31 私を■したあなたたちへ
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(坂理へ個人送信)
『誤解(何の?)なきよう言っておくけど、
僕は、黒須ワは、歴とした男だからな。
🍬の恰好は、女形のキラ様リスペクトなだけで、
いつの間にか後に退けず……。
まあそういうことだ。返信は要らない。じゃあね。』
女が好きな女でも、女装趣味の男でも、坂理の知ったことではないだろうが、妙に拗らせた対抗心と勢いで謎の釈明を送り付けた。
(下書きフォルダの未送信メール)
『じゃあ間違って招待されてしまったのでしょうか。
だとしたら、ボクだけでも、
この島から出して貰えるかも?』
灰羅への返信が随分と遅れてしまった。当然なのに、るくあが自分のことを身内に語ることはなかったのだと、事実として知らされてしまったらもう立ち直れない。坂理と相対して、多少なりともその人柄に触れて、格の違いを見せつけられた後だから、余計にだ。
モナリザと坂理には素性がバレてしまった。遅かれ早かれ、招待者の耳に入る可能性がある。白々しいメールの文面にDEL連打して、打ち直した。
(灰羅へ個人送信)
『仲が良いどころか、どちらかと言うと、
嫌われたり迷惑がられたりしてそうです。
黒須ワ、なら……何か聞いていますか、お 兄さん。』
『 え。そうなんだ。
すごうね。全然わからなかった。
ワくん。メイク上手いね。
そういえば煙崎さんが言ってたよ。
ワくんのこと。
大切で、大好きだったって。 』
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――触れ合い公園
[開発者の腕が卓越していたためか、どこかから 秀逸な演奏が聞こえてくる。>>280
残念ながらというべきか、常からか、 音楽を楽しめる気分ではなかった。 芝生に地上絵のごとく刈り込みの入った緑地が 程なくして視界に入る。 「触れ合い公園」と書かれた石造りの看板が 通路との境に立てられていた。 倒れるように寝転ぶと、人口のものではない 芝生の匂いが鼻をついた。]
(281) 2023/11/20(Mon) 12時頃
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[地下にいたのはそう長い時間ではない。 なのに、長い年月かけて蓄積したような疲労感が 身体の隅々にまで及んでいるようだった。
地下室で見た手記。 あれに書かれていたことが真実なら、 研究所の人間に、己に自由意志などなかった?]
……いや、そこまで明確なことは……、 しかし……。
[るくあが宇宙をテーマの遊園地を望んで、 彼女のために作りたいという願いすら、 操られて生み出された感情だというのだろうか。]
(282) 2023/11/20(Mon) 12時頃
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[暫く身体を投げ出していたが、 やがてアポロに手を伸ばした。 通信を新しい順に遡って、己へのメッセージに 目を通す。
キャンディ――黒須からの送信があった。 彼と坂理柊の邂逅も、屈折した思いも知らないため、 返信の遅滞の理由に至らずに。 また、特に気にすることもいなかった。]
(283) 2023/11/20(Mon) 12時頃
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(黒須へ個別送信)
『 黒須くん、な。
名前は聞いていたかもしれない。
中学時代だろう?
