8 Solo Assembly Letters
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狼
墓
少
霊
全
きみは自らの正体を知った。さあ、村人なら敵である人狼を退治しよう。人狼なら……狡猾に振る舞って人間たちを確実に仕留めていくのだ。
どうやらこの中には、村人が7人、智狼が1人いるようだ。
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大方の予想に反して、前触れはありませんでした。はじめに生命が失われ、暗闇と構造が失われたとされています。 そして、信仰と知識と、ついには暴力さえ。
やがて、かつての資源を得る見込みが失われてしまえば、この地球も、標識のない宇宙の煌きとなるのでしょう。
(0) 2021/04/15(Thu) 10時頃
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――主催のバグ対策本部――
[アップライトピアノの楽譜立ての上に、簡素な冊子が立てられている。 そのページがぱらぱらと捲れ、走り書きめいたタイトル――参加者の名前が覗き見える。 即興の練習曲の譜面のようなそれらは、ミスだらけの譜面だ。]
“ No.1 ヴィクトーリア ” “ No.2 キリト・W・キリシマ ” “ No.3 セクレタリアト ” “ No.4 ガブリエル ” “ No.5 暖琴 ” “ No.6 ジェニファー・バトラーズ/デアドラ ”
[いま、開かれたNo.6とNo.1のページ。 その譜面にひしめいていたあり得ない記号が少しづつ消え、本来の記号が足されていく――バグ修正は順調だ!]
(1) 2021/04/15(Thu) 10時頃
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ところでさ、グラーツィア。 “選手”の話を見ていて思ったんだけれど、その――… 君が連れてくるのは大分まずい相手がいるんじゃないかな?
いや、うん、虫の知らせ、なんだけれど。
[この時のセシルは、その「該当者」の正体を知っていた訳ではない。明確なヒントがあったとすれば名前程度だろう。 それでもこんな風に察することができたのは、セシルの“霊能者”の霊感故だったのかもしれない。“占い師”の力がある訳ではないけれど。
月明かり燦燦と降り注ぐバグ対策本部の天井からぽてんぽてんと封筒が2つ落ちてきたのは、そんな時だった。]
(2) 2021/04/15(Thu) 10時頃
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これ……僕ら宛ての手紙じゃないかな? ほらやっぱり君の文章じゃややこしくて分かりづらい! 追伸に書き添えておいて良かったよ! 見るからに小さな子供っぽい“選手”もいるし――…。
『異なるコトバの異世界同士を繋げたんだ。 書いたコトバの意味は、ワタシのまりょくで自動的に誰にでも通じるコトバに変換されるんだ。問題ないだろう?』
………そう上手くいくかな……。 難しい言葉は難しいコトバで翻訳されるかもしれないし。 そもそもこの世界、バグだらけだし……。
[届いた手紙に特に関心を示さず、相変わらず楽しげにピアノの鍵盤を叩く(※バグ退治をしている)グラーツィアの側で、セシルは封蝋で閉じられた2通の手紙を拾い上げた。
結論から言うと――送られてきた手紙の内容は、2通とも、この時のセシルの予想に反するものだった。]
(3) 2021/04/15(Thu) 10時頃
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奏者 セシルは、メモを貼った。
2021/04/15(Thu) 12時半頃
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ぶえっ
[次は誰に書こうかなー なんて書こうかなー
と自由帳にぐるぐる落書きをしていたら、すこんっと頭に何かが当たった。]
なんだあ……? お!手紙だ!お返事来たのか!?
[わくわく!と開いてみると、どうやら送ったのとは違う相手のようで]
(4) 2021/04/15(Thu) 12時半頃
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お返事じゃないのか?
[※手紙とは元々出す→相手が読む→返信する(任意)→届くの割と大きなタイムラグが存在するものです。 うーんうーん、と悩んでから、ぱっと顔を輝かせる。]
あ!つまりこれ、琴にくれたお手紙なんだぞ! わーい!嬉しいんだぞ!!
[両手を上げ、きゃっきゃとはしゃぐ。 にこにこ顔で鉛筆を取った。]
(5) 2021/04/15(Thu) 12時半頃
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[ボリボリと焼き菓子を口に運びながらお返事かきかき。 サクサクとした歯触りと、ほんのりとした不思議な甘みが楽しい。 なんていうお菓子なんだろう。]
よーし、かけたんだぞ!
[※なお、すべての手紙すべからく子供の字なのでぐっちゃぐちゃです。]
(6) 2021/04/15(Thu) 14時頃
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[一通目の封筒にペーパーナイフを差し込めば、白地の上の赤い猫の封蝋が砕ける。 蔦の形に型押しされた白地の上に踊るブルーグレイに、セシルは目を丸くした。]
……、……。
グラーツィア。 君の人選はわりと間違ってなかったんだね?
