17 【半突発身内村】前略、扉のこちら側から
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『 追伸
竜の好きな食べ物をご存知ですか? 自称邪竜で『くりぃむそぉだ』なる色をした 緑の種族です。 とてもいい子なのにひどい目にあって 今は疲れて眠ってしまったのだけど、起きた時に お腹を減らしてても食べるものがなかったら ちょっとかわいそうだとおもうのだけど わたしはあの子の好きなものがわからなくて… ご存知でしたらおしえてください 』
(27) 2022/03/07(Mon) 20時頃
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双生児 ホリーは、メモを貼った。
2022/03/07(Mon) 20時頃
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[ 9865年/61日/1時間/3秒 エリアA3にて火災発生
−53日後に真実開示。 −98日後の報復に合わせ、エリアA5にて魔物待機。]
(28) 2022/03/07(Mon) 21時頃
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[ 9867年/143日/20時間/29秒 ●●家に長子誕生
−予定より23時間のズレがあった。 −135218時間後に▼▼家とエリアF32で邂逅。 −調整のため、次女の誕生を23時間遅らせる。 −今回、ズレが発生した原因としては…… ]
(29) 2022/03/07(Mon) 21時頃
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[ 白が満ちています。
その色は、”それ”が纏う掠れた白より強く、 白い生き物の柔らかな白より苛烈で。 きっと、誰かの友達が好んだ雪>>1:48とも 誰かの故郷を覆った雪>>25とも違ったはずです。
氷を、最初に水色で描いたのは誰だったでしょう。 白の端に薄い青が滲むと、 穢れなき清廉さと冷たさが増すようでした。]
(30) 2022/03/07(Mon) 21時頃
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[ 白が満ちています。
宙に質量のない画面が現れ、 誰の手も介すことなく文字が浮かび上がります。
人間は数字でした。 未来は計算式から導き出される解でした。]
(31) 2022/03/07(Mon) 21時頃
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[ 箱庭≠管理するその場所を、 私たちは天界≠ニ呼んでいました。]
(32) 2022/03/07(Mon) 21時頃
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[ いつから”それ”が存在していたのか誰も知りません。 誰ひとりとして興味がありませんでしたから。
言葉はデータでした。報告でした。 青白い画面に映せば、それで事足るものでした。
ゆえに、”それ”は空っぽでした。]
(33) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ ある時、緑色の宝石を持つ男が言いました。 春の草みたいに柔らかな色をしているのに、 葉が萎れてしまいそうな冷たさを感じる瞳で ――そろそろ飽きて来たな、と。
青色の宝石を持つ女が返しました。 夏の大きくてふわふわの雲に負けない 鮮やかな色をしているのに、 暑さすら凍らせてしまいそうな冷たい瞳で ――新しいモノを入れるのはどうかしら、と。
赤色の宝石を持つ男が返しました。 裏庭の一番大きな木が秋色に染まったような 暖かな赤色をしているのに、 その先に訪れる冬を思わせる冷たさを瞳に乗せて ――僕らの宝石と”それ”でも投げてみたら、と。]
(34) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ 誰よりも白の似合う女性が、 黄金色の髪を揺らして”それ”の前に立ちます。
色鮮やかなガラスから降り注ぐ光に似た色は、 すべての存在に等しく何の温度も持たず、 ”それ”を見下ろしました。
――名を授けよう、と。]
(35) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ ”それ”の名前は”バキュラム”といいます。 私たちの世界で”人に不要なモノ”を指す言葉です。]
(36) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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『 』
(37) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ ”それ”は名前といくつかの宝石を伴って、 箱庭≠フ中に落ちていきました。
――いってらっしゃい、なんて。 もうかえることもないのにね。]
(38) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ ”それ”の尾が、紙の上で止まりました。
この前の沈黙のようにインクが円を描くこともなく、 まるで内側が空っぽになったみたいに 尾を滑らせても星空が広がることはありません。
”それ”は何かを書くように紙をなぞります。 当然、残ったのはただの白紙>>37でした。]
(39) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ それでも、白い生き物が手を伸ばしてくれるのなら、 真っ白な紙が届くことがあるかもしせません。
気づかなくて良いのです。 文字を重ねても良いのです。
だって短くとも確かに心を交わしたふたりの下に 同じ言葉が届いていたことも>>1:152>>22、 同じ誰かから二通目の手紙が届くことも>>1:158、 ”それ”は知らないのですから。]
(40) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ あなたたちは扉のこちら側にいて、 ”それ”もまた、扉のこちら側にいます。
ゆえに、私たちが出会うことはないのです。]*
(41) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ 近くへ来い>>0:2との声に こわごわ、恐る恐る。 カウンターの前へと向かう。
素直に言葉に従ったから 露骨なしょんぼり顔を見ることなく 露骨に嬉しそうな顔を>>0:3 私は視界に入れることができた。 ]
(42) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ ネズミってこんなに表情豊かなものなのね。 驚きに口を半開きにしていれば 疑問の声でも上がるだろうか。
