10 冷たい校舎村9
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見限られないように優等生を演じようとした私。
見限られないように気遣いを身に着けた柊君。
処世術として必死に身に着けたのだとしても、
よく気が付いて気遣える柊君のこと、尊敬するな。
私も割と必死だったけど上手く優等生やれなかったもの。
ありのままの柊君は、
きっと柊君が思ってるほど悪い子じゃないよ。
……って伝えたら、今度は柊君、どんな顔をするのかな。
広報係一緒にやってくれてありがとう。
いつか、柊君が好きになった人が、
柊君のことを好きになってくれますように。
そんな日はきっと来るよ。大丈夫。
鳩羽君のこと、3-9のムードメーカーだと思ってた。
鳩羽君がみんなのために笑おうとしてたなんて
全然知らなかったな。
それでも、この世界の主じゃないって
自信をもって言い切れる鳩羽君は眩しかったよ。
ココア、学校に来たら奢ってあげるって言ったのに、
果たせないままだったね。ごめんなさい。
寄り添いたい、考えたいって思うのに、
自分のことは大丈夫って言っちゃう鳩羽君。
似た者同士だって鳩羽君は思ってくれたけど
でも、鳩羽君は本当に限界がきちゃう前に、
ちゃんと大丈夫じゃないって言えるようになってね。
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[ 時計を見上げていた。 秒針が刻々と時を刻むのを逃さないように、 待ち受けるようにじっと見つめていた。
そうして、3、2、1、…… スピーカーへと顔を上げれば、 最後のチャイムが鳴った。 ]
(22) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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[ 炭蔵はまだ、この世界に居た。 その事実を受け止めれば、少しだけ笑って 律儀にゆっくりと食器を片付け始める。
そうしていたら、その扉が勢いよく開いて、 あっという間に詰められる距離感に、>>14 思わず後ずさってしまったが。
暮石の姿を見て、 大凡のことを理解していただろう。 ]
(23) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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[ 鳩羽と柊は帰った≠アと。>>16 この世界の主は、黒沢だってこと。>>15
カッターナイフを見た時から、 ずっと炭蔵は薄々勘付いていた。 連想ゲームをするなら、思い浮かべるのはただ一人。 ただ、炭蔵の知らないところで、 カッターとの関連のある人物も居るかもしれないと 確信が持てなかったのもあったが。 ]
(24) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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暮石、落ち着け ……まだ、12時間近くある いや、もう12時間しかないとも言うが
俺に出来ることは限られているが、 最善を尽くそう
[ 呼吸も荒く、必死な様子の暮石に いつものように落ち着いて返事をする。 ──……した、筈だった。
彼女の手が伸びてきて、>>16 炭蔵の前髪を掻き上げれば、 其処には隠しきれない表情が浮かんでいる。 ]
(25) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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揺れる眸は、不安の色、 そして激しい焦燥を映す
(26) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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[ 俺の決意は最初からずっと変わらなくて、 約束だって有効期限は無期限だった。 それに、頼まれなくたって、 黒沢のことを連れ戻したいと思っている。
けれど、暮石は知らないと思うが、 俺は無意識のうちに、この校舎に来てから 黒沢と言葉を交わすことを避けていた。 理由は、そうだな── 自信がなかったから。 俺の考えが本当に正しいのか、 どんな言葉を選べばいいのか、 足元が地面から浮いているように落ち着かなくて。
俺の力では、黒沢のことを 取り戻せないんじゃないかって 思ってしまって自信がなかったんだ。 ]
(27) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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[ 昨日の夜には鳩羽に責任を押し付けようとしてた。 情けないよな、本当に。
そんな複雑な感情を乗せた眸を、 暮石に暴かれてしまったことも情けない。
あんなみんなを助けたいだとか、 偉そうに言っておきながら勇気も出ないとか、 本当に情けなくて嫌になる。 ]
(28) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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[ でも、 ]
……足りないことはないだろ、 少なくとも俺は、今暮石に勇気は貰えたし
[ 眸を見られて数秒、 ワンテンポ遅れて視線を逸らし、 前髪を指で弄びながらにそう答えた。
真っ直ぐに俺を見上げる眸の中に浮かぶ色、>>20 諦念など一切浮かばない、暮石が居る。 ]
(29) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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まずは、柊と鳩羽を見つけ出そう ……その間に作戦会議でもしようか 黒沢をどうやって連れ戻すかについて
[ 真っ直ぐ黒沢の元に向かいたい気持ちもあるが、 今朝消えたであろう二人の姿も確認したい。 その気持ちは暮石と同じだった。 ]
(30) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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[ 不安も焦燥も消えないけれど、 炭蔵祐駕はどこまでも炭蔵祐駕で、 今はもう前だけを見つめていた。 ]
(31) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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……そうだ、暮石。 なんかこう、前髪を留めるもの持ってないか?
