頃
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―― 現在:3-10教室 ――
[ 柊君は今でも私を副会長って呼ぶ。>>142 もうとっくに後輩たちと代替わりして、 今の私は副会長じゃないのに。 そんなことを考えたのは、きっと現実逃避だった ]
ううん。何か、してたいから。
[ 座っていた方がって柊君は気を使ってくれた。>>151 さすがにこんな時まで気を使わせてしまった、なんて 落ち込んだりはしない。 でも、今は動いた方がずっと良かった。 じっと椅子に座っているなんて、 そっちの方がずっとしんどい。 何か没頭できることがある方が良かった。 カーテンを外すなんて、 没頭できるほどのことでもないし、 実際割とすぐに終わってしまったけど ]
(155) 2021/06/08(Tue) 16時頃
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[ 柊君がここに来たのは、 私が来る少し前だったみたい。 マネキンだっていう意見は一致したけど、 柊君もそれ以上のことは知らないみたいだった。>>152 と思ったけど ]
上?
[ 上って言われて、反射的に見上げそうになって、 閲覧注意って言葉に慌てて止める。 そういえば、このマネキン、上を見上げてる。 視線の先に何が……ってすごく気になるけど、 閲覧注意とか、お札とか聞いちゃうとすごく怖い ]
(156) 2021/06/08(Tue) 16時頃
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えええ……すごく気になるんだけど……。
[ 鳩羽君のラピュタほどじゃないけど、 柊君の言い方も気になる。 他の言い方があるかというと、 私も思いつかないんだけど。 でも、ホラーは正直得意じゃない。 すごく気になるけど、見ない方がいいんだろうな。 血を流してる九重さんのマネキンだけで十分だ ]
(157) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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これが、九重さんのマネキン、だとして、 九重さんはどこにいるのかな。
[ 朝、教室に集合した時会った九重さんは、 断じてマネキンなんかではなかった。九重さんだった。 なぜかマネキンが現れたけど、 人間の、本物の九重さんはどこ? 柊君、どこかで見かけた?なんて聞こうとした時だった ]
(158) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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樫樹君!?
[ 柊君が名前を読んだのと、>>153 ごめんという声に私が振り向いたのは>>133 多分同時だった。 ショッキングな光景だもの。ちらっと見ただけでは 人間かマネキンかなんて判別も できなかったかもしれない。 無理もないもないと思う。 柊君と顔を見合わせた ] 注意書きはあった方がいいかも。
[ そういう時に字を書いてくれるの、 樫樹君が適任なんだけどな。 走り去ってしまった書記の様子を思い浮かべた。 無理強いは良くない ]
(159) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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[ 廊下から、大した怪我じゃないって向井君の声がしたら 油断は大敵だよって声をかけておいた。>>148 消毒はするみたいだから、大丈夫だと思うけど ]
(160) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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柊君は優しいね。 よく気が付くし。
[ マネキンがカーテンに覆われる。 最初の数枚は血を吸ってしまったけど、 枚数を重ねれば血もほとんど見えなくなった ]
私、こんな状況目撃したら、 なんとかしなきゃとは思うけど、 何したらいいかわからなかったと思う。
[ とっさにカーテンを外そうなんて、きっと思えなかった。 マネキンをカーテンで覆って、 入口に注意喚起の貼り紙を思いつく柊君は、 よく気が付く人だ** ]
(161) 2021/06/08(Tue) 16時半頃
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[ 気を付けて、って私も言ったのに、 炭蔵君に足元に気を付けるように言われて、>>163 私、初めて気が付いた。 カッターナイフ、私危ないとは思ってたけど、 怖いとは全然思ってなかったなって。 そんなこと、わざわざ言うことでもないから、 ありがとうとだけ返事したけれども。
その時左手首は解放されてた。>>164 だって、私が失敗したと考えるようなこと、 私視点では起こってなかったもの ]
(243) 2021/06/08(Tue) 21時頃
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―― 現在:教室 ――
[ 柊君も、九重さんの所在を知らないようだった。 鳩羽君が探してる。>>224 そう聞いて、ようやく私にも、 遠くから何となく聞こえていた音が、 意味を持って聞き取れるようになった。 鳩羽君が九重さんを呼んでる。>>192
声は近づいたり遠のいたりしても途切れなくて、 ああ、まだ見つけられてないのか、と思った。 疲れはてた鳩羽君が教室に戻ってくることになるとは、 その時の私には知る由もないことだけど ]
(245) 2021/06/08(Tue) 21時頃
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[ 九重さん、のマネキンがカーテンで見えなくなった後、 柊君はポスターの裏を使って警告文を書いた。>>234 あの時みたいな丁寧な字じゃなくて>>1:301 伝わればいい、って感じで。 このカーテンの下にいるのが九重さんなら、 私はその表現に異議申し立てをするところだったけど、 ここにいるのはただのマネキンだ。 だから、何も言わなかった ]
怖がり?
