1 冷たい校舎村(別)
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──回想/ボールの思い出──
えー、ライカじゃん。 何してンの? 一人バスケ? うける。
[ わたしダンス部。 練習場所が割り当てられずにいるの。
なーんて。 要はさ、ダンス部ってったって、 大会に出るとかそんなんじゃなくって、 昔からダンス習ってた子を中心に、 踊るの好きな子が集まったグループ。
だから、まじめな実績のある運動部ほど、 体育館やなんかの使用順が回ってこない。]
(372) 2020/11/06(Fri) 20時頃
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[ だから、人通りのない廊下とか、 階段の踊り場、中庭、空き教室、 わたしたちどこだって縄張りにしちゃう。
小さいスピーカーとスマホだけ持って、 練習場所を探してうーろうろ。
普段から、いいとこ見つけたら、 部の縄張りにしようって目を光らせてる。
どっかいいとこないかなって、 一人で彷徨ってたある日のことだった。
気ままにボールと戯れられる場所と、 好き勝手音楽かけて踊れる場所。
きっと、求める条件が似てたんじゃない? ライカがその日は一人でそこにいて、]
(373) 2020/11/06(Fri) 20時頃
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つか、すごーい。 ボール、吸い付いてるみたい。 なにそれ、うまい人のやつじゃん。
わたし、小学校のころ、 ちょろっとミニバスやってたんだあ。
[ ほら、比較的背が高かったし。 運動、こう見えて結構得意なの。
ちょっと貸してよって、 スマホをその辺に置いて、愛上・乱入!
素の身体能力と動体視力頼みで、 その手からボールを奪おうとなんかして。
……しちゃったんだけど、]
(374) 2020/11/06(Fri) 20時頃
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[ 手加減の具合はいかほどですか、ライカ先輩。
場合によっては、「はあ!?」とか「くそ!」、 「うまくない!?」「まじむり!!」とかいう、 バリエーション少なめの叫び声をご提供ののち、
ぜいはあと肩で息をする愛上を、 たんとご覧いただけたかと思います。*]
(375) 2020/11/06(Fri) 20時頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2020/11/06(Fri) 20時頃
受付 アイリスは、メモを貼った。
2020/11/06(Fri) 20時頃
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─── 現在・裏庭 ───
[ とことこと体育館の見える位置にある裏庭に 突如現れる冬の妖精。あたし。
裏庭も、やっぱり真っ白けっけ。 花壇なんて見えないくらい埋もれてる。 ]
うぁ〜、お花大丈夫かなぁ
[ 肩に傘をかけて、しゃがみ込む。 雪の下に眠るお花を探すように、 はらはらと真白なミトンで雪を払う。 ]
(376) 2020/11/06(Fri) 20時頃
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…ぁ!
[ 雪の中から、ぴょこんとお顔を出すお花。 白い花弁にラッパのような花冠。 スイセンのよい香りが、つんとする鼻腔に届く。
よかったぁ、って安心して、 おはよ、っていつもみたいに笑いかけてた。 ]*
(377) 2020/11/06(Fri) 20時頃
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──現在/職員室へ──
[ 愛崎と別れてひとり。 教室に行くって愛崎に、 ばい〜ってお手々を振って今、 わたし、職員室まで歩いてった。
雪から水分のしみた靴下が、 じわじわとつま先を冷やすみたいで、 ほんとやんなっちゃうって感じだし、
早いとこ誰か先生捕まえて、 休校なら休校で話つけたかったの。
だから、馴れ馴れしく挨拶しながら、 普段ならあんまり入りたくない扉に手をかけた。]
(378) 2020/11/06(Fri) 20時半頃
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た〜〜つ〜〜み〜〜ん! ──っはよざまーす……?
……えっちゃん先生? エツコ〜? え〜〜〜〜〜、 誰もいないじゃん? はあ〜〜?!
[ 慣れ親しんだ先生の名前、 二人分ほど呼んでみたんだけど、
返事がないっつーか、 職員室がまあ見事にもぬけの殻。
一部の女の子にちやほやされて、 まんざらでもなさそうなタツミも、
無口で不愛想なおばちゃんだけど、 なんかわたしのオキニのエツコもいない。]
(379) 2020/11/06(Fri) 20時半頃
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[ さすがにおかしくない?
