17 【半突発身内村】前略、扉のこちら側から
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[ とても静かでした。 傍らの白い生き物が口を開かなければ、 ここに声が響くことはありません。
あるいは、”それ”のようにどこかから 訪れた者がいれば違ったのかもしれませんが、 いつかの未来、もしくは過去にあたる今、 広く白い世界には”それ”らしかいないようでした。]
(35) 2022/03/05(Sat) 20時頃
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[ 小さな手>>0:25が”それ”が乗る紙に触れました。 すると、まるで世界に融かしていくように 手紙は”それ”の下からいなくなってしまいました。
きっと、二通目>>0:125も同じでした。 紙一枚分の高さを失って、 ”それ”は白い生き物と向かい合います。 耳元に「アシモフ」というタグがついていましたが、 ”それ”が名前で静寂を破ることはありません。
ただ、顔のような形を向けて、 骨組みの隙間から星空を滲ませて、尾を振って、 感謝の言葉を綴るだけです。]
(36) 2022/03/05(Sat) 20時頃
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[ とても静かでした。 なのに、新しい存在はいつの間にか傍にいました。]
(37) 2022/03/05(Sat) 20時頃
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[ ソレ>>0:158は二対の翼を休めるように、 カウンターに寝そべっていました。 ”それ”が身体を滑らせて近づくと、 まるで待っていたかのように折り目が解けます。
「前略、扉のこちら側から」>>0:156という 書き出しから始まった手紙には、 名前の知らない誰かの言葉が綴られていました。
”それ”は文字を追うように目の窪みを向けた後、 首を垂れて、その紙に頬ずりしました。]
(38) 2022/03/05(Sat) 20時頃
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[ 紙は何色だったでしょうか。 誰かの嫌う白色>>0:154だったかもしれません。
文字は何色だったでしょうか。 多くを積み重ねた果ての黒色だったかもしれません。
始まりと終わりの色であっても、なくても。 ”それ”は開いた翼から離れ、尾を揺らします。]
(39) 2022/03/05(Sat) 20時頃
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『 扉のあちら側の あなたへ
返事をありがとう。 声が届いて、とても嬉しい。
そこが始まりであるのなら、 これから多くの色が降り注ぐのでしょうか。 いずれ黒に染まってしまうとしても、 今はまだ、何物にも染まっていないのかも。
もし、選べるのなら、 あなたは何色になりたいですか。
私は今、終わりの黒の中に残された 染まらない光を探しています。
B 』
(40) 2022/03/05(Sat) 20時半頃
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[ 真っ白な紙に滑らせた星空は、 ドームの上を覆う色より青く、鮮やかでした。 だって、今、”それ”の身に揺蕩うのは、 陽の光を知る夜の色でしたから。
最後に名前を書こうとして、 ”それ”は一度動きを止めました。 尾からインクが零れて円を描く前に、 たった一文字を紙の端に書き添えます。
それから白い生き物を見て、 その小さな手が開いたままの紙に触れるまで ただ静かに待っていました。]
(41) 2022/03/05(Sat) 20時半頃
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[ ”それ”に嘘を教えたのは、薄汚れた男でした。 ”それ”の役目は、彼を生かすことでした。]
(42) 2022/03/05(Sat) 20時半頃
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[ 天井から吊り下げられた白の向こう>>0:#1、 宙は光すら吸い込むかのように暗く佇んでいます。
その中でぽっかりと切り取られたかのように、 半円の空間だけが、誰か>>1:82が望むまま 白く、浮かび上がっているかのようでした。
もしかしたら”それ”が知らないだけで、 下にもう半分の円があるのかもしれませんが、 残念ながら”それ”に知る術はありません。
白に満ちた世界の中から、 ”それ”は暗い宙を見上げました。 何かを探すかのように、言葉なく、静かに。]**
(43) 2022/03/05(Sat) 20時半頃
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[ 自分の名を教えてはいけない。と、男は言いました。 真実を明かすなんて死にたい奴のすることだ、とも。
建物の間を冷たい風が通り抜けて、 男はボロボロの布を身体に強く巻きつけました。 顔を伏せて、自分の息で布の内側を温めて。
しかし、それは彼に温もりを与えるに至らず、 やがて気絶するように目を閉じるまで、 彼の黒々とした瞳は虚ろに揺れたままでした。
”それ”は暗い夜に煌めく黒を見つめるかのように 彼の足元でとぐろを巻いていました。 彼が目を閉じて、目が覚めるまで。ずっと。
”それ”が眠ることはありません。]
