18 星間回遊オテル・デカダン
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[――救いとはなんだろうか。
実際のところ、本人もよくわかっていないのかもしれなかった。 自分が何を求めているのか。 何を求めて手を差し伸べ続けていたのか。
手を、伸ばし続けていたのか。]
(+0) 2022/05/10(Tue) 18時半頃
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[ポッドの冷却処理が始まる。 星喰いアメーバの体は冷凍には耐えられない。 凍りついた髪の先、指の先から組織が壊れ、砕け、崩れていく。]
(+1) 2022/05/10(Tue) 18時半頃
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[恐怖はさほどなかった。 恐れているのは死そのものではなく、かつて見た、焼き殺される同胞の断末魔だ。
死後の世界も生まれ変わりも信じていないアルクビエレにとって、死はただの終わりでしかない。大抵の命には終わりがあるものだ。 自分がいずれ死ぬことは想定して教団を動かしていたし、後のことは"こどもたち"にしっかりと教え込んである。当然のこととして。
だから、終わりだな、という実感と。 痛かったらいやだな、という不安くらいのものだった。]
(+2) 2022/05/10(Tue) 18時半頃
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[顔が崩れ、腕が崩れ、脚が崩れた。 ポッドの中には、粉々になったきたない肉色の組織片が増えていく。
星喰いアメーバには急所というものが存在しない。 体の一部が残っている限り、意識も思考も続く。
急速に冷えてゆく感覚と、末端から崩れていく痛みがあった。ただ、冷やされ続けているためじきに麻痺して、わからなくなった。 焼かれるよりはましだったのかもしれなかった。
全てが塵と化す直前、最期の意識がふと、思った。]
(+3) 2022/05/10(Tue) 18時半頃
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[この瞬間、手を伸ばしたとして、 もしも、誰かがその手をとってくれたとしたら、
もしかしたら、それが、――]
(+4) 2022/05/10(Tue) 18時半頃
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[手をとる者などいない。
誰にでも優しく、誰にでも微笑み、 誰の手もとろうとし続けた"慈悲深い"教祖には、
最期に思い浮かぶ誰かの顔すらも、なかった。]
(+5) 2022/05/10(Tue) 18時半頃
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[ポッドの中に、赤い塵が舞っている。*]
(+6) 2022/05/10(Tue) 18時半頃
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