いや、るくあは誰のことも
悪く言ったことはなかったよ。 』
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[黒須が中学時代の知り合いだということは、 調査して知ったことで、実のところ 記憶に残っていない。
ただ、この青年を嫌ってはいなかっただろう。 己の知るるくあを想起すると、 そうとしか思えないのだが。 今はその像が朧なものになりつつあった。]
(284) 2023/11/20(Mon) 12時頃
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(密星へ個別送信)
『 身の安全ということなら問題なかった。
今は銀の館を出て、触れ合い公園で寝てる。
用向きが終わったら、起こしてくれないか。 』
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[次いで、密星に返信を。 己と卯木の安全を気にかける一文に、 彼女の人となりが垣間見える気がした。
黒須の失せものへの遣り取りは、早々に 片が付いたらしい。 視界の端で流れを追って、芝生の上で目を瞑る。 ロボット達の演奏会を子守歌に、 間もなく意識を手放した。**]
(285) 2023/11/20(Mon) 12時頃
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灰占道士 煙は、メモを貼った。
2023/11/20(Mon) 12時半頃
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[>>296 その楽器はどこで手に入れたものか、 己を見下ろす秀麗な面を、寝入りばなの、 驚きと呆れが混じった顔で見上げて。]
どうせ起こされるなら、 もっと可愛げのあるコが良かったなァ。
[生きてるか? と 昨日送ったメッセージの意趣返しか、 天使たちも眉を顰めそうな坂理の笑顔に、 少しばかり気の抜けた軽口で返す。]
(303) 2023/11/20(Mon) 14時半頃
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……そこまで、捨て鉢になっちゃいない。 ああでも、おかしな形の日焼け跡が できずにすんだことには礼を言おう。
それに、坂理くんとは約束があったな。
[半身を起こして、今にも駆け出さんとする背中に、 聞こえただろうか。>>298]
(304) 2023/11/20(Mon) 14時半頃
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俺が招んだんだよ。
[聞こえたとして、その修飾のない一文の意味が 正しく伝わったかどうか。 坂理の姿が見えなくなると、息を吐いて立ち上がる。 公園の、丸く刈り込まれたトピアリーの並びに 移動して、その影に足を投げ出した。
難解でいて緩やかな旋律に 悪夢を寄せ付けない効果があったか判らない。 それでも、先ほどより疲れは 癒えている気がした。** ]
(305) 2023/11/20(Mon) 14時半頃
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灰占道士 煙は、メモを貼った。
2023/11/20(Mon) 14時半頃
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[坂理の性嗜好は聞き及んでいない。>>315 何しろ「るくあの彼氏」という認識でいたのだ。 片想いばかり? るくあ以外にも気のある相手がいたのだろうか。 時期如何によっては聞き捨てならない。 しかし、覚醒前したばかりの頭は 軽口の類だろうと聞き流す。
ここにきて、何度目か耳にする感謝の言葉。>>316 本気で口にしているとは無論思わないが、 意図は正しく伝わったようだ。]
(329) 2023/11/20(Mon) 17時頃
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[応えるより早く、 その姿は小さくなっていった。>>317
控え目に言って風変わりな青年だ。 今になって、本当は恋人同ではなかったのでは? という感想を抱く。何にせよ今さらだ。]
叶えるさ。
[――――望み? 唱えるまでに生じた間隙には気づかずにいた。*]
(330) 2023/11/20(Mon) 17時頃
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――公園
[>>314 一目で判るほど疲れた顔だったならば、 己もまだまだ修行が足りないのだろう。]
少しぼんやりしていた。
[額に手を当てて、彼女との遣り取りの記憶を遡る。 撮影は恙なく終えたのだろうか、 一瞬横に逸れた思考を正して、ああ、と 得心した呟きを落とした。
どんな顔で向き合うのか、 考えあぐねているような表情に見える。 小さな気合いの声とともに立ち上がり、 立ち尽くす密星の隣に並ぶ。]
(331) 2023/11/20(Mon) 17時頃
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場所を変えよう。 どこか行きたいとこあるかい?
[地上絵らしき刈り込みだけが目立つ公園には ベンチもなく、会話には不向きのようである。 演奏会の音楽は、その頃には 急激なジャンル変更をしていただろうか。 服と髪に付いた芝生を払い歩き出すと、 少し先に「惑星パーティ」という名の アトラクションが見えてきた。>>260 いわゆるコーヒーカップという乗り物だ。 落ち着ける場所ならどこでもよかったが。 ちら、と様子を窺う。 **]
(332) 2023/11/20(Mon) 17時頃
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――「惑星パーティ」
初心者? へえ、遊園地に来るのは初めてか。
[箱入りなのだろうか。 るくあから聞いた話と、世慣れていない雰囲気で 納得できなくもないのだが。 訪れたことがないのなら珍しいと思える。]
初心者へのオススメは宇宙遊泳だな。
[凝ったVRと急降下のスピードと角度が売りの ジェットコースターをしれっと勧める。]
(339) 2023/11/20(Mon) 18時半頃
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[選ばれたアトラクションは、 カップの代わりに太陽系の惑星が回るという ポップな仕様のもの。]
懐かしいな。 惑星の大きさがバラバラだ。 水星……月もあるのか、は、一人乗りだと。
[実際の比率とは異なるだろうが、 木星や土星は大きい球形をしている。 密星に希望がなければ、 手近なものに乗り込んで腰を下ろす。]
(340) 2023/11/20(Mon) 18時半頃
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……で、気になることってのは?