[ 暮石は提案に乗ってくれたかどうか。 別行動をするのであれば、 別れる前に手でヘアピンの形を真似どって 持っていないか確認をするだろう。
ないなら、そうだなー… 足元にはもうカッターナイフも落ちていないし、 どこかの教室でハサミでも借りようか。 **]
(32) 2021/06/14(Mon) 02時頃
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[ 眸を、見られた。>>35 ]
(43) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ 反発するような言葉、焦ったような様子が、 次第に落ち着いて行くのがわかる。>>38 ]
……そうだな、同じ人間だよ
[ 少しだけ不貞腐れたような声音になってしまう。 平坦だった声にも次第に隠せない感情が乗り始める。
けれど、告げられる言葉に、笑い声。 俺はそれを不快に思うことはなく、 逆に気恥ずかしい思いが優ってしまったから 視線をつい逸らしてしまっていた。 ]
(44) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ そうして、同じように深呼吸をする。 二度、そうすればこの気恥ずかしさも落ち着いた。
よもや、互いが互いを落ち着かせたなんて 気付けもしていなかったから、 助けた≠ネんて言われても心当たりがない。
ただ、感謝の言葉を述べられれば、 悪い気はしないものだった。 ]
いや、俺の方こそありがとう
[ 今はもう逸らしていた視線を戻して、 暮石のものと繋げていた。>>39* ]
(45) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ それから、暮石の疑問に小さく笑う。>>40 ]
あまり主張をしてこなかった暮石が言うんだ まさか狼少女だと思うことがあるか?
……それに、心当たりがない訳じゃない
[ まだ拾ったカッターナイフはあっただろうか? もし消えていないのならば、 ポケットから取り出して見せようとするだろう。
ないのなら? 自分で傷つけた左手首を暮石に見せる。 暮石のひっかかっていたことはわからないが、 黒沢の癖ぐらい気づいていただろう? ── と、言わんばかりに。 ]
(46) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ そして髪留めの件については、 教室にあるらしい。>>42
そうだな、やっぱり辞めると言い出す前にと、 俺たちは自分たちの城である教室へと向かった。* ]
(47) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ 教室にたどり着いた頃、 カッターナイフの無くなった綺麗な廊下に、 扉の外に靴跡が残されているのが見えた。>>4:496 ]
なあ、暮石 ……これは、多分そうだよな
[ そう≠ニいうのは、マネキンを示唆する。 暮石はそれを見た時、どんな顔をしていただろうか。 俺はちらりと表情を盗み見ようと視線を向けていた。
本当は、今すぐにでも辿りたかったが、 当初の目的の髪留めを先に回収しよう。 そう提案をして、教室の中へ踏み込んだ。 ]
(48) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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[ きっと、暮石が髪留めを探している間、 俺は黒板に並ぶ寄せ書きを眺めていた。 廊下に貼り出されている写真のように まるで卒業アルバムの裏表紙のように 思い出の一部に、感じていた。 ただ、文字の内容は物騒なものが多いけど。
辿るように文字を読んでいれば、 ふと、増えているものに気づいた。 ]
───…… 鳩羽の字だ
