10 冷たい校舎村9
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[最初にわたしを抱きしめてくれた>>1:526のは、 お母さんの妹だった。 喪服からは防虫剤と それを打ち消す上品な香水の匂いがした。
おばさんが「芽衣ちゃん」って呼ぶ。 わたしは「はい」って返事をした。
——大変だってね。って、どういうことだろう?
次にわたしの前に現れたのは恰幅のいい男の人だった。 お母さんのいとこなんだって。 小さい頃わたしと遊んでくれたこともあるらしい。 皺混じりの大きな手が、わたしの頭を撫でる。
——もう無理しなくていいんだよ。って、何?]
(591) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[それからも大人が次々とわたしのところへやって来て、 わたしを気にかけてくれた。
確かにお母さんが突然死んじゃって、わたしは悲しいよ。 これからどうしようって不安もある。 でもまだ実感だって湧いてないし、 そうじゃなくても泣き喚くような子どもじゃない。
それなのに、みんなの優しさはわたしの頭上を飛び越え、 わたしの知らない方を向く。]
(592) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[——わたし、 お母さんの夢を押しつけられた子なんだって。]
(593) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[みんな、お母さんのことが嫌いなのかなって思ったけど、 親戚も教え子さんたちもお母さんのことを貶したりは 絶対しなかった。
「ちょっとやりすぎちゃっただけなんだ。 だから許してあげてね」
お母さんは悪気があった訳じゃないんだよって、 わたしに言うの。 お母さんのこと悪者にするのに、庇うの。
……あぁ、わたしがお母さんを悪者にしたんだ。 そう気づくのに、時間はかからなかった。]
(594) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[確かに、最初はお母さんに言われて始めた習い事だった。
確かに練習はきつかった。 友達と遊びたいって思ったことも本当。
楽譜より絵本が読みたいって駄々を捏ねたこともあるし、 自転車で遠くに行ってみたいって思ったこともある。 優しいお母さんの鬼のような顔が怖くて泣いたり、 放課後に友達と遊びたいって言った時は、 ピアノのある部屋に閉じ込められたんだったね。
でも、ね。 わたしにはお父さんとお母さんの血が流れているけど、 お母さんの血は煮詰めたワインみたいに濃いみたい。]
(595) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[わたしは、世界中の何よりもわたしの音楽を愛してる。]
(596) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[ピアノが弾けなくなるくらいなら、
絵本なんていらないし、 自転車を没収されても平気だよ。 練習で叱られて何度泣いても頑張れるし、 閉じ込められた部屋でもずっとピアノを弾いていた。
どんなに苦しくても、辛くても、嫌なことがあっても、 たとえ家で泣いてばかりだったとしても、 友達だと思える人が誰もいなくても、 誰になんと言われても、どんな風に見られても、 ラクなんていらない。わたしはそれで良かった。]
(597) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[でも。それが、ダメだったんだよね。]
(598) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[死んだお母さんは可哀想な悪者になって、 生き残ったわたしはピアノから離れた日々を許された。
抱きしめる腕を押しのけ、ピアノを弾きたいと言っても、 「もういいんだよ」って言われる。
撫でる手を払い、わたしが望んでいるんだよと言っても、 「お母さんはもういないから大丈夫]って言われる。
あんな風に苦しまなくていいんだよ、だって。 もう何も犠牲にしなくていいんだよ、だって。
わたし、誰を恨めば良かったのかな。 お節介な参列者? 何も言わないお父さん? この物語の悪者は誰なんだろう。]
(599) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[その答えはすぐに見つかった。 お葬式の夜のことだ。 わたしは怒りが収まらなくて眠れなくて、 お水でもがぶ飲みしてやろうって、リビングに降りた。
お父さんが、泣いてた。 お母さんの写真を見て、名前を呼んで。
——すまない、って。 守ってあげられなくてすまない、って。]
(600) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[お母さん、ずっとみんなから言われてたんだって。 「芽衣ちゃんを解放してあげて」って。 でもその度に「芽衣の夢でもあるから」って突っぱねた。 外側に不器用なとこ、お母さんに似たんだね。
お母さんは知っていた。お父さんも分かってた。 お父さんはわたしの頭を撫でて、 わたしの好きなことをしていいんだって言ってくれた。
お葬式と同じ、悲しそうな顔をしていた。 お母さんのこと悪く言われるのが嫌なんだなって、 わたしはすぐに分かった。わたしもそうだったから。]
(601) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[わたしの夢は2人に守られていた。
わたしがもっと楽しそうにしていたら、 わたしがもっと他のことにも目を向けていたら、 わたしの愛、ちゃんと信じてもらえたかな?
お父さんもお母さんも、責められずに済んだかな。
だって、どこにも悪意がない。 悪意がないのに大切な人が泣くのなら、 悪者はわたしでいい。
わたしだけで、いい。]
(602) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[ごめんね、お母さん。 夢、叶えられなくなっちゃった。お母さんは怒るかな。
でも、わたしは お母さんとわたしを愛してくれるお父さんを守るよ。
ちょっとの間だけお母さん悪者になっちゃうけど、 時が経てば、みんな忘れてゆっくり休めるから。 お父さんが悲しい顔しなくて済むから。
おかあさん おとうさん わたしは死んだ人間より生きてる人を選んだ。]
(603) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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[母親に夢を無理やり継がされかけた芽衣ちゃんは、 父親を始めとした大人たちのおかげで 自由を取り戻すことができました。
めでたしめでたし。]*
(604) 2021/06/09(Wed) 23時頃
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