27 【crush appleU〜誰の林檎が砕けたの?】
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それはもう。 実物の君を見るまで色んな可能性があったさ
[具体的には未だ覚醒めてないだろう二人を想い、語らずにおく。
表面的には感情を見せなかっただけ。 深刻な様子が無いか巡った視線の奥に、穏やかではない心地はあった。
その頭に包帯を巻く姿が痛ましくないと言えば嘘になる。>>+18 ただ、こうして自らの身体と意志で歩いてやって来て 変わりなく話す彼に脳に問題が残ったようには見えなかったから。
今生の別れを覚悟していた身には、「良かった」と思えてしまった。 ……先輩としてはもっと違う反応をするべきだったのかもしれない。]
(+21) 2023/08/04(Fri) 18時頃
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……ぼんやりしていた時に、聞いた気がした。 俺の同期が二人共帰ってくるって
あれはやはり、本物だったんだね
[未だ自分達とあの世界の繋がりは途切れていない。 はっと大きくはない目を見張った後、理解して頷く。
明言しない福原の意図とは違うかもしれないが>>+19 聞いたものの心を本当に揺るがしただろう事実は、 口にするには未だ重かった。
まだ成海は一度しかあちらを覗いていない。 故に、もしかして自分のことも?と過ぎった可能性は それよりも胸を占める事柄もある為に、一度しまわれる。]
(+22) 2023/08/04(Fri) 18時頃
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……福原君
[思わず名を呼び、栗色の目を見つめる。 重なる記憶、二人で絵画の前で語らい別れた時間。
思っていたとおりに彼は同じ気持ちでいてくれた。 そして、今口にする意味を正しく理解した上で口にしたのだ。 躊躇うこともなく、成海に告げたのだ。]
君がそう言ってくれるなら ……俺にも生きていた意味が、あるんだと思う
[ならばこちらも同じように返そう。
彼に嘘をつきたくないと感じるのは、今も変わりがないから。 いつかのように言葉を暈さずに、続きを隠して誤魔化さずに。
もしそこから気づかれてしまうものがあったとしても。]
(+23) 2023/08/04(Fri) 18時頃
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俺も、また君に会えて嬉しいよ ……もっと近くで、顔を見せて
[もう既にベッド脇の椅子に腰を掛ける相手を更に呼ぶ。
そう詰められる距離も無い状態で、彼なりに応じてくれたら 包帯まみれながら骨折も無い手を伸ばし、頬を撫でよう。
白く覆われていない指で、 確かな生きている人間の感触と温度を感じられたら、微笑もう。 いつもよりずっと感情を乗せて、心から再会を喜んでいる顔で。]
……抱き締めまでして生きていたのだから、 ちゃんと、福原君をずっと見守れるように頑張らないとね
[伸ばしたものと反対の手で、白いシーツを握った。]
(+24) 2023/08/04(Fri) 18時頃
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[心と記憶の中に確かに巡る、少女との記憶。 成海と彼女は、そこまで皆と比べて親しいとは言えなかった。 けれど、確かに二人は同じゼミの一員で。 兄と婚約者に並んで“三回目”にカウントされる程の繋がりが存在した。
──だが、側にいる者を大切に感じる想いは 人間である限り捨てられないものだ。
どんな人でなしにも、胸に大穴を持ち合わせている者にも。 誰の中にも心が存在している。
本当に分かり合えたとは言えない状態でも 似たものを持ちながら違う存在の彼に呪いめく執着を渡しても その行く先に幸あれと、 鳩を飛ばすみたいに、光の世界に送り出したつもりでいた。
そんな相手と、再び同じ世界で隣にいられることに 処刑の通過儀礼を越えた成海は、胸に温かいものを覚えていた。 目前に吊るされていたまやかしの餌よりも、生を見ていた。*]
(+25) 2023/08/04(Fri) 18時頃
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骨折してないし、指も全部ついてるよ。 大したことは無い。比べるなら、君のほうが
[思ったよりは酷くない、それは無傷とは違うから。 明るさから一転して、気遣わしげに頭部の包帯を見た。
未だ第一歩も踏み出す前、そう人が変わったりはしていない。 或いは夢の中で何度も何度も傷付いて、鈍感になっている面もあるかもしれない。]
……うん。ニュースを見なくても確実そうだね
[頷き合い確かめ合った事実。>>+28 科学的方法で確かな情報を得る必要は無いだろう。