[ご機嫌なグラーツィアは、猫でも踏んで引っ掻かれる曲のように黒鍵を叩いている。 未だに信じられないといった態のセシルは、特徴的な筆記体をまじまじと眺めながらごちる。]
「水戸聖杯戦争」、だったっけ。 ここに居た人ってみんなこんな戦闘狂だったのかな。 戦争って大体、権力者に強制されるものだと思うんだけれど――。 そういえば東洋にはサムライっていう戦士階級がいるんだっけ。
[流石に「暴れん坊」な「ショーグン」という語は、セシルの脳裏には浮かばない、けれど]
(7) 2021/04/15(Thu) 15時頃
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……死んでもなお、か。
[本当にか細くぽつりと零しながら、気を取り直して二通目へ。 金で縁取られた優美な白地の上の封蝋を砕けば、中には封筒と揃いのデザインの便箋。 もう一枚入っていた「何か」には未だセシルの指は伸びぬまま。 清流を思わせる青い洋墨が形作る、読みやすく流麗な英字を読み進めていく。]
(8) 2021/04/15(Thu) 15時頃
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―――――――――…。
[ 虫の知らせは的中した。 ]
(9) 2021/04/15(Thu) 15時頃
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[セシル・グレースは今でこそ大都会の喧騒を離れて、音楽教師として慎ましく暮らしている。 だが、かつては「若き天才」として一世を風靡したピアニストだった。 社交界の花であり、王侯貴族や政治家、資産家との付き合いもあり、――――。
そうした権謀術数、悪意、欲望がすぐそばに潜んでいる環境を経験している身だったからだろう。 今手にしている手紙についても、字面通りの「お礼状」だとは解釈しなかった。
そして同時にセシル・グレース――“主の恩寵”の意を名に持つこの人間は、恩寵の齎し手である唯一の主の存在を信じながら(それ故に名高き天使の名も知っている)、その教えに背く罪人であるとも認識している。 それはこうして「地母神の末裔」を受け入れていることもそうだが、単純に「人間として」「ヒトとして」の罪を犯した、ということもある。その仔細についてはここでは語らないこととして――]
(10) 2021/04/15(Thu) 15時頃
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グラーツィアッ!! どうしてくれたの! さっきの発言は撤回! 君の人選は間違っていた!!
本当になんでこんな御方を呼んだんだッ!? …〜〜、あのね、これはね、 『だって面白そうだったし』で済む話じゃないから!
[まるであたかも「校舎裏に来い」という手紙を送りつけられた学生のように身を震わせるセシルの姿を見て、グラーツィアは(よりにもよって)件の手紙へと自発的に指を伸ばした。 この妖精、「唯一の神であらせられる方の御使い」からの手紙を、特に顔色一つ変えずにのんびりと読んでいる。]
まさかとは思うけれど君、自分で呼んだ相手なら自分の掌の上で踊らせられるだろうとか思ってない……? っていうかもう一枚、あったね、手紙……。
[おそるおそる、封筒の中に残されていたカードを摘まみ上げる。]
(11) 2021/04/15(Thu) 15時頃
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( ―――――…滅される )
『こちらは読み終わったから返しておくよ。 という訳でセシル、早くそっちのバグを治しておいてくれたまえ。 まだまだ世界の修復完了には程遠い現状だからね』
[正位置でも逆位置でも(一般的には)凶でしかないカードを前にして人間が凍り付く様にも構わず、妖精は平然と指示を出す。 とりあえず、今度こそ、気を取り直して、セシルはボタンだらけのマシンの操作に戻る。 手紙は2通とも、それぞれ元の封筒の中に戻し、月明かり映す窓の側に置いておいた。]
(12) 2021/04/15(Thu) 15時半頃
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[ 何度目かのやり直しの末に漸く 持ち手に指絡めたティー・カップを口に運びます。
( 二通目を書き終えたあと、 ちょぉっと” ひと仕事 ”を終えたつもりで いったん筆を置いたのですが... )
ぽとん、と抜けた音を立てて 手紙をポストが吐き出します。 その数、三通。 ]
あ、 ───ほんとうに届くんですねぇ。
(13) 2021/04/15(Thu) 16時半頃
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( ......と言うことは、ボクの手紙も そろそろ届いているころでしょうか? )
[まぁ。届いていても、いなくても。
・・・・・・・ 『一通目』のことはなぁんにも変わりありませんが せーっかく”こころを込めて”認めたお手紙ですから。 届いて下さったほうが嬉しいものですよねぇ。
( 届いた相手は ” どうか ” は知りません )
七分目まで注がれていた紅茶を半ばほどまで 静かに飲みくだし。ソーサーに返すと、それから・・・ 椅子の上に落ちた手紙をていねいに拾い集めたのでした。]
(14) 2021/04/15(Thu) 16時半頃
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[体感的にはおそらく一晩は経ったであろう頃。 されども明けぬ夜の帳の街は、まるであたかも時が止まっているかのようでもある。
この時、デアドラはその裸足の爪先を、かの聖パトリック大聖堂の屋根の上に着けていた。 ダブリン市街地には、聖パトリック大聖堂の他にもうひとつ、クライストチャーチ大聖堂が存在する。それもかなり近い位置に。 ひとつの都市にふたつの大聖堂が両立してきた経緯についてはここでは割愛するが、ともあれ、大きな方の聖堂に陣取ることをデアドラは選んでいた。]
(15) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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おいで、悪魔なアーチャー。 ううん、きっとあなたは――…。
[初めてその亡霊と顔を合わせた時には思い出せなかった、その正体。 もしかしたらあの聖杯戦争の当時も、バーサーカーは明確にはその真名に辿り着けなかったのかもしれない。 いまデアドラが――カルデアのマスターであるジェニファーがその真名を脳裏に思い描いていたのは、きっと――]
フランツさん、テオドールさん、フィデリオさん。 あなたたちと出会ってなかったら、わたしには永遠に判らなかったかも。
(16) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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譬えホンモノの悪魔じゃなくっても、 あなたっていう「無辜の悪魔」は 教会からお断りされるだろうってさ!
