31 私を■したあなたたちへ
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ボクのことを知っている。>>196
残念ながら、こちらの手札は、 相手の苗字と対象を称する一文しかない。 頷くには烏滸がましいくらい、僅かな量。
ただ、負け犬と。 続く自嘲を否定するに十分な程度でもある。
つまらない。 剥き出しの敵意と共に吐き捨てられれば 思わず驚いて、視線を向けてしまった。
(206) 2023/11/19(Sun) 22時頃
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更にくすりと、吹き出してしまえば、 相手の苛立ちを増長させただろうか。
「 うん。本当にそうなんだよ。 どうも過分な評価をされがちなんだけど。
俺はつまらない話しかできないんだ。 」
嘲るつもりはなかった。むしろその逆で。 向けられたそれが、 あまりにも正しい評価だったから。>>1:241 咄嗟に喜色を含んでしまった。
そんな調子だから、きっとこの先も。 俺は彼女を怒らせることしかできないだろう。 それを承知で、言葉を続ける。
(207) 2023/11/19(Sun) 22時頃
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「 そうだね。君の言う通り。 俺は薄情な彼氏だから。
彼女の死に嘆き悲しむことも。 犯人を憎むこともしなかったよ。 」
煙崎るくあの死、以来。 初めて他者に託す本音は、
(208) 2023/11/19(Sun) 22時頃
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淡々と響く声が、彼女の鼓膜を どんな音で揺らしたかはわからないが。
「 君は、俺ができないことをしてくれた。 」
その言葉は、紛れもない称賛だった。
…… うらやましいと。 羨望を帯びた瞳が揺れる。 そのまま、黒須の姿を真っすぐに映すと。
(209) 2023/11/19(Sun) 22時頃
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「 ありがとう。黒須さん。 …… そっか。
煙崎さんは、 こんなにも愛されていたんだな。 」
二度、三度、瞬いた後。 男は花弁を散らすように、美しく笑った。**
(210) 2023/11/19(Sun) 22時頃
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――地下研究室
[>>181 秘密。 さて、るくあの名を使ってここへ呼びつけた。 それ以外に何か持ち合わせていただろうか。 考える間にも卯木の話は続く。]
臆面もなくなぁ。 そういうのは小っ恥ずかしくなるタチなんだ。
あァ、……まあ、 確かにあったんだろうさ。
[愛という単語は口に出さなかいが、大切な妹だった。 しかし、今、己がやっていることは るくあを思ってのことではない。 ただの復讐行為だ、それは理解している。]
(211) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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いいね、健全だ。 揶揄してるんじゃないぜ。 ありがたいと思ってる。
[>>186 男とるくあの関わりを聞いて、相槌を打つ。 己の覚えている限り、 るくあは以前は洋菓子の類を好んでいた。 いつの間にか嗜好が、渋めの茶や和菓子に 移っていったのは味覚の他に、その場所自体を 好んでいたからではないかと思えたからだ。]
(212) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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だから、罪滅ぼしなんて考えなくていいさ。 あんたが殺した張本人てワケじゃないならな。
[恐らく違うのだろう。 これはただの直観――あるいは少しばかり願望の入った に過ぎない。]
(213) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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[仮眠室の中で、卯木はノートを捲っていた。>>188 然程意味深いものと思っていなかったため、 暫くの間は見るともなく眺めて。
しかし、やがて男の様子が強張ったものに なっていることに気付く。 こちらの呼びかけにも反応しないため、 歩み寄ると、]
……おい、何が。
[男の言い回しは含む不審な響き。>>190 丁度足元の床に落とされたノートを拾い上げた。]
(214) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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これは何だ?
