27 【crush appleU〜誰の林檎が砕けたの?】
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ごきげんよう
目覚めた諸君
気分は、まぁ、あまりよくはないだろうが、
少し、聞いてくれ。
ここは病院だ。
災害事故のあと、キミたちは同じ病院に運ばれてはいる。
怪我に関してはどうかな?
かすり傷、軽傷ぐらいはあるかもだが、
きっと後遺症が残るほどのものではないはずだ。。
ただ、少し安静を命じられているだろうが、
目覚めた者同士は、きっと病院で出会うだろう。
しかし、まだ目覚めていないものは、さすがに面会謝絶になっている。
で、伝えておくことがある。
そうキミたちは、今、オレの姿が見えているだろうが
他の現実のものにはオレ、アリババの姿は見えていない。
あと、キミたちが眠っている間は、
あの美術館のことを視ることができるだろう。
もちろん、干渉することはできないが。
ということで、
まぁ、もし、何かあれば、
オレが仕事が終わるまではキミたちのいうことをきかなくもないかもしれない。
それじゃあな。**
[目覚めた彼や彼女の耳には事故のニュースはまだ届いていないだろう。
誰が死んだのか。それはまだ知らされない]
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―鏡の中―
[田端先輩が子供を連れて去ったあと、姉は色違いのシュシュを身につけた。 とても上機嫌だ。 ・・・もしもわたしが人並みにおしゃれでもする女の子なら、本当はお揃いとかしたかったのかもしれない。
現実の姉は死んだ。 家のすぐそばで、ストーカーに刺された。 傷のひとつひとつは致命傷には至らず、 けれど救急車はまにあわず、血を流し続けて死んだ。 青白い顔。 弱っていく声で、大丈夫、まだ死なないよ、と掠れた空気をもらしながら、力尽きた。
――これが変わらない現実だ。
死者を迎えに来た死神がいる世界なら、或いは本物の姉の可能性もあるけれど。 目の前の希華は、私の後悔が生んだ都合の良い幻かもしれない。]
(138) 2023/07/31(Mon) 22時半頃
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――ごめんね。 のっかのこと、ちゃんと 好きだったのに
[触らないでが最後の言葉になるなんて。
希華は鏡の中にしかいないから、必然的に自分が映る。 ああ、だからあえて鏡の中にしか出てきてくれないのかな。 なんて思いながら。 わたしは触れたいというのに。]
ぜんぜん慣れないけど……、 可愛く して くれて、ありがとう
[自分で言うのとか死ぬほど恥ずかしい。
括っているけど長いわけでもないから サイドの編み込みのハーフアップでアクティブなのに女の子っぽく仕上がっていて、 姉の手は"魔法"のようだと子供の頃から思っていた。]
(139) 2023/07/31(Mon) 22時半頃
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[喜ぶ姉は、喜ばせたい自分が見たいもの。 自己満足だ。 謝罪も感謝も、本当の姉には届かないだろう。 それでも]
わたし、のっかを描くよ
[ほんとは出掛けないでって、言いたい。
けれど、姉とわかれる準備をする。 夢の中でくらい結末を変えたいといくら願っても、わたしは変えようのない現実を知っている。
既にそう認識してしまった。 こうなってはもう無理だ。
欲張ってこの続きを見れば、私はまた姉の死を目にすることになるだろう。 明晰夢は、そんなに都合が良くないのだ。]
(140) 2023/07/31(Mon) 22時半頃
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すっかり落ちてるなあ
[上着をつけおきしていたはずの濁った水は、すっかり綺麗になっている。 流していないのに、解せぬ。]
じゃあ、いくね。
[貴女がもう一度死ぬ前に。]
・・・身だしなみ程度には、ちゃんとする。
[満足げにうなづく姉は、外出の準備を始めた。 あの日の服、あの日の靴、あの日のカバン ――違うのは、お揃いのシュシュ。
姉のいない未来は変わらないけど 貴女を描きたいから もう少しだけ、夢を見る**]
(141) 2023/07/31(Mon) 23時頃
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―回廊― [湿ったジャージを小脇に抱えて回廊に入ったところで 無事な二人が判明する。>>0]
柊くんとノリくんスか。 ・・・よかった。
[つぶつぶいちごの兄弟が揃って無事ならおめでたい。 可愛い後輩と同級生が帰れるんなら良いことじゃないか。 骨谷先輩や銀先輩も、どうやら無事に目覚めたらしいし。 いや、現実がどの程度無事なのかはそれこそ神のみぞ知るのか。]
