28 僕等(ぼくら)の
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………多くの人間と出逢って、関わって。 本郷の考え方も、生き方もきっとこれから変わってく。
それでも気持ちが変わらなければ、 いつかもう一度俺のところにおいで。
[この関係に、急いで名前を付けるようなことはしない。 近い未来に自ずと形作られてゆくものが もしあるのなら、それを手にした時に名を問おう。]
(@67) azure_blue 2023/08/29(Tue) 22時半頃
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……で、いい?
[らしくもなく語らされてしまった。 少し照れたように、自身の髪を混ぜながら。 視線を合わせて口端を上げる。]
遅くなっちまったな。 車で来てるから送って行く。 家でも駅でも。 ……あ、心配じゃなければ、だけど。
[他に話が無ければ、改めて時刻を確認して。 己としては暗い道をひとり帰らせる方が心配なので 一応そんな申し出もしてみたがどうだろうか。*]
(@68) azure_blue 2023/08/29(Tue) 22時半頃
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── 回想:復輝祭 ──
[生徒らの中に紛れていた時だろうか、 聞き慣れた明るい声が耳に届いたのは。>>239]
柊木。いや、来たのは少し前だよ。 声は掛けようと思ったんだが、取り込み中みたいで 後回しにしてた、すまん。
うん、すごいな。 俺は概要聞いた時、合宿のような部活の延長の 観測会を想像してたんだけど全然違って。 食い物も作ったりしたんだって? HPもポスターも部員お手製だし、本当に祭って感じだ。
………がんばったな。
(@69) azure_blue 2023/08/29(Tue) 22時半頃
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[三千院と話をしていたようだったから 引き継ぎや激励は既に貰っているのだろう。 だから、労いとともにぽんと肩に手を置くに留める。]
俺は今日は片付け要員と見回り要員。 なーんにも考えずにお前らに任せて 楽させ………楽しませて貰うから、よろしくな?
[次期部長は引っ張りだこだっただろうから、 余り拘束しないよう微笑ましく見送ったはずだ。 終了の挨拶も号令もすっかり板についた印象で、 柊木が部長になってくれるなら次年度も安泰だろう。**]
(@70) azure_blue 2023/08/29(Tue) 22時半頃
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[方向性が一致したことにまずは安堵する。>>274 親御さんに隠し立てしながらどうこうというのは 互いのためにも避けたい所ではあったのだ。]
……いや、ギリギリどうにかなるラインを考えて あんまり上手くない手になっちまっただけ。 俺も焼きが回ったかな。 連絡は、夜なら今は大体空いてる。 待っているなんて言って重たくさせたくないけど 友達作って、卒業して、やりたいことも叶えて、
『また』 が 来たら、 俺もきちんと答えを用意しておくから。
[生徒の告白に対し、傷つけずに断る方法より先に 向き合う手立てを考えたのは初めてだったのだが 今は口にすることもない。]
(@71) azure_blue 2023/08/30(Wed) 00時頃
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人気……まぁそう言って貰えるうちが華だよ。
[本郷の表情に笑みが見えたのに安堵する。 ベンチから立ち上がって裾を掃いつつ、 心配の意味合いが分かっていない様子なのには 困ったように眉下げてエアーで手刀を落としておいた。]
車はパーソナルスペースだから。 俺は“先生”だから信用してくれてんのかも知れないが 普通は、気軽に異性の車に乗ると危ないからな。
[別の意味で心配になって苦笑した。]
(@72) azure_blue 2023/08/30(Wed) 00時頃
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うし、じゃ、親御さんに連絡を入れているうちに 俺はすぐそこの車を取りに行ってくる。 門限大目に見て貰えるといいな。
………? 何か言ったか?