[ 優しいね。 それは今朝、向井君にも言った言葉だった。>>0:313 あの時は自己チューなだけって返された。>>0:354 そして今、同じ言葉を柊君にかけたら、 怖がりって返ってくる ]
(246) 2021/06/08(Tue) 21時頃
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……うーん。
[ 人が嫌な気持ちでいると、息が詰まりそうになる。 人が上機嫌でいてくれるなら、その方が楽。>>236
柊君の説明に、私は首を傾げる ]
それは、優しさじゃないの? 他の人の機嫌が良ければ嬉しくて、 他の人が悲しければ苦しくなる。 だから、そうならないように気を使える。 そういうのを優しいって言うんじゃないの?
[ それが優しさでないのなら、 柊君の言う優しさって何だろう。 それも、他の人のこと思っての行動じゃない?>>235 その結果、自分自身の心も守れるなら、 そういうの、win-winっていうんじゃないのかな* ]
(247) 2021/06/08(Tue) 21時頃
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―― 現在:3-10教室 ――
[ 優しいっていうのは、 一般的には褒め言葉の部類に入るものだと思う。 少なくとも、私はその性質を好ましいものだと思って、 柊君に伝えたつもりだった。 だというのに、柊君はあまり納得していないというか、 作り物めいた笑みを浮かべた。>>263 私だって柊君ほど鋭くはないけど、 それくらい察せないほど鈍感でもないよ ]
気に障ることを言ったならごめんなさい。
[ 謝ったけれど、それはあくまでも 柊君の気分を害したかもしれないことについてだった。 発言を撤回するつもりはなかった。 一度口から出た言葉はもう消えないから、 軽々しく撤回なんかしちゃいけない ]
(275) 2021/06/08(Tue) 22時半頃
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[ 柊君から返ってきた言葉には少し棘があって、>>264 ちょっとまくし立てるような響きもあって、 ああ、多分この話題は、 柊君のどこかデリケートな部分に触れるのだろうな、と 思った ]
私的には? ……そうね、自分のことを気遣ってくれる人のことは 優しいと思う。 その気遣いが見当違いだったりしても、 気を使ってくれた事実は変わらない。
[ 気を使わせてしまった、と感じることは、 私にとっては恥じるべきことであり、 避けるべきものだけど、 その気持ちそのものは感謝すべきものだ ]
(276) 2021/06/08(Tue) 22時半頃
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その対象が私じゃなくても、誰かのこと気遣ってる人は、 優しいと思う。 他の人のことを気遣える人は、優しいよ。
柊君の気遣いで、他の誰かが気持ちよく過ごせるなら、 それは、素敵なことじゃないの?
