32 Zug Zwang
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[何か言葉を発しようかと青年が彼のほうへ 視線を向けようとしたのより一瞬早く、 彼が手の中の温くなったカップを奪っていった。 唖然として見つめる中、大部分残っていた中身は すっかり飲み干されてしまい] ……ふ、……ははっ……! [なんとささやかな反抗なのか、と思った瞬間、 青年は笑い声を漏らしていた。
耐えきれない様子で笑う姿に嘲りの意図はなく、 相当に和まされたがゆえの笑いで。 子どもの悪戯を見て楽しんだようなものであったが 彼の気分をさらに害す可能性は頭の隅にはあった]
(77) 2023/12/21(Thu) 22時半頃
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あなたもその子も殺さないと言っているんですよ。 仰る通り、ここで殺しても無意味ですので。 何度も殺すという楽しみ方はあるかもしれませんが その子に対してそうする趣味はありません。 ぼくがここから出ることは叶いませんし、 残された時間もあと僅かです。 どうぞご安心を。 [笑いはすぐに落ち着いて、その後。 警戒を続けていた彼へと改めて伝えると、 青年は席にもたれかかって天井を眺めた]
(78) 2023/12/21(Thu) 22時半頃
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あなたの言う通り、ぼくは“そういう人間”だ。 それを思い知ったからこそ、 もう生きていきたくはないのです。 父のことも、自分で殺す気は無かったのは、 極限まで……再起不可能な状態まで追い詰めたら あの人が何を選ぶかを見たかったからなんです。 自殺してくれれば一番いいと思っていました。 死が最良と思ってはいましたが、あの人のために 殺人犯になどなりたくないですしね? ですがそれ以外でも、最後に自分で どんな道を選ぶのかを見てみたかった。 それで思ったんですよ。 高みの見物を決め込むあなたと変わらない、とね。
(79) 2023/12/21(Thu) 22時半頃
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[何も気負うことの無い気楽そうな様子で 秘めていた思いを吐き出すさまは、 彼にどう映っただろうか。 彼以外に見せることはない姿だろう。 青年はずっと好人物を装い続けていたのだから。 その全てが偽りであったわけではなく、 今青年が語った思いだって一面でしかないのだが。 青年の絶望と諦観の根源は自己嫌悪。 青年が忌み嫌う人種のなかに 自分自身が入っていることに気付いてしまったのだ。 あのゲームに参加したのをきっかけに。 それが始まりであり、終わりだった]**
(80) 2023/12/21(Thu) 22時半頃
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ぼくは甘いものが飲みたい気分だったんですよ。 水が飲みたいなら自分で持っていらっしゃい、 それともお湯を冷まして召し上がりますか?
[人の飲み物を奪っておいて不満を述べるさまが 青年にはなんとも微笑ましく感じられて、 満足げな微笑を浮かべながら トレイの上に残ったカップに湯だけを注ぐ。
毒見をしろと言われるのなら 口をつけもするだろうが、 今のところ手は出さないままにして]
(85) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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[“敬虔”と表現されて自分の駒を思い浮かべたか、 青年は不愉快そうに眉を寄せた]
まさか。鏡だなんて思っていませんよ。 あなたの嫌いな部分の一部が ぼくにもあると感じるのは事実ですが、 あなたを殺したい理由はまた別です。
とはいえ、それも言わば逆恨みなんでしょう。 あなたがいなければこんなゲームに 参加することはなかったし、 自分の見たくない面に気付くことも なかったのに、という。
[自分で言っていても馬鹿馬鹿しさを感じるのか、 呆れたような溜息を吐いた]
(86) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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[やることがある、と生きる意志を見せる彼の姿は 青年にとって好ましく思えた。 その『やること』に目を瞑れば、の話だが。 そのひとつは白銀の盤の完成であろうし、 それは青年には受け入れ難い行為だから]