[「悪魔」のアーチャーそのものならぬギミックとしての亡霊は、「苦手な地形」を避けることなく、ただ『問答無用』に大聖堂の敷地に進んでいく。 そしてジェニファーの推測と目論見通り、亡霊の動きは、明らかに鈍った。]
よっし!! キャスター、あいつを一息にぶっ潰して!!
[振るわれた“旅人の杖”から、巨大な風のサルーキが生じ、亡霊へと真っすぐに牙を剥く!]
(17) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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[――地面に影色の黒い塵が舞い、積もる。 夜の闇の中でも不思議と見落とさなかったその塵の元へ、デアドラは近寄り、手のひらで掬い上げる。]
ねえポスト、塵を入れられる袋持ってきて! これ、持って帰りたいの。 妖精の作りモノだとしてもさ、 もしかしたら触媒にできるかもしれないでしょ?
[実際に元の世界に持ち帰れるか否かは兎も角、この時のジェニファーはその気満々であった。]
(18) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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[幾らか塵を防水袋に詰め込んでいた時に、ポストは不意に、投函口からふたつの封筒を吐き出した。 真っすぐに投擲された封筒はデアドラのほっぺを直撃。 なおそのうちの一つには、硬質な物体が同封されていた。]
い゛た゛ッ! アーチャーまだ生きていたの死ね!!!!
[再びの臨戦態勢に入りかけたところで、足元に不時着した白い封筒の存在に気付く。 そこではっと「文通」の語が頭を過り、おおよその正しい状況を把握したのだった。]
もしかしてポスト、わたしを狙ってぶつけてきた? 次にそれやったら令呪でブチ壊すからよろしくね。
[ポストはジェニファーのサーヴァントではないのだが、とりあえず警告はしておいた。]
(19) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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それにしても――。 なんだかあの時のこと思い出しちゃうな。 死ぬほど大変だったし、アイツらの所為で疲れたけれど……。
[文通ブームの時の「郵便局員」は、けれどもただ郵便業に従事していただけではなく、文通の当事者にもなっていた。 こうして実際に封筒の手触りに触れてみて、ふっと湧いた懐かしさから口元が緩む。
落ち着いた状態で手紙を読むため、大聖堂の屋内、椅子のひとつに腰を下ろす。 まずは一通目、赤い百合の封蝋で閉じられた白い封筒。 ペーパーナイフではなく、素手で、びりびりと封筒の開け口をはがして破る。 蝋に捺された赤い百合が、ぼろぼろ、白金のワンピースの上に落ちていく。]
(20) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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ヴィクトーリア。ヴィクトーリア! お墓がある郊外のお屋敷のヒトだ!
[デアドラは紫色の冊子内の「お墓がある」という文面まできちんと把握していながら、その先の肝心な情報を見落としていた。 『女の潰えた場所』。 そのことを頭に過らせることなく、癖の強い筆記体のカタチを為すブルーグレイを読み進めていく。]
うぃ? ほむ! へぇー! 他の世界のマスターだ! っていうかわたしの他にもマスター呼ばれてたんだ。 これなら妖精殺しにいく戦力はばっちりだね!