[ そこまでは、良かった。 私は言葉を選びながらも、自分の思う優しさについて、 話せたと思う。 思いやりがあること。情が細やかなこと。 優しいというのは、そういうことのはず ]
(277) 2021/06/08(Tue) 22時半頃
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[ だけど、優しくないの定義を聞かれて、 私は少し、足が震えた。 そう言われて、 真っ先に思い浮かんだイメージがあったからだ。 駄目だ。駄目だ。 それは、尊敬し、感謝しなくちゃいけない対象のはずだ ]
やさしくない、ひと、は、 ……じぶんかって、で…… じぶんのおもいどおりにならないと気がすまなく、て…… [ 違う。私はあの人のことを、 そんな風に思ってるわけじゃない ]
(278) 2021/06/08(Tue) 22時半頃
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他の人に気を使わずに、 自分のことを気を使われる側だと思ってる、 自分の思い通りにならないことは、 全部他の人のせいにできる人のことだと思う。
[ 言い切った私は、多分ちょっと顔色が悪い。 でも、言い切ったし、撤回するつもりもなかった ]
(279) 2021/06/08(Tue) 22時半頃
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[ 始まりは、そうしないと生きてこれなかったから だったとしても。 もう染みついて柊君の一部になっているんじゃないの? 例え生きていくための処世術から始まったとしても、 それが自分の心の一部になっているなら、 それは優しさと呼んでもいいものだと思うけど、 違うのかな?* ]
(280) 2021/06/08(Tue) 22時半頃
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[ いつか、炭蔵君に話したことを思い出した。>>1:265
「これが正解だ」って押し付ける人もいる。 「これが正解なのになぜやらない」 「これが正解なのになぜできない」 そんな風に強要する人も、いる。
その話に、具体的なイメージなんて、ないはずだった。 でも違った。 あれは、私の父だった。 私は父から、強要されていると感じていた。 優しくないと思ってた。 自分勝手だと、思ってた。思ってたんだ。
だけどそう思ったとして、 どうして父に逆らうことができただろう?* ]
(295) 2021/06/08(Tue) 23時頃
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―― 現在:3-10教室 ――
[ 自分に自信があるなんて思われていたと知ったら>>307 多分、私は笑っちゃったと思う。 私はいつだって自信なんかなかった。 でもそうね、自信があるふりはしてたかもしれない。 だとすれば、私のふりも板についたってことかな。 私は、ただ誠実でありたかっただけだった。 出来のいいふりをしているだけの私に、 差し出せるものなんてそれしかないもの ]
(316) 2021/06/09(Wed) 00時頃
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[ 人に認められたくて、愛されたくて、 他人の顔色に怯えたことなんてないように見える? 私は今でもそのためにもがき続けてる ]
(317) 2021/06/09(Wed) 00時頃
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[ ムキになっていたのは、柊君のはずだったのに、 いつの間にかそれは私の方になっていたのかな。>>308 静かに頷かれて、私はちょっと冷静になった。 冷静なつもりだけど、必死だったかもしれない、って ]
……そうだった、のかな。
[ 私、怒ってたのかな。理不尽だって思ってたのかな。 わからない。それを認めることには勇気がいる。 だけど、一つだけわかることがある ]
(318) 2021/06/09(Wed) 00時頃
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別に比較して、“だから柊君は優しい”って 思ったわけじゃないよ。 他の人を不愉快にして喜ぶ人とか、 身勝手な人とか、優しくない人は色々いるけど、 そういう極端な人以外は優しいかというと、 そういうわけじゃないでしょう。
[ 極端じゃない優しくない例って何だろう。 無関心とか? ああ、そうだった。 私の父は、姉を見限るまで私に対して無関心だった。 やっぱり私の優しくない像は父に帰結する ]
(319) 2021/06/09(Wed) 00時頃
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……ふふ。でも、柊君のあんな顔、初めて見たかも。
[ 柊君は、いつも機嫌が良さそうな、 愛想のよい笑みを浮かべていた。 カーテンを外す時だって、 浮かない顔はしてたけど、私のことを気遣ってくれた。 文化祭の時に取り乱した顔を見たことはあったけど、 あんな怒りを秘めた顔を見たのは初めてだった。 それすらも、 制御されたものだったのかもしれないけれど>>264 ]
(320) 2021/06/09(Wed) 00時頃
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不愉快に思わせたのはごめんなさい。 不愉快にさせておいて言うことじゃないけど、 もっとそういう顔、出せばいいのに。 柊君のそんな顔見ても、 いつも笑ってなくっても、 誰も嫌な気持ちになったりなんかしないよ。
[ だから、柊君が息が詰まりそうになることなんて、 起こらないよ。>>236 少なくとも、このクラスの人たちは。 むしろ珍しいものが見れたって興味を持つんじゃない? 私はそう思うけどな* ]
(321) 2021/06/09(Wed) 00時頃
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……そろそろ、いこっか。 柊君、この部屋のこと色々考えてくれてありがとう。