ぼくはもうほとんど何をする気も起きないのに、 なぜあなたを殺すことにだけ こんなに執心できるのかは 自分でもなかなか答えが出ませんが……、
唯一、手の届きそうな未練…… ということなのかもしれません。
[青年は自分の感情の答えを探るような言葉を呟き、 手持ち無沙汰にスプーンを弄ぶ]
(87) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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……なぜ最期にあなたに あんなことを言ってしまったのかは、 未だに自分でもよくわかりませんが……。
あなたの言葉が嬉しいことがあるのは本当です。 でも、言わずに眠るつもりでいたんですよ、 ……あなたに知られたくなかったので。
あなたが言ったように残念だったのでしょうか、 とうとう嫌われたかとは本当に思いましたから。
[それは青年にとってはほとんど独り言で、 聞く相手を求めての言葉ではなかったが。 未だに青年自身解せない部分であると同時に、 今ならいくらか説明がつきそうな部分でもあった]*
(88) 2023/12/22(Fri) 09時頃
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[彼が手を伸ばさないのを確かめれば、 青年は湯を注いだカップを自ら手に取り口に運ぶ。
先刻ココアの味を感じられなかったことを思えば、 元々味のしない飲み物はとても気楽だった。 逆恨みに関して答える言葉を聞いて] それは違いますよ、ヴィーシャ。 恨むべきは過去の己の選択です。
本当に嫌だったら、ゲームに参加せず 逃げ出す道を見つけられたはずなんですよ。 [結局、青年の行き着くところは自己嫌悪なのだ。 殺す優先順位は、自分以外の誰もが二の次だった]
(93) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[興味の無さそうな淡々とした声音と、 見慣れた彼らしい態度。 それ自体は安堵さえ覚えるような光景だったが、 告げられた内容は青年にとって実に可笑しい内容で] あなたひとりがいなくなった程度で 世界が平和になるわけがないでしょう。 他人のために命を捧げる気があるのでしたら、 ぼくのために殺されてくれてもいいんですよ? ……殺しませんけどね。
[此度の邂逅では初めて嘲笑じみた色を声に滲ませたが 青年はこの話題を続ける気があまり起きず、 その気の無さを現すかのように のんびりと湯を一口飲み足した]
(94) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[独り言のつもりだった呟きに 彼の言葉が差し挟まれると、 青年は驚いたように目を瞬いて彼を見つめ、 ゆっくりと視線を動かしてぼんやり卓上に向け] ……そうであってほしかったんですけれどね。 どうやら、そうではないみたいです。 ここで再びあなたに会ってから、 どうやら嫌われてはいなかったらしいと察して ……いくらか気が楽になった覚えもありますし。 [一喜一憂というほどの心の動きではないにしろ、 心のどこかにあるその感覚を青年は自覚していた。 ずっと認めたくなかっただけで]*
(95) 2023/12/22(Fri) 14時半頃
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[すっかり調子を取り戻した彼の嘲笑に刺激され、 青年は冷めた薄笑いを浮かべた] なんです、そんなに殺してほしいのですか? 一時はあれだけ取り乱しておいて。 さすがのぼくも罪悪感が刺激されたので やめようと思ったというのに。
リクエストなら仕方ありませんね。 ぼくが手を汚すところが見たかったそうですし。 [言いながら襟元に手を伸ばし、 ボウタイの片端を引っ張って結びを解く。 長い紐となったそれを襟から引き抜いた]
(100) 2023/12/22(Fri) 20時頃
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[「嫌い」と改めて宣言されると、 心のどこかに少しばかり落胆のような思いはあれど。
やはりそう大きく響くものではないことに 安堵のような、そうでないような奇妙な感覚を覚え 青年はじっと目の前の彼を見つめて、 彼が手に籠める力の強さに気付いた。
その意味まで正確には窺えずとも、 どこか彼の必死さを感じ取る]
(101) 2023/12/22(Fri) 20時頃
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……ヴィーシャ。 殺意は、どうでもいい人間相手には そうそう長く続かないんですよ。 だいたい、嫌いな相手を殺して 罪を被るなんて……馬鹿らしいじゃないですか。 ここでは罪にならない、なんて話はナシですよ?
