27 【crush appleU〜誰の林檎が砕けたの?】
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―カフェ・こころ先輩と―
まさに風のようでしたね ……なれてるといいスね。
[田端先輩の心の一端だけでも、軽くできたろうか。 そうだといい、とこころに先輩うなづく>>158。
視線は一輪残った花と差し出すこころ先輩を往復して]
いいんスか? ……ありがとうございます。
[ここは夢。 田端先輩が残した心のかけらなら、持っていたい。 やがて、自分のやり残したことをするために立ち上がる。]
描きたいものがあって。 移動してもいいスか?
(176) 2023/08/03(Thu) 21時半頃
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―カフェを出て―
[こころ先輩と回廊を歩きながら、 目指す場所に辿り着く。]
ここ、最初に入って、びっくりしたんス。 素材と光の使い方がうまくて。
[しかしあの林檎がある場所だ。 "3人のうちの1人"であるこころ先輩を連れてくるべき場所ではなかったのかもしれないが、 相変わらずそういう配慮には疎く。
静かな時間が流れていたが、ラフに気づいて声を上げた先輩に驚いて顔を向けた]
……そっか、 先輩たちは、知ってる可能性があったんスね
[ふわりと笑った]
(177) 2023/08/03(Thu) 21時半頃
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―こころ先輩とエントランスで―
[少し前なら、姉に気づかれたら居心地悪げに微妙な顔をしたかもしれないけれど]
――嫌いじゃなかった。 だったんスけどね、ここで姉に会ったんスよ
[それは自分の見たい幻なんだろうけど]
ほんとは大好きだったのに、 ここで、いまさら……きちんと認められました
[自分はここを去るのだから、仁科にとっての慈悲の空間ではなかった。 でも、誰かの夢のおかげで、気持ちに折り合いがついた。
それは、その誰かにとって何の救いにもならないかもしれないけれど。]
(178) 2023/08/03(Thu) 22時頃
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髪は、姉が結ってくれました。 メイクは……田端先輩 あー 大人の。
[褒められると面映くて少し俯くけど、 お礼と、うれしいです、ってことと小さな声だけどちゃんと言えた。 ノリくんのおかげでもあるかな?]
――あ、こころ先輩も
[いくという彼女に、お元気で、と今言うのも何か違うから、ちょっと間迷ってから]
わたしはたぶんギリギリまで絵を描いてますから
また。
[現世に限定しない再会の言葉を**]
(179) 2023/08/03(Thu) 22時頃
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ー エントランス:仁科と ―
[残った花を手渡し、 促されるままエントランスへ。>>176 目に入った林檎に一瞬眉を寄せたものの とりとめなく仁科と話していたおかげで あまり深刻に考え込むには至らなかった。]
あーわかる、確かに綺麗だよね。 光が差し込んでてさー。 骨谷君も建築参考にしたいみたいなこと言ってたし。
[時間の感覚をあまり感じないからか なんだかここに来たことがもう随分と前のようだ。
シャッシャッと鉛筆が線を描く音が小気味よく その合間にぽつぽつと言葉を交わし。 描かれた人物に言及すれば、驚いた顔がこちらを向いた>>117]
(180) 2023/08/03(Thu) 22時半頃
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[仁科希華は亡くなったのだと聞く。 当時は確か結構な騒ぎになった。
口にした後に、繊細な話題を振ってしまったかと思ったが ふわり、と穏やかに笑う顔を見てその思いは霧散する。 姉が好きだったか。 その答えを口にする前に聞いた気がした。>>178]
……そっかあ。
[彼女に何があったのかは分からないけれど 蟠りに折り合いをつけられたのだと言う。]
(181) 2023/08/03(Thu) 22時半頃
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いいな。そう言えるようになったの。 あたしも妹……仁科ちゃんと同い年の妹がいてさ。
でも、優秀で、可愛くて、皆に好かれて、妬ましくて。 やっかんでばかりでわかんなくなっちゃった。 確かに好きって感情もあった筈なのにね。
[あたしの妹はこの夢に姿を現さないのは まだ生きてるからなのかな。…関係ないか。 ……あたしがまじめに向き合う気がないからかな。 いつだって自分のことばかり、逃避してばかりで。
あの子の顔をまともに見たの、いつぶりだっけなあ。 きっと似顔絵を描けと言われたって上手く描けないだろう。]
(182) 2023/08/03(Thu) 22時半頃
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[独り言じみてそんなことを零した後、 髪とメイクを褒めれば仁科が照れくさそうに俯く。
可愛いよ、とそう言いたい。お世辞とかじゃなくて。 どこか憑き物の落ちたような彼女は これからもっと可愛くなっていくんだろう。
それはやはり、祝福するべきことであると思った。]
……ん。またね。
[再会があるかどうかは分からない。 それは分かっていたけれど 同じように答え、ひらり、と手を振って 彼女の元を辞しただろう。**]
(183) 2023/08/03(Thu) 22時半頃
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─死神とスケッチ─
よかった。
[許可が出れば嬉しそうに笑う。]
アリババさんは── 死神・・・スかね。 もしくは、同じ概念の何か……
[人間界では良い意味で使われないことも多いけど]
死者の魂が迷わないように、導く存在。
[自分にとっての死神の概念。
はじめ彼は慇懃に礼をしてお迎えにあがりました、と言った>>1:2が、様相が一変しても、迎えに来たという言葉は変わらなかったから>>1:5]
(184) 2023/08/03(Thu) 22時半頃
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ここで1人死ぬ誰かを、迎えに来たんスよね