[ 柊君のその行動が、 たとえ柊君の言うように、 怖がりがゆえのものだとしても>>235 私が助かったのは事実だもの。 私には思いつかなかったことばかりなんだから。>>161 だからお礼を言うのは当然で、 こればっかりはきちんと受け取ってもらいたいと思う。
代わりと言っては何だけど、 休憩所に毛布を運んでおいたお礼は 素直に受け取ってもいいよ?** ]
(341) 2021/06/09(Wed) 00時半頃
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―― 現在:3-10教室 ――
[ 私が頑固で、>>396 あんなに言い募って、 あんなにわかってもらおうとしたのは。 柊君に自分のことを優しいって認めさせようとしたのは。 きっとそれは、私の中にある、 打算じみた感情だったのだろうと思う。
柊君が自分の優しさを 打算からのものだと思ってるなんて知らない。 だけど、打算で行動する人間の最たるものは、 きっと私だと思う。
出来のいい人間のふりをするために、 できることを探してばかり。 床の掃除をして、毛布を運んで、 これ見よがしに頼りになる優等生を演じようとしてる。 私なんて、全然頼りにならないのに。 頑張っても頑張っても、目指すものには届かないのに ]
(484) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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[ 他の人に機嫌よく過ごしてもらうための気遣いが 優しさでないのなら、 私のこの行動はどうなるの? 浅ましくて、醜い、自分を取り繕うためだけの努力。 それに名をつけるとしたら、 きっと、薄っぺらな見栄というのだろう ]
(485) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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[ そんな私のことを、 きっとまたデリケートな場所に触れたせいで、 柊君の眉を下げさせた私のことを、>>396 柊君はいい子と言うから笑ってしまう。>>397 私はこんなに浅ましいのに ]
私は、いい子じゃないよ。 でもそうか、「誰も」はちょっと分母が広すぎたかな。 「このクラスの人たちは」くらいにしとく?
[ 「優しい」と言われて否定する柊君に、 「いい子」と言われて否定する私。 お互い否定してばっかりだなって、 私はやっぱりちょっと笑っちゃう ]
(486) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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[ いつも頑張ってる。>>398 その言葉も、否定すべきものだった。 私のしていることは、 本来なら努力などいらないはずのことだから。 出来のいい人間なら、努力なんかしなくても、 息をするより自然にできるはずのことだから。
でも、出来のいい人間のふりをしているだけの私は、 頑張らないと、できなくて。 そっか、やっぱり頑張ってるの、バレちゃってるかー。 ……なんだか、そんな気持ち ]
(487) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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[ 続く言葉の返答には、少し迷った。 だけど、柊君のデリケートな部分に触れたのなら、 私のことにも触れないとフェアじゃない気がした ]
……そうだね。 そんなこと言われたら、 ちょっと途方に暮れるかもしれない。 でも多分その理由は、 柊君の想像してるような理由じゃない。
[ 今までずっとそんな風に生きてきたから、 どうしたらいいのか戸惑う。 そんな理由じゃなかった。 そんな理由なら良かったな ]
(488) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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私がそんなことを言われる日が来るとすれば、 それは私が見限られて、捨てられたってことだから、 見放された後、 どうやって生きてけばいいのかわからない、かな。
[ だって、そうだもの。 見限られるその日まで、きっと私は努力を強いられる。 頑張らなくていいなんて、そんな言葉をもらえる日が 来るわけがない。 今でも私は、求められた場所に遥か届かないのだもの ]
(491) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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[ ああ、少ししゃべりすぎたかもしれない。 でもここまで来たら今更かな。 だから、私は柊君の私は優しいっていう指摘に>>400 苦く笑って首を横に振る ]
私はね、そういう風にしなきゃいけないの。 頑張って、親切にして、みんなのことを気にかけて、 力になろうとするような人間であることを、 求められてるの。
[ 言ってから、なんかこの言い方だと、 すごく自意識過剰みたいに聞こえる?って気づく。 だから、言い直した ]
(493) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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……命令されてるの。 「優しくない人」に。
[ これ、大した愚痴だと思うんだけど、>>401 親近感湧いたかな? ドン引きされるだけのような気がしちゃうな ]
(496) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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だからね、自分のためであっても、 他の人が機嫌よくしてると気が楽っていう柊君、 いいと思うよ。 私はね、他の人のために頑張らないと、 捨てられちゃうかもって思いながら頑張ってるんだもん。 ね?ヒドいでしょ?