[ やたらと目立つ文字。>>4:497 教室にマネキンはない。 と、言うことは。外にあった靴跡は──…… ]
(49) 2021/06/14(Mon) 12時頃
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行こう、暮石 多分あの足跡の先に、鳩羽がいる気がする
[ 髪留めは見つかっただろうか? 足跡を辿るように3階へと向かおう。* ]
(50) 2021/06/14(Mon) 12時半頃
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[ 同じ人間で良かった。>>52 一緒に頑張りたい。>>53 暮石のくれる言葉は、心の中に滲むように広がる。
今この瞬間に至るまでこの世界で誰かと過ごしてきて 沢山の言葉を交わして、何人もの姿を見送ってきた。 もうこの世界に残されたのは俺たちだけだとしても、 ココにあるのは、俺たちの気持ちだけじゃない。
真っ直ぐに同じ方向を向いている。 これも多分、俺たちだけじゃないと良いな。 ]
(64) 2021/06/14(Mon) 16時半頃
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[ 心当たりの件については、>>54>>55 詳細は語られなくとも時折聴こえていた ため息≠フ理由に繋がりそうだった。
あのはじまりの日のカッターナイフ。 まだたった2日前のことなのに、 何故だか遠い昔のように感じるよな。 俺たちは多分、あの時から気付いてたのかもな。
それから、手首のこと。 頬を抓られても然程痛くはなかっただろう。 ]
これは向井が悪い
[ と、罪を擦り付けてもおこう。 *]
(65) 2021/06/14(Mon) 16時半頃
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[ そうして、教室に入る時、 盗み見た暮石の顔は泣きそうで、>>56 帰った≠ニ信じていても、 悲惨な状態のマネキンがあるのは確かに なるべく見たくはないものだろうと思う。 ]
無理はしなくていいからな
[ それでもきっと、暮石は見ると言うだろうが。 あやすようにぽん、と小さな頭をひとつ叩いて 教室の中へ踏み込んでいた。 ]
(66) 2021/06/14(Mon) 16時半頃
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リハーサルにしても、 まだ少し早いよなあ
[ 正しく卒業アルバムのように並ぶ、 整列された写真たちと寄せ書きの黒板。
ヘアピンを受け取り、>>58 その黒板に文字が書き足されるのを見ていた。 ]
どのくらい頭の中、って…… さあな、それは俺にも分からない
[ 量の多い前髪を上に掻き上げて、 てっぺんに集めてヘアピンで固定しながら、 暮石の不思議な質問に答えて。 ]
(67) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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[ 刻まれた文字に、眸を薄める。>>60 ]
伝わると思う、 いや思うじゃなくて、絶対伝えよう
[ チョークの粉が少し舞う。 精神世界なんだ、問いの答えはわからない。 分からないけど、まだ気持ちは伝えられると思う。
だから、俺は黒板に新たな書き込みはしなかった。 ちゃんと一緒に帰ってから、 卒業アルバムの裏表紙にサインしよう。 それまでは、お預けだ。 ]
(68) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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どうだ、似合うか?