それに、第三者の冷静な声で淡々と語られる状況を受け入れるにはもう少し時間が欲しい。 直接口に出さないことは二人共同じ。それ以上は語らず、一時目を伏せるのみだった。]
(+35) 2023/08/04(Fri) 22時半頃
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[──それから福原は
重ねるように意味を与えてくれて>>+29 応じて手が届くところに来てくれて
不必要な心配を邪険に扱うでもなく、拭うような言葉に>>+30 一方的ではなく相手の意志で伸ばされた感触に、頼もしさを見出した。]
うん、……うん。 ありがとう、福原君
[一つ一つに、ただただ深く頷いて。 安心出来る場所を見つけた子供のように、身体の力を抜いていった。 見つめる栗色を映す黒は、一度も逸れることはない。
頼り方など分からなくて、助けを求める方法も知らない筈だった。 だけど今は、それを理由に拒んではならない気がしている。]
(+36) 2023/08/04(Fri) 22時半頃
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あったかいね、福原君は それに凄く頼もしくなって、なんだかどっちが先輩なんだか 俺が見守る必要あるのかな、なんて……ふふ
[一度はシーツを握った手は、今は解かれて白の上。 自嘲的に歪んでしまった笑みだけが、この身に残る強張りだった。
それは何も、本当に先輩としての矜持を憂いたわけではなくて。]
俺はね──ずっと、こうやって覚醒めることに怯えていた
君がいなくなった後すら、そうだったと思う ……きっと重たくて苦しくて、孤独に感じると思っていた
[緩めた包帯の下の傷から滴る血のように。 ぽつりぽつりと、奥底の想いが溢れ始める。]
(+37) 2023/08/04(Fri) 22時半頃
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……そうだよね 俺達は、生きていたんだから
自分を傷つけないで、命も粗末にしないで 最後まで全うしないといけないよね
[回谷こころが本当にそれを望むかどうかに関わらず。 道理としてそれが生者の義務である筈だ。
そういう思考は中々抜けないから。 適度に正してくれそうな後輩が側にいて、幸せなのだろう。*]
(+38) 2023/08/04(Fri) 22時半頃
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[本当に大丈夫だと手を動かしても外れるわけではない包帯。 対して相手の言葉は安堵させる為に適切だ。 それは良かった、と。 苦さが少し和らぐ笑みに微笑んだ。>>+44
二人の間に一時沈黙が流れる。 相手が何を考えているのか、きっとお互い分かっていたと思う。 胸のつかえがなく彼女について語れるまで、どれだけ時間がかかるだろう。]
(+48) 2023/08/05(Sat) 00時半頃
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……そうか、そんなことがあったんだね 本当に良かったね 傷ついた君に駆けつけてくれる人がいて、良かった
[だって、家族が知らない女性と寄り添う絵の前で彼は血を流して一人だった。そこから好転したというのならば。
噛みしめるように相槌を打ちながら、 手は頬から膝に、触れていた福原の手を握りながら 照れ笑う彼の話を聞いていた。 父親がいなくなった子供と疎遠になる祖父母>>+45 その意味について成海は密かに考える。
聞いた時はただ、自分のように事情があるとだけ認識し 深く考えることのなかった話が過る。>>0:9 …きっと、誰も悪意があったわけではなかったのだろう。]
(+49) 2023/08/05(Sat) 00時半頃
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ふふ、そんなに真っ直ぐに言われるとなんだか恥ずかしいな 励ますだけで後輩を立派に出来るなら、いつまでも
[少しだけ戯けながら、応じる言葉を告げる。>>+46
それから、生還について感じていたことを少し語ったのは 「何かしたい」と言われることで この子があの時言葉をくれて、覚醒めた自分に会いに来てくれたからそうではなくなったのだと理解した為に。]
はしゃげない内は、好きなだけ落ち込んだらいいんだよ それで沢山思い出して、忘れないようにしたらいい
[何度だって君が、手を差し伸べる言葉をくれていたと今は分かっている。 だから、柔らかい笑みが安堵からのものだと気づいた。>>+47 心配してくれたが、上手く応えられなかった相手を思い出す。
視線は後輩から窓へ、雨の降らない景色を一時眺めた。]
(+50) 2023/08/05(Sat) 00時半頃
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それにしても、やりたいことか やらなくちゃいけないこと、じゃ無いんだよね