[呟きのようなものが聞こえたような気がしたが 内容までは聞き取ることができなかった。 問い返してはみるが、返答はあったかどうか。
本郷が車に乗り込んだならアクセルを踏む。 なにせ門限がかかっているらしいから、 教師が一緒とはいってもあまり破らせたくはない。 安全かつ迅速に自宅まで送り届けたはず。 **]
じゃあな。 おやすみ。
(@73) azure_blue 2023/08/30(Wed) 00時頃
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―― 春のある日 ――
[あれから、一年以上の時が過ぎた。 街の復旧も随分と進んでいたし、 破壊された校舎も再建が終わりかつてのように 学び舎として生徒たちの賑やかな声で溢れていた。 当時の生徒達は、一年生が三年生になり。 二年生だった者は昨年度の終わりに卒業を見送った。 変わりゆくものもあれば変わらないものもある。 己はまだ同じ場所で教鞭を取り続けていたし、 約束通り、本郷との連絡も続いている。 転校先での出来事、行事のこと、日々の報告。 それらに返信したり、時には此方から近況を送ったり。
学祭や観測会などの行事の折や、そうでなくとも 何かの折には顔を合わせることもあったから、 違いがあるとすれば、生徒として学校で 姿を見かけることがないことくらいだった。]
(@86) azure_blue 2023/08/30(Wed) 18時頃
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『久しぶり。多忙なんだろうとは思ってた。 異動は今年も無さそうで、 こっちは何事もなく普段通りだな。
GWの後半は里帰りだから、頭の方のどこかで。 公園って、瑠璃川のマンションの近く? 了解。』
[講義の間の休憩時間に、そう返信したのが 恐らくは四月の終わり頃のことだったろうか。]
[そうして当日。 指定された公園を訪れて、 待ち人を見つければ片手を挙げた。*]
(@87) azure_blue 2023/08/30(Wed) 18時頃
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カガは、ちょいSHIGOTO山にU
azure_blue 2023/08/30(Wed) 18時頃
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―― 春のある日 ――
[近づく姿に、僅かに双眸を細めた。 声を聞けば本郷と分かるのだが、 スカートの裾と少し伸びた髪が揺れる様に、 一瞬、見知った少女とは違う女に見えて]
……ん。 久しぶり。 便りがないのは良い便り…って言うけど いろいろ多忙なんだろうなとは思ってた。 大学生活が充実してるならなにより。 通学は確かに、学校に近い所がいいよな。 門限も、無くなるし?
天文部はあの年の復輝祭が切欠でなのか、 定期的に色々イベントごとをやるようになって。 暫く廃部の危険はなさそうだ。 ……俺も、変わらず顧問先生のフォロー係。
(@89) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時頃
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[顧問副顧問の顔ぶれは変わっていないこと、 他にも、個性豊かな新入生の話などもその場でした。 座って話せば良いものを、なんとなくタイミングを逸し そのまま立ち話のように身の回りの近況を交換する。
……そうして]
[“報告”に、瞬いた。]
(@90) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時頃
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[単刀直入な言葉に、 努めて平静を装おうとするも、ほんの僅か その場に走った緊張に気付かれただろうか。
一呼吸、言葉の続きを待つ。 その先の真意を確かめたなら 気付かれないよう、小さく息を吐く。 嘆息でも諦観でもなく、己にほんの僅か過ぎった 情けない心の動きによるものだった。]
………本郷。
[己を見上げる彼女の瞳は、 かつての印象よりもずっと柔らかい。 名を呼ぶ以外の言葉を口に出来ないまま、 引き込まれるように見詰めていた。 取られる手も勿論厭いはしない、好きなようにさせて。]
(@91) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時頃
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――― … うん
降参。
[一途で真っ直ぐな “正面突破” へ 今度こそ本当に、白旗を上げた。]
(@92) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時頃
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いいよ。 もう、十分。
ていうか……俺もこれ以上放っておけない。
さっきだって、気付いたかも知れないが 少しだけ、ほんのちょっとだが、動揺したんだ。 大学に入ったら、そりゃなあ、とか。 他の出会いも大事にしろなんて余裕ぶっこいて いい年して何なんだか。
……正直、結構自惚れてたくせにな。
(@93) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時頃
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最初に本郷からここで告白受けてから 一年、半……くらい経つんだったか。 先生と生徒の枠は外れていたけれども その間、ゆっくり関わり続けてきてさ。 本郷がどんどん大人に、綺麗になって行くのを見て来た。 見た目の意味だけじゃないぜ。中身も全部。 きっと、この先も、驚くほど変わって行くんだろう。
……見逃したくないと思ってしまうのは、 ……逃したくないとも、思ってしまうのは。
そういうことなんだろうな、って、思って。 ……って、この言い方はズルいか。
[軽く呻いて、一瞬空を睨み。 取られた手を、今度は己から包むよう握り返して。 叶うなら少し、引き寄せよう]
(@94) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時頃
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俺で良ければ。 ちゃんと、隣で名前、呼んで。
………俺も、好きだよ。
[今度こそ―― 正面から、彼女の想いを受け容れる心算で。*]
(@95) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時頃
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―― いつか ――
[あれから。 実家のある新潟の某都市に帰り、 学習塾の講師として勤め始めていた。 生きて還れるかも分からないからと 殆どのものを手放してきてしまったから、 実家の至近にマンションを借りた。
両親や姉たちには、一緒に暮らせばと言われたが、 姉夫婦が切り盛りしている家に いい年の弟が転がり込むのも気が引けたのだ。 娘はお泊り感覚で己の家と実家とを行き来している。 本人は実家のほうが自分の家という感覚だが それは仕方がないので、少しずつ同居に向けて 環境を整えて行けたら良いと思って。]
(@96) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時半頃
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[四歳になった娘は、最近は星が気に入りらしい。 天文部の元顧問だからといって 知識を吹き込んだこともなければ プラネタリウムに連れて行ったこともなかったのだが。
せがまれて誕生日に買ってやった 点を結んで星を作る知育玩具で遊び、 オリジナルの星座を作っては喜んで見せに来る。 まだまだ簡単な字しか読めないのに、読めないなりに 真剣な顔をして星座図鑑と向き合っていることもある。 二、三年もすれば父よりもよほど詳しく 星の知識を語るのではないだろうか。
彼女は、膝の上で、今日も星を数えている。]
(@97) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時半頃
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[亡くなった人がお星さまになるのだと 娘に語って教えたのは誰だろう。 姉貴にしては古めかしい気がするから、父か母か。
――あのおほしさまは ひいおばあちゃん。 ――あかいのは おとなりのおじちゃん。 ――ぱぱは あれ!