そこで私はやっと知る。 ネズミだと思っていた相手は 正しくネズミだとは限らず。
この世界は、未知に満ち満ちていると。 ]
(43) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ カウンターの前にある椅子に座って。 彼、……アシモフの説明を聞いていた。
何でも現れる、という言葉の後に 本当に現れた大きなチーズ。 これまた驚きに目をぱちぱちと瞬かせ つん、と突いてその実態を確認した。 ]
(44) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ 自分の思い通りになる世界。 それが私の感想。
なら、私の世界をどうにかできるのだろうか。 聞いてみたけれど、さて アシモフからはなんと返ってきたかな。 ]
(45) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ 空から降ってくる白いもののことを 昔は雪と呼んでいたらしい。
でも、私が知っているものは雪ではない。 冷たくもなければ、溶けて消えることもなく ただそこに降り積もる、灰色の負の遺産。
嘆く人をずっと見ていた。 誰かのせいだと喚く姿も。
怒り悲しみに包まれても、 どうすることもできない。 終わってしまった命も、世界も もとに戻すことは不可能なのだ。 ]
(46) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ カウンターの上にある紙とペン。 それに気づいたなら、アシモフに どうしてあるのか聞いてみる。
どんな答えが返ってくるだろう。 誰かに手紙を届けられる、とでも 聞けるのだろうか。
それなら、徐にペンを手にとって 紙の上に滑らせてみる。 知っているインクとは違う色をした その言葉を聞き届けるものはいただろうか。 ]
(47) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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『 前略、扉のこちら側から どこかにいるあなたへ。
世界はどんな色をしていますか。 空気は、景色は、人は。 あなたにはどんな形に見えていますか。
私は、 』
(48) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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『 私は、きれいだった世界の色が知りたい。 』
(49) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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『 その心を、教えてくれませんか。 』
[ ……そこまで書いて、アシモフの元へ 紙を滑らせた。
書き出しは教えてもらったものを書いたけれど 手紙を出したこともなければ 受け取ったこともない。
名前を書くという発想はなく、 思うがままを紙にのせた。
返事が返ってこなければ ただの独り言で終わってしまう言の葉は 時を超えて、どこへ向かうか。 ]**
(50) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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[ 白い生き物は、相変わらずチーズと格闘しています。
それでも。 誰かのもとに手紙を届けることはあるでしょう うっかり増えたりすることもあるかもしれません>>40 カウンターで繰り広げられる言葉たちも、 耳に入ってくることもあるでしょう。
しかしこの世界の外側に、扉の外側に。 干渉できないことは告げたでしょうか。>>45
ほんの一瞬耳についたタグが視界に入って、 邪魔そうな表情をしたりして。 それでも、かれはチーズと格闘し続けています。 ]**
(51) 2022/03/07(Mon) 21時半頃
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お針子 ジリヤは、メモを貼った。
2022/03/07(Mon) 22時頃
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[ 箱≠フ中に落ちてからも、 ”それ”は名乗ることはしませんでした。
空っぽの”それ”にインクを詰めてくれた男にも、 見覚えのある色を持つ、温かな子どもたちにも。
だから”それ”は人間たちが決めた名で呼ばれました。 人間たちが”それ”にくれた音は、 ”それ”の知らない役目を与えてくれました。
”せんせい”であったり、”ともだち”であったり。 ”お前”だとか”おい”だとか呼ぶ者たちもいましたし、 ”それ”の知らない黒い宝石を抱える男に至っては、 自分の名すら口にすることはありませんでした。]
(52) 2022/03/07(Mon) 23時頃
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[ それでも、過ごした時間のすべてが、 私を”バキュラム”でないと錯覚させるのです。]
(53) 2022/03/07(Mon) 23時頃
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『 あなたは、どう思われたいのですか。 』
(54) 2022/03/07(Mon) 23時頃
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[ 音もなく、”それ”の周りに手紙が集います。 白――はじまりの世界にあるカウンターの上は、 まるで雪が降ったようでした。
さすがに、少し大げさですけどね。
”それ”の下に届いた問いかけ>>1:158は、 ”それ”が求めたものなのでしょうか。 あるいは、誰かが求めたものなのでしょうか。
”それ”が答えを知る術はありません。 この手紙が誰から来たものかも分かりません。]
(55) 2022/03/07(Mon) 23時頃
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『 幸せだと言えば、笑ってくれますか。 不幸だと言えば、涙を流せますか。
私があなたの顔を見ることはできませんから、 どちらでもよろしいのではないでしょうか。 望む答えを知るには遠すぎるのかもしれません。
あなたの幸不幸を図ることはできませんが、 どこか寂しそうだとは思います。
笑えていますか。泣けますか。 傍に、私以外の誰かがいることを願います。』
(56) 2022/03/07(Mon) 23時頃
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