(55) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ 男は見栄っ張りで意地っ張りでした。 お金がないのにご飯を奢ったり、 住む家もないのに服を買い与えたりする人でした。
今日も男は”それ”を使って手紙を書きます。 ある時は遠くの町の富豪として、 またある時は海を越えた先の王族として。 男には地位のある偽物の名がたくさんありました。
手紙だけではきっと誰も信じてくれないでしょう。 他にも何かしていたに違いありませんが、 ”それ”は男が外で何をしているのかを知りません。]
(56) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ 男はいつもボロボロの隠れ家に”それ”を隠し、 夜遅くに帰って来ては、”それ”を取り出しました。
”それ”は男が紡ぐ言葉を男が望む形で文字にします。 白い骨組みの内側は、男の瞳に似て、 黒く艶のあるインクで満たされていました。
手紙を書き終わると、男は部屋の隅に移動します。 そこが一番風の届かない場所なのです。 ”それ”は彼の手のひらに掬い上げられて、 いつも彼の足元で丸くなりました。]
(57) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ 意識が途絶えるまで、彼はいつも話をしました。 ”それ”には口がありませんので、 返事で静寂を破ることはありません。
それでも男は、まるで”それ”へ 語り掛けるように話をするものですから、 ”それ”は、相槌を打つように身体を揺らしました。
暗く冷たい夜、黒く煤けた家の中、 ”それ”の内と男の瞳だけが淡く煌めいていました。]
(58) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ 静寂を切り裂くような音が聞こえたのは、 そんな日々がいくらか続いた後のことでした。
夜の風にすら悲鳴を上げていた扉は、 固い拳が叩きつけられる度、木の屑に姿を変えます。 意識を失っていた男が飛び起きて、 足元にいた”それ”をいつもの場所へ押し込みました。
薄い板を介して、何人かの声が聞こえます。 すべての言葉を知ることはできませんでしたが、 毎晩与えられていた男の声だけは はっきりと掬うことができました。]
(59) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ ここには俺しかいない。と、男は言いました。]
(60) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ ”それ”が次に部屋を捉えた時、 男はもう、どこにもいませんでした。
幸いなのは、ここが黒い部屋のままだったことです。 赤や白といった他の色は見当たりません。 あの夜、男が発したのはたった一言で、 苦しむ声や呻く音は決してしませんでしたから。
代わりに、多くの人が”誰もいない”部屋を訪れ、 悲しみに満ちた思いを零していきました。]
(61) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ 飢えて死にそうだった時にパンを貰った男の子は、 今は弟のために頑張っていると言いました。
大人になる日の誕生日に服を貰った女の子は その布を生きるために切り裂いたと謝っていました。 彼なら笑って許してくれると言われた彼女は、 上等な布で作った毛布を抱きしめて頷きました。
カモがいなくなったと嘆く者、 自分のために生きれば良かったのにと嘲笑する者、 彼が残した宝がないか部屋を漁る者もいましたが、 ここを訪れた大半の人間が、 彼に感謝し、彼の無事を祈っていました。]
(62) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ それなのに。 誰も、彼の名を呼ぶことはありませんでした。]
(63) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ もし、”それ”に手があったのなら、 夜に震える彼を抱きしめられたでしょうか。
もし、”それ”に指があったのなら、 孤独に怯える彼の目元を拭えたでしょうか。
もし、”それ”に口があったのなら、 一人の夜を音で彩ることができたでしょうか。
もし、”それ”に声があったのなら、 彼の瞳——黒い宝石が、灯りに照らされる度に 様々な色を乗せることを教えてあげたかった。
”それ”ははじめて、叶うことのない夢を見ました。]
(64) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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『あなたの望みは何でしたか。』*
(65) 2022/03/05(Sat) 23時頃
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[ 誰かに宛てた手紙も、そうでない思いも、 白い紙に残した星空は小さな手によって どこかへ旅立つのでしょう。
ただ目の前から消えてしまうのに、 どうしてか捨てられたとは思いませんでした。 遠くに見える扉が自分のものだと分かるのと同じ、 誰かの下に届くのだと、当たり前のように思います。
”それ”の扉は、硬い拳で叩いても 木屑を生み出してはくれないように見えました。
話が逸れてしまいましたね。 だから、”それ”は白い生き物に尋ねることなく、 小さな手が伸びる度に宙へ感謝の言葉を綴ります。]
(73) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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[ ”それ”の下へ手紙が届いた時もそうでした。
