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【人】 血吸茸 ギロチン-1日目 船外周辺- (46) 2021/11/09(Tue) 20時頃 |
【人】 血吸茸 ギロチンー1日目 船外周辺ー (47) 2021/11/09(Tue) 20時頃 |
【人】 血吸茸 ギロチンー2日目 安置室ー (48) 2021/11/09(Tue) 20時頃 |
【人】 血吸茸 ギロチン― 安置室 ― (82) 2021/11/10(Wed) 01時頃 |
[花を供えながら、ヨーランダにしか聞こえぬようにぽつりと呟く。]
死んでもうたら花なんてもろたって、
うれしいかどうかようわからんけどなあ。
でも、綺麗やな。
[献花台に花を置いたからといって、アシモフが生き返るわけでもない。
いくら時間を置いても、それを確かめることになるばかりだ。
溜息を吐くように毛がしぼむ。]
あしもふ はな みる ない。
はな ぎろちん あしもふ あう する あいさつ。
はな きもち。
[カプセルの中にいるアシモフが花を見ることはない。だが、花を供えることは会いに来たと伝える手段だと、ヨーランダは思っている]
ぼく しぬ はな もらう うれしい きっと。
しぬ おもう される うれしい。
しぬ ぼく わすれる される かなしい。
しぬ わすれる しない ぼく しごと。
[死んでからも自分のことを思ってもらえたら、きっとうれしいだろう。故郷では忘れ去られた存在だからこそ、強くそう思う。
ヨーランダは「人の記憶から忘れ去られたときに人は二度目の死を迎える」と思っている。
もしかすると覚え続けていることが、墓守の本当の仕事なのかもしれない]
あいさつかあ。なるほど。
置いとるだけやとただの死体やけど、花置いたら周りは綺麗になるし、そいたら傍に寄りたくなるし、見た目もええ。
[弔いの意識が薄いギロチンが、ヨーランダのいう"きもち"を汲めたのかはわからない。ただ、一定の合理的な納得はいったようだ]
……ウチなあ。
いつかは"ママのために"死ななあかんねんな。
せやからあんま考えたことなかったなあ。
"自分"が死んだらどうして欲しいかとか。
[ギロチンのいうママ——不死の女王は、己が死なない代わりにその分体たる子供らの死の記憶を望む。
ギロチンたちの星では、死は個人のものではなく女王へ捧げるものなのだ。
ギロチンが『スペランツァ』に乗り込んだのには、そういった死のサンプルを収集する目的があった。
みんなには内緒やで、と毛玉に目が埋もれる。
あくまで研究のためと募られた乗組員たちの死を、研究材料としてではなく星の意向として観測することを望むのは、星空間倫理にも抵触しかねないからだ。]
【人】 血吸茸 ギロチン― 安置室 ― (96) 2021/11/10(Wed) 10時半頃 |
【人】 血吸茸 ギロチン―2日目 船外/船周辺― (100) 2021/11/10(Wed) 11時半頃 |
しぬ さびしい ちがう おもう。
[棺ごしにアシモフの頭を撫でる。声をかけても聞こえることはない。
それでも冷たい棺に眠る者たちに声をかけ続ける。覚えているよと、側にいるよと]
ぎろちん しぬ ない。
しかし かのうせい そう、 ぎろちん ほしい こと ぼく する。
[そうならないことを望んでいる。だが、もし、万が一そうなったら、ヨーランダはギロチンの望んだことをするだろう]
ぼく しる ぎろちん、 ぎろちん ひとり。
[ギロチンの言葉から
「きっと目の前にいるギロチンは、母体にとって端末の一つだろう」
とヨーランダは考えた。だが端末だろうが何だろうが、ヨーランダにとってギロチンは今目の前にいるギロチンだけなのだ]
ぎろちん しぬ きもち、 まま ないしょ。
きもち じぶん だけ。
[だからそうなったときは死の記憶は捧げても、『スペランツァのクルーであるギロチン』の抱いている気持ちだけは捧げないで、自分のもののままでいてほしかった]
【人】 血吸茸 ギロチン― 2日目/船外周辺 ― (112) 2021/11/10(Wed) 18時頃 |
[アシモフが撫でられている姿をじいっと見る。
死したものが惜しまれる、という、女王だけが持つ特権を、他の星の者はいとも容易く持っている。
そのことがすこし羨ましくも思えた。]
うん……ヨーランダはんに覚えてもろてたら、
さびしくないかもしれへんな。
みんなにお花もろて、話しかけてもろて……
時々、キレーなもんが見たいなあ。
[羨ましくなったから、つい饒舌に希望を述べる。
死を個人のものだと思えないギロチンにとって、死んだあとにも自分自身を想ってくれる者がいるというのは、それだけで甘美な想像だった。]
……ないしょかあ。おもろいな。
死人に口なし、ていうんやろ?バレへんやん。
[用法は微妙に違ったが、それは間違いなく、いま生きているギロチンにとっては救いの言葉だろう。
嬉しそうに膨らむと、ヨーランダの痩躯に飛びついて、思いっきりまとわりついて、毛だらけにした。]
[ギロチンの要望にこくりと頷く]
はな いっぱい ある。
みんな いう だいじょうぶ?
とくべつ ぎろちん はな いっぱい そなえる。
[そうなったとき、ここに来た人にギロチンがそう言っていたと伝えていいか。そう言っている]
うん、 ないしょ。
ぼく ぎろちん ふたり ひみつ。
ぼく いう ない。
まま しる ない。
[ギロチンの種族のことをヨーランダは知らない。だが、一人だけ、一人くらいは変わり者の、記憶を独り占めするようなのがいてもいいと思う。
ギロチンがまとわりついた男からは、仄かに獣のにおいがしたかもしれない]
【人】 血吸茸 ギロチン― そうして、夜。船外周辺 ― (123) 2021/11/10(Wed) 21時半頃 |
【人】 血吸茸 ギロチンよ〜し。そろそろウチも晩御飯にするかあ。 (124) 2021/11/10(Wed) 21時半頃 |
【人】 血吸茸 ギロチン[ギロチンの携帯食はパウチに入った合成血液だ。本来ならば故郷の星に自生する生物から吸って栄養を得ているのだが――船内で牛にも似たその生物を飼うわけにもいかないので、自分で代用品を用意することになった。] (125) 2021/11/10(Wed) 22時頃 |
【人】 血吸茸 ギロチン
(126) 2021/11/10(Wed) 22時頃 |
【人】 血吸茸 ギロチン
(127) 2021/11/10(Wed) 22時頃 |
みんなに言うん?
そ〜れはちょっと、こっ恥ずかしいわ〜
くれるって言う人だけでええよ。ぜんぜん。
[自分自身を弔うひとのことなど、考えたこともなかったし。本当は望むのだっておそれおおいことだ。
恥ずかしそうに身をくねらせて、大きく身体をゆすった。
来てくれるヒトが自分の意思で花を添えてくれたら、それだけでいい。
もちろん死んだあとのことは、知るよしもないのだけれど。]
おおきになあ、ヨーランダはん。
おおきに。なんかめ〜っちゃうれしいわ。
こないうれしいの、初めてやわあ。
[感極まったように何度も繰り返す。
獣の匂いがしたのなら、ギロチンはずっとそれを覚えているだろう。
きっと、死に至るその瞬間まで。]
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