15 青き星のスペランツァ
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雲水 ハロは、メモを貼った。
2021/11/09(Tue) 20時頃
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――帰艦後――
[MISSING。LOST。 その言葉の意味を知らずに調査員になることはない。 気楽に好き放題探索しているハロだが、それでもこの可能性が常につきまとっていることは知っている。 知っているからこそ、ひどく悲しんでいた。
アシモフが見つかったのは、ハロの探索していた岩場から少しの距離だったという。 もしかしたら。もしかしたらハロがあそこで眠ったりしなかったら。もう少し、慌てて帰らなかったら。 LOSTになる前に、アシモフを見つけることができたんじゃないだろうか。
それを知るまでは、帰艦待ちしていたライジの腕の中にぽーんと飛び込んだりもしたのに。 採取瓶の中身を意気揚々アリババに渡してくるくる褒められたがったりしたのに。 ふより、ふより、今は飛ぶ勢いがいつもよりずっと遅い。]
(55) 2021/11/09(Tue) 21時頃
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[ふよん。 力なく飛んでいた浮遊種は、声をかけられて>>57止まる。]
ハロ、だいじょうぶ。
[そうは言うものの、まっすぐケトゥートゥの腕の中に飛んでいって、抱きとめられるならそのままきゅっと丸くなる。 だいじょうぶ、だいじょうぶだけれど、いつものようにきゃっきゃと遊び回る気になれないだけだ。]
(58) 2021/11/09(Tue) 21時半頃
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ケトゥ。 ケトゥ。
[ケトゥートゥの頬や、鼻先や、髪。 確かめるように、しっぽでついついと何度も触れる。 いつも"ごっこ遊び"のようにしている、分析の真似事だ。 普段は本当に真似でしかないが、本来浮遊種同士の交流にも使われるこの行為。 ハロ自身の意思を込めれば、僅かに相手の意識のようなものを読み取ることができる。]
ケトゥ、いきてる? ロスト、してない?
[当たり前、当たり前のことなのだけれど、確かめたいのだ。 こうして確かめて、安心したかった*]
(59) 2021/11/09(Tue) 21時半頃
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いきてる。 いきてる。
[>>60よかった、とほっとする。 つんつんしっぽはまた二、三ほっぺたをつついたけれど、くるりと巻いてケトゥートゥの腕の中におさまった。]
あっつい、ハロはだいじょうぶだったけど…… うん、だいじょうぶ。だいじょうぶ。
[けど、の向こう側にはアシモフのことが隠れている。 アシモフは、だめだった。ハロが大丈夫なところでも、だめだった。 あるいはポイントがずれていたら、ハロがああなっていたかもしれない。 そう思えば、あまりだいじょうぶと笑えなかった。]
(62) 2021/11/09(Tue) 22時半頃
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ハロは、いかない。いかないよ。 ケトゥは、いくの。
[ハロは、連れて行かれるならまだしも、自主的に安置室に行ったことがない。 苦しまないためにも、別れは遠ざけるに限るのだ。 深く触れても、痛みが増えるばかりだと思う。 それは、視界を霧に閉ざされた星の種族が持つ、ある種刹那的で永遠にも似た死生観。 見えなければ、見なければ、どこかで生きていると信じることができる*]
(63) 2021/11/09(Tue) 22時半頃
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ハロは、いかない。 いったら、ほんとになるから、いかない。
げんきなのが、さいごのままでいい。
[>>68なるも何もとうに本当のことであるのは、ハロもわかっている。 わかっているから、あんなふうにふらふら飛んでいたし、アシモフの名前を口にするのも避けている。 だけど、ハロの中で本当の本当にしてしまわないために、確かめることをしないのだ。 モイラの浮遊種は見送るという風習がない。 葬送という習慣がない。 死した姿を目にしない。記憶に焼き付けない。 そうしないことで死者といつまでも生きるのだ。]
ケトゥは、いってくる?
[それなら離れようかと、腕の中で身じろぐ。]
(69) 2021/11/09(Tue) 23時半頃
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[>>74価値観の違うケトゥートゥが、わかると言ってくれたのは少しうれしかった。 ハロは、動かないアシモフに会いに行くのはさみしいし悲しいことだと思うので、葬送の概念はあんまりわからないままでいるが、それでもその文化を持つケトゥートゥが、持たないハロを受け止めてくれたことがうれしい。]
うん、うん。もり、いこう。 もり、いしとはちがうもんね。いろんなとこ、いく。
[だから、明日の約束に返す言葉はさっきまでよりずっと明るかった。 するりとケトゥートゥの腕の中から離れても、さみしくなかった。 ふわり、しっぽを揺らめかせながら、安置室とは反対に飛んで別れる*]
(75) 2021/11/10(Wed) 00時頃
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雲水 ハロは、メモを貼った。
2021/11/10(Wed) 00時半頃
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――翌日――
[ハロはケトゥートゥの出発準備が整うまで、腰に採取瓶のベルトを巻いたまま、データ管理区域のあたりとロビーのあたりをふよふよ行ったり来たりしている。 今日は珍しくアリババが外に出ているらしいので、"お土産"の情報更新は遅くなるとわかっていても、なんとなく、なんとなく自分の持ってきたものの成果は気になるのだ。調査隊たるもの、皆そうだろう。 なにせ昨日は水を持ってきたのだ。それも木々に溜まる朝露のようなものでなく、岩の間から吹き出すもの。 マーレ10は水資源の多い星とわかっていても、やはり収穫としては大きい。加えて鉱物や生体のサンプルも、となれば、初日にしては上々も上々。 いっぱい褒めてもらえるのはいつになるだろうとうろうろしてしまうのもしかたないというものじゃないか。
うろうろ。うろうろ**]
(85) 2021/11/10(Wed) 02時半頃
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雲水 ハロは、メモを貼った。
2021/11/10(Wed) 02時半頃
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――2日目:ケトゥートゥと>>97――
ケトゥ、イーヤー。 さがしてないよ、さがしてない。 きのうのおみずとか、むしとか、どうだったかなぁって。
[データを確認したいが、ケトゥートゥとも出かけたい。 ケトゥートゥを待たせたくないから、あっちへうろうろ、こっちへうろうろ。 ある意味、探していたとしたらケトゥートゥをだ。 そんなつもりないから、言わないけれど。]
だいじょうぶ、ハロ、とべる。
[ホバーの気遣いは嬉しいが、これでも立派な調査員。 飛んでることが基本の生態でもあるし、体力の面では心配はいらない。]
(116) 2021/11/10(Wed) 21時頃
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ギロ、おべんと? おてつだい? きょうはおでかけ、しないの?