──って、なんていうんだろ。悪寒? ぞわわって背中に変なものが流れた。
予感とかあんまりあてにしてないけどさ、 わたし、それを振り払うみたいに、 もう少しの間先生たちの名前を呼んでいた。
……お願い、出てきて。 タツミンでもエツコでもゴロちゃんでもいい。
ちゃんと呼べってつまんないお説教も、 今日のわたしはちゃんと聞いたげるから。]
(380) 2020/11/06(Fri) 20時半頃
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[ 少しの間無意味な捜索を続けたわたしは、 頼みの綱とばかりにスマホを取り出すんだ。*]
(381) 2020/11/06(Fri) 20時半頃
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─── 回想・文化祭前のHR ───
( ねぇねぇ めありちゃん! なにに投票いれたの? )
[ クラスが決まっていちばんさいしょ。 名簿順の席で前にいためありちゃん。 王子さまに憧れたり、花冠を作ったり、 なかよくしてくれるうちの大切なひとり。
席替えでちょっと離れちゃったけど、 高校最後の文化祭でなにする?ってなった時、 口ぱくと身ぶり手ぶりで意思疎通を図る。 ]
(382) 2020/11/06(Fri) 21時頃
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[ 委員長のさらちゃんが教壇に立ってる。 それを横目に、まためありちゃんの方を見る ]
( あたし、喫茶店! )
[ あたしはまた口ぱくと指差しで主張する。 去年は演劇部のお手伝いに、クラスでも演劇だった。 今年はまた違ったお衣装がみたいなぁって、 あたしは投票したんだったかなぁ。 ]
(383) 2020/11/06(Fri) 21時頃
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[ 手あげ制じゃなくて匿名の投票用紙制。 なんだか選挙みたいだね、って思った。 ……いったこと、ないんだけどねっ。
いいんちょさんたちが集計してる間、 ちょっとの休憩ってことで周りがざわざわし始める。 めありちゃんのもとへ近づこうと、 あたしも椅子をがたがたって引いてみたら、
──── ガンッ ]
(384) 2020/11/06(Fri) 21時頃
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[ 勢いよく立ち上がりすぎて、 後ろの人の席に思いっきりぶつけちゃった。 ]*
(385) 2020/11/06(Fri) 21時頃
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─ 登校中に ─ [ 口元に寄せた両の指先を、白い息で暖める。 せめて手袋を持ってくれば良かった そんな後悔も、あとの祭り。 大雪ともなれば、 人さえも掻き消す事が出来るのだろうか。 行き交う人は疎らで、 片月の生徒に至っては出会う事すらない。 ほとんどが自宅待機でもしているのだろう、と 深く気に留めたりはしなかったけれど。 ]
(386) 2020/11/06(Fri) 21時半頃
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[ クラスメイト達は無事に登校しているだろうか。 ─── そんな思考自体、 今までの僕には無かったのだけど ふと、そんな心配がよぎったのと同時に 胸ポケットからスマホの振動が伝わってきた。 画面を確認すれば、蛭間さんからで >>243 ] 〜〜〜〜〜〜〜 !! [ 文字だらけのメール その中でひときわ目立つハートの絵文字を見て ぴたり、僕の足は止まり 硬直した。 ]
(387) 2020/11/06(Fri) 21時半頃
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[ 特別な意味は無いって分かってる 分かってるけど、気恥ずかしくて 慣れない。 頬だけは防寒不要、とマフラーを少し緩め 添付されていた画像を開くと ─── おもしろい とてもおもしろい顔をした回谷さんとの ツーショットが写っていた。 >>313 今度はぷっ、と思わず噴き出してしまう。 ふたりでズルい なんて感情も覚えた。 ]
(388) 2020/11/06(Fri) 21時半頃
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[ 僕はクラスメイトを苗字で呼ぶ。 これは今まで" 立派な大人 "になるには 勉強以外は邪魔なだけ、と 友人関係を希薄に扱ってきたからなのだけど。 ]
(389) 2020/11/06(Fri) 21時半頃
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[ 委員長をしていた、という肩書きも " 立派な大人 "に近付く、 そう思ったから挙手して立候補した。 学年トップの成績だけで人望なんて皆無な僕が 誰かに推薦されるなんて事はないだろうから。 箔をつける為だけになった委員長だけど 思った以上に大変だった。 まず、起立・礼の声が緊張で出ない。 小鳥のさえずりのようなか細い声だったり 空気の振動でコップが割れそうな超音波だったり ─── 今では普通に出せるけど。
更に年間行事、文化祭なんて特に 取り決めと進行で大変だった。 それでも投げ出さずに済んだのは サポートしてくれた彼女達がいたからで。 ]
(390) 2020/11/06(Fri) 21時半頃
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[ 立ち止まったまま蛭間さんにメールを返信すると 再びマフラーを強く巻き学校へと向かう。 メールは未だに慣れない。
卒業までに呼べる時は来るのだろうか。 誰にも見せないスマホの住所録には " 來花ちゃん " " 志帆ちゃん " なんて登録してるくせにね。 ]*
(391) 2020/11/06(Fri) 21時半頃