[ ふふって笑った。笑わないと話せないよこんなこと。 それから、はい、この話おしまい!って。 いつぞやの鳩羽君みたいに、 今度こそ上手に空気変えられたかな。
最後はお互い笑って10組から出られたから、>>402 多分それで良かった* ]
(497) 2021/06/09(Wed) 18時半頃
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―― 現在:3-9教室 ――
[ そうして、私は一つ隣の自分のクラスに戻ってきた。 教室にいた面々に、ただいまって声をかけながら、 真っすぐに向かったのは黒板。 チョークを手に取る。
・休憩所に体育のマットと毛布が運んであります ・女子は保健室を使わせてもらえると助かります
毛布を運んだお礼を言ってもらったけど、>>402 マットを運ぶ方が絶対大変だった。>>105 私って本当ヒドい。 チョークを置いて、指先を払いながら、 黒板に書かれた連絡事項を眺めて、 綿見さんの作ったクレープ、>>254 私も食べていいのかなとか考えた ]
(509) 2021/06/09(Wed) 20時頃
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[ それから、 あ、そうだった。教室を出る時に書いた伝言 消しておかなきゃって思って、それに気づく。 私の伝言の横に書かれた、芽衣からの返事。>>350 思わず目を丸くして、芽衣の方に振り返った ]
昼過ぎにお弁当は食べたよ。 晩ごはんは忘れてた。
[ 廊下を拭いたり泊まる段取りをしたりする合間に、 お弁当を食べた。 私がいつもお弁当を持ってくること、芽衣は知ってる。 今日ももちろん例外ではなく、私は母の作ってくれた お弁当を持参していた。 でもそうだった、泊まる段取りをしてる途中で、 あんな騒ぎが起こって、 晩ごはんのことすっかり忘れてた。 家では食べられないようなジャンクなもの、 食べるチャンスだったかもしれなかったね* ]
(510) 2021/06/09(Wed) 20時頃
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―― 回想:文化祭打ち上げ ――
[ クラスの様子が見れて楽しかった。>>480 その言葉には、きっと私への配慮もあったと思う。 でも「その中に自分がいないことは寂しくなかった?」 なんて聞くのは無粋にもほどがあるし なにより無神経すぎる。 だから、私はその言葉をありがたく受け取って、笑った ]
ありがとう。 だったら嬉しい。
[ これでも、文化祭広報が始まった直後に比べたら、 写真の腕もあげたんだよ、とか。 客引き3人組の写真なかなか良かったでしょ?>>1:166 あれ、向井君も入ってるバージョンを グルチャに送ったけど見た?とか。 そんな話をしてたからかな。 私があまり写ってないことに 気づかれちゃったのかも>>481 ]
(540) 2021/06/09(Wed) 21時半頃
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[ 私はいいよって言いかけて、気が変わった。 文化祭にほとんど参加できなかった樫樹君。 準備期間はともかく、文化祭当日に写った写真は、 きっと少ない。 だったら ]
一緒に写ってくれる?