[このデアドラ、脳内で勝手にグラーツィア討伐隊の構想を描いている。]
(21) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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ふむふむ。うぃ? ……ほむ。 正直楽しくはないや。 怪我したら手紙も書けなく――… ……。
[亡霊に負わされていた肩の怪我は、いつの間にか、かさぶたになるどころか跡形もなく完治していた。痛みのひとつすらない。 人間・ジェニファーとしての生を歩んで以来、生じてこなかったこの現象。 デアドラは、苦虫を嚙み潰したような顔をした。]
…………、書くか。
[“宿命の女”。 譬え望まずとも、どう足掻いても衰えることのない美貌。「完成された女神」が如く変わらない風貌。 その「変わらなさ」故に、負傷してもすぐに修復されてしまう肉体。 そして、周囲の人間の意識を絶えず引き付け、魅了・悪意の増幅といった効果を齎す美貌。 そんな“宿命”の再来に対しての不愉快さを、一時でも大人の理性によって抑えられたのは、本音(だとデアドラは思った)の部分を二重線で消すというヴィクトーリアの対応を目の当たりにしていたからだろう。]
(22) 2021/04/15(Thu) 18時半頃
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[ちなみにこの“宿命の女”>>22、魅了や悪意の増幅といった効果は、あくまで相手が“宿命の女”当人と対峙して目視しなければ発動しない。 故に顔写真を見るという行為だけで、そうした効果が発動することはないだろう(「絶世の美少女」に見える、ということはあっても)。 そしてこの世界において、ジェニファー/デアドラと実際に対峙した者がそうした効果を受けることも(おそらくは)無い。 それにも関わらず「身体の急速な修復」がそのまま発動してしまっていたのは、おそらくバグの所為だろう。]
ちょっと減っちゃったけど、触媒には十分だよね? じゃあポスト、これ持っといて!
[相手がマスターや魔術師だと知らなければとても送ろうとは思わないだろうお土産を同封した封筒を投函した後、デアドラは黒い塵を詰め込んだ袋をポストにぽんっと押し付けた。]
(23) 2021/04/15(Thu) 19時頃
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[手紙の返事を書き終えて、本当は行きたくない桜へと歩く。 見上げる桜はあのときとおなじ、不吉な程に真っ赤。]
でも、琴はもうお前なんかに願わないんだぞ。
[その気持ちに変わりはない。]
(24) 2021/04/15(Thu) 20時頃
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[父と母が大好きだった。 外国からやってきた父と、この地で生まれ育った母。 変わり者同士だった2人は、何よりも何よりも自分を愛してくれて、そんな2人が自分も大好きだった。
ある日のことだった。 いつも通り遊んで、いつも通りに帰って いつも通りに優しい母に迎えられて、3人で夕食を囲む
はずだった。]
(25) 2021/04/15(Thu) 20時頃
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[あれから家の時間は止まったまま。 並べられた食事はそのまま。 ただ、父と母がいたはずの痕跡だけを残した家。
人がやったのか妖がやったのかはわからない。 ただ、その2種の共存を望む、内外の国の夫婦はあまりにも異質で、1部の者にとってあらゆる意味で疎ましかった。]
(26) 2021/04/15(Thu) 20時頃
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[だから、桜が冥府の扉を開くというから。 逢えなくなったひとに逢いたいから。 そのためなら、なんだってしてやると。
亡者の扉とわかって開きたかった。 だって、極楽浄土になど行けない。 そういう妖だから。 2人は、それを開けなければ逢えないと思ったから。 たとえそれで誰がどうなろうと、構いやしなかった。
ただ、もう一度名前を呼んで、抱きしめてほしかった。]
(27) 2021/04/15(Thu) 20時頃
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さっさと枯れちまえ!バカ桜!
[いー!と舌べろ出して威嚇して、また背を向けてしまえばそれでおしまい。 ちょっと滲んだ視界をぐいと袖で拭って、また町へと戻って行った。]
(28) 2021/04/15(Thu) 20時頃
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[2通の手紙を送り出してよりしばしの後、 青くなったポストが吐き出したのもまた、2通の手紙。 もうお返事が、と首を傾げてそれらを拾い上げ]
……あら、そうじゃないみたい。
[ふんふん、とペーパーナイフで開封しては読み進め]
(29) 2021/04/15(Thu) 20時半頃
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デアドラさんに、ヴィクトーリアさん、……と。 馬の秘書……そう見えるのかしら。
[クスクスと笑う。まあ、生半な馬よりも バタバタ忙しそうな人たちでしたけど!] お返事、考えましょうか。
[笑みをそのままに、またペンを取る]
(30) 2021/04/15(Thu) 20時半頃
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[続いて、二通目の手紙。 「ジェニファー・バトラーズ」と「デアドラ」の両方を清流を思わせる筆記体で記した、やや青みがかった白封筒。 手触りからして上質な紙と判るその封筒の開け口を、全く惜し気もなく、素手でびりびりとはがして破って開封していく。 破いた時の勢いで、封筒の中のもの(さっきほっぺに封筒越しに当たって痛かった物体を含む)が軽くがさごそと音を立てた。]
あ。 これ、百合? そういえばさっきのも――。
[そう気づいた時には、封蝋は見事に砕けてワンピースの上に散らばっていた。 先程のヴィクトーリアからの赤い百合の封蝋の欠片と合わさって、蝋の百合は無残な姿になっていた。]
(31) 2021/04/15(Thu) 21時頃
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そういえばキャスターが言ってたっけ。 「あいつは百合で優美に見えても、 そこまで優しくはない」って。 やっぱり百合って武闘派のシンボル? このヒトも?
