1 冷たい校舎村(別)
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2020/11/13(Fri) 22時半頃
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[ 昨晩眠りについたのは、きっと最後の方。 みんなの寝息が聞こえてきてたから。 いびき?いびきはどうだったかな 乙女の秘密は厳守すべき、と 今の僕は学習しているので。 眠れなかったのは、 こんな世界で不謹慎かもしれないけど 寝るのが勿体ないなって思っちゃったから。
きっと僕だけじゃない みんなにも色々あって ─── でも眠る時だけは寄り添いながら みんな平等で 言葉にしてもいいのなら 少しだけしあわせ、だった。 ]
(162) 2020/11/13(Fri) 23時半頃
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…… おやすみ、莉子ちゃん [ もう眠っているだろう彼女に 囁くような声をかけて、僕も瞼を下ろしましょう。 保健室では いつ名前呼びしてくれるの?なんて聞かれて>>34 慌てた僕は咄嗟に「 ま、また今度ね 」って はぐらかしちゃったから。 あのとき勢いで言えなかった僕のバカ。 ]
(163) 2020/11/13(Fri) 23時半頃
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─ AM9:00 ─ [ 夜更かしした分、 目が覚めたのも みんなより後の方。 何人かはもう姿も無かったけれど、 顔でも洗ったりしてるんだろうなって。 上半身だけは起こして、 まだ半分瞼が下がったまま ボーっとしてた。 壁にかかった時計を見れば、8:50を過ぎてる。 そっかー 僕、チャイムでも起きなかったか ]
(164) 2020/11/13(Fri) 23時半頃
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[ 目をごしごし擦りながら、 顔を洗おうと校長室を出る。 僕よりお寝坊さんがいたなら、 「 おーい、あさだよー 」って声だけ掛けて。 バシャバシャ、顔を洗ったら 何となく帰巣本能 ? 3年1組の教室へ。 途中、何事も無かったってコトは 僕は反対側の階段で上がったんだろう まだ半分寝てるけど、教室には ゆりちゃんと 莉子ちゃんがいた。 ]
(165) 2020/11/13(Fri) 23時半頃
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おはようございます…… むにゃ ゆりにさわっちゃだめ……? どういうこと ?? [ 教室の中に入りながら、 黒板の文字が目に止まって、読み上げる >>104 何個かのうさぎも目に止まった。 まるでテスト中みたいなゆりちゃん。 こっちを向きもしないから肩を叩こうとして なにか、身体のパーツが足りない気がして 僕の手はピタリと止まった。 ]*
(166) 2020/11/13(Fri) 23時半頃
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陀羅尼 サラは、メモを貼った。
2020/11/13(Fri) 23時半頃
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[ 父の運転で、病院に向かう。 助手席に座って、私はまっすぐ前を見てた。 私、どうして病院に向かってるのかな。 そんなことを考える。
家でじっとしてなんていられなかった。 行かなくちゃって理由もなく思った。
でも、でも、ね、 メアの話が正しければ、あの精神世界を閉じるために、 誰か一人残らなくちゃいけない。 だとしたら……ヒナは、助からない。
きっと今頃、ヒナの治療にあたってるお医者さんたちは ヒナを助けるために力を尽くしているのに。 ヒナは、多分、助からない。 そのことを、私は知ってる ]
(+12) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ そして、もし、もしも、ヒナが助かったとしたら、 その時は、別の誰かがあの世界に残ることになる。 誰かが、ヒナの代わりに命を落とす。
私、何を祈ったらいいんだろう。 みんなで帰ってはこれないって知ってても、 みんな帰ってきますようにって願うの? そんな、決して叶わないお願いごとに意味ある?
