28 僕等(ぼくら)の
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─コックピットにて 大和命の最期─
[彼の叫び>>325は、康生の問い掛け>>321への答えだった。瑠璃川珊瑚との思い出をこの世界に刻み付け、それを守り抜く事で証にしようとしているのだ。文字通り、命を燃やして。]
命…………みこ、と……。
[レグルス──獅子座の一等星。その意味は「小さな王」。だが、この星にはコル・レオニスという別称があり、その意味は「獅子の心臓」なのだ。当然、星座の中での配置も心臓に相当する位置となっている。幽霊部員だった彼が、よく知っていたものだと思う。活動に参加出来ないだけで実は興味があったのか、或いはそれほどまでに思い入れがあったのか。]
ッ、……!
[心臓が罅割れ、砕けていく。直視出来なかったのだろう、康生はぎゅっと両眼を閉じ、顔を逸らせた。瞼を貫通する程の眩さに包まれる。]
[────が、その光はすぐには収まらない。恐る恐ると言った様子で、瞼が開く。其処には、描いた道に沿って輝く“星座”があった。それぞれの恒星から、空へと向かって光が放たれている。そして、今居る此処は。]
(339) 2023/08/18(Fri) 22時頃
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────積尸気、だ……。
[M44、プレセぺ星団──別称、積尸気。中国に於いて、死した人々の魂が天へ昇る際に通過すると言われている場所。彼の魂もまた、共に昇って行ったのだろうか。康生は暫く、胸に手を置いたまま、呆然とベッドに座っていた。*]
(340) 2023/08/18(Fri) 22時頃
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─少し先の未来 ×日後 校舎跡─
[偶々空いた時間。崩れた校舎の一角────大和命が生活していたと思しき空間>>342に、康生は足を踏み入れていた。其処には、大和命の足跡がそのまま残っていた。二人の誕生日を知れば、何故獅子座と蟹座だったかの答えには充分だった。これだけ熱心に大量の書籍を読んだなら、彼が積尸気を最期の場所に選んだのも納得が行った。]
────なあ、命。 瑠璃川には、ちゃんと会えたか……?
[死した人々の魂が天に行く際に通過する場所。それなら、彼女は彼を待っていたのではないかと。彼も、それを信じたからこそ会いに行ったのだろうと。康生はそう考えた様だった。]
……俺、命や瑠璃川、七尾以外に誰かを亡くしたことってないからさ。 それで、ちょっとわかってないとこあったんだけど。
──……いのちって、重いんだな。
[胸元に手が当てられる。手の平から、鼓動が伝わる。この身体に入っている命は、二人分だ。二つ在りはするが、不可分の命。]
[何か形見に貰って行こうにも、身体的事情がそれを許さない。だから、場をそのままにして康生は立ち去った。*]
(350) 2023/08/18(Fri) 23時頃
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