[ 文化祭当日の、樫樹君の写った写真。 それが一枚増えるなら、いいかなって* ]
(541) 2021/06/09(Wed) 21時半頃
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[ それは、私にとって死に近づくことじゃなくて、 むしろ、生きていくために必要なことだった ]
(542) 2021/06/09(Wed) 22時頃
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―― 少し先の話:真夜中 ――
[ 正直、泊まることになるのは予想外だった。 家に帰ってからにしようと思ってたのに、 予定が狂っちゃった。 みんなが寝静まった夜更け、 私はそっとベッドから抜け出す。 物音を立てないようにしたつもりだけど、 もしも誰かに気づかれてしまったら、 ちょっとお手洗いに入ってくるって囁いた ]
(543) 2021/06/09(Wed) 22時頃
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[ 廊下に出たら、カッターナイフが嫌でも目に入る。 でも、床に落ちているものを使うのは やっぱり抵抗があったから、私は購買に向かった。 私は上履きの底の強度を信用してるけど、 あまり物音を立てないように、 極力カッターナイフを踏まないように床を選んで ]
(544) 2021/06/09(Wed) 22時頃
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[ 最初からそのつもりだったから、 ちゃんと制服のポケットに財布は入れてあった。 目当てのものを手にレジに向かうと 買ったもののメモやお金がカウンターに置かれていた。 さすがにメモは残せなくて、 私は小銭だけ追加する。 ここはどうやら現実じゃないみたいだから、 お金を払う必要があるのかは、 正直もうよくわからなかったけど、 番代さんに万引きは良くないと言っておいて、 支払わないわけにもいかないでしょう ]
(545) 2021/06/09(Wed) 22時頃
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[ 購買の近くの空き教室に入って、明かりをつける。 ドアはもちろんきちんとしめた。 椅子に座って、左袖を少し捲る。 私、死ぬつもりなんかない。 むしろ、生きていくために必要なの。 だから、私の手首に刻まれているのは、 手首の皺みたいな線。 3年分のそれは、皺にしてはだいぶ数が多いけど。 これでも、あまり増えないようにしてるんだけどな。 同じ線をなぞるように気を付ける、とか。
カッターナイフの刃を出して、 いつものように手首に滑らせた* ]
(546) 2021/06/09(Wed) 22時頃
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―― 少し前:3-10教室 ――
[ どこかこちらを揶揄するようだった柊君の顔が>>548 神妙な顔に変わっていく。>>551 だから私、やっぱりドン引きさせちゃったなって思った。 思わず左手首に手が伸びかけて、 だけど、違ってた ]
いっしょ?
[ 今度はこちらがオウム返し。>>548 ドン引き案件だと思ったのに。 まさか共感されるだなんて思ってなかった ]
(605) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[ 見限られたくなくて、 捨てられるのが怖くて、 そうしないと生きていけない。>>552 柊君の言葉は、私には心当たりがありすぎる ]
一緒だね。
[ 一緒の私たちは、多分同じ種類の笑みを浮かべてた。 私たちは、同じだと思った。 ただ、求められていたものの種類がちょっと違っただけ ]
早く、大人になりたいね。 大人になったら、見限られたって捨てられたって、 自分で別の場所を見つけて生きていけるかもしれない。
[ 求められているのが絶対に達成不可能な目標でも、 いくら理不尽だって思っても、 今の私には、他に生きていける場所がない ]
(606) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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……じゃあ、柊君も 自分のこと「悪い子」なんて言わないでよ。
[ ヒドいって自分のことを笑った私に、 柊君は必死なだけだって言葉をくれたから、>>553 私は柊君の言葉の方を否定させてもらうよ>>552 ]
約束する。私は、ありのままの柊君を嫌わない。
[ 私の感情に、私の約束に、 どれだけ意味があるかなんて私にはわからない。 柊君にとっては、 あってもなくても変わらないかもしれない。
それでも、私は約束するよ。 きっと、柊君のためじゃなく、私自身のために。 だって私たちの背負うものはきっと一緒だったから* ]
(607) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[ ただ、一つだけ違うとすれば、 柊君は求められた人間らしく振舞うことができたけど、 私は要求に追いつけなかった。 スペックが足りてなかった。 それだけ、って言ってしまえばそれまでだけど、 その差って、どうなのかなあ……?* ]
(617) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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