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──回想・問いかけ──
[ 喫茶店のコンセプト、ってなんだっけ。 ついど忘れしちゃったけど、 相応しい何かを作っている最中だったとかな。 こんなのはどう? ふわふわ生クリームがたっぷり乗ったクレープとか。 可愛い見た目に似つかわしくなく、 ふわふわさせるためには重労働が必要だけどね。
ともかく。 しゃかしゃかとボウルの中で何かの材料を混ぜつつ、 雑談に興じるのです。無。>>207 百合亜がどこの推薦枠をとるつもりか知りたいなあ って、クラスメイトの声を思い出しながら。 ]
(392) 2020/11/06(Fri) 21時半頃
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ね、ゆりーのは推薦なのかなあって、 みんなと話してたの。 私はね〜、ちがうよぉ。エスカレーターしちゃう。
[ もしみんなって誰、と聞かれても曖昧な笑み。 秘かなるミッションだからね。 情報戦というやつらしい。 推薦をとりたいみんなは、大変だね。 一つの枠には一人だけだもんね。 自分より上の人がいないところに申し込みたいんだって。
ライバルがいないところが、いいんだって。 ]
(393) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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[ 人間としての能力って、 生まれた時に決まってるものなんだよね。 ]
(394) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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[ 百合亜の言葉に、そっかあと笑った。>>208 人生で一番勉強したのが中学生のころ。 中学一年生からお高い塾に通って、 第一志望の公立高校には見事不合格! ひっかかった高校が片月な志帆は、 そっかあ、って。笑うしかできない。 ]
みんな、ゆりーのみたいにさ、 出来が良くないんだもん。わかってよ。 [ あ、すこしだけ。 いつもより声が硬かったかもしんない。 誤魔化すように、ね?と首を傾げてみせた。* ]
(395) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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──現在/職員室──
[ 連絡、取ろうと思ったの。 入間とかさ。うちのクラスの。 わたしの友達。ダンス部で。 中等部からの持ち上がりで。 でも、考えちゃった。
あの子たちはたぶん、 こんな日に学校になんか来ない。
休校じゃなくても。 欠席にカウントされるんだとしても、 こんな冬の試練みたいな厳しい朝は、 おうちにいるんじゃないかな。きっと。]
(396) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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[ 手の中にあるのは、 リング付きのスマホケース。
かわいい色味のレザーをベースに、 小さいハートがワンポイント。 わたし、ベビーピンクを選んだんだ。 入間がライトブルー。イロチにしよって。
毎日使うものだからって。 ずーっと大事に使うからっておねだりして、 去年のクリスマスに買ってもらったの。 その代わり、お年玉はもらえなかった。
パパはすっごい渋い顔してたけど、 ママは「いいなあ」って言ってた。]
(397) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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[ それがねー、……4万くらい?]
(398) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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[ もうすぐこのケースにして1年になる。 入間はもうとっくに飽きちゃってて、 新作が出るたびに「これは?」って聞く。
わたしそのたびに、 「ときめかなーい」とかなんとか言って、 ここまでやり過ごしてきたんだけどなあ。
ほかの持ち物はごまかせてもさ、 スマホケースはすぐに変えたのわかるでしょ? 友達にも、家族にも。ほんとすぐに。
だから、変えらんないんだよね。 ずっと大事に使うって約束しちゃったから。]
(399) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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[ でもさ。 わたし、この学校にきてわかったの。 お金持ちってそういうものなんだよね。
イロチで使おって気軽に言えちゃうし、 汚れたり飽きたりしたら、 また買い替えればいいんだもんね。
でも残念。うちは違うんだなあ。 そうなの。あんたたちの家とは違うの。
パパの稼ぎはママ一人で使い込めちゃう程度なの。 ほしいなって思ったものポチっていったら、 気づいたらなくなってる程度が我が家の全財産なの。
そんなことしなくてもブランド物が新作で買えて、 中学から私立に通えちゃうような人とは違うの。]
(400) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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[ あーあ。やってらんなーい。]
(401) 2020/11/06(Fri) 22時頃
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