[ ヘアピンをつけ終えたなら、 検討した結果を見せつけるよう>>42 暮石にファッションチェックも依頼していた。* ]
(69) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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[ そして、思い出を教室に残して向かった先。 三階に辿り着くと、寒さが増す。 暮石の視線の先を追えば、 ひとつだけ窓が空いているのが見えた。>>4:520
俺の腕も二本しかないし、身体も一つしかない。 暮石と同じで、手近な教室に足を伸ばす。>>61 ]
(70) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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[ 後ろから、中に倒れている鳩羽を見た。>>4:496 顔をコートに埋める暮石の隣にしゃがみ込み、 背中を擦るように手のひらを添えた。
そして、もう一本の手はカッターナイフを拾う。 ]
まだ俺たちに明日≠ヘ来てない この校舎の中は、 永遠に同じ日付を繰り返してる 俺は鳩羽と約束したんだよ、
俺たちが目指すべき明日は、もう少し先にある
[ そう、俺も約束したんだ。 この校舎が動き出す明日へ。>>4:366 ]
(71) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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だから、鳩羽はきっと、 一足先に明日≠ナ待ってるだろ こんな作り物の笑顔じゃない、 本当の笑顔を浮かべてな
[ 話しながら、 暮石が途中で顔を上げないことを願っていた。 だって、俺も泣きそうになってたから。 もし見てしまったのなら? ……他のみんなには内緒にしてくれ。
特に、綿見には言わないように。 ]
(72) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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[ 衣装部屋の中にあるもので、 可能な限り文化祭の日に近くなるよう ごちゃごちゃとした装飾をつけてやろう。 どうだ、満足のいく出来栄えになっただろうか?
それから、暮石が落ち着いた頃に、 開けっ放しの窓の方へと向かうだろう。* ]
(73) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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[ 近づけば、窓の外ではなく、 窓のすぐ近くに、 降り積もる雪に覆われたマネキンがひとつ。
吹き込む風が、雪が、冷たくて。 窓枠に、手をかける。
なあ、暮石覚えているか? はじまりのあの日、一緒になって覗いたこと。 あまりにも深い闇が広がっていて、 言葉を失っていたっけ?>>1:297 その気持ちを覚えているから、 下を見ないようにそっと窓を閉めた。 ]
(74) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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[ そうして、マネキンの傍にしゃがみ込み 上に積もる雪を、素手で払い除けていた。
顔があるべき場所になくったって、 これは柊だと分かっていた。 ]
こんなところに一人で、寒かっただろうな ……暮石、鳩羽の傍に運んでやらないか?
[ そういえば、柊の下の名前はユキだったか。 誰かを下の名前で呼んだことはない俺は、 ふと頭の中で、連想ゲームをしていた。
それと、寂しがりな柊のことだ、 ひとりで廊下に残されるより良いだろ? *]
(75) 2021/06/14(Mon) 17時頃
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── 3F階段前の教室 ──
[ 大丈夫と告げていたのを信じていたが、>>76 やはり目の前にすると落ち着かないようだった。 少しでも暮石の感情を逃がすことの 手助けになっているのなら、よかった。>>79
それから、暮石には どうにも弱みを握られてしまうものだ。>>80 けれど、ふたりとも同じ顔を しているんだから、おあいこだ。
泣き笑う暮石につられて、 俺も人差し指を口元に添えて笑っていた。 ]
(91) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ 廊下に出れば、雪に埋もれた柊を発掘する。>>82 ごちゃごちゃと五月蠅く飾られた鳩羽の横に、 柊が寄り添うように置こう。
歪な顔をしたふたりが並ぶ。 暮石が声をかけるのを横目に、 俺は、何時間も前のことを思い返していた。 ]
……約束は忘れてないからな
[ ふたりと交わした約束を叶えるため、 俺は暮石と共に衣装部屋を後にする。 ]
(92) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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── 3Fの果てへ ──
[ 鳩羽と柊を見つけることができた。 残すはあと一人。 俺たちの心当たりのある人だ。
暮石の言葉に、頷く。>>84 まともな作戦会議はできなくとも、 向かうべき場所は、同じだ。
俺ひとりで背負わなくてもいい。 心強い味方が隣に、未来にいる。 ]
……もしも、変なことを口走っていたら 構わず俺の背中を叩いてくれ
[ そうだ、果てに辿り着く直前。 作戦会議ならぬお願いを、暮石にしておこう。 ]
(93) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ ─── ようやく、ご対面だ。
三階、一番端の教室。 音楽室に黒沢は居た。>>88
振り返る彼女は微笑んでいて、 それから自ら話し始めるのを静かに聞いていた。 俺にとっては、その光景は異様に見えたが 隣にいる暮石にはどう見えただろう。]
黒沢、探したぞ
[ 俺の第一声はこれだ。 こんな端っこにいるのは骨が折れたぞ。 ]
(94) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ それから、 ]
この髪型、似合ってるか?
