10 冷たい校舎村9
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── 現在/食堂 ──
……何でもないよ、 ただ冗談とか皮肉とか、 やっぱ通じ難いんだろうなって思っただけ。
[ だからつまんない。と。>>603 失礼を働いているのは百も承知だ。 けれどもただでパンケーキを食べられるとは 思わないで欲しい。なんてね。
お見通しのような目をしていても、>>604 何もかも理解出来ているわけではないから。]
(624) 2021/06/11(Fri) 23時頃
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[ ただ自分には自分の視界が見えるだけ。 ぐちゃぐちゃにしたいのは、……まあ、いいじゃん]
知らなかったんだ。 ……うん、そう。 帰れたのか校舎と同化したのかは 全くわかんないけどね。
[ 大袈裟に惨憺たる有り様を語っても良かったけど、 流石にそれが出来るほど自分の心は タフじゃ無かったようだ。
あと、炭蔵くんにいきなり泣き出されたら困る。 本当に困る。どうすればいいんだろう]
(625) 2021/06/11(Fri) 23時頃
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[ 冗談はさておき。 向けられた提案には]
チャイムが。なるほどね? それで集まって、…… どうしたいの?
集まったからって何が出来るのかな。 むしろ一瞬、皆が目を閉じて開けたら そこには血の海が広がってたりとか、 そういうことも起こり得ない?
絶対そんなのトラウマになるじゃん。 マネキン見てないわけじゃないでしょ?
(626) 2021/06/11(Fri) 23時頃
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目の前にさっきまで生きてた人が マネキンになって死んでたらさ。
それこそ、その人がマネキンになって 死んだっていう、炭蔵くんが見たくない事実を 確定させちゃうことになるけど。
いいの?
[ 私は嫌だよそんなの、と 言外に言いつつ。]*
(627) 2021/06/11(Fri) 23時頃
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― 食堂 ―
[寄り路って言うか そもそも当初の目的地は食堂だったんだよ。 樫樹の件とかあったせいですっかり忘れてた。
中には綿見がいて、今日も今日とて クレープ…ではなくパンケーキを焼いていた。 あ、美味しそうなもん作ってる〜って 嬉々として近づいて、1枚分けて貰うことにする。
炭蔵と綿見の会話を横で聞いていれば 番代が居なくなったらしいことは知れたか。>>602>>605]
(628) 2021/06/11(Fri) 23時頃
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[よく考えたら俺まともに朝飯食べてないからね。 パンケーキだけでは満腹にみたないので 他に食べられそうなものを漁り、 ひとまずは粛々と米でもたくつもり。
集合しよう、なんて炭蔵の提案から なんとなーく剣呑になりそうな気配を察知すれば 不思議そうな顔で見てはいるけど、一応黙って聞いてますよ。
あれ、この二人ってもしかして仲悪い?*]
(629) 2021/06/11(Fri) 23時頃
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[ これは、非日常めいた朝の話。]
(630) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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── 朝・渡り廊下 ──
[ 暮石が両手を目元にあてがっていた。 ぐりぐり。すると、腫れるよ。>>583 慎一はそういうのちょっと詳しい。 自分がそうしてるとき、 言われるのヤだから、言わないけど。]
……うん。
[ 「たぶんすき」の裏に隠されている、 確信とか、推測とか、慎一は知らない。
慎一がしたのは「誰か」のことで、 そこにもし個人名が入るなら、 この気持ちも何か変わったんだろうか。 短い返事をしながら、小さい暮石を見てる。]
(631) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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自分で招き入れた人に、 好きでいてもらえたら、 うれしいだろ、たぶん……
[ きっと、慎一が何を言ってもさ、 違うんだろうなって思っているけど、 慎一が何か言いたかったんだ。聞き流して。]
(632) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 慎一のものさし。どんなにちっぽけだろう。 なにかできることなんてあるのかな。>>584]
やれること、かあ……
[ 慎一にできること。きっと少ない。 それでもなにかないだろうかって、 慎一はそのとき考えたんだった。
……難しい、けど。 そのとき思いつかなかったから、 お昼まで、ひっそりと考えてた。 きっと、これからも考え続ける。]
(633) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 10円と、危機的状況の暮石の話。>>588
びっくりしたのは慎一も一緒だった。 そんなことになると思ってなくて、 わあっとずいぶん焦った顔をしたはず。
