32 Zug Zwang
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ヴィーシャに1人が投票した。
ルーカスに2人が投票した。
ルーカスは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
犠牲者はいないようだ。殺戮の手は及ばなかったのだろうか?
村人達は自らの過ちに気付いた。
人狼達は最後の食事を済ませると、新たな犠牲者を求めて無人の村を立ち去っていった。
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[彼の耳にどこまで届いていたのか、 彼の目にどこまで見えていたのか。 青年は何も知らぬまま、 必死に生き続けようとする彼の身体から 命を奪った。 それはあくまで仮想空間上の出来事。 現実の彼の命に与える影響など無いのは 青年の知識にあるし、理解もしているのだが] …… [あれだけ愉しげに、満足げに浮かべていた微笑は すっかり消え失せ、青年はただ掌を見つめていた。 手に残り続ける体温を、感触を確かめるように]
(0) Siro_neri 2023/12/23(Sat) 22時半頃
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[やがてのろのろと動き出しソファに腰を下ろし、 テーブルに投げ置かれたカップを手に取り、 ココアの粉を入れ、ポットから湯を注ぎ、 手を伸ばして取ったスプーンで混ぜて。 口に運ぶと、流れ込んできた液体から 甘く香ばしい風味を感じ取る。
青年は動きを止め、 そのまま暫し硬直し ──その末に、静かに目を閉じた]
(1) Siro_neri 2023/12/23(Sat) 23時頃
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[ココアを飲み終えた後は席を立ち、 タイを拾い上げて元通りに締め直す。 振り返りもせずに応接室を出て、 真っ直ぐに階段に向かい、3階まで昇った。 青年がたどり着いたのは展望デッキ。 そこから外を眺めていようと思ったのだ]
(2) Siro_neri 2023/12/23(Sat) 23時頃
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[地平線が赤く染まる光景。
それが見られるか、見られないか、 そもそもその時間でないのか、 それともそれ以前に青年に終わりが来てしまうのか。 先の見えなさを思えば退屈せずに済むだろうと、 ──余計なことを考えずに済むだろうと思ったのだ。 青年に残された時間は、後 ]*
(3) Siro_neri 2023/12/23(Sat) 23時頃
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クゥーン…
(4) キイチ 2023/12/23(Sat) 23時頃
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[たくさん鳴きました。 たくさん吠えました。 たくさん引っ張りました。 たくさんたくさん、跳びました。
それでも飼い主は褒めてくれませんでした。 褒めてくれないまま、眠ってしまいました。
いつの時にか近付いて、 その耳元で呼びかけます。 こう鳴くと必ず撫でてくれますから。
飼い主、起きて?早くぼくを撫でてよう。]**
(5) キイチ 2023/12/23(Sat) 23時頃
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― 現実 ―
[フラフラとした足取りで暗い廊下を歩く。 施設内に他に人は居なかった。 それ自体も願ったからだ。
何があろうと邪魔が入るのも、 知らない人間に知られる事も、 ……そもそもに、人と遭う事が憚られた。
運営とのやり取りは全て画面上であったし、 あのふざけた監視役の本当の顔も俺は知らない。
人間の顔に興味も無いし、見たくもない。]
(6) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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[保管庫であるからか季節がそうであるからか、 廊下であろうと底冷えする程冷たく。 それでも上着も羽織らずそのままの格好で 目指すべき場所へと身体を引き摺り向かう。 目指したくなどない 近寄りたくもない 思い出したくも
口元を抑える 元から無くもあったが 既に全てを吐き出した後なれば
もう一度 ただ喉を焼くだけで済んで 済まされて ]
(7) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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[操作盤でその部屋の扉を開ける。]
(8) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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[幾つものカプセルが並ぶ室内を牛歩する。 視たくもない面持ちの顔を中に浮かべるそれは 静かに稼働し、中で眠る人間に 確かな永遠を齎している。
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気狂いだ 呆れる いっそ 全部 ]
(9) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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[目的地点に着き、足を止める。 其処にあるのは一つのカプセル。 見下ろせば中では ]
(10) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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[中身の廃棄を円滑に行う為に、 カプセルの全電力を落とすスイッチは カプセルの外壁に設置されていた。
うっかり誤作動させない為に 透明なカバーで守られてはいるそれは、 然してそれさえ外してしまえば容易に押せる 物となっており。
個人的な恨みが発生すれば 容易に死人を出せてしまう状態であり。 そんな状況下に大切な参加者を置くこの運営は やはり狂気と悪意に満ちていると言えるのだろう。]
(11) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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[だから簡単だ。殺すのは ]
(12) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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[…徐々にまた呼吸が荒くなるのを感じる。 その最中に思い出すのは、してしまったのは
