32 Zug Zwang
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……、は…
[声にならない声を上げ、 首の窮屈さとはまた別に息を乱し始めた。 再度の症状…フラッシュバックがちらついて 身体が硬直し、視線も何処へも動かせずに その表情と目とをただ見つめ続け た。 ]*
(108) 2023/12/22(Fri) 22時頃
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[もう彼に抱いていたはずの嫌悪も何もかも
抵抗を示してはくれないことにだけ、
青年は少なからずの失望を覚えたが。
それもこの瞬間を以て
忘れていってしまう感情なのだろう]
[振り切ってしまえれば楽だろうと思っていた。
いざ振り切ってしまえば、
ただ、後戻りのできない道に踏み込んだだけで。
どうせもうすぐ終わりが来るのだと思えば、
これすらどうでもいいことではあったが、
……]
[彼に信じてもらえるような、
彼の心を溶かせるような
そんな人間であれればどれだけよかったか、と
思ったことが無いといえば嘘になる。
それすら叶わぬ夢であることを、
もう、嘆く気すら起きなかった]
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――――― ‥……??!
(112) 2023/12/23(Sat) 00時頃
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[まだ緩くとも、しかし指を差し込む隙間もなく 締め上げにくるタイを必死に剝ごうとする が、 突如として耳に届いた言葉に困惑する。
なにを、いって、いる?
意味も意図もわからない。 どうしてこの瞬間を以てして言うのかも 殺されかけているというのに、 何が起きているのかもわからなくなりそうな程 その言葉は場違いで、異常で、 不可解極まりなかった。
思わず呼吸が止まり、 ただその目を凝視するだけになる。]
(113) 2023/12/23(Sat) 00時頃
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[目の前にいる男は 誰だ?]
(114) 2023/12/23(Sat) 00時頃
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[先程まで…、どの瞬間まで? 穏やかに話を重ねていた筈の人物が この最中で全くの別人へと変貌して見え 改めて信じられないものを見た様に目を見開く。
苦しさが込み上がり漸く再度の呼吸を取り戻すも 浅くしか吸い込めず、繰り返せずで 息苦しさだけが増してゆく。
藻掻く中、 まるで子供でも諭す様に責め立てる声が耳に入る。 その声音に、穏やかさに異様を感じて 背筋が凍え上がって。
発作も相まって全身が震え出し、 視界は徐々に滲み始めた。]
(115) 2023/12/23(Sat) 00時頃
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[ 何事かが更に囁かれたか 或いは声に出されでもしたか、 しかしその頃には意識も朦朧として 何を言われたかも判別できずに。
発作が完全に再発する中、 更に首が閉まるのを感じれば 再度短く潰れた声を喉から上げただろう。
その間犬はただ吠えるばかりで。 …例え、嚙みつけたとしても、 服の裾を強く引く位しか強さも出せずで。 ]**
(116) 2023/12/23(Sat) 00時頃
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[意識も呼吸も正常であったとしても
向けられた言葉は一切理解できなかっただろう。
誰に向けられた言葉なのかわからない。
何を示しているのかわからない。
どうしてそうなるのか
何を考えているのか
何もかも理解できず
強い拒絶を示してみせていただろう。]**
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[過去に散々痛めつけられた記憶がよみがえる。 やめろといっても止まらない、痛いと言っても 続けられるそれは、笑顔のもとおこなわれた。
それらの顔と重なる。 けれどいまは、声すら上げられない。
下手にくちを開けていると胃の中のものが こみ上げてくる様で、吐きそうになる。
……ああそうだった ココアを飲んで、気持ち悪かったんだ。 ようやく引いたあまさが込み上げてきて またきもちが悪い、楽になりたい、らくに ]
(121) 2023/12/23(Sat) 11時半頃
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[朦朧とするなかまた何事かを囁かれるが、 やはり内容が理解できずになにもかえせずに。
理解できないのは意識のもんだいか それこそ意識的にりかいを拒んでいるのか
不意に視線がわずか外れたことに気付き そのしせんの先に声を掛けているのがわかった。 響くなき声がようやくこちらの耳にも入る様になり 其処に何が、いるのかが、わかった。
――― だから、]
ぅ あ、 っ!!