……だからだよ。 飛び出してきた言葉がへんちくりんだったの。
駄菓子でも買いに行こうという提案に、>>590 うん。と素直にうなずいている程度には、 慎一の心臓は早鐘を打っているし、
ここは暮石のでも、慎一の世界でもない。 そう、当たり前みたいに受け入れていて、]
(634) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ ……暮石は笑っていた。>>590
まだ慎一の頭の中は、 再起動がかかっていないような状態だけど、 つられたように、少しだけ笑おう。
それで──、ほかの言葉は「預かり」ってことで。 だって、「今度」があるんだろう。 それなら今は、ここでその背を見送ろう。
それも信じているから、 ほかの話はそのときでいいよ。*]
(635) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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―― 廊下:鳩羽君 ――
[ 鳩羽君はよく眠れたらしい。>>536 やっぱり男の子はたくましいなあ、なんて、 眠れなかった面々を知らない私は素直に安心した。 九重さん似のマネキンの話になると、 私はそうだけど、そうじゃないよって首を横に振った ]
あれは、全部柊君が考えてくれたの。 私はちょっと手伝っただけ。 ああいうこと、ぱっと思いつけるの、すごいよね。
鳩羽君こそ、 いっぱい九重さんのこと探してくれてたでしょ。 探してる声聞こえてたもん。 ありがとう。
[ 言い方は悪いけど、あれで一つの諦めがついたというか。 九重さんはもうここにはいないって、 納得できたんだと思う ]
(636) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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階段……って、樫樹君、 文化祭の日も階段から落ちたよね。 なにも、そんなこと再現しなくてもいいのに……。
[ そんなことを言いながら、 私は番代さんに似たマネキンの状態を 説明しようか悩んでいた。 鳩羽君がオカルトの類に強いなら言ってもいいけど、 刺激が強いからお布団かけたのに、 結局口頭で説明しちゃったら、意味がない気もする ]
(637) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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ここに電波が届いたら、 無事だよって連絡が届いたかもしれないのにね。 でも、もしかしたら、 先に帰って、まだ帰ってこない私たちのこと、 心配してくれてるかもしれないよ。
[ これは、だったらいいよねっていう希望的観測。 心配だっていう気持ちはもちろんわかる。 私だって心配だもの。 でも、もう手の届かないところに行ってしまった人を、 心配し続けるより、他にできることってないのかな。 ああ、そういえば、 黒板に集まらないかって提案が書いてあった。>>341 21時の少し前って、 きっと、チャイムが鳴る時間のことだよね ]
(638) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 無理して笑わなくていいって言ったら、 鳩羽君の笑顔、ちょっと自然になった。>>540 それが本当に自然に出たものならいいんだけど、 私が無理してるって指摘したから、 頑張って自然っぽく笑おうとした、なんてことはない? 私、口を開こうとしたけど、 その前に鳩羽君の話が始まったから、 遮るわけにもいかなくて、開いた口はまた閉じる。
俺ばっかり喋ってるって言いながら、>>450 鳩羽君、ちゃんと私の話も聞いてくれるじゃない。 断定の出来ない、語尾が?ばっかりの私の話、 きっと聞きにくかったと思うのに。 この後しっくりくることになるなら、よかった ]
(639) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ それから、鳩羽君は自分の話をしてくれた。>>542 うん、って聞きながら、>>543 私、なんだか似た話、聞いたなって思う>>2:236 ] あのね、……うーん、あんまりうまく言えない、 かもしれないけど。
[ 鳩羽君の考え方が、間違ってるとは思わない。 苦手なことをわざわざやるべきとも思わない。 でも ]
(640) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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無理してでも笑いたい、っていうのも、いいと思う。 苦手なことをわざわざすることもないと思う。 苦手なのに落ち込んでるところをわざわざ見せろなんて、 そんなこと言えないもん。 だから、無理に変わろうとしなくていいと思う。 でもね、それとは関係なしに、 知っててほしいなって思うの。
(641) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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鳩羽君、考えたい、寄り添いたいって思うんだよね。 同じように、鳩羽君のことを考えたい、 寄り添いたいって思う人もいるよ。 その人たちは、考えたいって思って、考えるんだよ。 だから、考えさせたら悪いって、 鳩羽君が思う必要はないと思う。 むしろ、鳩羽君が嫌じゃなければ、 考える機会を与えてあげてほしいって思う。 その方がきっと嬉しいよ?