難しいな……
[本心からの嘆息が零れる。
そんなもの本心では今まで一度しか考えたことがない。 度重なる悲劇で注目の集まる状況に耐えかね、高祈から逃れられる望まれない大学を選んだつもりで、結局全て無意味と分からされた。 ああ、でも。]
……頑張って考えるから、気を長くして待っていてね これからも福原君といられるなら いつか、思いつくと思うんだ
[この青年の成長を見ていたいと思ったのは、まだ誰にも希望を折られていない本物の気持ちだ。*]
(+51) 2023/08/05(Sat) 00時半頃
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[本当に心から思っているのだろうと 感じられるような笑顔だった。>>+52
ただの一つも快い記憶が無いわけではなかったと、夢の中のスイートポテトのお陰で思い出すことが出来たけれど 自分が家族について語りそんな顔をする日は、来るとは思えない。
思えないからこそ、可愛い後輩は祖母と仲直りが出来て良かった。 そう思い向けた言葉や仕草に違和感など無いだろう。 きっと、これからも。]
(+55) 2023/08/05(Sat) 02時頃
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……それは、うん。そうかもしれないね 夢の中で何回か感じたよ
[戯ける場面ではなかったかもしれないな。 相手の返しに思い至るものがあるからこそ、同調しつつ少し反省した。>>+53
例えば未だ本人は望めていない生に意味をくれた後輩の言葉だったり。 はたまた以前から何かを知っていたように触れる同期の言葉だったり。
すぐに目に見えて一人の人間を変えたわけではなくとも、 確かに力を持って自分にだけ渡されたものがあった。
互いに目を伏せた時は、具体的な内容は違えども同じ少女を思い描いただろうと考えていたけれど 受け取った言葉は自分だけのものだから、そうして得た感覚は共有出来ないのかもしれない。]
(+56) 2023/08/05(Sat) 02時頃
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ずっとか…… そんなこと、また言われる日が来るなんて思わなかった
[頷いてくれた福原の言葉は>>+54 成海が口にしたそれとよく似ているが違う。 何一つ重なるものが無い筈の、黒く丸い瞳を想う。
彼の話と家の為の結婚は、大きな隔たりがある別物だけど。 そんな未来があったらいいなと、思えたのは同じだった。]
俺はね。君が思っているよりずっとずっと酷い人間だ 誰にもバレないように本当の自分を隠していた嘘つきだ
……でも、いつか福原君には聞いてほしいな 君のことを知りたい分だけ、知られるべきだと思っている
[それがあの時福原が語る手段に本当になるかはともかく さよならをする気がないのだと、よく分かった。 だから、知られるという最も恐怖していた筈の道を、 今でも全く躊躇いが無いとは言い難いそれを選ぶべきだと思っている。**]
(+57) 2023/08/05(Sat) 02時頃
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[可愛い可愛いと今まで言ってきた、放っておけないと思っていた相手 その言葉はまるで誓いを立ててくれたようで。>>+69 ほんの少し年下なだけの大人の男性だなと、当たり前のことを今思わされた。]
格好良いね、福原君は
[揶揄の無い声色で呟けば、眩しいものを見るみたいに目を細めて見つめた。 ──まるで、死地から還ってきた自分を迎えた太陽のようだ。
高祈成海の行く先には未だ霧が掛かって、側にいる彼との先輩後輩でなくなった後の関係性の名前すら定められていないけど。 その言葉通りの未来で、彼に誠実でいられたらいいと思う。
そう在れたら、どんな形になったってきっと幸せな気がした。]
(+74) 2023/08/05(Sat) 12時頃
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そうか。似ていたから君を見つけられたのなら 酷い奴だった意味もあるのかも……なんて
──うん。沢山お互いの話をしよう 俺達には、時間があるんだから
[とてもそんな風には思えないと否定するのは簡単。>>+70 でもしなかったのは建前の言葉だからじゃなく、 福原がそう言う理由を、知らない一面を、受け止めたかったから。
彼の様子は、全て打ち明けても関係は変わらないのかもしれないと思わせてくれるようなもの。 けれどもう少し待ってもらおう。 覚悟が決まるまで、喪失の憂いに浸る時間が終わるまで。]
(+75) 2023/08/05(Sat) 12時頃
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……沢山話して疲れちゃった 休ませてもらっても、いいかな?