[ヨーランダのかわりに携帯食配布をしているギロチン>>100から、採取瓶ベルトのサブポーチに携帯食を詰めてもらえば、準備万端。 ギロチンのふわふわの毛並みは、ちょっぴりアシモフのことを思い出す。 いっしょにあのふわふわに顔をうずめて、もふもふしたこともあったっけ。 思い出は少しせつなく、けれどしあわせだ。]
じゃあ、いってくるね!
[ケトゥートゥ>>110の言葉にあわせて、タラップからふわりと飛び上がった。]
(117) 2021/11/10(Wed) 21時頃
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ハロは、ライジとすれ違ったのでばいばいした。
2021/11/10(Wed) 21時頃
雲水 ハロは、メモを貼った。
2021/11/10(Wed) 21時頃
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――森へ飛びながら――
ねえ、ねえ、ケトゥは、キラとは飛んだことある?
[ケトゥートゥのホバーの翼を見ながら、ふと問いかける。 キランディの翼は大きな翼だ。 羽ばたけば風が起きるし、ハロは気をつけないと飛ばされてしまうので、なかなか一緒に探索はできない。 もちろん一緒に探索ができなくたって、キランディはやさしいし、だいすきだ。 だけどホバーのもののような大きな翼がハロにもあれば、一緒に飛んだりできるのかもしれないと思って、聞いてみたかった。]
(118) 2021/11/10(Wed) 21時頃
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――森林地帯――
[道中の先導はハロの仕事だったが、森についてからはケトゥートゥのほうがずっと向いている。 植物にも詳しいし、話ができるとも聞く。ハロには葉っぱの声は聞こえない。 ハロはといえば、風が吹いて土の匂いが運ばれるのに任せて、ふわり、ふわり。 ケトゥートゥでも入れないような狭い獣道や、ホバーでは上がりにくい入り組んだ樹上の探索をしていたろう。 木の実や葉っぱを取ってほしいと頼まれたら、小さな口で根元をかじって、しっぽで捕まえ届けたし。 樹液を垂らした樹があれば、採取瓶に集めたついで、お先にぺろりと一口舐めてみたり。
危機意識の低い行動は、見るものに不安を与えそうだが、本人は至ってちゃんとやっているつもりだ。]
(134) 2021/11/10(Wed) 23時頃
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そっかー。
[>>136ホバーくらいの翼があっても、キランディと飛ぶことはないらしい。 確かに、ホバーはハロの背丈くらいしかケトゥートゥを浮かさない。これではあの大空を飛ぶには足りないのか。 ただ翼があるだけでは条件を満たせない。飛ぶとはかくもむずかしいことだ。]
ケトゥがいっしょにとべるなら、ケトゥにくっついてたらとべるかもしれないっておもったのになぁ。
[生まれて間もない頃から自由に浮けるハロでも、大きな翼のあるホバーでもだめなら、もしかしたらキランディは少しさみしいかもしれない。 キランディの翼は見惚れてしまうくらいかっこいいけれど、今度は飛ばないことも提案してみようかな、なんてなんとなく考えた。 明日には忘れちゃうかもしれないけどね。]
(141) 2021/11/10(Wed) 23時半頃
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! そっか! ケトゥあたまいいね!
[>>143そうか、キランディに抱いてもらったらいいのか! ハロは自分が飛べるせいで、どうしたって自分が飛ぶことばかり考えてしまう。 いや、さっきはケトゥートゥにくっついていく話だったのだけれど、それも自分がホバーの翼を得るための方法の一つだったから、自分が飛ぶの亜種だったのだ。
ケトゥートゥにくっついて飛んでもらうのだったら、キランディにくっついて飛んだっていい。 キランディには少し負担をかけるかもしれないけれど、聞いてみる価値はありそうだ。]
スーパーすごいも、できたらいいね! そしたら、ケトゥともいっしょできるもんね!
[新しい視点の気づきを得て、それはもうハロはごきげんだ。 森の探索も、るんるん気分でこなしてしまった。 今日の反重力パンのカメラ映像は、飛んだり跳ねたり忙しいことになる*]
(144) 2021/11/11(Thu) 00時頃
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