[ 幼く見えると言われた前髪を示す。>>78 仲間はずれの前髪の端を、 暮石がしたように自分でも流してみせる。
ご機嫌になっているともつゆしらず、 どうだ?なんて、黒沢にも同じ質問を。 ]
(95) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ それから、 ]
そのクレープはどうした?
[ なんて、手に持っているクレープを指摘する。 ほら、確かクレープは完売だった筈だ。 女子が夜中に何をしていたのかなんて、 俺は全く知らなかったから。 ]
(96) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ それから、 ]
……黒沢が言いたいのはそれだけか?
[ 頭を下げる黒沢を見て>>90、俺の眸は薄くなる。 俺が知りたいのは、そんなことじゃない。>>89 俺はあの日≠ゥら今までずっと、 黒沢の嘘に乗っかっているんだ。>>0:817
黒沢からのSOSを、ずっと、ずっと待っていた。 ]
(97) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ 俺は、無意識の内にだろうか。
まだ絆創膏が貼られたままの、 左手首を握り締めていた。 *]
(98) 2021/06/14(Mon) 21時頃
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[ 暮石が背中を叩いてくれないから、>>100 俺の口から出る言葉は止まらなかった。
でも、きっと同じような感覚でいたから、 思っていたように上手くできないのは、 俺も十二分に分かっているつもりだった。 ]
(113) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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[ ありがとう、と言われても、>>105 黒沢のホントの気持ちが全く分からなくて、 口元がへの字に曲がってしまう。
前髪の評価については、 暮石と同じように高評価だった。>>106 こうして真っ直ぐに目が交わるのは初めてで、 きっと、黒沢にとっての俺の印象も また変わってしまいそうだ。 ]
(114) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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[ 暮石がクレープを見て何を思っているのか>>99 前しか見てない俺には分からなかった。
ただ、少し焦げたクレープの生地が視界に映る。 楽しかったと考えてしまうことが、 不謹慎とか不謹慎じゃないとか>>107 そんなことは俺にとっては問題じゃなかった。 ]
(115) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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[ 俺の言葉の後に、 吐き出すような暮石の言葉が響く。>>104
黒沢は、淡々と事実を語り、 ただただ謝るだけだった。>>108>>109 俺の言葉に対しても。>>110 暮石の拒む言葉に対しても。>>104
別に俺は怒っているわけじゃない。 ]
俺も、たぶん暮石も、 黒沢からの謝罪が欲しい訳じゃない
[ 左右に首を振って否定する。 ]
(116) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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[ それをいうのなら、>>111 綺麗に並べたドミノが、 どこかを崩してしまえばあっという間に 全てが崩れていくようなもので。 黒沢の隠していたものに勘付きながら、 放置してしまっていた俺にも非はある。
あの日、無理矢理にでも 黒沢の腕を掴んでしまえばよかった。 そんな後悔が、胸に過ぎる。 ]
(117) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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俺も、つい数時間前まで 「助け」を求めることを知らなかった だから、助けてと言えなくたって 俺は馬鹿だとは思わないがな
[ 笑う黒沢は、見ていてとても痛々しく思う。 ]
(118) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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噫、これは黒沢と同じ気持ちに なってみようと思ってな
[ 絆創膏のことを指摘されれば、 特に悪びれた様子もなく見せるだろう。 暮石にはああ言ったが、>>65 向井に嗾けられなくとも、いずれやっていただろう。 だから、五分……ではなく、十割俺が悪い。>>77
なあ、黒沢の傷の具合はどうだ? もう迂闊なことをしていないようだが、 つい、黒沢の手首に視線が向いてしまう。 ]
(119) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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この世界は、助けてと言えない黒沢の気持ちを 代弁した世界なのだと俺は思っていた
だから、俺を最後まで残してくれたのは 俺に何かして欲しいことがあるんじゃないか?