[この時デアドラは、まさかこの手紙の差出人がその「あいつ」だとも、また異なる世界における似たような存在であるとも、微塵も思わなかった。]
(32) 2021/04/15(Thu) 21時頃
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[ともあれ、まずは手紙の文面に目を通しはじめ――
ある一語を目にしたその瞬間
力いっぱい、便箋を横に引っ張って破いた。]
(33) 2021/04/15(Thu) 21時頃
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殺すか。
[破かれた便箋は、はらはらとモノクロームの床の上へ。 大聖堂で「天の御使い」からの手紙が破り捨てられるという凄まじいシーンである。]
よし、妖精と一緒に纏めてころ――――…。
( 似たようなこと、 言っていたやつ、いた、かも。 )
[ふっと、未だ思い出せない「誰か」への引っかかりを覚え、暫しの沈黙。 ややあってデアドラは身を屈め、椅子の下に落ちた紙片を摘まみ上げ、割符のように合わせた。 届いた言葉を「無意味なもの」の如く切り捨てることはせず、努めて冷静を保って、未だ読んでいなかった文面を辿っていく。]
(34) 2021/04/15(Thu) 21時頃
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天の御使い。御使い―――…あ。 ガブリエル。 そっか。あなたって、そのガブリエルか。
[紫色の冊子の中にあった名前のひとつを思う。 顔写真だけでは「ただのロンドンっ子」としか特に思わなかった、神父服の青年。]
キャスターが呼ばれてたら話が弾んだかな。 いや、一悶着になってたかな。 ……ううん、そもそもあいつの知ってる「ガブリエル」じゃないか。
[紫色の冊子の中の『月明かりの倫敦』の情報は、よくよく読めば所々「変だ」とジェニファーにも思える内容だった。 異界の存在を思わせる「表の世界」「双生の月」は無論のこと、21世紀の人類の知識として、19世紀の英国女王は「エリザベス」ではないと思っている。 つまりガブリエルの世界はそういう「色んな世界」ということなのだ、と理解していた。]
(35) 2021/04/15(Thu) 21時頃
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[便箋を一旦おいて、他に同封されていたものの存在を確かめる。 一つは百合のレリーフのあしらわれた無銘のカード。 もっともここまでくれば、「百合」が事実上の署名なのだろうだと理解できた。 (だからといってヴィクトーリアまでこの御使いなのかと考える程、この時のデアドラの思考はぶっ飛んではいなかった)
そしてもう一つは――神秘の籠ったチャーム。 封筒の奥にあるのを一目見ただけで、これが神秘を宿したものなのだと、魔術師でありサーヴァントでもある者には判った。 摘まみ上げてよくよく形状を確かめれば、それは柄が黄金で誂えられた小さな剣。 封筒に入る程度のごく小さな、聖なるものから送られた剣を、まじまじと眺めて――]
(36) 2021/04/15(Thu) 21時頃
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……なにこれ?
[元の世界への帰還後、アザリアをはじめとした各方面の関係者、及び魔術師たちによる『ローランの歌』の講義が始まるか否かは定かではない。]
(37) 2021/04/15(Thu) 21時頃
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……、……。 とりあえず、ありがと、って言っとくべき?
[いまいち素直に喜べない中、小さな聖剣のチャームをワンピースの腰帯の辺りにぎゅっと差し込む。 ちなみにその複雑な感情の中に、相手が「19世紀の大英帝國」のロンドンっ子だから、というものは特に無かった。これは相手が「天の御使い」だと知らずともおそらくそうだっただろう。 デアドラとしてもジェニファーとしても、「英国の一部」としてのアイルランドを生きた身ではない。 ――人類史の記録を知る者として、そしてその時代の文学者に題材として取り上げられた存在として、まるで何も知らない、という訳ではなかったのだけれど。
そして素直に喜べないこの「不運」の伝承の主役は、「アルスター」の存在を把握しているこの御使いに向けて、大分ぐずぐずとした態度で筆を取り始めるのだった。]
(38) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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[確実に終わりが来ると分かるなら、 『待つ』という行為も悪くはない。
実際、かつて男は『待つ』ことに人生を費やしていた。 可愛い彼女からの手紙を待っていたのがほとんどのようでいて。 その心の奥で、きっと、もっと大きな事象すら待っていた。
―――つまりはいつ来るかも分からない手紙やら、 世界の修復やらを座して待つのは受け入れた。 たとえこのフィールドが明けない夜に包まれていようとも、 少し外を散歩した際に、白い梟と睨み合いを繰り広げることになっても。
そうして(体感時間的に)一夜が明けた]
さて、
[何かを呟こうとした直後、赤いポストが背後からタックルしてきた。 何故だ]
(39) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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[アマリリスのメロディが、炊飯器から流れる]
できたできた! このきらきらした白米を見るのが好きなんですよう。 納豆とたれを混ぜて、ごま油をちょっと入れて、 ほかほかごはんに盛り付けて、 最後に卵を割って完成!