宛名が書いてあった訳ではありませんが、 ここにいる存在はとても少ないものですから。 カウンターに置かれた少々癖のある自体>>46に 白い生き物が反応しないのであれば、 これは、”それ”のために現れたのでしょう。
だって、”それ”にはあまり縁がありませんが、 ここには必要な何かが現れることがあるそうです。
他でもない、傍らの白い生き物が、 そう教えてくれましたもの。ね。>>0:#4]
(74) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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[ 手を伸ばしてもいない白い生き物に感謝を綴ります。 最後に描く顔のバリエーションも途絶えて、 代わりにうれしい≠フ一言を付け加えました。
そして、書きなぐったような手紙の上に乗り、 顔のような部位が文字を追いかけます。 最後に鼻のように丸く尖った先を 優しく押し当てるように、身を伏せました。]
(75) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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『 私のいない場所にいる あなたへ
私もあなたのいない場所にいます。 とても似ているのに、とても遠いのですね。
ここには炎も祈りも煤も雪も降っていません。 とても静かで広くて白いです。 けれど、雪は知っています。
とても美しくて、冷たくて、静かで、 すべてを覆い隠せる程に広くて、白い。 あなたも雪がお好きですか。
私は……分かりません。 あなたは自分のことが分かりますか。
B 』
(76) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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[ 誰かの問いに答えを出せず、 ”それ”はいくつかの小さな丸い染みを作りました。 望む者の目に入れば、沈黙の形として残るでしょう。
”それ”は暫く紙の上に佇んでいました。 まるで何かを考えているかのようでした。]
(77) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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[ ”それ”に美しさを与えたのは、凛とした女性でした。 ”それ”の役目は、記憶を永遠にすることでした。]
(78) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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[ ”それ”は紙の上から退きました。 もし白い生き物が手を伸ばすのであれば、 細長い身体を同じように伸ばして留めます。
その上で頭で円を描くような動きをしましたが、 やがてその身からインクを滲ませて、 紙を裏返してほしい旨を伝えました。
白い生き物がそれを叶えてくれたなら、 ”それ”は裏側の右下に尾を滑らせます。]
(79) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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[ もし、この手紙が望む者に届くのであれば、 手紙の裏側、世界の片隅のような端に 星空色の雪だるまを見つけられるかもしれません。]**
(80) 2022/03/06(Sun) 00時頃
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『 赤を知る Hへ
あなたは、雪を知っていますか。 とても美しくて、冷たくて、静かで、 すべてを覆い隠せる程に広くて、白い。
その白が溶けると、やがて大地が芽吹くのです。 草花が目覚め、動物たちが駆け回る。
私たちの生が、白から黒へ変わるものでも、 はじまりの白の下にも眠る色はあるのだと、 私は、そう思います。 』
(110) 2022/03/06(Sun) 15時頃
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『 私はあなたを知りません。 ひとつめもふたつめも、その身に抱く絶望も。 だからこそ、あなたの望む色を教えてください。
決して交わらないからこそ、 私はあなたをその色で思い描きます。
私はどこへも行きません。 この手紙のように、誰かの望むがままに。
B 』
(111) 2022/03/06(Sun) 15時頃
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[ ”それ”はまた、手紙を書きました。 Hと名乗った誰かに、言葉を贈りました。
はじまりを白だと感じたのは H>>0:156が最初にそう言ったからで、 雪を思い浮かべたのは 誰か>>48が雪を”それ”の下に届けたからです。
”それ”の内にあるのは、 すべて誰かが、人間が与えてくれたものでした。]*
(112) 2022/03/06(Sun) 15時頃
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[ そこは、長く白に閉ざされる場所でした。 彼女はいつも退屈そうに窓の外を眺めていました。