[黒い翼も、空想の死神を思わせる。 ただし、それは人間の──まさに自分も描いている想像の姿の一つだ。]
死を運んでくるっていうのも、 魂を導くっていうのも、 人間の勝手な考察ではあるんスけど。
[脳裏には体温のない姉の赤い体が浮かぶ]
死神に看取られることは 本来幸運なことなんじゃないかって──
[ただ死ぬよりも、確実に迷わないだろうと]
考察っていうより、その説が好きなんス。
(185) 2023/08/03(Thu) 22時半頃
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[視界の端で赤色が動く。 床に転がる林檎の個数が変わっただろうか。
急がねば、時計の針は進んでいる]
だから、
姉が、看取られていたらいいなって思ったら 描きたくなって。
[手が止まる。 アリババが死神でなければいい迷惑かもしれない。 チラリと彼の様子を伺う]
ねがい、スかね。
(186) 2023/08/03(Thu) 22時半頃
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─ ビデオルームを出て ─
[察されることの無い憂いは直ぐに消える。 消した訳ではない、単に表に出すことを不得意とするあまり 自然とそうなってしまったと言うだけのこと。
足早に去りゆく弟の言葉に、そろそろかと。>>175 どこかへと向かう別の黒を見送る。 最後になるかもしれない背中を。
そして回谷が見えたなら常のように軽く頭を動かした。>>173 ぎこちない笑みだなと思えど、それを口にすることはやはりなく。 ただ、黒い瞳を一度その手に落とし。]
田端から返事が返らない。 仁科にも会えればと思うが、ついてくるか? [その両名と今までいた事も知らぬ自分は、そう声をかけ。]
(187) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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アリババさんの意向を 無視したいわけではないんスけど。
[何パターンか、彼の姿を写し取るとうーんと考えて]
偽名だろうって、 たば……モルジアナ先輩も、言ってましたけど
ほんとのアリババさんも、描きたいとは思います。 時間が許せば、すけどね
[忙しなく、筆を動かしながらそんなことを**]
(188) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[そういえばメッセージが来ていたなと確認をとると、それは仁科のもので。 文面を読み、なにか打ち込んで。
──結局は送らずに削除した。
三分の一の確率は例え自分と仁科のような関係でも、重い。 自分の心残りはもう伝えられたのだから。]
(189) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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── →カフェ ──
[北館ビデオルームから道なりに中央に向かえば階段がある。 それを降りた先は地下。 ミュージアムショップの前を通り抜け、目的の場所へ。 その道筋で田端は見つからなかった。
人はいないが、いくつか物が動いている気がする。きっと誰かがまた使っていた。 一人歩き回って用意された料理を確認すれば、減った跡もある。 子供も好きそうなものばかりだ。きっと、口に運んでいる間皆が日常に戻れていた筈だ。
柊も手伝ったのだろうけど、どうしてこんなにも沢山の品を一人二人で作れるのだろう? 母親すらろくに料理をしない家で育った成海には、まるで魔法のようだった。]
(190) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[本当ならどれもこれも運びたかったけれど。
何の悔いも無く消えるには気がかりな話があった。 少食の身の上に、肌身に刺すような焦燥感が気になっていた。
それでもどうしても、 あの後輩に言ったことを嘘にはしたくなくて。 どんな気持ちだったとしても皆に残してくれたものに 何一つ手を付けないのは、避けたかった。
少し迷った末にスイートポテトを一つ貰って席に座る。 これは冷めても美味しいものだと知っている。 昔、兄も未だ父にとって都合が良い子供だった幼い頃 よく兄弟におやつとして出されたものだ。
福原がまだいた時の食事では、デザートは無かった。 ……だから丁度良いだろう。]
(191) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[キャラメル色の表面に軽く焦げ目がついた、柔らかな輪郭の菓子。
焼き立てではなくなった筈の今も、甘い香りが漂った。 しっとりとした食感、くどすぎない自然な味。
そこまで大きくはない品なのもあるが、簡単に平らげた。 おにぎり一つに時間をやたらかけた気がしたあの時とは、大違いだ。]
(192) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[綺麗に何も無くなった皿を眺め、ふと思い至る。
あの頃の兄は大きいほうのスイートポテトを弟に譲ったり、 お気に入りの標本コレクションを自慢してきたり。 年齢相応の優しさと可愛らしさがあった。
真那とはホテルのラウンジでケーキを食べたり、 美術館にプラネタリウム、数年間の婚約中に色々な場所に行った。 それを、快い思い出として記憶していた。
どれもこれもちゃんと覚えていた筈なのに。
──どうしても自分自身が受け入れ難くて、 彼等へ、冷たい感情以外何も無いような気になっていた。]
(193) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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……御馳走様でした ありがとう、福原君
[両手を合わせ、食器を運んでおいた。 また洗う気がない。本当に何もしない男である。
そのままカフェより踵を返した。
自分はまだ、この世界に存在している。 未だ連絡が取れない者を探せる時間があった。]
(194) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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── →廊下 ──
[ふと頬に手をやると、もう血は流れていないようだった。