[そんな曲がりくねった思いを彼に告げたところで、 正確な意図など伝わるまい。
当の青年とて、他人にこんなことを言われても 意図を推し量れはしないだろう。 伝わらないことが前提の言葉遊びをして]
(102) 2023/12/22(Fri) 20時頃
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[叶えなくていいのか、とまだ確認する彼へ そんなに言うなら何かを告げてやろうかと 思いつきが浮かび] ……そうですね。 少し考えますから、保留でいいですか? [そう宣言して席を立った。 果たして彼の叶える気はいつまで残るものか。 青年はすぐに彼に向けて一歩足を踏み出す。 片手には解いたボウタイを握り締めて。 彼がどんな反応をするのかを眺めながら、 間近まで歩み寄ってみるつもりだった]*
(103) 2023/12/22(Fri) 20時頃
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[状況を理解していない様子に和まされ、 青年の表情は微笑みを形作る。 歩み寄ってみれば目を見開かれ、 必死に犬を庇おうとする様子が愛らしく、 さらに近寄って後退るさまを眺め。 もう一歩近寄ると同時、 逃げ出そうとした彼の首を 両手でそれぞれの端を持ったボウタイで 引っ掛けて捕らえようと試みたが、 果たしてどうなることか。 成否によらず、彼の威嚇するかのような様子は 怯える仔犬にも似て見えて、 青年は愉しげな微笑を浮かべていた]*
(106) 2023/12/22(Fri) 21時頃
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[彼の首を捕らえるのに成功すれば タイが外れないよう絡め、 彼の息を奪わってしまわない程度に絞め上げた。 触れるぐらいは叶うだろうが、 ここで逃す気は青年には無く、 床へ降りた犬の吠え声もBGMぐらいにしか感じずに。 呻きながらもこちらを睨もうとしたか、 視線を向けて目を丸くする姿に、 今更何を驚くことがあったのか、と 青年は首を傾げた]
(109) 2023/12/22(Fri) 22時半頃
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[さほど強く締め上げたわけではないのに 彼は随分と苦しげで。 また先ほどの発作が起きかけているのか、と気付けば 青年の心には哀れみが浮かんだ] 殺してくれと言わんばかりの弱々しさですね。 虚勢を張るからこんなことになるんですよ?
あのまま話だけして終わっても良かったのに、 あなたが余裕ぶって挑発するから。 [お前が悪いのだ、自業自得だと言い聞かせる声は 人を殺そうとしている人間にあるまじき穏やかさで。 棘がないどころか、慈しみさえ篭められていた]
(110) 2023/12/22(Fri) 22時半頃
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[だがこのまま絞め殺しても、 現実に戻った彼が青年を終わらせるだけと思えて。 ・・・ それよりはもう少し残された時間を有意義に 使えないものかと数瞬、思考を巡らせ]
ああそうだ……、願い事が保留でしたね。 何にしましょう。 [言いながらタイを引いて、 彼の首を絞める力をもう少しだけ強めようとした。 このまま発作を起こさせてしまえば、 タイを解いても逃すことはなかろうと考えて。 何か邪魔が入れば青年の気が散ることはあるだろう。 彼の犬が噛みついてくる、だとか]**
(111) 2023/12/22(Fri) 22時半頃
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[いったいどこにそんなに 衝撃を受ける要因があるのか、 彼は再び目を見開いて、 その末に身体を震わせ始めた。
さっきもこんな風に苦しんでいたのか、と 青年はただ見送ってしまったことを惜しむ。
その当時何かを思っていた気がするが、 それが何だったか、もう思い出せはしなかった。
知られまいと思っていたことがある気がするのに、 それさえももう朧だった]
(117) 2023/12/23(Sat) 10時半頃
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[不意に足元で服を引かれる感覚があった。 タイが解けぬよう力を保ちながら、 ちらりと視線を落とすと、青年の視界には 必死の抵抗を試みる彼の愛犬の姿が入った]
そんな可愛らしい抵抗の仕方では 大切な主人を守れませんよ?