”それ”は彼女の名前を知りません。 だっていつも「お嬢様」と呼ばれていましたから。
お嬢様は、窓の外を埋め尽くす白――雪を、 あまり好んでいないようでした。]
(113) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ お嬢様は外を駆け回るのが好きな人でしたが、 この地はお嬢様の望みを簡単に叶えてはくれません。
やっぱりおじいさまについていけば良かった、と お嬢様はよく溜め息をついていました。 机の上に置かれた木の枠には、 幼いお嬢様と彼が並ぶ肖像画が飾られています。]
(114) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ ”それ”がゆらり揺れると、同意と受け取ったのか、 お嬢様は嬉しそうに目を細めました。 「あなたもおじいさまを覚えているの?」と。
”それ”はおじいさまがお嬢様に与えたものでした。 口を持たない”それ”は返事をしません。 ただ、すっかり髪が白くなってしまった彼と 同じ髪の色をしたお嬢様を見つめるだけです。]
(115) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ お嬢様は決して身体の弱い人ではありません。 しかし日々の半分以上を雪に覆われたこの地は 屈強な人間以外にはあまりにも厳しすぎましたし、 お嬢様を見た者たちは皆、彼女を大切に扱いました。
外にも出られず、宝物のように触れられるお嬢様は、 本を読むことよりも絵を描くことを好みました。 最初は”それ”を用いていましたが、 生憎”それ”は文字を書くことしかできません。]
(116) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ 頬を膨らませたお嬢様を見て、 ”それ”はスケッチブックの白の上に尾を滑らせ、 いくつかの形を描きました。
塔の窓から見える空、自由にはばたく鳥であったり、 バスケットの中に詰めた内緒のパンであったり、 眠れない夜に語られた、知らない景色であったり。
”それ”は文字を書くことしかできません。 お世辞にも上手いものではなかったでしょう。 お嬢様の描いたものと違いはありませんでした。]
(117) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ けれど、お嬢様は膨らませた頬の上、 鮮やかな赤を抱く瞳をきらきらと輝かせて ”それ”の尾が踊る様子を楽しんでくれました。
お嬢様が一番気に入った様子だったのは、 どこかの裏庭にあったような、大きな木でした。 ”それ”の内に流れる青々とした緑色が 景色によく似合うものだったからかもしれません。]
(118) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ お嬢様は”それ”以外を使うようになりました。 代わりに”それ”にも紙を与え、 お嬢様が絵を描く時はずっと隣にいました。
外に出られない白の檻の中、 お嬢様は絵を好んで描いていましたから、 ”それ”はずっと、お嬢様の隣にいました。]
(119) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ お嬢様は景色を描くことが多い人でした。 ”それ”にも好きなものを描くよう伝えました。 ”それ”にはお嬢様の言うことがよく分かりません。
ある時、隣にいるお嬢様を描くと、 どんなに歪でもとても喜んでくれました。 だから”それ”はよく、お嬢様のことを描きました。
白い骨組みの内には鮮やかな緑が流れていましたから ”それ”の描くお嬢様は、いつも緑色をしていました。]
(120) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ 雪が解けて大地が顔を出すと、 お嬢様は”それ”を連れて外へ飛び出しました。
周りの人間が慌てて追いかける姿を見ても、 ”それ”にはお嬢様を止める術はありません。 抱えられるがまま、お嬢様の冒険に付き従います。
木の根元に新芽が覗く様子を教えてくれたり、 動物たちを脅かさないように口を手で覆ったり。 お嬢様は数少ない白がほどける日々の間、 大地を駆け回りました。
そうして彼女の赤い瞳が捉えた景色は、 何枚ものキャンバスに描かれていきました。]
(121) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ 真っ白な家の真っ白なお嬢様。 今日は纏うドレスも真っ白です。 外も雪で白く染まっていましたが、 もうすぐお嬢様の望む鮮やかな日々がやってきます。
白い手袋をしたお嬢様が、”それ”を掬い上げました。 お嬢様の赤い瞳が”それ”を見つめています。 真っ白な肌をほんのり赤く染めたお嬢様が、 ”それ”を抱えてひとつの扉をくぐります。
お嬢様と”それ”がいつも絵を描いていた部屋。 白に覆われた日々も、多くの色で溢れていた場所。]
(122) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ 真っ白でした。]
(123) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ キャンバスが部屋の中にぽつんと置かれていました。 白い布がかけられています。 お嬢様は”それ”を椅子の上に乗せると、 布を引っ張って中身を露わにしました。
目のような窪みと鼻のような丸い尖り、 骨組みはとぐろを巻いて、 その先にペン先のような尾が横たわっています。
積もった白の下から目覚めた大地のような。 緑色を纏った”それ”が、そこにいました。]