でも私、 私が残るから、みんなは帰っていいよとは言えなかった。 一人残って、あの世界を閉じる役目を引き受けてもいい。 そんな風には思えなかった。今も思えない。 帰ってこられてよかったって思ってる ]
(+13) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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……お父さん。
[ 口数の少ない父は、黙って運転してくれてる。 真っすぐ、暗い道の先を見つめたまま、 私は父に話しかけた ]
私、自分のこと、なんでも持ってるって思ってた。 何も欠けたところがない勝ち組だって。 でも、私、大事なところが欠けてる。 そのことにやっと気づいた。
[ 多分、自分に欠けたところなんかなくて、 自分のことを勝ち組だって思ってた。 それこそが、私の欠陥だった ]
(+14) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 出来のいい姉と出来の悪い妹。 両親のいいところを全部もらった私と、残りかすの妹。 そんな風に本気で思ってた。 でも違った。 私は、普通の人が当たり前にできることが、 どうやらできないらしい。 私は欠陥品で、 プライドなんか粉々に砕けて、 それでも、 あの世界にたった一人で残ろうとは思えなかった。
だからきっと、 こんな感じでこれからも生きていくんだと思う。 人の気持ちをわからないまま。 空気を読めないまま。 無神経って言われても ]
(+15) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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ごめんね、こんな娘で。 私、自分のこと、出来のいい人間だと思ってたのに。
[ 自嘲の笑みを浮かべた私に、 思いがけない父の言葉が降ってきた ]
「お父さんな、会社で、 トンビが鷹を生んだなって言われてるんだぞ」
[ 思わず、え、と聞き返して、思い当たる。 私の家庭教師の生徒は、父の同僚の娘さんだった。 私が家庭教師になってから成績が上がったって、 ご両親にも喜ばれてたんだった ]
(+16) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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「でも、そんなことは関係なく、 お前は、父さんと母さんの大事な子供だ」
(+17) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 「そんなことは関係なく」 その言葉に、思わず目を見開いてしまう。 言葉を探すように、父は少したどたどしい口調で、 「桃香は」と言う。
なんでもよくできた私に比べて、 出来がいいとは言えない妹。 姉へのコンプレックスで潰れてしまわないように、 両親は二人とも大事に思っていることが伝わるように、 気を遣っていたつもりが、 甘やかしすぎて増長させてしまった。 父はそんなことを言った ]
(+18) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 甘えて、甘やかされて、すべてを許されていた妹。 私はあんな風にはなりたくなくて、 ひたすら上を目指してた。
私、もしかしたら、そうしたら愛されるって思ってた? 甘えられない代わりに出来のいい娘でいることで、 両親の自慢の娘でいようと思った?
わからない。 人の気持ちがわからない私は、 自分の気持ちすらよくわかってなかったみたい ]
(+19) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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……お父さんとお母さんは、 私の自慢の、大事なお父さんとお母さんよ。
[ 病院に到着した。 父は夜間出入口の前に車を停めてくれる。 迎えに来るから連絡しなさい、と言われて頷いた ]
ありがとう。行ってきます。*
(+20) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 愛なんかくそくらえ。]
(167) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 泣いたり怒ったり我慢したり、 そうまでして向き合うのが愛なんです。]
(168) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ それならわたし、そんなものいらない。 ほかにほしいもの、たくさんあるから。]
(169) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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──現在/3年1組教室──
[ わたし、教室出ようとして、 そしたらサラがやってきた>>165。
おっと。って具合に立ち止まりながらさ、 まだどっか寝ぼけまなこのサラが、 教室に入っていくの、ドアのとこで見てたの。
おはようございます。だって。 ほんとだったら遅刻になる時間だっての。
サラの視線が黒板の文字に向くのを、 わたし、やっぱり後ろから見ててさ。]
(170) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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どーゆーこと? って、 そのまんまだよ、サラ。
[ わたし、機嫌のいい声ではないね。
おはようのあいさつもすっ飛ばして、 ちょっと意地悪な言い方してるうちに、 サラはゆりのほうに歩いてった>>166。
あーあ。触ったら欠けちゃうんだ。
わたし、止めるのも違うかなって、 駆け寄ったりはしなかったんだけどさ、 さすがかしこは違うんだなあ。
サラはそれに触れる前にぴたりと止まった。]
(171) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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ゆり、いなくなっちゃったみたい。 それ、触ったらね、ぼろぼろ崩れんの。
……わたし、 肩ンとこやっちゃったー。
[ えへ。で済む話かはわからないですが、えへ。
そんなに怒ったり、泣いたりみたいな、 そういう感じではなかったんだけどさ、 そういう反応があったほうが、ゆり、うれし?
