23 あの春の廃校だけが僕らの学校だった。
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う、うん? そーなんだ?
[おイタの成功に北叟笑んで、能天気に頷いていられたのは、最高の相棒、まで。
こういう時の声や手つきが、必要以上に甘くて。急に相手が年上なことや、異性であることを意識させられるから。ペースが乱されて悔しいやら、ひっくるめてもどかしいやら。]
…………大和のくせに、大和のくせにー。
[主導権が諦めきれず、てしてし胸板を叩いて反意を示すことしばし。梳る指の心地よさに抗えず、目蓋を閉じてその体温に身を預けた。**]
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─ 翌土曜・xx駅周辺 ─
[残高を予め確認してから、窓口で200万を引き出す。「仕事先の都合で口座を移すことになって」適当な理由をでっち上げればそれで問題は無かった。見た目が年齢相応ではないのにも便利なことはある。
あの夜に桐堂に貸したパーカーを羽織ってきたのはただそこにあったからだが、日中は暑いくらいかもしれない。袖だけ捲っておく。
時間潰しに寄った書店で大学案内を買った。待ち合わせ場所の柱に凭れ掛かって目当ての学部を比較検討していると、そのうち改札上の時計が13時に差し掛かる。荷物を抱え直し、桐野の到着を待った。]
よう。 相変わらずキリノだな。*
(369) jps 2023/05/05(Fri) 16時頃
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>>370 微妙なトコだな。 あの後色々あったといえばあったし……。
まあいいや。カラオケでいい?
[現金を確認してもらわなくてはならないので、個室の方が都合が良かった。どうせ頷くだろうと、すぐそこの雑居ビルに入った。適当に時間を決めて、ビジター価格で受付を済ませる。ドリンクバーはついてくるらしい。 適当にアイス珈琲を汲んでから部屋に向かう。]
で、どうよ? サラちゃんとは。
[荷物を適当に放って、挨拶代わりに切り出す。 バーチャルの職員室で"内通"を持ち掛けた時みたいに。]*
(372) jps 2023/05/05(Fri) 16時半頃
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>>373 [順調そうで何より。沙羅ちゃんも心配は要らなさそうかな、と本人からのLINEと合わせてほっとする。
随所にナチュラルな惚気の混ざる雑談を適当に弾ませてから、大して嵩張りはしない包みをサイドバッグから取り出した。つい、と差し向ける。]
ん。
ホーリー……ああ、ヒイラギな。 あいつは一言「要らない」ってだけ。 キルは「胡散臭いからやだ」ってさ。
俺だけ貰うのもアレなんで返すわ。
[うまい棒パーティの話が出るなら、不参加を告げておく。]*
(376) jps 2023/05/05(Fri) 17時頃
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>>379 [確認くらいしろよ、とは思ったが、無防備な信用を向けられた気分は、まあ悪くはなかった。思えばゲームでも「人として」なんて言ってくれてたんだったか。片眉を上げて、ただその動作を視界に収めた。]
そういや、そうか。 キリノは人狼の先輩だったんだよな。
お前と赤囲んでたとしたら、 どんなだったろうな。
[今となってみれば、あの二人以外との窓は考えられなかったにせよ、その想像自体は愉快ではあった。]
あ、そうだ。
俺の連絡先知ってること、 サラちゃん以外には秘密にしといて。*
(380) jps 2023/05/05(Fri) 17時半頃
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>>381 [その後も時間いっぱい、他愛無い言葉を交わした。
大学の情報交換なんかは有意義だったかもしれない。医学を志すと聞かされたならば、こちらは法学だと答えて笑う。お互い楽ではない道だった。]
…………んじゃ。またな。
サラちゃんにバスケ楽しみって伝えといて。 その時はお前も来るだろ?
[球技は苦手だと言っていたような気もするが、見ている分には構わないだろうし。まさか運悪く飛んでいったボールに顔面を打たれるなんてこともあろう筈もなかった。
駅まで連れ立って、手を振った。]*
(382) jps 2023/05/05(Fri) 18時頃
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─ 数年後 ─
[今思い返しても勉強漬けの日々だった。
本来ならば高校の最終学年度を収めていた筈の年は特に狂気の沙汰だったろう。ほぼ丸一年を使ったとはいえ、高校の就業課程全てを浚いながら高等学校卒業程度認定試験、平行して大学受験までをこなしたのは我ながらやり過ぎだった。
合格後は休む暇もなく司法試験対策(規定は緩くなっていたとはいえ)、資格を取得してからも修習、インターン、ローからの同期との情報交換という名の飲み会の頻度も酷かった。お陰で筋肉が若干落ちてしまった。学閥絡みの検察への引き込みから逃げ切れたのは奇跡のようなものだった。
何はともあれ。
今日、こうして無事に弁護士として正式に雇用されることが出来た感慨は十二分に深いものだった。
希望通りの、アンダーグラウンドに強みを持つ事務所だ。]
[誰かの荷を背負いがちだと指摘されたのはいつのことだったろうか。その特性を歪みなく発揮出来る分野でもあり、また一般的な倫理観から離れたところに在る自分には向いていると自然に思えたのがこの仕事である。
或いは、再びあいつに出会えたとして、あいつがどんな環境に身を置いていたとしても助けてやれる、そんな思考がなかったとは言わないのだが。]
まずは陳述書の清書ね。
はいはい、どんな下働きもしますよーっと。
[あれから数年、不定期に掛け続けた電話は、未だにコール音を響かせてくれている。その声が聴けることはなかったが、途切れずにいてくれることが嬉しかった。
いつか投げられた問い掛けを思い出す。今ならば真っ直ぐに答えられる気がしているのだ。一度限りの夜について、俺の、感じたことの全てを。
背広の胸ポケットには、唯ひとつの石が収まっている。]**
おまえ、
大体、なんで、こんなとこいんの?
さっさと、こんなとことの関わりは絶っちまえ
→×6〒+÷°39〒5+→#
[なんだか、わなわなしてる]
心配せずとも、
その為にずっと下積みして来ましたから。
若頭は何も憂うことなく、
お仕事をこなしてくだされば構いませんよ。
というか、
もっかいきくわ。
なんで、こんなとこにいる?
口説こうと思って。
俺からもひとつ訊いていい?
電話、
なんで捨てなかったの。
はあ?
まだ、ヤりたりねえのか?
つか、お前、そんなナリで、金も持ってるなら、
いくらでも誰でも抱けるだろ。
電話は、
うるせえな。こっちの勝手だろ。
縁が切れないままで、
ここまで来たんだからさ。
………………やっと、会えた。
話をさせてよ。
……長い話になると思うけど。
[取り出した石を放り投げる。黄緑色。]
[投げられたもの、反射的なら受け止める]
くっ。
お前、バカだろ。
勝手にしろ。
[もうとっくに手が覚えている操作で、
一本の電話を掛ける。
それからのことは、カメラの外の、お話。]**
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