[ 最後までいてほしかった。>>90 その言葉には、嘘はないだろう? 俺は、きっと黒沢の気持ちを 全て分かってやれないかもしれないが。 少しでもいいから、言葉にして欲しいと思う。
あの日のようにわかりやすく、話して欲しい。 切実とも取れる眸で、俺は黒沢を見つめている。* ]
(120) 2021/06/14(Mon) 23時頃
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[ 手首を見せて、事実を伝えたら 頬を強く抓られて、>>124馬鹿と罵られる。>>132
そんなに悪いことだったか? 俺は心底困った顔をするし、 何よりすごく痛い。暮石の手が。
離してくれ、と暮石に視線を送った後、 黒沢の叱るような言葉に向き直った。 ]
(144) 2021/06/15(Tue) 00時半頃
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あはは、これで死んだら元も子もないよな ……けど、こうやって叱ってくれたり、 俺に必要な言葉をくれる黒沢が、 何を考えているのかが知りたいんだ
[ 暮石の問いかけに全てが詰まっていた。>>125 俺たちは知りたいんだ、黒沢のこと。
それに柊にも同じような話をしたが、 誰にでもこんなことをする訳じゃない。 ]
(145) 2021/06/15(Tue) 00時半頃
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……だったら、今 その約束を叶えてはくれないか? 俺は、黒沢のSOSを受け取りたい
[ 無理に汚いところを見せろとは言わないが、>>133 それを知ったところで 黒沢に対する気持ちは変わらない。 強がることも悪いことだとは思わない。 でも、黒沢が弱みを見せても良いと思えるような、 そんな特別な相手に俺はなりたかったんだ。
小突かれて、黒沢に手の届く距離へ近づく。>>120 ……案外、暮石が粗雑に扱ってくるから、 ちょっと意外そうな顔もしつつ、だったけど。 ]
(146) 2021/06/15(Tue) 00時半頃
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[ それから、黒沢がぽつりぽつりと話し出す。>>136
家族の話は、覚えていた。 あの時はまだ、自信を持って家族を好きだと言えた。
黒沢の吐露される家族関係を知り、>>137 黒沢の感じていた痛みを知った。>>138 ]
(147) 2021/06/15(Tue) 00時半頃
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[ 父親からの命令、──… 俺の父親からの教育も、一種の命令のようなものだ。 俺は、炭蔵祐駕は、こうあるべきだと、 俺は疑問も持たずに応え続けてきた。
俺と黒沢との違いもスペックの問題≠セとしたら、 黒沢が言っていたように 俺は気持ちの理解ができないんだろう。
けれど、その命令は俺の中では悪≠セ。>>141 ]
(148) 2021/06/15(Tue) 00時半頃
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[ 俺と黒沢は、友達と言うには距離があっただろう。 ──… けれど、暮石は? 俺からすれば、ふたりは友人のように見えていた。
こんなことを聞いて、 どんな顔をしているのか、 大丈夫だろうかと少し心配して 暮石の反応を少し窺いもしただろう。
暮石の様子を窺って、それから、 クレープに落ちる雫を見て、俺は言葉を紡いだ。 ]
(149) 2021/06/15(Tue) 00時半頃
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父親の言うことに逆らえない気持ちは 俺もよく、分かる でも、父親が本当に正しい≠フか?
