18 星間回遊オテル・デカダン
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[去り際、ロバートの立った尾が撫でられて揺れる>>190のを見て、くすりと笑う。]
彼、騎士のようでしょう? PJのことをずっと守っているのです。
[お似合いの二人ですよね、と去ってゆく後ろ姿から視線をミツボシへ。]
ミツボシは、軍属の方なのですか?
[会話の内容から彼女が戦う人であるらしいことはなんとなく察していたが。普段自分の星を守る立場の者であるならば、先の答えも自然なように思えた。]
わたくしは組織を束ねる立場にはありますが、戦う力は持ちません。 多少の相手には負けない、と言い切れるあなたの強さへの自負、とても頼もしいと思います。 よろしければわたくしにもお仕事の話、差し支えない範囲でお聞かせいただけないでしょうか?
[《銀光教団》には、今現在軍隊とのつながりはない。アルクビエレは、宗教と軍隊――ひいては国家権力というものは、結びつき方によってはよい結果を齎さないと考えていた。 けれど、知り合いがいる程度ならば、デメリットにはならないだろう。そう考えて、話を聞いてみたいと思った。]
(200) 2022/05/05(Thu) 23時半頃
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儺遣 沙羅は、メモを貼った。
2022/05/05(Thu) 23時半頃
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─ 廊下→医務室前の待合スペース ─
[>>193PJに合わせて、ロバートも隣の椅子に上って、おすわりのポーズになる。こうすると、いつもよりずっと顔が近い。ロバートは彼女をじっと見て、その言葉に耳を傾けた。時々、物音がすると耳がピクリとそちらを向いてはいたが。 いつもよりもちょっと大げさなPJの様子に、気を使ってくれていることに気がつく。嬉しくて、元気になったことを知らせたくて、にこやかに笑う。]
PJ君のお役に立てて、光栄だよ。 『そのままだと』を、どうにかするには、時間がかかるから。 すぐに結果が欲しい時は、向かないけどね。
[ロバートよりも、おそらくずっと寿命の長い彼女は、関係のない事なのかもしれないな。と思う。]
(201) 2022/05/05(Thu) 23時半頃
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アルクビエレは、ミツボシに話しかけながら、巡回スタッフからグラスをもらって、一口二口……*
2022/05/05(Thu) 23時半頃
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─ 医務室 ─
いいえ。あたしはあなたの寛ぐための時間を お邪魔して申し訳なく思っているところ。 待たせて申し訳ないなんて、光栄だけれど あたしには思わなくて結構よ。
[付き添いの方々へ、それぞれ視線をやる。 考えるのに時間はかけなかった。>>198]
(202) 2022/05/05(Thu) 23時半頃
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さっきのニュースをお聞きになって? 不調のでた方から、一応検査をしようと思ったの。
[単刀直入に話すことにした。]
きっと、今医療ロボットたちが あなたの検査をしたと思うのだけれど。 その検査に使用したあなたの体の一部や あなたをスキャンした画像を、 さらに、もうすこし、調べさせて頂けないかしら?
勿論、任意なのだけれど。
[断られた場合は、本当に“しない”を選ぶことも考慮にいれたほうがいいだろう。PJはそう思いながら、少女の前で首を傾げた。]
(203) 2022/05/05(Thu) 23時半頃
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― 客室 ―
[企画中は、いつも客室に宿泊させてもらっている。 ランクの低い狭い部屋(とはいってもAクラスのホテル並はある)なのは、こちらからの申し出だ。広すぎると落ち着かない。]
えぇーと、あ、ハロさんね。 仕入れ先は……まぁ、ちと無理だけど、っと。
[なにせ、グループで卸売業者から特別に一括仕入れしているので、一般にはあまり出回らない。とりあえず、似たようなもので良ければ、大型のスーパーで手に入ることは記しておいた。]
ついでに……と。
[ツボイチグループ、水と好みの野菜を加えて煮込むだけの冷凍もつ煮込みパックや、特製唐揚げ粉、ドレッシングなどの通販も行っている。 しっかりと宣伝させていただかなくては。]
(204) 2022/05/05(Thu) 23時半頃
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[そういえば、明日は営業できるのだろうか。 薬剤散布があるのなら、控えたほうがいいのか。それとも散布後なら開けられるのか。]
ちと聞いてくるかね。
[どうせ部屋にいても暇だ。 喉も乾いたし、ロビーに行くついでに、一杯やるのもありかもしれない。]
(205) 2022/05/06(Fri) 00時頃
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― 医務室前の待合スペース→医務室へ ―
[>>181>>182 片耳がピクリと動いて、医務室のドアの方を向く。ロバートには医務室での会話が聞こえた。しっぽが不機嫌そうにゆっくり揺れたが、特に何も言わなかった。 ほんの一瞬、昔のことを思い出した。最初の飼い主と、砕けた骨の痛みを。 今は、PJを守らないといけない、と思い直す。ここに来た目的も。
医務室に入ったPJの後に続こうとして、ロバートは足を止める。少女の挨拶>>198が聞こえた。さきほどドアの向こうから聞こえたのと同じ声で。ロバートは入り口付近で立ち止まると、悲しそうな顔をそちらに向けた。じっとしていた。]
(206) 2022/05/06(Fri) 00時頃
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― 医務室 ―
私の……?