そっかー、あれかぁ。と返しつつ、 またさりげなく娘の手でパパが 亡き者にされている気がするのは気のせいか。 可愛いので気にしないことにしてはいるが。]
(@98) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時半頃
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[星々の泳ぐ海に探すのは、 無論、亡くした者たちの顔だ。 あの戦いで命を散らして逝った生徒達。 一人一人の顔を思い浮かべては、宙を探る。 分かっている。見つけることは出来ないと。 彼らの魂は、きっと其々に そこと定めた場所に眠っているのだろうから。]
(@100) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時半頃
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お、おねむだな? そろそろ寝るか。 ってもう寝てんのか。はええな。 風邪ひくぞ〜〜。
[子供は寝付くのが早すぎる。 だっこで布団に運び、軽い掛布団をかけてやる。 その間も、星々は何も知らぬ顔で瞬き続ける。]
(@101) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時半頃
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[祈る。
せめて何処に居ても同じ空の元に在るように。 逝った者、生き延びた者。 皆の魂が永劫安らかであるように。
きっと、幾たび季節が巡っても 己は、あの夏の夜を思い出すだろう。 **]
(@102) azure_blue 2023/08/30(Wed) 22時半頃
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―― 春の日:公園 ――
〜〜〜… こっちの方が 学生の頃に戻ったみたいな気にさせられてる。
[何だか表情が定まらない。 余裕を持った大人の顔をして居られる筈が 徐々にペースに飲まれているのを感じた。]
たい、ど って…… 言ったらキリがないような気がするんだが。
[引き寄せて、一歩近づかれて。 至近にまで本郷を収めながら、見下ろす。 叶うなら彼女の頭上に唇を落としつつ、 彼女ののぞみを反芻した。]
(@103) azure_blue 2023/08/30(Wed) 23時頃
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……そりゃ、願われるなら いくらでも叶えてやりたいけど、さ。
何処までのこと言ってんの? 先走ったら恥ずかしいから聞かせてよ。
[背を屈め、覗き込む。 キスで良いならこの場所で、今すぐ。*]
(@104) azure_blue 2023/08/30(Wed) 23時頃
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いや、十代の頃みたいな 余裕ない対応してる自覚があって。 ……昔の話は、話すのは構わないけど 聞いても面白いかな? 図書館篭りの陰キャだぞ。
[軽口の応酬は、落ち着かない心を 落ち着かせるのに効果的だった。少し笑みが出る。]
……ん?
[触れるか触れないかのところに 軽く唇を寄せただけなのに、目に見えて動揺する本郷。 形勢逆転の兆しかと、口端を上げた。]
(@105) azure_blue 2023/08/30(Wed) 23時半頃
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そりゃあ、あるよ? 際限があるかっていわれたら、 人によっちゃあどこまでも行けるだろうな。
[子供、とはもう思ってはいないけれど。 先刻は予想外に動揺させられた意趣返しに 予測を越えて純真だったらしい彼女を 揶揄いたくなってしまったのだった。 もし余計に困惑させたなら、すまん、と微笑む。]
……別に急ぐようなことはないから。 ひとつひとつ覚えていって。
[キスを、と言われたのには 短く諾を返すように、髪に指を差し入れた。]
(@106) azure_blue 2023/08/30(Wed) 23時半頃
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うん。 顔、上げて―――…?
[数センチの所まで、確りと視線を絡ませる。 それから、怖がらせないよう、ゆっくりと唇を重ねた。*]
(@107) azure_blue 2023/08/30(Wed) 23時半頃
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―― 春の日:公園 ――
[彼女は学生だし、己は教師ではあるが、 己の生徒ではなく、彼女の先生でもない。 まだまだ職業柄が混ざりそうになってしまうけれど 生徒と教師というその感覚も、 ふたりでいるうちに消えて行くのだろう。] ……ふ
[よろしく、が可愛くて。合間、少し息を零して。]
(@109) azure_blue 2023/08/31(Thu) 00時頃
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ん、こちらこそ。 ……… おかわり。
[もう一度、と、離れてしまった唇を繋ぎ直した。 先の未来への願いを重ねるように。**]
(@110) azure_blue 2023/08/31(Thu) 00時頃
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