[不意に一度重たく瞼を閉ざした後、そう告げた。 何しろ未だ覚醒めたばかりの包帯塗れなもので。
彼がもし出て行くなら見送ってから、起こしていた身体を横たえることになるだろう。*]
(+76) 2023/08/05(Sat) 12時頃
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── 夢の中 ──
[元より福原と確かめ合った事実を疑うわけもないが。 宣告は声だけが届いたので、こうしてあの世界に後戻りしたように景色すら変わると驚いてしまう。
少しの間視線が巡り、最後に一点へと固定された。 ここはエントランスホール。 取り入れられた自然、日常ならば美しくも心地良さげな木陰。 ──樹の下の林檎が、無情な真実と重なる。>>36]
……何を言えというのやら
[その形式はなんであれ、伝わったメッセージ。>>*1 乾いた笑いを落とさずにいられなかった。
生き残ってしまってごめん?絶対に選ばない最悪の発言だ。 君のことを忘れない?未だそこにいる相手を過去にしているようだ。 理解し合うこともなく世界を分かたれた身では、適切なものが浮かばない。
或いは未だに回谷の側にいて、彼女と心が近い者ならば──浮かんだ顔に、唐突にあの時の少女の異変の意味が分かった気がした。**]
(+77) 2023/08/05(Sat) 12時半頃
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[三人はどこにいるのだろうと思った時、景色が変わった。
他と比べると豪奢な印象がある内装や調度品。 恐らくは重役の為の一室。 音信不通だったらしい田端が無事に、そして側には回谷。 一方は微笑み、もう一方は見違えた花嫁姿で>>145>>146
きっと、最後の一人を待っている。
いつどこで何故、それは二人しか知り及ばないことだろうが 浮かんだばかりの仮説が実証された。
──幽婚、或いは冥婚。
変わらない運命の中、思いを寄せる相手と成されるのならば 親しい同性に綺麗に見目を整えてもらえるのならば それこそ慈悲というように、素晴らしいことなのだろう。
自分で相手を選べず、結局その者とも結ばれなかった女性もいるのだから。*]
(+85) 2023/08/05(Sat) 18時頃
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[そんなことを考えていた時だ。 扉の向こうから男性の声とノック音。>>148 夢の中に残る三人が揃った。
大藤はドレスアップした花嫁の姿を眺め、 彼らしい褒め言葉に加え、穏やかな視線を向けている。>>149
なるほど、やはり両想いのようだ。
相変わらず言葉が少ないが、この状況で「やる」ことは一つしか無いのだろう。 成海はただ、見届けるばかりだ。**]
(+86) 2023/08/05(Sat) 18時頃
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[やっぱり女性にとって結婚とは大切なことなのだろうなと。 他人事のように田端の変貌を眺めていた。>>150
これは彼女が残って正解なのだろう。 成海にはドレスアップの手伝いは出来ないし、自由な大藤の軌道修正も果たしてどうだったか。
フロックコート姿の大藤に、ブートニアが成されたならば>>151>>153>>159 「双子の兄」の晴れ姿を、微笑んで眺めた。
……彼がどのようなつもりで、河に分かたれた女性と結婚式を挙げようとしているのか深い思考は知る由も無い。 けれどきっと、軽い想いなどでは無い筈だ。]
(+87) 2023/08/05(Sat) 20時頃
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[アリババの言うことも確かに分かる気がした。>>154 やがて別の世界へ行く恋人達、ただ涙に濡れて抱き合っていたっておかしくないのだから。
──それにしても この二人はどうしてか、親しげな気がする。>>155>>156>>161 死のことしか見えてなかった成海の、アリババへの接し方が異常だっただけかもしれないが。