[矢張り不思議そうに、首を傾げるも。 切り出された本題>>203を聞けば、納得した様に、小さく頷いて。]
……、……ええ。 危険生物、というのが如何いう物か、私は知らないけれど。 皆さんが此れだけ、話題に為て居るのだもの。屹度、大変な物なのね。
[其の申し出を承けて、考える。 自分に異常が無い事が保証される事に、何れ程の価値が有るだろう?]
(207) 2022/05/06(Fri) 00時頃
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……私の、体調不良自体は。理由の判って居る事だから。 私自身、其れを不安に思っては、居ないのだけれど。 他の方が、其の方が安心なら。私は、拒みもしないわ。
[自ら進んで、して欲しい、とは思わないが。 例えば友人が、是非そうなさいと言うのなら、従うのだろう。]
でも……若し其れが、限られた人にしか、出来ない事なら。 貴方が無事で居て欲しいと願う人を、優先して欲しいと、思うわ。 若し何か在るなら、早くに見附けられた方が、良いのでしょうし。
[病と混同して居る節は在る物の。 例えば自分に、其の力が在るなら。支えて呉れた『彼女』を選んだだろうと、思ったから。 御節介では在ろうけれど、心から、然う言った。]
(208) 2022/05/06(Fri) 00時頃
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地下軌道 エフは、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 00時半頃
儺遣 沙羅は、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 00時半頃
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─ 医務室 ─
ええ、あなたの。
[自分のことだと“咄嗟には捉えない”という仕草には見覚えがあった。すなわち、PJが自分の考えだけで考えるとするならば………『自分は大事ではない、無関係だ』……と、経緯上思ってきた、ということではなかろうか?>>207]
危険生物がどういうものか、ご存じないなら……
もし、あなたが知りたいと思うなら。 あたしが直に、知っている事を教えるわ。 あなたがそういう時間の使い方をしたいと願えば あたしは絶対に応じる。
理由はひとつよ。 検査に応じてくれる時、 あなたが自分がされた事を 知る権利があると思うからだわ。
そしてそれって、あたしが同じ状況なら ちゃんと説明されたいって、思うからよ。
(209) 2022/05/06(Fri) 00時半頃
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あら、体調不良の理由は分かっているのね。 それは……まずは本当に、よかったわ。 原因がわかることが、第一歩だから。 あとは“なにをするか”だもの。
宇宙は広いわね。
[きっと、生きられれば治癒の方法はある。 そう頷いた。 それから、その目をつむった少女が、こちらの心配をするように『権利は他のひとにあげて』と頼むことに驚いた。ややあって、PJはその優しさに感じ入った。ため息をついてから、笑う。]
……多分それについては…… あなたとあたしの“危険生物”の捉え方や 無事でいて欲しい時の、捉え方が違うの。
(210) 2022/05/06(Fri) 00時半頃
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― 医務室 ―
教えて呉れるなら、是非。 怖い話は、不慣れだけれど。御伽噺では、世界は動いて居ないのでしょう?