みられても恥ずかしくない絵に仕上げねば。
[姉に。みんなに? 先輩の最後のラインを思い出して、スケッチブックをキュッと抱く。 仕上がりにはこだわりたい。 何せ描きたいもので。大好きなもので。リクエストでもあるのだから。 画材とハンガーないかなーとミュージアムショップへ**]
(157) 2023/07/31(Mon) 23時半頃
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―ミュージアムショップ―
[到着したところでLINEに気付く>>71>>187 肉じゃがにハンバーグ、デザートまであるらしい。 写真付きでなんとも美味しそう。
でも、食べ納めかもしれないな、と考える。
ノリくんは目覚めたらいなくなる。 運命の一人が自分なら、今あるごはんがノリくんの最後のごはんだ。 ふー、と息をひとつはく。]
・・・ここにかけとこ
[誰かが購入していったらしい空いたハンガーで湿ったジャージを干す。 断じて売り物ではない。 でも、ここに"一般人"が来ることはないから。]
(189) 2023/08/01(Tue) 16時頃
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[美術館や展示品をモチーフにした鉛筆やボールペンくらいしかなかったけれど、数本をもらう。 鏡の中で姉にまで会っておいて、今更ここが現実だとは思っていない。
――美術館の限定バッグを見つめていたら、売り場の鏡に映る自分に気付く。 結われた髪と、田端先輩がしてくれたメイク。 どうにも見慣れなくて、落ち着かない。]
んうぅー。 もどろ・・・
[でも、編み込みとか久々だ。 触ると崩れそうだし自分で直せないから触れない。 田端先輩がくれたシュシュも可愛い。 私がつけてていいのかと改めて恥じ入るが、なんかちょっと嬉しくもあるのだ。 一番落ち着かないのは初めてのメイクかもしれない。]
(190) 2023/08/01(Tue) 16時半頃
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―エントランスー
[中に入って衝撃を受けた場所。 木目と光が暖かく、フレームの配置が人工的なのに調和している。 計算されつくした設計――美しいと思う。]
林檎・・・?
[あんなオブジェあっただろうか。 広く伸びた枝の下に転がる林檎。>>2:266
木には――今は3つのリンゴが生っているだろうか。 転がる林檎は7つ。 内、一つは腐り落ちたかのように潰れている。
眉根を寄せる。 偶然なのか、まるで――いや、考えすぎか。]
(191) 2023/08/01(Tue) 16時半頃
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[そう思ったのに]
――え
[その内の2つの林檎が逆再生のように浮かぶ。
林檎の木には5つの実が生っている。 落ちた林檎は5つ。
1つは、つぶれている**]
(192) 2023/08/01(Tue) 16時半頃
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[転がる林檎と茂る数。
──潰れた林檎は一つだけ。
非道いオブジェだ。 10人に1人、7人に1人、5人に1人と頭で描く数字は 視覚で認識するだけで急に怖くなる。]
心臓、ってことスかね。
[ため息をつき、膝を折って潰れた林檎に手を伸ばす。 面白いとは感じないが、悪趣味とも言えない。 これが一種の砂時計なら、いっそ美しいとも思えるのだ。
けれど、ソレに指が触れる寸前に静止した。
誰が死ぬかは決まっている。 コレに触れようが触れまいが結果は変わらないのに
これ以上、手を近づけることができない。]
(201) 2023/08/01(Tue) 20時半頃
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[黒翼の彼が死神かはわからないが、仁科にとって死神は忌避する神ではない。 死神がいるから人が死ぬとは考えていないからだ。
死の運命にあるものを迎えに来た。
死神の或るところに死が在るのではなく、 死の在るところに死神が或る。 創作でも空想でも、仁科が描く概念はそれだ。
それは数秒だったのか数分だったのか 林檎をさわれないまま、胸元にスケッチブックの角が食い込んで痛みに我に帰る。]
った、
[血が出ることはないけれど、多分肌が凹むんでいる。 点で突かれるとなかなかに痛い。]
(202) 2023/08/01(Tue) 20時半頃
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[何分の一、ではないけれど。 まだ目覚めないことへの焦燥はある。 否、先ほどまではなかったはずだ。]
怖い……?
