10 冷たい校舎村9
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夜笑国 メイは、メモを貼った。
2021/06/07(Mon) 08時半頃
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── 現在・教室 ──
[ そう。ワガママを聞いてもらえず、 慎一は苦い顔をして会話をしている。
黒沢はやっぱり物わかりのいいふうに見える。 この状況にも、慎一の幼稚な言い分にも。>>392
そうされると慎一は、 これ以上駄々をこねづらくなっちゃう。
なんでなんでって思ってても、 自分の足りなさを突き付けられてるみたいで。]
(443) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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[ 感情がついてこない。>>392 そんなこともあるんだなあって思う。 慎一はいつも感情に置いてかれちゃうのに。
でも、それって悪くないような気がする。 少なくとも、人前でわあってなっちゃうよりは。]
偉そうなこと言えるだけえらいよ。 …………いいなあ。
[ だから、慎一はいつもみたく、 みんなえらいなあって感覚で、 黒沢はえらいよって言ったはずだった。
……ぽろっとついでにこぼれた言葉に、 慎一は一瞬、自分でもついていけない。]
(444) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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そーなん?
[それは番代との帰り路のある日。 クソ甘そうなタピオカジュースを啜りつつ語る彼女に、 タピオカアイスティーを片手に持ちながら首を傾げた。>>173]
あー成程なー、 門限だけ厳しい感じで他はそーでもないんだ。 うちはそのへん放任気味だからさ イマイチ感覚がよくわかんなくって。
[それは男女の差もあるのだろうし、 番代の過去に起因するものでもあるのだろう。
そこまで心配されているのはやはり羨ましい反面 逐一説明しなければいけないのは少し窮屈そうだな、 という感情も同時に抱いた。 そこはやはり口にしなかったけれど。]
(445) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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[ 「えらい」は賛辞だけれど、 「いいな」は羨望でしょう。
慎一は今の生活を楽しんでいるし、 毎日がんばっていてえらい。 みんなも何かしらすごいしえらい。
それだけでいいはずだった。 慎一だってうまくやれてるんだから。]
(446) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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[ ……だから今のは、 いったんなかったことにしよう。
何事もなかったかのように、 慎一はスマホの表面を撫でる。
「遺書みたいだね」>>393 得られてもうれしい同意ではないけど、 今回はふたりの意見は速やかに合致した。]
やっぱ、遺書かあ。 …………かわいそう。
[ 咄嗟に浮かんだ言葉を吐く。 辛くて悲しかったんだろうな。 疲れたのかな。疲れちゃったんだろうな。]
(447) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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オッケーオッケー了解。
変なところ? どこからどこまでが変なとこに入るのかな?
……なーんてうそ、ないない。 俺ってばこう見えて紳士だし。
[そう、女子の嫌がることはしない主義だからね。
この頃にはもう「おねーさん」らとの付き合いはあって、 品行方正とも言い難かったが そんな話をしない程度には空気を読めていたし 実際クラスメイトの女子に 何かおかしなことをするつもりもなかった。
だからにこにこ笑って軽口を叩いて。 けどさ。ってふと疑問に思って口を開いた。]
(448) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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[ 悲しいなあって慎一は思うから、 感情の回路だけは今日も良好。
元気がないままの慎一からすると、 やっぱり黒沢は落ち着いて見える。 いつもどおり、淡々として見える。>>394]
うん。落ち着いて見える。 ……頼むから、 「何も言えないかな」とか言うなよ。
[ 後半部分はちょっとだけ冗談まじりに。 もし本当に言われたら慎一はもう一度 「黒沢、冷たい」ってこぼすからね。>>0:188]
(449) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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けどさ。俺らもう高3じゃん。 卒業して働く奴がいてもおかしくない歳じゃん。
番代ちゃんのこと心配なのは分かるけど、 社会人になったらそれこそ仕事で帰れなかったり 飲み会で遅くなったりすることも多分あるじゃん。
流石にそこまで管理できねーと思うんだけど そしたらどーすんだろね。
[高校卒業と同時に親の規制から 解放されるケースもあるだろうが、 自分たちに向けてきた警戒の眼差しを見るに あっさりそうなるとは考えづらかった。]
(450) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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[ まあでも、 黒沢は感情が少しゆっくりなだけで、 まだ現実味を感じられないというなら、]
……どっかつねろうか?
[ もうその下りはやっただなんて知らない。
慎一は窓を打ったとき、 手が痛かったから夢じゃないと思う。]
(451) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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夢じゃないとして、 どうすりゃいいんだろなぁ。
そもそも遺書だとして、 幽霊でも混ざってんのかって。 ……全員順番につねればいい?
わかんなくない…………?