"神の加護"が在るなんて言われて居ても、其の"声"なんて、結局一度も、聞いたことは無いし。
[セジの子には、然う云う伝承も在るとは、言われているらしいけれど。 少女自身は此れ迄、一度も然う云う経験はして居なかった。 ――或いは、"その条件を満たしたことが無い"のかも知れないが。
今は、御伽噺でも伝承でも無く、本当の事を知りたい。此れ迄は教えて貰えなかった、多くの事を。 その望みに、絶対に応じる、と力強く言い切って呉れる事>>209を、嬉しく思う。]
ふふ。された事を、知る権利が有る、なんて。 考えた事、無かったわ。
[続けて提示された理由に、くすくす。と笑う。 言葉の示す内容を考えれば、笑うのは不釣り合いかも知れないが――其れでも、笑いたい気持ちだったのだ。]
(211) 2022/05/06(Fri) 02時頃
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理由は解って居ても、仕組みは解って居ないのだけれど……。 でも、然うね。宇宙は、広いのかも知れないわ。 届く範囲に、……奇跡は、在るかしら。
[後半はぽつりと、呟くように。余り期待を寄せ過ぎては、障るから。 其れでも胸の奥に、此れ迄と違う何かが、芽生えつつ在る。 生まれて初めて、『自分』を見留めてくれる人達と会って、話して。少しずつ、何かは変わり始めている。]
捉え方が、違う……
[然う>>210言われれば。己の無知は明白で在るので、其れ故だろう、と考えた。 危険生物について、詳しく教えて貰えるなら。其れで屹度、判るだろう、とも。]
(212) 2022/05/06(Fri) 02時頃
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儺遣 沙羅は、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 02時頃
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― 医務室 ―
あら。では、教えるわ。 教えられるのは、……PJ。あたしの名前はPJというの。 教えられるのは、全宇宙の正しさではない。 PJの考えの範囲でのことよ。 別の人の考えの元では、きっと違う考えを話すでしょう。
なぜなら、この銀河のなかには たくさんの惑星と、たくさんの人がいるから。
まずは、おとぎ話で世界が動いているか否かだけど。 否定も肯定もできないくらい、世界は広い。
ただ、あなたが『疑念』をもって おとぎ話の世界を疑った時点で すこし、あなたの世界が広がったように、 あたしの見方では思うわね。
[まずは『おとぎ話』について沙羅の考え方なんててんで気にしていないような、心から本心の言葉を並べた。]
(213) 2022/05/06(Fri) 02時半頃
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因みに、あたしも神様は知らない。 あなたに神の加護があって、その声をきいたとして あたしは別段信じないし、特別とも思わない。
[医務室に増えた声は、つらつらとそう話す。]
あたしが神様に助けられたと感じたことがないからよ。 神様が人を助ける様子を、皆見たことがないから 自分が助けて貰えるように、人を助けて生きなさいと あたしは教わってきた。 PJの知る世界では別段、神は絶対じゃないわ。
[まずは、神についてまで。そう話した後……]
だから、あなたの身の周りに起きることは、 あなた自身も知るといいって、思うのよ。 全ては神様がきめた事じゃないとあたしは思っていて あたしや、あなたが決める事だと思うから。
(214) 2022/05/06(Fri) 02時半頃
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あなたの体の検査結果をまだ知らないわ。 だから、あなたの体について語るのは 傲慢かもしれないけれど。
星によって“生命の神秘”をどう解き明かすかは まちまちよ。
あたしのなかでは、病気を治すのは神の御業でなく 人間がが解決したい、助かりたいと思ったことが 思考の果てに結実した。知識のストーリーだわ。
……
だから。あなた次第では奇跡はあると思うし。 あたしがあなたの体に奇跡を望むことも出来る。
[惑星『時』でも、今は生む・育てることに免許が要る。かつては新生児の寿命を換金できてしまったからだ。PJは沙羅の境遇をしらないが……沙羅のような境遇になり得た子供を大量の寿命に変換したのち、その文化は糾弾された。]
……さあ、ここまでが。 あなたと、私の、ほんの触りの概要ね。
(215) 2022/05/06(Fri) 02時半頃
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じゃあ。 次は、危険生物の捉え方の話をしましょう。
[その声は言った。医務室という場所で。 宇宙人の数だけ、眼球によって見るという捉え方があるとするならば、沙羅だけの見方で、PJの言葉とはそこに在る。]
(216) 2022/05/06(Fri) 03時頃
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危険生物によっては。
人の体に入ることがあるのよ。 極端にいうと、あなたが実は死んでいて、 既に危険生物になっていたっていう事すら、今は…… この船の全員について、あり得るわ。
“危険に曝す”のは その宿主だけではないの。
周りにも危害を及ぼす事があると あなたは知っていて?