(124) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ お嬢様には、将来を誓い合った人がいました。 閉ざされた日々が終わって道が開ける度、 彼女の下を訪れる人がいました。
雪が解けて大地が顔を出すと、 お嬢様は”それ”を連れて外へ飛び出しました。 その人が扉の前まで辿り着くことすら待ちきれず、 自らの足で会いに行くような、そんな方でした。
私、結婚するのよ。と、お嬢様が言いました。 日取りが決まって何度も教えてくれたことでした。 今までで一番幸せそうな音をしていました。]
(125) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ お嬢様は他にも多くの絵を残してくれました。 ”それ”のためなのか、 綴じられた紙の端に硬い金属のような物があり、 鼻を押し込むことで次の頁に移れるようでした。
あなたの絵は私が貰うから、とお嬢様は言いました。 時間を重ねるごとにお嬢様の絵は上達しましたが、 ”それ”が描くものは変わりませんでした。 しかし、お嬢様は一枚たりとも譲ってくれません。
”それ”はお嬢様の隣にずっといましたから、 お嬢様がくれた景色はすべて知っていました。 多くの景色を、お嬢様と一緒に見ました。]
(126) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ けれど、最後の頁を見て”それ”は動きを止めます。 初めて目にする、お嬢様とおじいさまの姿でした。 記憶にない彼女だけの思い出がそこにありました。
驚いた? と、お嬢様が”それ”に尋ねます。 おじいさま、昔はこうだったのよ。と。
”それ”に口はありません。 返事をすることなく、肖像画を見下ろします。]
(127) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ すっかり白くなってしまった髪は、 夜に負けないくらい、深く暗い色をしていました。 しかし、瞳は今も昔も変わらず、 真っ黒なのにどこか煌めいて見えます。
真っ白なお嬢様は今よりずっと幼くて、 その眼差しは、今と変わらず凛としたものでした。
二人はよく似ていると”それ”は思いましたが、 伝える術を持っていませんでした。]
(128) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ ”それ”は窓の外を見るように首を持ち上げました。 もうすぐ雪が解け、青々とした緑が顔を出します。]
(129) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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『あなたの目には、何が見えていましたか。』**
(130) 2022/03/06(Sun) 17時頃
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[ ”それ”が記した言葉は手紙となり、 白い生き物の手によって宙に融けていきます。
消えたとは思いません。 もしかしたら、融けたとも違うのかもしれません。 ”それ”の下に返事が現れたように、 誰か>>152>>153の傍らに届いたのでしょう。
確かめる術はありませんが、 きっとそうなのだと”それ”は思いました。
”それ”は白い生き物に目の窪みを向けます。 しかし開く口もなければ、 瞬く間の文字を宙に書くこともありません。]
(164) 2022/03/06(Sun) 23時頃
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[ 透明なガラス張りのドームの中、 吊り下げられた白い光と真っ白な床があり、 遠くの果てにはひとつの扉が見えます。
ぽつんとあるカウンターには、白い生き物と 白色を譲った”それ”が佇むだけです。
白い骨組みの内側に、炎の色も黄金色もありません。 艶めく黒も、青々とした緑もありません。 星空に似たインクが微かに揺れるばかりでした。
それから、まっさらでまっしろな紙が数枚。 役目のないペンは物言わず横たわったままです。]
(165) 2022/03/06(Sun) 23時頃
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[ ”それ”がここを訪れてからの変化といえば、 扉のこちら側へ届いた数通の手紙だけ。
紙も何枚か減ったのかもしれませんが、 ここが過去であるか未来であるかと同じくらい どちらでも構わないことでした。
山ほどのサプリメントや友情のカルピス、 幸福と永遠のクリームソーダもありません。 大きなチーズ>>0:4だけはあったでしょうけれど。]
(166) 2022/03/06(Sun) 23時頃
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[ 望むもの。 探しているもの。 忘れていたもの。 思い出すきっかけとなるもの。 前に進むきっかけとなるもの。 あるいは、必要な何か。>>0:3>>0:#4
”それ”の前に何かが現れることはありません。]
(167) 2022/03/06(Sun) 23時頃
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[ ”それ”に名前をつけたのは、かみさまでした。 ”それ”の役目は、何もありませんでした。]**
(168) 2022/03/06(Sun) 23時頃
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