[飼い犬は主人に似るのだろうか── 青年はそんなことを考えながら足元に声を投げた。
吠え声は騒々しいが、彼を見つめていれば 青年の気には留まらない。
仮に力一杯足を噛まれでもすれば、 さすがに意識はそちらに向くだろうに]
(118) 2023/12/23(Sat) 10時半頃
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[仮に強く噛まれたところで、 青年が犬にやり返しそうなことといえば せいぜい振り払う程度だろう。
忌ま忌ましく思いはするだろうが、所詮、犬。 青年にとってはどうでもいい存在だ。
ショック死の可能性を言われれば興味は湧いても それで彼が嘆く姿を見られるわけではなく、 そこまで爪痕を残したいほどの恨みもない]
(119) 2023/12/23(Sat) 10時半頃
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[青年が犬を眺めていたのはほんの一瞬のこと。 そしてすぐに彼へと視線を戻した。 彼の苦しみぶりに目元を和ませながら、 身体が触れ合うほどすぐ傍まで歩み寄り、 タイを握り締めたまま、彼へと両腕を伸ばした。
もし彼の身体に両腕を回すことが叶ったなら、 そのときには片手をタイから離し、 彼の首元を緩めるだろう。 それがなくとも充分に息苦しいのだろうから、 今はその弱り切った姿を抱き締めて眺めようと。
それが叶わなかったなら、 青年は引き続き彼の首を締めつけるが。 息の根を奪うような強さには変えようとせず、 現状維持のまま眺め続けるだろう]**
(120) 2023/12/23(Sat) 10時半頃
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[青年が彼から視線を逸らしたのは ほんの一瞬のことではあった。
が、視線を戻そうとしたとき、 不意に彼に蹴りつけられた。
酸欠状態で繰り出される蹴りに さしたる威力はなかったのかもしれないが、 青年とて別段鍛えているわけでもない。 不意打ちに驚いたこともあって身体がよろめいた。
が、青年にタイを離す気がなかったことが災いし、 彼の首は一瞬、逆に絞め上げられてしまう。
その一瞬で命を奪うことなどまずありえないし、 骨や筋に異常が生じるほどでもなかろうが、 息ができなかった瞬間はあるかもしれない]
(124) 2023/12/23(Sat) 12時半頃
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あ──
[意図せず強く絞めてしまったことに焦り、 青年は片手をタイから離し、彼の頬へと伸ばす。
タイは一度絡めただけで結び目はない。 今なら解いて逃げ出すのは容易だろう。
彼が逃げ出す姿を見たならば、青年も 彼を再度捕えるべく抱き締めようとするだろうが。
もし彼が逃げ出さないとしても、 青年はやはり彼を抱き締めようとするだろう]**
(125) 2023/12/23(Sat) 12時半頃
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[強く咳き込む姿を見れば、 不測の死を与えずに済んだことに青年は安堵する。
今や、彼の常の傲慢さなど見る影もない。 汗を滲ませ涙を溢す姿は青年の心を深く満たし、 咳とも嗚咽ともつかぬものは青年の耳に心地よく、 微笑みながら見守るうちに数秒が過ぎた]
(128) 2023/12/23(Sat) 19時半頃
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[やがてよろめきながら動き出す彼は まだ逃げ出すことを諦めてはいないようだった。
青年が両腕を伸ばして彼を抱き締めると、 彼は怯え切った様子で弱々しく抵抗を繰り返す。 その無力な姿が青年の心を温めた。
粟立った肌からは相当な嫌悪や拒絶が見てとれるが 青年には毛を逆立てる小動物を思わせただけで]
(129) 2023/12/23(Sat) 19時半頃
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[青年は何事か囁いた後、 彼をその腕の上から抱き締め直そうと試みた。 両腕を封じるために。
だがそれ以外の一切は頭になく、 現状の弱々しさを理由に彼を侮り、 彼以外の存在も全て意識から消え失せている。
もし彼が青年の腕の中に収まったまま抜け出せず、 言葉を交わそうともしないなら、 そして青年の意識の外からも邪魔が入らないなら、 青年は彼の喉へ手を伸ばすだろう。 彼の息を完全に奪うために。
それは所詮、仮初めの死でしかないのだが]*
(130) 2023/12/23(Sat) 19時半頃
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[必死に腕を張って抵抗を試みる彼の姿と、 その腕に籠もる力の弱さ。 それらが齎す充足感に、青年はただただ微笑んだ。 ──が、漏れ聞こえた小さな声には目を見開き、 暫し彼の表情をまじまじと見つめた]
(134) 2023/12/23(Sat) 20時半頃
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[苦しげな姿を見せ続ける彼へと 青年が囁いた声は優しく、 彼の喉へと伸びた片手は慈しむように肌を撫でた。 彼に抵抗する力が無いのに気付くと 邪魔になったタイを解いて放り捨て、 両手で彼の首を覆い、正面から彼の顔を見据える。 意識を保てなくなりつつあるらしい彼の首を 絞める力を少しずつ強めながら、 青年はじっと彼の表情を見つめ続けた。 微笑みを浮かべながら。 掌に脈動を感じなくなるまで]*
(135) 2023/12/23(Sat) 20時半頃
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