壊しちゃってごめんねって、 おいおい泣いたりしてほしかった?
わたし、そういうタイプじゃないからさ、 そういうリアクションは別の子に期待してね。]
(172) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ サラはどうするのかなって、 わたし、ちょっとだけ見守ることにした。
だってわたし、わかんないんだもん。 これをどうしたらいいんだろ。
サラはかしこだからきっとわかるよね。 わかるついでにできれば教えてほしいんだけど。]
……ゆりさあ、帰れたんだよね。 ってことは、 ココ、ゆりの世界じゃないんだよね。
じゃあさー、 これって結局誰の世界? サラの?
[ どうでしょうか。ご存じですかね。 かしこの頭なら何か思いつきませんか、はて。*]
(173) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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受付 アイリスは、メモを貼った。
2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 目の前は真っ白。 ]
(+21) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 操縦士の指示通りに動く、 ただただ海を征く船でありたかった。 ]
(+22) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 残念だね。 志帆は人間だし、こころもあるし、 時には指示に逆らいたくなることだってあるんだよね。
澱のように、黒い気持ちが溜まった結果なのよね。 ]
(+23) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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『理帆ちゃんはいいなぁ!』
[ 言いたくても言えなかったんだもん。 だけど、言える立場じゃないのはわかってる。 言えないよ、理帆ちゃんには。 ]
(+24) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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──現実世界──
[ ジェットコースターから飛び降りたみたい。 心臓がばくばくしてる。 ]
ぇ……、 いま、の、なに?
[ ねえ、なんなの。 暗闇の中、枕元を探して携帯を立ち上げる。 光がとても眩しくて、目を細めた。
日付と時間を確かめていたら、不意に目に入ったの。 手首に不自然な線のようなもの。 ]
(+25) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 携帯からの光じゃ全然足りないから リモコンを探り当てて照明のスイッチオン。
……蚯蚓脹れ。 パジャマを捲ったり覗いたりしてみれば、 至る所が赤く盛り上がっている。 精神世界でナイフをあてたところと見事一致です。 ]
帰ってきたの?
[ それとも追い出された? わからない。 目を丸くして考えてみるけど、なんもわかんない。 ]
(+26) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ 呆然として、携帯に再び手を伸ばせば、 メールの通知に気がついた。
古い順から一通目。琴子。 二通目、担任。三、四、五……通目、めあり。 めありで通知がいっぱいになってたから、 めありのから開こうね。>>+5 ]
……めありぃ。今帰ってきたっぽいよ。
[ めあり本人に届くはずのない答えを零して、 メールをひとつひとつ検分していく。 ]
(+27) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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ことめろ、どうして?
[ ねえ、どうしてよ。教えてよ。 ]
(+28) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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[ わかんない。わかんない。わかんない。 携帯片手に固まってたら、もう一通メールが届く。>>+7 ]
びょーいん、……いかなきゃ。
[ 救急搬送されたって。 病院に行ったところで何かできるわけでもないけど。 だって呼ばれたわけだから、いかなきゃね。 人間って聴力が最後まで残るってきいたことあるし、 案外呼びかけたら、なあに?って起き出すかもじゃん。
変換する時間も惜しくて、『わたしもいく』と返信。 ベッドから飛び降りた。** ]
(+29) 2020/11/14(Sat) 00時頃
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