[ 言ってたらまた悲しくなるから、 慎一の声はだんだん小さくなって、 はあ。ってひとつ息を吐く。 体内の「悲しい」を逃がすイメージ。
このあとどうしよう、とか。 思いつかないまま現状を嘆いた。**]
(452) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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[そう、なんていうか。 まるで産まれたての我が子を外敵から守ろうとするような そんな感じの反応だったからさ。
女の子は男と違って、身体が成長したところで 変なことしようとして近づいて来る輩が 子どもの頃から減るわけでもない。
いつか彼女の両親の庇護が届かなくなった時に ぺろっと悪いやつに頂かれちゃうんじゃないか。 俺は彼女よりも夜の街を見てきてるだけに、 ちょっとだけ心配。なんてね。]
(453) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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[そう、悪意はどこにでもすぐそこに転がっている。
いくら気を付けていた所で 何が引き金を引くかなんてわからない。
なくしたポーチがあんな形で見つかること、>>411 もちろん当時の番代は思っていなかっただろうし、 当然、俺が知るところでもなかった。]
(454) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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― 現在・屋台前 ―
[そんな番代が今、目の前に居る。
声をかければ露骨にテンションが下がるのを感じて 咄嗟に少しザワッとしてしまったんだけど、>>388 いやでも今この状況は俺のせいじゃない。 俺のせいじゃないので、仕方がないことだ。
普段なら多分気付いて、 かつ見なかった振りをしているだろう 彼女のメイクが落ちていることも 気を払っている余裕がない程度には 俺にも余裕が無かった]
(455) 2021/06/07(Mon) 10時頃
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うえ。まじかーー。 俺らだけ閉じ込められたってこと? 本格的にホラー染みて来たなあ。
[番代はこんな時に冗談を言ったりはしないだろうし 向井がやって出来なかったのだったら 力技で脱出できる可能性は低い。
彼女にとっての禁句。>>186 何気なく口にしてうんざりと表情を歪め 壁に寄りかかる番代を見た。
はあ。 また耳元で誰かのため息が聞こえて、 一瞬だけ振り向いたけど誰もいなかった さっきから思ってたけど何だろうこの声。
内心を代弁してくれてる?とか?まさか。]
(456) 2021/06/07(Mon) 10時半頃
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……うん?
[不意に聞かれて一旦番代に視線を遣り。 少しだけ間をあけて、頷く。]
うん、楽しかった………よ。
[ちょっと予想外のハプニングも含め、 本当に色々あったけれど。 トータルで言えば楽しかった、と言って 差し支えないと思う。]
殆どはみんな楽しかった、と 思ってんじゃないかな。 今日集まってきたやつらは特に。
(457) 2021/06/07(Mon) 10時半頃
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[10円を巡るトラブルだとか、 階段から転げ落ちたりだとか>>315 個人個人にフォーカスをあてれば 色んな事件もあったみたいなんだけれど
それでもカメラに残ってるほとんどは 何か食べてたり、馬鹿騒ぎしてたり、役目に勤しんでたりと 文化祭を満喫している姿だった。筈だ。
広報アカウントの最後の投稿は 文化祭おつかれさまでした!>>317の文字をバックにした 3-9全員の集合写真で締めくくられている。]
(458) 2021/06/07(Mon) 10時半頃
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………なんで急に?どうかした?
[いや、急ってわけでもないのだ。
こうしてあの日の文化祭の光景が 目の前に広がっているわけで。
でもしんみりと思い出話をするには 置かれてる状況がちょっと異様で そんな感じでもなかったから。 首を傾げ、番代の様子を窺う**]
(459) 2021/06/07(Mon) 10時半頃
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― 回想・綿見 ―
[ほどよく軽くほどほどに、な 人付き合いをしてるのは俺も同じで その理由は彼女とは違ったけれど ともあれその一件までは角が立つようなことも無かったはず。>>203
軽口を叩けば綿見の表情が 少し和らいだように感じたので>>204 続く言葉にはやっぱり?なんておどけた風を装って。]
あー、そっかそっか。オッケー。 俺ってばすーぐ調子乗っちゃうからさあ。
またうるせーなって思ったら遠慮なく…… 言われたらビビっちゃうかもだから お手柔らかにお願いします。
[顔の前でなにとぞ、と手を合わせ、 したてにおねがいのポーズを見せる。]
(460) 2021/06/07(Mon) 11時頃
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[ノリ良くバカっぽく騒ぐ、は 男子と仲良くするにはいいんだけど 女子に対しては逆効果になることもままある。
声が大きくて怖いとか、なれなれしくてうざいとか、 チャラそうで信用できないとか、色々ね。
綿見の視線がどこか遠くを泳いだ気がして 釣られて一瞬そちらに目を向けてみたけれど そこには誰もいなかった。
嫌なことでも思い出してるのかなって感じつつ 何も見えない俺は首を傾げるだけ。]
(461) 2021/06/07(Mon) 11時頃
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煩い家族。
[ただ、ぽつりと零れた言葉。
綿見から家族の話を聞いたことは多分なくて、 自分も積極的にそういう話題はしなかったし。 だから珍しい話題に瞬きをした。]
綿見ちゃんって、 家族とあんま仲良くない系?