時間経過なのか、大藤が触れたことでも関係しているのか分からない。 少なくとも成海の意志による治癒ではないだろう。
いつ治ったのか、抱き締められる前ならいいと思った。 兄の服に血をつけて許される年齢の弟ではなかったから。
どうにもポジティブな方向性では自分の意志が空間に与える作用は弱いような気がする。 あの時ガーゼが出てきたのが不思議なくらいだった。]
(195) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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もう時間もないか。
[見送れるのなら。 骨谷や柊、銀、福原、西門教授。 その人達の生還も見届けることは叶わなかった。
それは自分が砕けた林檎だからだろうか。
宣告もきっともうそろそろな気がしている。*]
(196) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[とうに成人した年齢。 誰に何を渡されたとして、 それだけで今までの積み重ねを越えられない。 フィクションのように一瞬で人が変わることはない。
全ては自分の意志、それが人より脆弱ならば 叶えたり報いようと思う努力を第一歩とし、踏み出さねばならない。
それが生きる者たる自分の義務だろうかと、成海は思っている。 死にたがりのままでは駄目なのだろうと、思い始めている。
果たせるのかなど、覚醒める前に確信出来はしない。 けれど貰ったものは全部、捨てないでしまってある。 応えたくなったものも、どこか自分には眩しすぎたものも。]
(197) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[……田端は、見つからない。
そうこうしている内にいつの間にか知らない場所に迷い込んだようだ。 通った覚えのある通路部屋が見当たらない。 振り返るとそこは、壁。退路を塞がれた。
真っ直ぐに続く道は無機質なコンクリートに変わっており、水で濡れて色濃く変わっている。 湿った香りが、雨が降った後であることを示していた。
その最奥に、絵画が飾られていた 額縁の下の札によれば名前は──「光明」 目隠しをされた白い服の若い男性、小さな台と敷かれた藁。 そして、斧を持っている黒服の女性。
有名な作品によく似ているが 記憶のものとは性別が反転しており、描かれる人物が少ない。 そして、タイトルも違っている。
こんな絵は果たしてこの美術館にあっただろうか? 覚えが無いのは、まるで遠いことのようだからなのか?]
(198) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[顎に手を添え思考していた時 ──瞬き程度の時間で、周囲の様子が一変する。
スポットライトの当たるステージ、 見下ろすように無数に並んだ赤い座席が後方にある。 芸術劇場、という言葉が浮かんだ。
その舞台上、袖近くで 成海は白い服を着て立ち竦んでおり 傍らには藁の上に置かれた小さな台が存在した。]
(199) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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……まだ、
[続いていたのか。俺の悪夢は。 反対側の舞台袖から現れた天原真那を眺め、微笑んだ。
真那の装いはワンピースから黒いドレス姿へ。 血液ではなく、本来の色のように見える。
年上の彼女も今ではとても頼りない少女にしか見えない。 その細い腕が、斧を引き摺っていた。
自然と膝をつき、首を差し出すように項垂れた。 あの台へ押さえつける司祭はいないのだから。]
(200) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[一歩、一歩。 固く鋭いハイヒールの足音と 床と斧が擦れる音が、近づいてくる。
彼女は何も言わず、カラスアゲハは舞わない。 全ては成海の意志の変化に影響したことだ。 これから行われる、絵画の再現も。
虐げられ罰せられるのは求めるが故に。 けれど、無意味な夢の中の死は望んでいなかった。 本物の終わりしか、見ていないはずだった。
望みは打ち砕かれ、生きることを誓った。 その上で擬似的な終演を感じ覚醒めるのならば。
もう自傷ではなく。 通過儀礼といってもいいのかもしれない。]
(201) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[音が全て止まった。
決して顔をあげようとしないのに、 あの黒く丸い目が自分を見下ろしているのだと分かる。
重い斧を持ち上げようとしている。 だから、最後に。本物ではないと知っていても]
(202) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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こんなことをさせてしまってすまない 俺は今も、君に手を引かれていた子供のままだった
……真那さん、ありがとう ──君のことが好きだったよ
[それは恋も愛も熱烈な執着も宿らない。 ただ一人の人間との未来を想って細やかに向けていた。
確かにあった、温度。]
(203) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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[斧が振り上げられ、刃が首に触れたような気がした瞬間。
真の断頭は為されず、成海の意識は白く沈んだ。*]
(204) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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― ビデオルーム周辺 ―
[タイミングはちょうどだったらしく 共にビデオルームから出てくる二人を見遣り―― さっき高祈の背後に見えてたものが 消えていることにほっとした>>175 高祈自身も…まあ表情は普段通りだけど 聊か元気になったように見えて。
あれから何かあったんだろうな。 勿論探るような無粋はしないけど。]
(205) 2023/08/03(Thu) 23時頃
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