8 Solo Assembly Letters
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――月降るピアノの間――
[これは、選手たちがみな帰還を終えてからのこと。 中止になった大会の跡地たるこの世界の“店じまい”を控え、妖精と人間はそれなりのせわしなさで後片付けを進めていく。]
『うむうむ。大会中止が決まってなお、選手たちどうしの戦いは叶ったのだね! セシル、キミもダービーを(戦う方で)楽しめば良かったものを』
そうだね。僕もそう思う。 ……いや、最後のだけは同意できないけれど。
[セシルが既に読んでいたセクレタリアトの手紙と、競技場のダートに残されていた手紙>>-125>>-126>>-127>>-128>>-129。 そのふたつを読みながら、グラーツィアは満足げに笑みを深めていた。]
(195) sakanoka2 2021/04/24(Sat) 10時頃
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『ポストへの教育的指導も上手くいったようだし。 ともあれ、この愉しい思い出を 座にもカルデアにも持ち返ってくれるなら。 ・・・・・・・ ワタシがいつか呼ばれた時にも 思い出話に華が咲こうというものだ!』
…………。
[この「呼ばれた」は、グラーツィア自身が為したような形での「異世界同士の接続」のことではない。 無論、セクレタリアトの世界の――あるいは他の世界の――カルデアへの召喚のことを指している。 それがこのグラーツィアに相当する“妖精のキャスター・リャナンシー”か、あるいはまさかのグラーツィア本人(?)かはさておいて。]
(196) sakanoka2 2021/04/24(Sat) 10時頃
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『セシル、そんな苦い顔をするんじゃない。 アメリカンドリーム! アメリカンドリームだぞ!? 大いなる海原の先、遠い大陸へ懸ける夢! ああ、キミだってレティーシャとのそんな旅路を夢見ていたじゃないか』
グラーツィア。 この話の流れで彼女の名前は出さないでほしい。
『おや、失礼したよ!』
[暫く気まずいようなそうでもないような空気が、ピアノの前に漂う。 ややあって、後片付けの手を動かしながら、グラーツィアはおもむろに口を開いた。]
(197) sakanoka2 2021/04/24(Sat) 10時頃
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『そうそう、この世界であったことは、“記録”として、セシル[[who]]とケイト[[who]]の世界の間辺りにでも残しておこう。 そうすれば、ワタシと同じことを考えた者たちの目に留まって、参考にしてくれるかもしれないからね? いやあ、失敗事例をきちんと教訓として残しておくワタシはえらいなあ!』
[そう呑気にのたまいながら、“記録”を残す作業を進めていく。]
………いいの? あの御使いとかに使われたら、多分、君、 今度こそ本当に滅されるんじゃ――。
[相変わらずのまっくろくろすけのグラーツィアの姿を前にセシルが零した懸念は、けれども、彼としての本気でもあった。]
(198) sakanoka2 2021/04/24(Sat) 10時頃
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[そうして袋の中身――すなわち限定商品のケーキを分け合いながら、 幸せな時に添えるように不思議な話を愛する者へとするのだ。
そうしていつか異世界を二人で旅できるのか、 これもやっぱり神のみぞ知る。きっとね**]
(199) Akatsuki-sm 2021/04/24(Sat) 10時頃
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『別にそれならそれで楽しかろうさ! ああ、キミをひとり遺していくことになるのが、 気がかりでない、といえばウソにはなるかな』
……………。 グラーツィア。 君にもちょっとばかし、人の心があるって 信じてみてもいいのかな。
[妖精は特に何も答えない。 答えないまま、相変わらずの笑みで“記録”作業を進めていく。 自分からの「リベンジ開催」の気は、少なくともこの時には無かったが。 ――こんな愉しいお祭りがまた実現するなら、と!]
(200) sakanoka2 2021/04/24(Sat) 10時頃
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