[単に下のきょうだいが小さくて煩いとか、 そういう意味合いかもしれなかったけど。 気になって、ついつい聞いてしまった**]
(462) 2021/06/07(Mon) 11時頃
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―― 回想:文化祭当日 ――
[ 受け取ってしまったチラシを抱えて、 私は少し呆然としていた。 これは、預かればいいの? それともやっぱり私が配らなきゃ駄目? 柊君はすぐ戻るって言ってたけど……。>>304 思わず助けを求めるように視線をさまよわせて、 ちょうどこちらを見た綿見さんと目が合った>>429 ]
(463) 2021/06/07(Mon) 12時頃
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……急に、柊君が。 …………お手洗いかな。
[ 柊君の青ざめた顔はしっかり目に焼き付いてる。 様子がおかしかったって言いかけて、躊躇った。 それ、人に言ってもいいこと? 柊君、あまり知られたくないかも? とっさに判断できなくて、 思わず出てきたのがお手洗いだったけど、 それはそれで不名誉だったかもしれない。 チラシを人に押し付けて慌てて姿を消すくらい お手洗い的ピンチ。 ……うん、かっこ悪い ]
(464) 2021/06/07(Mon) 12時頃
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[ 私、普通に話せてたと思う。 綿見さんが調理室に向かうのにかけた いってらっしゃいの声も、 他のクラスメイトにかけるのと同じ 声の響きだったと思う。 何も気づいてない顔で。
だってほら、こんな時に話すようなことじゃないでしょ。 私、綿見さんに何かしたかな?なんて。 私に不快を感じているらしいクラスメイト。 私が、目指すべき自分になれていない証拠のような クラスメイト。 手がチラシでふさがってたから、 左の手首は握れなかった* ]
(465) 2021/06/07(Mon) 12時頃
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[ "は?名前?
あんたが生まれたのが雪の日だったの。だからユキ。 ……これで満足?
しょうもないことで話しかけないで。 あんたの顔見てるとさあ、 あの男を見てるみたいで苛々すんのよ。" ]
(466) 2021/06/07(Mon) 13時頃
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[顔がいいのを自覚したのは小学生の頃。 でも、それは厳密に言えば事実じゃなくて、 俺には小学生以前の記憶がほとんどない。
誰かの金切り声とか、がらんとした部屋とか、 泣いてる女の人の後ろ姿とか、 壊れたテレビみたいなモノクロの断片が チラチラと飛び交う程度だけど、ひとつだけ。 はっきりした記憶が残ってる。
数人の大人と、歳がばらばらのこどもたちが沢山。 みんなで一緒に暮らす、そこが俺の家だった。 使い古された玩具で1人遊ぶ俺に、 ある日声をかけてくれたおじさんとおばさんが居たんだ。]
(467) 2021/06/07(Mon) 13時頃
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[『こんにちは。きみがユキくん?』
話しかけられた俺は、きょとんと二人を見た。 地味で、素朴で、やさしそうなひとたちだった。
ああ、このひとたちは多分 俺に優しくしてくれそうだな。 そんな風に思ったから、にこりと笑みを浮かべたんだ。
2人は酷く喜んで、 『笑顔がすごくかわいいね』って俺を褒めた。 そう言われるのが嬉しかったから、 彼らが来るたびににこにこ愛想を振りまいて、 明るく振る舞ってみせたんだよな。]
(468) 2021/06/07(Mon) 13時頃
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[俺とは似ても似つかないそのひとたちのことを 「おとうさん」と「おかあさん」 って呼ぶようになったのは その時よりももう少し後で、
俺がこの時のこと、つまりは 自分の身の上をちゃんと理解するのは 更にもっともっとずっと後の話。**]
(469) 2021/06/07(Mon) 13時頃
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── 回想・打ち上げ ── 階段から落ちたぁ? リツおまえ……なんか……、 …………ドンマイ。 [ 「ドジだなあ」とか「タイミング悪いなあ」、 最初に浮かんだ言葉を投げるには不憫で、 打ち上げには帰ってきた樫樹を、 かわいそうに……って目で見て、 慎一はその肩をぽんと叩こうとした。]
(470) 2021/06/07(Mon) 13時頃
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[ 委員長はクレープをつくり、 書記は黒板に文字を書き、 生徒会副会長が絵を添えた。 会計は何をすればいいんだろう? えーと……ジュースでも買ってくるよ。 余ったクレープの有効活用は名案だけど、 今日の利益を少しあてがってもいいよね。 リクエストがある人は申告しておくれ。 万が一材料が足りなくなっても、 最悪近所の店に駆け込めるよう、 その日も慎一は自転車で来てた。 から、ちょっとそこまでひとっ走り。 付き合ってくれる人がいれば歓迎する。]
(471) 2021/06/07(Mon) 13時頃
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[ でも、今回はひとりでも大丈夫。 前回ほど荷物が多いわけじゃないし。 まだほんの少し夏の気配をはらむ風を、 びゅんびゅんと全身に受けて走ってく。 頭や、顔や、Tシャツから伸びた腕が、 風に冷やされてくようで気持ちよかった。 数え直してもズレてるたった10円。 小銭の山をひとりで見降ろしてたとき、 掌も目も頭の中も熱かったのが嘘みたい。 ポケットにねじ込んだ10円玉が、 あれだけ重たく感じたことも。 「みんな」の輪から少し離れて、 慎一はやっと息がつけた気がする。]
(472) 2021/06/07(Mon) 13時頃
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