たとえば、あなた自身が“感染”していたら 周りの人を傷つけてしまう事もある。 そんな話よ。
(217) 2022/05/06(Fri) 03時半頃
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だから、体調を壊したひとを気にかける。 発生源に近い位置にいた人を気にかける。 誰が死んで、その“痕跡があるか”を。 痕跡の発生から何日経ったかを、 何が近くにあったかを……気にかける。
[だからこの船がニュースで名をあげられたような気がしてならない。]
そういう、厳しい話になってくる。
あなた自身の体調不良と 危険生物による被害か判別がつかないから “危険”と、言葉通りに思っている。 そういう、至極、残酷な話だわ。
あなたは今、あたしにとっても、誰かにとっても。 誰かを傷つけるかもしれないし、 そうじゃないかもしれない。 そういう、恐ろしい他人よ。 当然、立場はあたしも同じだけれど。
(218) 2022/05/06(Fri) 03時半頃
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[そう聞いて、彼女が自分は調べられたくない!やっぱりあなたの近しい人から調べるべきだ!とと言う場合は?
そういう事実が残る。 そして、PJはその調べたくない、という気持ちを尊重して“何もしない”を選ぶことも吝かではなかった。
沙羅のすぐそばに、沙羅の行動一つで変わる出来事は、今や、存在していた。**]
(219) 2022/05/06(Fri) 03時半頃
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服飾商 PJは、メモを貼った。
2022/05/06(Fri) 03時半頃
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─ 医務室 ─
PJさん。 私は、サラ。
[告げられた名>>213を繰り返すと、自身の名を伝える。 そして其処からは、じっくりと話に耳を傾ける。 時に難しく、或いは境遇の前提が違い過ぎて、理解が及びきらず、応える言葉に至れない事も多かったが。 其れでも、真剣に耳を傾けた。真っ直ぐに自分に向けられて居ると感じたから、受け止めたかった。 自分からも、話した方が良いのかしらと、思いもしたけれど。それは、聞き終えて、望まれてから、と──染み付いた、受身の姿勢で。]
私が、決める事?
[話が其処>>214まで進んだ時、つい、然う口にした。 少女の此れ迄に於いて、全ての事は、神でも自分でも無く、他人が決める事で。 御伽噺は美しくとも作り事だと、少女が思ったのは、其れ故でも在った。 自分で決める事を、望まれた事は無かったのだ。]
(220) 2022/05/06(Fri) 03時半頃
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此の部屋での検査の結果は、此処に在るわ。 大した事は、判らないみたいだけれど。
[見ても構わない、と差し出すが、医務室での検査結果の紙面には、少女を戒める物の正体は書かれては居ない。 しかし其れは、病でも呪いでも無く、宇宙の何処かで編み出された、人為的な措置だ。 適した、特殊な『解き明かし方』で在れば、解決は出来るのだろうが──其処に至る迄『逃げ』続けるにも、別の助けが要る。 其処までの願いを持てる程、少女は自身の価値を信じられず。故に、態度を決めきれない。 あなた次第では、と云う言葉>>215の通りなのだろうに。其れを其れとは、未だ、解らない。]
(221) 2022/05/06(Fri) 03時半頃
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──え?
[語られた『危険生物』の例>>217は、無知な少女の想像等、遥かに越えていた。 身体の中に入り込み、自覚も無く死なせ、危険生物に変える。 其れから周りに、危害を及ぼす。 御伽噺のどんな怪物よりも恐ろしく、悍ましい。 其れは、現実に居る存在として、語られて居るのに。
少女はそっと、口元を抑えた。微かに震えて居る。 『まるで知らない』物に、恐怖心は覚えないが。 『半端に知って』しまえば。必要以上にも、恐れは募る。]
…………調べて、呉れる?
[震える声で、少女は小さく、然う口にする。]
其れで、本当に私が、其れに為っていたら、
(222) 2022/05/06(Fri) 04時頃
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[──為っていたら?