いっただっきまーす。
……んーーーーおいしい!! 納豆なら何でも好きですけど、 やっぱり一番はごはんに乗せる納豆ですね! もう最高にしあわせですよう!
(40) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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……でも、
[ふと思い出して、遠くを見る目になる]
みんなで食べるごはんも、おいしかったですね……。
[過去を懐かしんでいた、その時だった]
(41) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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…………。 なんですか寝起き早々に。
[まるで犬のような振舞いのポストの口の部分を覗いてみると、 そこには確かに手紙が入っていた。しかも3通も]
そういうことならご苦労様、と言っておきましょう。 しかし突撃するのは良くありません。
[何はともあれペーパーナイフを手に取り手紙を読み始めたのだが]
(42) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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……!?
[ふいに眼前に、人影が現れる。 薄墨で塗りつぶしたような、文字通りの人影が、4つ。 椅子に座ると、まるで何かを食べるような仕草をする]
これって。 シャドウサーヴァント……じゃあないですよね。 もっと純粋な、影、みたいな……。
……あっ! これって春暁さん? こっちがランサーさんで、 イヴァンさんにキャスターさん?
(43) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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…………はい?
[程なくして男の眉間に皴が寄った。
それというのも届いた手紙のうち2通について、 男の名前についておおよそ似たようなことが書かれていたからだった。 そうしてそれは男にとっては視点の外よりもたらされたものであった。 ためしに封筒の裏側に自分の名前を書いてみる。が、全然そのようには見えないのだ。
流麗なアルファベットの筆記体で書かれた名前がそこにある]
…………これは、いや。深く考えるまでもありませんね。 異世界は歴史すら違うのですから、 言語体系が違っても何ら不思議ではない。
……、返事を書きましょう。
(44) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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…………。 そう、こうやってご飯を食べてた。 みんなお酒は飲まなかったし、 納豆アイスは誰も食べませんでしたけど。 そういえばイセポのオソマ? って結局なんて意味なのか、聞いてませんでしたね……。
[追憶が再生される。 誰も喋らず、ただ影は箸を口に運ぶ仕草をするのみ。 それでも本当に得難いものを得た笑みを見せながら、 静かに食を進めた]
(45) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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……ごちそうさまでした。
[その一言とともに、影はするりと消え失せる。 余韻に浸った後、 お茶でも入れようと席を立ったときだった]
わっ! ええっと、お手紙、ですか?
[そばにいたポストがぽん、と手紙を一通吐き出した]
もうお返事が来たんでしょうか? とりあえず紅茶を用意して、 腰を据えて噛み締めて読みましょう。
(46) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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[そうしてエースティのアールグレイを楽しみながら、 封筒を取る]
あ、このインクきれいですね〜。 封筒からもう高級感があふれていて素敵です。
[優美な装飾に真白の紙を撫で、 取ってきたペーパーナイフで封を切る。 入っていた百合の押し花のカードに目を細め、 大切に置くと、便箋を広げた]
(47) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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[そして、中身を読んだ。 結論から言えば、それは送った手紙の返事ではなかったのだが]
…………………………。 天使様ーーーーー!?
ちょ、ちょっとまってください! 本物ですか!? いえ私の世界にいるかもしれない天使様とは違うでしょうけど! ふつうの魔術師と違って私結構信仰心あるんですよ!
ってことはこれ天使様の直筆です!? どどど、どうしましょうどうしましょう!? こんな貴重なものいただいてもいいんですか!?
[ずざっと背中で椅子を押して、手紙から距離を取る。 後光が差している幻覚すら見えた]
(48) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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そ、そうだ、お返事書かなきゃ失礼ですよね。 天使様にお返事……恐れ多い……。 でも書かなきゃ。うう、緊張するう……。
[結局、20(0..100)x1回書き直した]
(49) 2021/04/15(Thu) 21時半頃
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ええっとぉ... これも、お手紙ですか?