(642) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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でも、そのために、わざわざ苦手なことを しなさいっていうのも違うと思うから。 そういう人もいるって、覚えていてくれるだけでいいの。
[ ごめんね、変なこと言って。 やっぱり言いたいことを長々と語っちゃった。 私も話が長いよね ]
(643) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ こんなこと滅多に話さない。>>546 その言葉には完全同意だった。 知らなかったみんなの顔、色々知れたと思うもの ]
馬鹿な鳩羽君? 学校サボった鳩羽君のことかな?
[ あの時よりは少し踏み込めたって思ってもいいかな? そんな風に思ったから、私は馬鹿を否定しなかったので、 綿見さんのパンツの危機についての秘密は守られた。 おめでとう?* ]
(644) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ その日の慎一の夕飯はパンケーキだった。>>525]
(645) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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── 夜 ──
[ 卵がなくなっちゃう前に、 どうにかならないと困るなあ。 毎日減ってるんだ。綿見だと思う。 毎日食べてる身でなんだけど、 少し節約してほしいです。……なんて。
チャイムが鳴る前、 慎一はそういうことを考えてた。
今日も夕飯代わりにパンケーキをつまんで、 明日もお米が炊けるようにして、 明日に備えて……備えたんだけどなあ。
文句ばっかり言ってごめんね。 そのときも慎一は自分の心の平穏を、 決まった手順で守るべく、忙しかった。]
(646) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 食堂にほかの人がいたんだか。 慎一はチャイムの鳴る前に立ち寄って、 それで、自分の用事を済ませただけ。
それから、購買にも立ち寄った。 見慣れた陳列棚を見ながら考えてる。
いつまでここにいれるんだろう。 ……ふたつの意味で。
いつまでここにいることを許されるかと、 慎一がいつまで耐えられるんだろうってこと。]
(647) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 横目でパンケーキをつまんでいく、 柊君の姿もちらっと見ていた。>>628 ……黒沢ちゃんにもさっき言われたけれど>>612、 やっぱおいしいって言われるのは嬉しい。
生地が終わったなら洗い物をしつつ 私は炭蔵くんとお話をしているけれども、
…………別に仲が悪いつもりはないよー? つまんないとは思ったけれど。]*
(648) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 嫌いじゃないこの世界で。 慎一はやっぱり息がしづらい。 もうずっと、いつもの自分でいる方法がわからない。]
(649) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ ……ああ、でも。
「21時少し前に集まろう」 ──って黒板のメモにあったから。 そう思って購買の扉に手をかけた。
……8時50分になる直前だった。 どうでもいい話だけど慎一は、 「少し前」って書き方、好きじゃない。]
(650) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 開いた扉の隙間から、こぽりと泡が立つ。]
(651) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ 意味がわからない? わからないね。 慎一も。なにひとつわからなくって。
なんで。 って言おうとした口の端から、 声の代わりに泡が膨れてこぼれた。
なんだか体が重い。 床に足つけて立ってるだけなのに。
開いた扉の向こう。伸びる廊下。 その様子は文化祭の日のままなのに。]
(652) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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[ ああ、どうやらここは水の中みたい。]
(653) 2021/06/11(Fri) 23時半頃
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