[中央のハンドルを切らなくとも、 ゆっくりと惑星は回り始める。 少し身を乗り出して、本題を切り出した。*]
(341) 2023/11/20(Mon) 18時半頃
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灰占道士 煙は、メモを貼った。
2023/11/20(Mon) 18時半頃
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[乗り込んだ天王星は地球より透明感のある青色で 球体の周りの環がホログラムで再現されている。
膨れると少し幼く見えたが、>>345 空気が弛んだのは一瞬、惑星が回転しだすと 密星は淡然とした様子で話しはじめた。]
違和感の、繋がり。
[彼女の言葉をなぞる。 その前に零した今朝までの疑問については 一旦スルーして、この遊園地への質疑だ。]
(373) 2023/11/20(Mon) 21時頃
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そうだな。 ここは、前は研究所だった。 以前……といってもそう昔のことじゃない。 一般じゃあまり知られていないが、 病理研究所としてはそこそこ名が知れていた筈だ。
俺は以前ここに勤めていてね。 ただ、急に閉鎖されることになったんだ。 研究所からテーマパークへ。 こんな場所に、人が集まるかは判らんがね。
[卯木と見つけた仮眠室には、 研究所に纏わる資料はなかったが、 地下の研究施設は広い。 隠し立てしたとて、遅かれ早かれ露見するだろう。]
(374) 2023/11/20(Mon) 21時頃
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[密星の想像する荒唐無稽なこととは何だろう。 探偵のように謎を解明しようとする彼女が 犯人だということもあり得るのだろうか。]
今回の件のために造られた? そうなると、るくあを殺したヤツとここへ 呼びつけたヤツが同じ……、 映画なんかだと、最近じゃ珍しくもなくなった アレだろ。 るくあを殺した時からもうゲームが始まってた っていうやつな。
…………で、第二は?
[回る景色を眺めることなく、球体の内壁に背を預けると、 問いの続きをうながす。*]
(375) 2023/11/20(Mon) 21時頃
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灰占道士 煙は、メモを貼った。
2023/11/20(Mon) 21時半頃
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――惑星パーティ
[遊園地に行く願いが叶うと るくあは養護教師である彼女にも言っていたのだ。 切ない――――? 捻じ曲がった力の介在しない 純粋な願いであるならそうなのだろう。>>190
先ほどの地下での手記を想起していると、 躊躇った声が落とされる。>>387]
(394) 2023/11/20(Mon) 23時頃
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――――? 何を……、 あいつはそこまでは話していないか。 俺たちは施設育ちだったんが、 兄妹揃って引き取られたんだ。
年も離れて、顔も似ちゃいないが 実の…………。
………………?
[その問いを直接投げられたのは初めてだった。 いや、彼女の死から半年。 そろそろ効力はなくなってきたのかもしれない。]
(395) 2023/11/20(Mon) 23時頃
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『 あのね 』
『 私
”お兄ちゃん”が 欲しい の 』
[ある日、その少女は己を見つめて微笑んだ。]
(396) 2023/11/20(Mon) 23時頃
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[アトラクションはパーティという名の通り、 普通のコーヒーカップと異なる点があった。 ゆっくりと回転していた惑星たちは、突然、 ぐらぐらと揺れ始める。 床が波状に起伏して、緩急をつけて アトラクション内を移動する。
看板横の案内板に注意書きは記されていた。 これが、LV.1の乗り物ではないということを。 ジェットコースター程の激しさはさすがにないが、 それなりの勢いで身体を壁にぶつけてしまう。]
…………っ、
[よく見ると安全ベルトらしき装置も、 座席に備わっていた。]
(397) 2023/11/20(Mon) 23時頃
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[中央のハンドルでスピード操作できるのは 通常のコーヒーカップと同様のようで、 方向を違えないように廻すことで、 何とか落ち着ける回転速度に戻す。
惑星が通常運行をはじめた頃には、 先刻よりはっきりとした意識を持っていることに 気付く。]
大丈夫か、嬢ちゃん?
[一言安否を尋ねた後、]
(398) 2023/11/20(Mon) 23時頃
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………アンタの言う通り、 血のつながりはなかった……、 どうやら、俺がそう信じ込んでいた、 だけらしい。
[上書きされた概念の解除はあまりにも容易い。 生気のない声で呟いた。*]
(399) 2023/11/20(Mon) 23時頃
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灰占道士 煙は、メモを貼った。
2023/11/20(Mon) 23時頃
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