成海は男だが父母と共に畏まった場所には何度も出向いた。 女性側の礼服としての黒留袖の意味を知っている。 適するのは新郎新婦の既婚女性親族と、もう一つ。*]
(+88) 2023/08/05(Sat) 20時頃
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[見知った女性達の声が耳に届く。>>+89>>+95>>+96>>+97 それから、スマホも手に取らないで思いに耽る成海に会いに来てくれた、誰かさんの提案も。>>+93
参列と祝電は、決して両立しないわけじゃない。]
そっか…… 俺達にも未だ回谷さんに出来ることが、あったんだね
[生と死の隔たりのことは今は関係無い。 ただ、祝福する者となればいい。]
(+100) 2023/08/05(Sat) 22時半頃
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[その瞬間、相応しいと思う姿が成形される。
サイドに少し髪を流し、前髪を分けたポニーテール。 整髪剤を使用しているようで、 フォーマルな場所の男性の長髪への不潔な印象は多少抑えられた筈。
光沢の無い黒のブラックスーツ姿で、 白いシャツにシルバーグレーのネクタイを締め、 ベストは着用していない。 ジャケットとパンツはシングルでスマートなラインだ。
シルクのポケットチーフは三つ折りにされており、 袖口にはカフスボタンがあしらわれていた。 黒い革靴はストレートチップのデザイン。
──新郎はある時、黒を纏い続ける成海に言及し その言葉に心の内が動くのを確かに感じたが この黒は祝福の為なのだから、構わないだろう。]
(+101) 2023/08/05(Sat) 22時半頃
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[青色と落ち着いた色のワンピースにそれぞれ身を包んだ銀と仁科へ、似合っていると言うように一時微笑みと目を向けた。 それから福原の姿も、骨谷や柊のことも探したけれど、目にすることは出来たかどうか。
けれど誰にも声は掛けないで、すぐに主役達へと視線を戻す。 既に空間は閉ざされた一室ではなくなっている。
厳かなチャペルの色合いと、品のある彩りとなった白と緑>>166 雨が過ぎ去った後の晴天の下にいるように、成海には思えた。]
(+102) 2023/08/05(Sat) 22時半頃
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[真っ直ぐに背筋を伸ばし、 静かに保たれる、けれど張り付いたものではない微笑みで
式を見届けんと、全てを見ている。>>168*]
(+103) 2023/08/05(Sat) 22時半頃
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[成海は自分が思う相応しさを再現しただけであり まるで部屋でだらしなく寛いでるような格好でもない限り、誰のことも見咎めたりしないのだけど。
髪を整える様子を認めれば、微笑ましいと笑うように口元を一時覆った。>>+106 馬鹿にしたのではない。年下を可愛らしく思っただけだ。 大丈夫、今の君は素敵だよ。こんな場面でなければ伝えたかもしれないが、現実にはならなかった。*]
(+107) 2023/08/05(Sat) 22時半頃
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[見渡した時に見つけた、印象の変わる福原の姿。>>+108 少しの間見ていたけれど、やはり何も言わなかった成海だが 祝電が始まれば、続くように口を開いた。>>+109>>+111]
『回谷こころさん、結婚おめでとうございます。
天使の前で愛を誓った誰よりも美しい花嫁の姿は 参列する皆の心に、生涯残り続けることでしょう。 勿論、私も含めて。』
[これは冥婚であり、彼と彼女はいずれ離れ離れになる。 そう分かりながらもただ、祝う気持ちだけを告げる。
今この瞬間最も幸せである女性に向けるのは、それが相応しいのだと考えた。*]
(+112) 2023/08/05(Sat) 23時頃
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