(122) 2023/12/23(Sat) 11時半頃
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[その体勢から可能な形で蹴りつけてやろうと。
威力は大した事も無いかもしれないが、 それでも本気で締めても無い程の力なら 首元が緩んで逃げられないかと。
逃げ出せたのなら 倒れ込みながらも距離を取り、 駆け寄る犬を抱え隠そうと。
………逃げる事が叶わないなら。 その後の事等 自分の手ではどうする事もできずに。]*
(123) 2023/12/23(Sat) 11時半頃
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――― 、
[キツくくびがしめられ、こきゅうがとまる。
身体が一層硬直し、意識が飛びそうになる も 一瞬で終わるなら何とか耐えられ。 …しかし一拍置いた後その場で強く咳込んだ。
元より呼吸も乱れたままでは上手く息も吸い切れず。 額に汗を浮かべ、目尻から涙も溢して 咳とも嗚咽とも判別つかないものを繰り返し それでも何とか息を継ごうと足掻く。
その間逃げ出す思考は途絶え、 数秒経てば力無くも動けただろうが ]
(126) 2023/12/23(Sat) 14時半頃
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[その数秒を果たして待ってくれる相手だったか。
逃げ出せたとしてもよろめく事しか叶わず。
どうにしろあえなく抱き締められたなら、 全身を粟立たせ、力が入り切りもしない腕で 必死に抵抗し逃げ出そうとするだろう。
怯えきった表情を浮かべ、 視線も決して合わせない様にして。]*
(127) 2023/12/23(Sat) 14時半頃
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[ぜえ、ぜえと肩で息をし、 逃げ切る事も叶わず腕の中に収まってしまいながら それでも今出せる力で、僅かの隙間で腕を張る。
必死で身を逸らすが意味を為さないままに、 ただ相手を愉しませるだけになっているその痴態を もし正常な頭で知ったなら、屈辱だけで 舌を噛み切り死にたがっただろう。
それでも抵抗を続けるのは こわいから で ]
(131) 2023/12/23(Sat) 20時頃
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[何とか出せた声が紡いだのは この状況からはかけ離れた言葉だったろう。
混乱、している 混同 している
過去にこんな状況に陥った事は無く、 またその結果そうなった事も無いが ……それだけ混濁していた。
・・・ 目の前にいる相手はだれだ? 焦点が定まらず目を彷徨わせる。 其処には誰も映らず、映す事すらままならない]
(132) 2023/12/23(Sat) 20時頃
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[抵抗する力など最早何処にも残らずに。 喉に手が伸びようと伸びずとも、 意識は徐々に 途切れて い ]*
(133) 2023/12/23(Sat) 20時頃
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[殴られたことがあるのか。
暴力に晒されてきたのだろうか。
彼の人間嫌いの原因は、もしやそれだろうか。
彼が語りたがらない過去をひとつ紐解いた気がして、
青年の心はさらに満たされる。
彼が現状を認識せず、
青年を見ていないことなど些細な問題だった]
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[意識を手放す直前だけは、 それまで入り混じり乱れていた 記憶と思考が解けて消えていき、 妙に静かに感じられていた。
最期に囁かれる穏やかなアいの言葉も 優しく頬を撫でる感触も 穏やかな微笑みも
何もかもしっかりと認識できて
やきつくように ]
(136) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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[首が絞められる。 僅かな隙間から酸素を求めて喉から音が鳴る。 …しかしそれも叶えて貰えずに。
脈だけがその手に拒絶を訴えるが やがてその力すら消えてゆき
消え入る様に落ち着いてから 遂には途切れて ]
(137) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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―――――
(138) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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――――― ッッ あ ……!!
(139) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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[ 目覚める ]
(140) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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[暗い室内。 不要だからと計器以外の灯りは消してあった。
故に小さなランプは星の様に。 煌々と輝くモニターは惑星の様に、 その夜闇に満ちた部屋の中で夜を形成し 途切れることなく淡々と輝き作動し続けていた。
目覚めた事を契機としてカプセルが開き、 それと同時に身体を跳ね起こす。 失った酸素を取り戻そうと 激しく呼吸を繰り返して
不意にもう無い筈の喉が詰まる感覚が呼び起こされ、 思わずカプセルの縁に手を付いて 外側へと胃液を吐いた。]
(141) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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[吐ききってから咳込んで、 また荒く呼吸を繰り返し始める。]
あ、…っあ、ああ……ぁ…!
[胸を押さえてガタガタと震え出す。 全身から噴き出す汗がシャツを濡らし、 操作室の空調にあてられ肌を冷やしていくが 一向に何を冷ます事も無く唯々昂奮を煽った。
視点は定まらないままで、 その状態が気持ち悪くて俯き目を閉じようとしたが 光景が ちらついて ]
(142) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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…あ、、ああああああああああ
(143) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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[安寧を手に入れる事も叶わずその場で叫び続ける。
どれだけその状態が続いたのか そもそもに収まりを得られたのか
声が枯れ 咳込み喉を切らすまで
カプセルの中で唯一人 悪夢から醒めた呪いの中で呻いて
叫んで ]**
(144) 2023/12/23(Sat) 21時半頃
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