為っていたら、如何なるのだろう。如何したいだろう。望める事など在るだろうか。 無いのだろう、と思う。駆除製剤等も在るそうだし、一刻を争って駆除される。何より既に死んで居るなら、生きたい等と願うだけ滑稽だ。
どうせ、死ぬなら。何が為たいだろう。 此の船なんて滅びれば良い、と、一瞬だけ、此れ迄知らなかった様な黒い意志が沸き上がって。 けれど、周囲を見れば、忽ちに萎んでしまう。
少し前なら、屹度本気で思っていた。懐古趣味と退廃趣味に溢れた、莫迦みたいな船。乗って居るのも、『旦那様』や、自分を育てた者達と、大差無いと思って眺めて居た時なら。 今は──今はもう。其れを望むことも出来ない。]
……、……『旦那様』も、乗っていたら良かったのに……
[遣り場の無い感情は、絞り出すような、呻きにも似た言葉と。 閉じた侭の瞳の端から、一筋流れる涙と成って、零れ出た。]
(223) 2022/05/06(Fri) 04時頃
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[けれど此れは、『最悪』の想像でしか無い。 判断を出来ると云う人を目の前にして、その判断の前に、嘆く様な事ではない。
瞬間の感情の波が過ぎれば、然う思い直して。 零れた涙を、己の指でそっと払う。]
……御免なさい。 とても、怖い話、だったから。
[取り乱した非礼を詫びて。改めて、ゆっくりと頭を下げた。]
私が、疑わしいのなら。調べて。──お願い。 然うするべきだって、思うから。
[けれど、若し本当に、そんな事に為っていたなら。 『商品』の筈が、台無しに為っていたなら。 良い気味ね、と、思う位は、許されるだろう、と──内心では矢張り、然う思った。**]
(224) 2022/05/06(Fri) 04時頃
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─ 医務室 ─
[差し出された検査結果を見る。想像していたものとはかけ離れていた。もっと人為的な技術で、頭部に対して何かしらの意図をもって行われたものであるようだ。 だから、少し、生き物に落胆する。 一体何をしているのかと。 危険生物のセオリーとは違っていた。もっとも、その技術で頭部に危険生物を詰め込まれている……なんて可能性もPJはついつい想像してしまう位、危険生物を恐れていたので、沙羅のことを安全だと考えたわけではなかったが……]
(225) 2022/05/06(Fri) 04時頃
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ねえ、サラさん。
[教えて貰ったばかりの名を呼ぶ。]
あたしにとっては、これは あなたの事を心から知りたいと思った時 絶対に有用な書類だわ。
[沙羅のことを、彼女の体調を、調べてあげられるか否か。それについては勿論肯定を返す。ただ頷いただけだった。PJにとって、それは万人に当然渡してあげることが約束された権利だった。
そうしたら、沙羅は泣いていた。
PJは、そういう時に泣く人の事を、全く知らないわけではない。だって、惑星『時』には、たくさんの『寿命を売りたい』と願い、死を望む人がいるのだ。]
(226) 2022/05/06(Fri) 04時頃
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……昔の映画で。 ハンカチは人に貸す為に持つんだって きいたことがあるわ。
[本当に古い映画だった。 あまりにも懐古主義的すぎるのかもしれない。 その教えが、年若い彼女には嫌がられるかもしれないけれど。PJはハンカチを彼女に差し出す。断られても別段構わなかった。]
……
[……「旦那様も、乗っていたら良かったのに」
絞り出すような願いを、PJはきいた。 連れて来たロバートも聞いているだろうか。今、彼との『感性』はどのくらい、近しく居られているだろう。]
(227) 2022/05/06(Fri) 04時半頃
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……約束よ。 あなたの事を調べさせて貰うわね。
[この会話を聞く人が、どの程度いるだろう? 当人と、彼女の付き添いの誰かや、ロバートは耳にしていてもおかしくはない。
サラと名乗った少女の涙も、涙をぬぐいながら怖い話と口にしたことも、PJには春のつめたい雨でしょげている花のようにいじらしく感じられた。 明日、PJは調べた結果を得るだろう。]
(228) 2022/05/06(Fri) 04時半頃
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[沙羅について調べられる十分な素材を得た後、PJはロバートと自室へと戻っていった。
ロバートの約束によれば、お散歩デートは『部屋に鍵をかけるまで』だ。**]
(229) 2022/05/06(Fri) 04時半頃
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