[ いちばん最初に手に取ったのは ほかの手紙とは毛色の違うものでした。 (なんと言うか、お手紙と言うよりは────── ボロボロの『紙片』のようでしたけれども、ね? )
それでもところどころ穴の開いた 長さの違う二枚の紙切れをイタズラだと 捨ててしまうことにしなかったのは、
そこに踊るのがまるで小さな子が書いたような おさなさのある字だったからでした。 ]
(50) 2021/04/15(Thu) 22時頃
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( ひともばけもの好きじゃあありませんけど... ボク、こどもは好きなんです。 ...だぁって、無垢ですから。 )
・・・・・ [ 時と場合と────── いい子に限りますけれど、ねぇ。 ]
(51) 2021/04/15(Thu) 22時頃
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うーんと...。 これはこの字でしょうか? こちらはこうで.... っと...
[...書かれているおことばが理解できたとしても 虫喰いのように穴が空いていたり、 文字が反転していると文面を読むのも まるで暗号解読のよう。
あれでそれで、と二枚分の文量としては少ない文字を ようやく読み解くともう一度最初から読み直して... すこうし考え込むように。
羽根ペンのはじっこを口元に宛てがったのです。]
(52) 2021/04/15(Thu) 22時頃
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[……ところでジェニファー/デアドラは、紫色の冊子の一体どこに「エリザベス」の語を見たのであろうか>>#6>>35。
今のバーサーカー・デアドラは、おのれの契約下のサーヴァントの武器を使役する。 その中には、契約下とはいえ、完全に御せる自信のない相手もいる。 具体的にはライダーとかライダーとかライダーとかライダーとかライダーとかライダーとかアーチャーとかライダーとか。
そんなライダーの「武器のレプリカ」が今のデアドラに紐づけられた結果、その「武器」が誤作動を起こして幻のエリザベスが見えてしまっていた――。 これは多分、そんなオチなのだろう。 ……この詐欺めいたうっかり勘違いにジェニファー/デアドラが気づくのは、億劫な手紙を書き進めていく最中でのこと。]
(53) 2021/04/15(Thu) 22時半頃
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ふむ。 今朝は南瓜のスープにしましょうか。
[一通目のお返事を投函した後、 朝の来ない夜の中で呟けば、家の中の南瓜を持ってきてポストにどうにかできないか命じた。 するとなんということか、まるで見えない手でもあるかのように、 調理道具を操り始めた。 これには男も満足である。
テーブルに戻れば黒猫と視線が合う。 正確には二通目の封筒を封じていた黒猫の封蝋とだが。 改めて中身を読み、思いを馳せるのは、 この森で確かに紡がれた、これからも紡がれ続ける物語。 それは光と闇が並び立つまでの物語。 あるいはI《愛》の物語]
(54) 2021/04/16(Fri) 02時頃
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[ところで男の中には一片気になることがあった。 この手紙をくれた者のフィールドの説明には「女の潰えた地」とあるが、 ならば今の彼女は幽霊なのかそれとも何らかの形で復活できたのか。
いかな魔術師の称号を持ち、 セカイを駆けた戦いにも首を突っ込んだことのある男とて、 一度死んでから蘇ることが普通ではありえないこととは分かっている。 奇跡的と言い換えてもいい。 (あとおそらくあの戦いの中で二度死んだのは己くらいのものだろうといういらん自負もあるが、おおよそこの場には関係のない話である) 故に幽霊の方だろうと考えてはいるが――]
(55) 2021/04/16(Fri) 02時頃
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[かといってさすがに「幽霊となった気分はどうか」と訊くのは気が引ける。 識りたいのは世界の話であって幽霊の生態ではないし。 興味がないと言えば嘘になるが。
あるいは。 一度死んだことのある身として、魂の安息に思い馳せる気持ちもまた――]
(56) 2021/04/16(Fri) 02時頃
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そういえば…… 死んでいた時期のことはほとんど覚えてないのですよね。 過去の夢でも見ていたり……何やら歌が響いていたような気はするのですが。
[呟きつつ二通目もポストに投函した。 南瓜のスープはそろそろできる頃合いだ。小休止としよう]
(57) 2021/04/16(Fri) 02時頃
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[ 投函し終えてから、一冊目の送り主について パラパラと本を捲ってみます。
フィールドに書かれた『妖怪』と言う文字、 これはボクはナイトウォーカーに近いものだろうと 思っていたのですが───────。 ]
...かれらのようであっても。 主の威光を忌避しないものもいるんですねぇ?
(ひとの血でも混じっているのでしょうか、と独りごち。 彼女のご両親がどういう存在の”それ”か、 このときのボクはまぁったく知りませんでしたから。 わずかに持ち上がった興味をそこそこに。 ]
(58) 2021/04/16(Fri) 03時半頃
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( 手に取ったふたつめのお便り。 クローバーが漉き込まれていることに気付くと、 ステンドグラスを通して差し込む月明かりに 翳したりなんかして────────。 )
これは────、 .....うーんとぉ。 彼女からでしょうか?