[己の知らない妹の像がそこにあった。]
(215) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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[ノートの内容だと、 まるでるくあが研究所の人間を 意のままに操っていたような記述だ。
表紙裏に書かれたサインは紛れもなく 己もよく知っている研究者の名と筆跡で、 優秀で所内でも評判の高い人物のものだった。]
戯れ言を……、
[一笑に付そうとするも、では何故いきなり 施設が閉鎖され、こんなテーマパークが出来たのか? という疑問が突きつけられる。]
(216) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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…………。 …………。
[そんな筈はない、口にしたつもりの言葉は 音に乗らなかった。**]
(217) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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灰占道士 煙は、メモを貼った。
2023/11/19(Sun) 22時半頃
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「…あら。」
テーマパークの一部を自動航行するようになっている遊覧船で一周りした頃、アポロに返信があったのを確認する。 船に乗っているだけだから他にすることはない。すぐに返信を返した。
(218) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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「これでいいかな。」
メッセージを送信して、しまいこむ。 船は乗船場に着くから、そこで上がらせてもらおう。
彼女を待ちながら、やっぱり電子タバコをふかさせてもらうことにした。 これだって、結婚するまでどころか、今だっていつまで吸えるかわかったものではない*
(219) 2023/11/19(Sun) 22時半頃
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質問いっぱいだね、ふふ。
[茶化すでもなく、少し笑って。]
そうだね。……全て内緒じゃつまらないだろうから、答えるけど。 僕は、死ぬならばせめて両親に認識されたい。 もっとも、どこにいるのか一切知らないんだけどねぇ…。
[ごく簡単な答えだった。肩を竦め乍ら続ける。]
ファンの子たちのため……なんてのも思いついたけど、……違うな。僕はみんなの愛を享受しきれてないんだなぁ……。そういう意味では、るくあちゃんは”特別なファン”だったのかもしれない。
まあ、出来るだけ死なずに帰れる方法を探してみるよ。 船か飛行機……。このゴンドラじゃ海は無理だろうな〜。
(220) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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僕も質問していい? 雛子ちゃんが色々聞いてきてるのは、ただの興味本位?
それともやっぱり無事に帰りたいから、かな。
[殺人犯と話しているとは思えない雛子ちゃんの落ち着きっぷりは、逆に面白いな、なんて考えつつ。]*
(221) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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[丁度ホテルを出たところだった。 アポロで遊覧船の位置を調べ、 そちらの方角へと歩き出す。
ほどなくして、自己紹介に添付されていた写真と 同じ姿の女性を乗船場に見つけ歩みを速める。]
菊水さんですね。 何度目か、になってしまいますけれど 初めまして。
[洗練された雰囲気の女性だ。 写真通りで、少し緊張してしまう。 手を揃えて、一礼した。*]
(222) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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── 現在:地下研究所 ──
たしかに、面と向かって本人に愛してるとかいうの 気恥ずかしいよね。 でも、こういう大事なことは、 ちゃんと言葉にしないと きっと相手には伝わらないんだろうね。
[ そういえば、自分も従弟が事故死する前に、 きちんと彼に愛を伝えたことは 数えるほどしかなかったな、と 卯木は思い返し、 こういうところがダメだったんだろうと反省しつつ。 ]
(223) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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さすがに、女子高生と どうこうなる気もなかったしね。 下手したら、警察のご厄介になることだし。
[ 健全、という言葉を>>212 男女関係のそれと思っての返しで、 冗談めかして加えつつも、
そもそも恋愛偏差値が底辺の卯木に>>1:180>>1:181 こういう心配は無用だよなと、 内心苦笑を零しながらも。
卯木が犯人である可能性を示唆されれば、>>213 ぱちくりと目を瞬かせながら、 ]
(224) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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僕がるくあさんを殺したなら、 「こんな殺人犯のいる島にいられるか、 僕は部屋に帰る!」 とかいって、ホテルの部屋に引きこもるよ。 だって、その方が他人と話したりして ボロ出さずに済みそうじゃない?
[ 冗談を言っているように聞こえるかもしれないが、 卯木本人としては、冗談交じりとはいえ 本気の意見である。 ]
(225) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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でも、ありがとう。 お兄さんである灰羅さんがそう言うなら、 るくあさんにとっての僕って 役立たずだったのかなって思わずに済みそう。
[ 実際はそんな簡単な話ではなく、 きっとこれからも何度も思い出して、 後悔する日は来るのかもしれなけれど、
現時点で心がどこか軽くなったのは本当だから、 卯木は礼を言うと、ふわりと微笑んだ。 ]
(226) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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[ 仮眠室にて、 卯木がなかば呆然としている間に ノートを拾いあげられ、>>214
その後、煙崎灰羅が見せた反応は、>>215>>216>>217 とても演技とは思えない。 きっと彼にとっても予想外の内容だったのだろうと 想像しつつ、 ]
(227) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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えっと、僕も理解が追い付いていない状態だけど、 灰羅さんも混乱しているなら、 一旦地上に戻る?