[死にたいわけではないが、死ぬなら仕方ないと思っていた。 この世界は慈悲であり、ならば死ぬまで描きたいと思った。
希華に会ったから? 飾ることの楽しさを思い出したから? 命を示唆するオブジェを見たから?
少なくとも、今自分は生きたいと思っている。]
(203) 2023/08/01(Tue) 20時半頃
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[心の持ちようが変わろうとも、 願おうとも、 意志ではどうにもならないというのに。
生きたくなってしまったことを少しばかり恨む。]
ここで描けたらそれでいいなんて 思い上がりだったなあ。
生きてたらもっと描けるのに。
[まあ、死ぬなら描けるのはここしかないのも事実だ。 誰が死ぬのかわからないシステムに、今更ながら文句を言いたくなった。
立ち上がり、ふらりと廻廊に入る。 どのみち、ここでやることは変わらない**]
(204) 2023/08/01(Tue) 21時頃
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―― 回廊・ノリくんと ――
[エントランスを立ち去り、人目を避けて移動していた時。 ノリくんの(この世界での)最後のご飯を食べに行きたい気持ちと、恥ずかしくて人に会いたくない気持ちが拮抗していてうろうろと迷ってもいた時か。
心の準備ができていない時に、開口一番“可愛い”と言われ>>216、ノリくんに会えたら言うはずだったおめでとうとかよかったねとか、一切が吹っ飛んでひどく動揺をした。]
ふぇっ!? の、ノリくん えっと
[びっくりして変な声が出る。 やたら前髪をいじったり挙動不審を繰り返した後]
あり が とぅ
[両手で顔を隠して絞り出したことば。 恥ずかしさのあまり否定をしては、結ってくれた姉に、メイクしてくれた田端先輩に失礼だからと心でいっぱい理由をつけた。]
(238) 2023/08/02(Wed) 00時頃
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[そうしたら、見かねてなのかナチュラルなのか、メイクに関する心構えというか、魔法の言葉>>217を教えてくれた。 指の隙間からノリくんを見てちゃんと話をきく。 元々は自信喪失でメイクを拒む側へいった身には思いつかない考えた方だったけど、そういえば姉・希華の言動でも思い当たることがあった。]
・・・暗示。
[ちょっとした光明というか、オシャレすることへの考え方とか自信とか、 慣れるのだって、これからでいいのかと思える言葉だった。 もちろんそれがお母さんの話だなんて>>218気づく余地は全くなかったけど、世の中の女の子は・・・可愛かった希華だって、本当は戦ってたのかもしれないと思えた。]
そう、なんスね。 そっか。
[気後れしなくてもいいのかもって思えたら、笑えた・・・気がする。]
(239) 2023/08/02(Wed) 00時頃
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ノリくんも、魔法使いスね。 ・・・ノリくん生きててよかった。
[魔法使いの意味はわからなかったかもしれないが。 スケッチブックやメイク道具を出したりするのもまさに“この世界”の魔法だけど、美味しいおにぎりとか肉じゃが(まだ食べていないけど)を作ったり、今こうして心を軽くしてくれたことも、魔法だなあと思う。 ノリくんなら現実でも使える・・・いや、使っている魔法。
君は無意識に何度もわたくし仁科を救ってくれているから。 彼が生きててよかったとほんとうに思う。]
柊くんから写真付きでラインきてたんスけど すごく美味しそうだった。
ここにいる間に、必ず食べに行く。
[この夢から醒めるときは、生かな死かな。]
(240) 2023/08/02(Wed) 00時頃
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次の“パーティー”には その、 多少、自信つけとく・・・スよ
[おしゃれしますとはまだ言えない。>>219 米パーティ楽しかったから。 ・・・叶うといいなあって思いながら手を振った**]
(241) 2023/08/02(Wed) 00時頃
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