[ 便箋の上に踊る真っ青なインクの中に 赤い『蹄と模した一筆書き』は ひときわ目に飛び込んできます。
添えられたサインといっしょに冊子と 照らし合わせながら文面に目に通しました。 ]
(59) 2021/04/16(Fri) 04時頃
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[ ───────こぼれ落ちるのは、凍りついた笑み。 ]
(60) 2021/04/16(Fri) 04時頃
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( ええ、見た目によられませんよね! .......ほんとうに。 )
[飲み残していた紅茶をもう一口、口に付けようとして すっかり冷めていることに気付いてしまったものですから 嘆息と同時に筆を執ることになるのでした。
...残念ながら、こういうことに嬉々として賛同しそうな 脳筋のウリエルじゃあないんですよねぇ。ボク。]
(61) 2021/04/16(Fri) 04時頃
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・・ [ 書面にかかれた『それ』が相手に どう見えるか疑念が残る出来と言うことに この天使は気付かないまま、二通目を投函した。 ]
( では残りのもう一通を───── ... と 手に取り掛けた封筒をまじまじと見ると いちど、ゆびを止めかけました。 )
(62) 2021/04/16(Fri) 08時頃
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[ 送り主によって「問題ない」と判断された、 常夜の国の空を彷彿とさせるような闇色の封筒と その封を封じる凶兆の月のようでありながら 欠けた月がしつらえられた封止めのシールの─────
まるで魔女の宴《サバト》のようないでたちの手紙は しかし御使いの目を引くには充分だった。 ]
(──────ボクの正体もしらないで。
『大魔術師』に影の英国の魔女や 魔術師たちが送ってくるもののなかには この手紙に良く似た『招待状』のようなものを 受け取らせていただくようなこともありましたけれど...
たいていは暖炉の炎の中。 )
(63) 2021/04/16(Fri) 09時半頃
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[とは言え、 せっかくこのような場で頂いたお手紙ですから。 見た目だけじゃあそのようにしませんよぉ?
( ...いまのところは。 )
ていねいを封を切って、 それから─────三通目への筆を執るのでした。]
(64) 2021/04/16(Fri) 09時半頃
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[紫色の冊子を側に手紙を書き進めながら、しっかりちゃっかりポストには命令を出しておいた。 「ここのお土産も全部持ってって!」と。
この時ポストが大聖堂のショップからかき集めたメダイや靴下(やはり、なぜかあった)を、けれど特にこの時手紙に同封しなかったのは、別に東洋で言う「釈迦に説法」を意識したからではない。 先ほどのカレッジでかき集めた土産物すら詰め込まなかったのは、未だ燻る不愉快さの所為だったのだろう。 『ケルズの書』の天使の挿画を印刷したポストカードに変な細工をして封筒に詰め込まなかった辺り、結果的にではあるが、良心的だった。]
(65) 2021/04/16(Fri) 09時半頃
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[さて、文字通りの人でなしであるグラーツィアは兎も角、セシルはあくまで人間の身である。 すなわち、食事も睡眠もなければ十分には動けず、生命活動も維持できない。 もっともこの妖精の世界においては、飲まず食わず眠らずであっても命あるものが死ぬことはないだろう。 それでもお腹が空いたり眠くなったりという生理的な欲求は、少なくともセシルの身体からは消えてはいなかった。]
(66) 2021/04/16(Fri) 09時半頃
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[この時、セシルは対策本部室から扉一つ隔てたベッドルームで眠りに就いていた。 グラーツィアひとりでピアノの鍵盤を叩き、ペダルを踏み、マシンのボタンを操作し――。 ふっとその作業の手を止め、月明かりの窓の側の封筒に手を伸ばす。それら手紙のすべてに目を通してから、新たに便箋を手元に出現させた。
このタイミングで手紙を読み、手紙を書いたのは、別にセシルの目がこちらに届かない時だったからではなく、あくまで偶然だ。 妖精は気まぐれに、気の向くままに、「運営側からの返信」を認める。 そのうちの1通は、もし仮に隣にセシルがいたならば、確実に投函を止められるか大々的に修正を施されるかするような内容だ。 もう1通の方は、制止まではされなかっただろうが、それでもセシルはいい顔をしなかっただろう。]
(67) 2021/04/16(Fri) 09時半頃
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[ところで3通目を前にして男がまず最初にしたことは、 封筒の中に入っているものを引っ張り出すことであった。 二つ折りにされていたそれを開いて様々な角度から眺める。 たいへん感心している]
これは……折り目があるのがあまりに勿体無い。
[それからふと思い立ったように家の中を探り始める。 あのように手紙以外の贈り物が可能なら、 己もやってみようかと思った次第。 本の栞を作り出したのは最近だし、そうなるとやはりコレか…… と思ったものを(脳内で可愛いマーゴに許可を取りながら)持ち出した後ペンをとった]
(68) 2021/04/16(Fri) 10時頃
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