[ 動揺しているように見受けられる彼を気遣って、 そう提案してみたが、どう返答があっただろうか。
ちなみに、卯木は混乱具合がひどく、 これ以上、地下を捜索する気分には 正直なれなかったのだが。 ]*
(228) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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遊覧船の乗船場で待っていれば、程なくして彼女がやってくる。 タバコを収めて立ち上がり、出迎えた。
「初めまして、密星さん。菊水です。 養護教諭とお伺いしていました。 だからお話したい気持ちもあったんですけれどね。
ひとまず乗りましょうか? 自動運転らしいですけど、観覧車よりは安定してますよ。」
安全という意味でも上だろう。少なくとも密室にはならない。 自分たち以外に誰もいない船の中に彼女を誘い、内向きの座席に向かい合うように促し腰掛けた。
(229) 2023/11/19(Sun) 23時頃
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ご両親に……。
[どこにいるのかは一切知らないこと。ファンの子達のこと。 帰る方法>>220には、小さく頷いて。]
犯人の人に、理由を聞くのも、 どうするつもりか聞くのも、普通だと思ったんですけど。 ……何か、変だったでしょうか。
[大抵の人はそうするんじゃないかと思ったけれど、私が聞きすぎなのか、変な所があったかのかな?と思って。]
……どちらも違います。
[緩く瞼を閉じて、また、持ち上げると。]
(230) 2023/11/19(Sun) 23時半頃
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綺羅さんが犯人だって知って。 犯人が死なないと出られない、なら。 私は、単純に、綺羅さんが死ぬのは嫌だなって思いました。
私が代わりになるのは後味が悪いって言っていたから、 それなら、ここから出る方法を探すのを、手伝おうかとも。
……でも、それには、まずは、 綺羅さんが、何を思って、どうしたいと思っているのか、 話を聞きたいと思ったから。
[これで答えになってますか?と、小さく首を傾げた。*]
(231) 2023/11/19(Sun) 23時半頃
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実は昨日のお昼頃だったかしら、 私も、菊水さんへメッセージをしたつもりだったんです。 でも、電子の海に飲まれてしまったのかも。
[特段気にしている風でもなく、笑う。 一瞬電波が飛んで、 送信エラーが起きるようなことは 通常の端末でも時折あるようだから。]
養護教諭だから……ですの?? そうだったんですか。 でもそう聞くと、ますます自信がなくなりますわ。
(232) 2023/11/19(Sun) 23時半頃
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……ええ、では失礼して。
[遊園地内のこうした乗り物は初めてだが、 島に来るまでの船を思えばとても安心だ。 密室の不安までは正直思い至ってはいなかったが 乗り物の選択に彼女の気遣いは感じ取っている。 LV1の乗り物としても相応しいかもしれない、と 内心菊水さんに感謝しながら、対面の席に腰掛けた。]
船よりもゆったりな乗り物も、味なものですね。 それで、ご相談って?
[首を傾げ、促した。*]
(233) 2023/11/19(Sun) 23時半頃
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座ってから、密星さんを改めて見る。 先ほどの一礼でも感じたが、仕草が上品というか優美だ。 育ちがいいのだろうか。
「もしかして私より年下だったりしますか? あ、いえ。煙崎さんと一緒に喫茶店に行っていたと そこのマスターさん…卯木さんからお聞きしたものですから。」
私の知らないことを、彼女は知っているのだろう。
「高校の頃の彼女、どうでした? 恥ずかしながら私も、彼女の印象はあまり強くなかったもので…」
そんな話から入り、本題についてどう切り出すべきか考える。 彼女との場が少しは温まってから、それがいいかな*
(234) 2023/11/19(Sun) 23時半頃
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「何を笑ってるんだ。そんな目で見るな。」
勝者の余裕に浸るでもなく、突然に逆恨みをぶつけられても、彼は反発して来ないどころか嬉しそうに認めるのだ。ただ憎いだけだった相手が、分からなくなる。いっそ憐れまれた方がまだ良かった。何故、自分が焦がれてやまない立ち位置を奪った相手に、羨望の眼差しを向けられねばならないのか。 感謝のことば(>>210)に、思考はますます混迷を極め、相手が喋っているのが日本語でないような錯覚を覚える。到底受け入れられず、ショッキングピンクに輝く髪を駄々っ子のように振って、腹の底から低く唸った。
「それでも、るくあはボクでなくキミを選んだ。
話がつまらなかろうが、薄情だろうが、 ボクよりキミの方が良かったんだ!」
所詮世の中顔なのか、と口走りかけて、ふいに脳内にるくあの声が響く。滔々と澱み無く流れる台詞に愛情は感じられない、そう彼の告解(>>208)と同じ温度で。
『あなたは、何も知らない。』(>>0:175)
死刑宣告に等しい、関係を断ち切り拒絶する彼女に、絶望の淵に叩き落された。
(235) 2023/11/19(Sun) 23時半頃
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