問題無い。 あと1回、 千日手には余裕がある。]*
(13) 伽藍堂 2023/12/24(Sun) 11時半頃
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─ 3階・展望デッキ ─ [青年が終わりを待ちながら、 窓の向こう、極夜に沈む氷雪の世界を眺める間。 青年の脳裏には思い出が巡っていた。 過去を振り返り、今へと繋がる数々の思い。 その中心が今は彼なのは、 この成り行きでは当然と言える。 青年の掌にはまだ感触が残り続けていた。
死を拒むように動き続けた心臓があると 首の肌深くから伝える脈動が。
肉の暖かさ、強張り、力の抜けた柔らかさ、 そして呼吸を望む喉の動きが ]
(14) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[かつて参加したゲームの中において、 誰の手も取れない孤独、 殺すか殺されるかしか道の無い絶望に加えて 青年の心を蝕んだ現実があった。
いかにつけ込み、唆して、自分以外を殺させるか。 そういう戦いに身を投じて、青年は思い知ったのだ。
勝利を目指せばこそ、青年は周りの者たちを 利用価値で分類することになった。
他の参加者全てが盤上の駒であるかのように。
そしてそのいくつかは青年が誘導して動かし、 殺し合わせ、盤から落とした]
(15) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[青年もまた排除され、最終局面には残らなかったが そのことで青年が覚えたのは安堵だった。
信用した「ふり」だけをして戦ってきた青年には、 裏切られた感覚など存在しなかった。
誰一人信用などできようがなかった以上、 悲しみも苦しみも怒りも抱きはしなかった。
ただ孤独と絶望だけがそこにあった]
(16) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[……だから。 あの言葉遣いは素なのでは、と思ってしまったとき 彼の悍ましさを感じると同時に、
近くで見守ってくれた人が、 他の全員から疎まれる役の側に立ってくれた人が、 味方してくれる、傍にいてくれる人が、いるのだと
──安らぎを感じてしまったのも事実だった]
(17) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[だが、青年は彼の手を取れなかった。 彼の人間性を悍ましく感じ、軽蔑もしていた。 だから、彼に手を組めるような相手と見込まれ 声をかけられたことに強い嫌悪と苛立ちがあった。
再びの生を餌に釣れると思われたことへ 青年が抱いた失望感は、 彼が己を理解してくれてはいないことへの 悲しみだったのかもしれないが。
一方で彼が示してくれた友好の情からの安らぎも 最期まで捨てきれず、縋るような言葉を漏らした]
(18) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[異なる道を選ぶことが青年にはできた。
そもそもゲームに参加しないことも 与えられた役に背いて皆殺しを諦めることも 嫌悪に目を瞑り彼と友好的に時を過ごすことも 彼の命を奪わない道を選ぶことも。 違う道を選べたはずでも 選ばなかったのは青年なのだ。 選べない道に進んだのではない。 選べた道を選ばなかった、それゆえの過ち。
彼のせいだと何度己に言い聞かせても、 そうではないのだと青年の本心は理解していた]
(19) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[自己嫌悪と絶望と諦観とに足を囚われ、 抜け出せない沼地に身を埋め、 さらにその底近くへと沈み込んだ気はしても、 まだ底にたどり着いた気はしなかった。 仮想空間の中とはいえ 直接、人を殺してみても、だ。 罪悪感も抱けないことに、 事後に飲んだココアを美味しく感じたことに ほとほと嫌気が差しはしたのに、だ。 垣間見たからなのかもしれない。 多くの人を殺した末、勝利を手にして 人を人と思わない存在に成り果てた己の姿を]
(20) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[だからこそ青年は終わりを望む。 まだまだ下があると思える今のうちに。 たとえ肉体が終わりを迎えることが叶わずとも せめて永久の眠りが妨げられないなら、 それはだいたい同じこと。 正しく終わりを迎える誰の元へも向かえなくとも 自分の行いの報いだと納得もできる。 わざわざ起こそうとする者なんて もういないはずなのだから。 ]**
(21) Siro_neri 2023/12/24(Sun) 14時頃
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[ ボタンのカバーは既に外した。 後はもうボタンを押すだけで良い。 流石に触れたくらいでは押せないので、
もう後は押すだけで ]
(22) 伽藍堂 2023/12/25(Mon) 09時頃
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………っは、ぁ、……は…、っ…―――
(23) 伽藍堂 2023/12/25(Mon) 09時頃
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[幾度目かの過呼吸状態となっていた。 ボタンを押す為でもあるがその場に座り込み 全身が震え出しているのをただ指先だけは抑えて。 それでも殺しきれない振動がボタンの表層を カタカタと揺らしている。
いっそ、押してしまった方が何もかもが楽だった。
指先が支点を得られる。 そもそもに震えを抑える必要が無くなる。 過呼吸の原因であるストレス対象を排除できる。
部屋の冷たさのお陰か思考は妙に冷静で 状況の把握も最適手もその後の展開すら描き、 対処と封殺の手筈迄全て考え尽くせていた。
だから押すだけなんだ。 なのに ]
(24) 伽藍堂 2023/12/25(Mon) 09時頃
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[あの時言われた言葉が何度も頭の中で蘇った。
今自身が行おうとしている行為が正にそれであり、 且つ自身も言葉の上で嫌がった行為でもあって。 だというのに決行しようとしている自身が 相当に馬鹿らしく、また相手の思惑通りの行動を 起こしている様に感じられてしまっていた。
押せば楽になれるのに 押せば生涯の屈辱を得る事になる
それが堪らなく不愉快で苦痛で悔しくて仕方なく 最後の一押しが出来ないまま数分も数十分も 膠着したままその場で頽れていた。
そうして。]
(25) 伽藍堂 2023/12/25(Mon) 09時頃
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……‥っ、う…、…っ ぅあ
(26) 伽藍堂 2023/12/25(Mon) 09時頃
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