俺たちはまだ子どもで、 親が俺たちの全てのような気がしてしまう 俺もここにくるまではそう思っていたよ
(150) 2021/06/15(Tue) 00時半頃
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でも、俺たちだって考えるひとりの人間だ 俺は黒沢のことを見れていない父親の所為で、 大切な友人を失いたくない
それに黒沢乃絵は黒沢乃絵で、 姉に代わりでもなければ、父親の道具でもない 俺は、今泣きながら弱音も吐けるような、 そのままの黒沢が好きだ
……これからも教えて欲しいことも沢山ある ほら、知ってるだろ?俺の不器用なとこ**
(151) 2021/06/15(Tue) 01時頃
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[ 暮石には悪いと思っている。>>161 母親がどうして亡くなったとか、 どんな夢を抱いていたのかなんて知っていたら。>>162 もう少しだけ、気を遣うよう努力したと思う。
それから生死の話。 暮石にとっては、自分でいられなくなること。>>1:528 それが、彼女の死なのだろうが、 暮石が自分でいられなくなる切欠を俺は知らない。 だから、余計に暮石に気を遣えなくて申し訳ない。
それから、黒沢も自分を棚に上げて言う。>>152 心を大切にする為に切ったとしても、 身体のことは大切にしていないじゃないか。 ]
(186) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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……分かった、善処する
[ 欲張りな暮石と、自分勝手な黒沢に謝罪しておこう。 ]
(187) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 全てを曝け出した黒沢は>>154、 手遅れだと言う。>>153
俺はようやく黒沢と話したことを思い出し、 父親のことだったのかと気付く。>>0:1173 それに、黒沢は俺とは違う言えない¢、の人間だ。 内に秘めて、グレーゾーンを受け入れようとする。 黒沢は言ってくれるだろうという自負が、>>1:267 きっと俺の中の誤算だったのだろうな。
それに、父親への依存は、>>157 必ずしも黒沢だけではなかった。 俺だって、父親に依存して寄生して生きている。 父親の進行方向へ右へ倣えの生活だった。 それは同じな筈なのに。 ]
(188) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 炭蔵家では父親の方が過ちを犯し、 それが俺の人生にとっての汚点だと思っていた。 でも、父に依存していた俺は切り捨てられなくて、 何もなかった時間に巻き戻したかったんだ。
……もう、本当に手遅れなんだろうか?>>158 ]
(189) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 俺の言葉選びが下手なこと、よく知ってるだろう? 口説き文句だと勘違いされても別に構わなかった。 男女の仲など関係もなく、黒沢を信頼しているし 尊敬もしていて、人として好きだから。 俺が俺でいられるのも、こうやって俺を認めてくれる 黒沢がいるおかげでもあるんだ。>>159 ]
それはありがたいよ
[ 物腰柔らか仕様にもしもなれていたのなら、 両想いじゃないか、くらい言えただろうか。 ]
(190) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ そうして、暮石に視線を向けた時には、 彼女は少し表情が柔らかくなっていた。>>169 物腰柔らか仕様の返答は、暮石に任せよう。
多分、俺とは違う黒沢をずっとよく知っていて、 今も見えている世界が違うんだろうと、思う。
暮石が包むように掌を重ね、>>169 文化祭の思い出を語り出すのを静観していた。>>170
この世界に来てから、 確かに見ていて惨いこともあっただろう。 でも、この世界に来てからいいことはあった。>>172 俺もそうだ。鳩羽も同じ気持ちだろう。>>4:221 それに柊のことも知れたし、>>4:230 向井と本音で話せたのも、>>2:414 この世界に来れたから、この世界じゃなければ、 きっと俺は、知らないままのことが多かっただろう。 ]
(191) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 頭に伸びた掌が、今度はピアノに向かう。>>173 暮石がピアノを得意とすることを知らなかった。 その音色を聞いたこともなかった。
魔法というにはあまりにも雄大で、>>176 お世辞にも完璧とは言い難い一曲だった。
しかし、音楽に詳しい訳ではないが、 技巧の高さだけでは乗せきれない思いが確かにあった。
一直線に黒沢に向かっていく、圧倒する何かが。 ]
(192) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 鍵盤から指が離れ、暮石の眸に涙が溢れる。>>179
きっと、親を亡くした暮石にしか 分からない感覚なのだろうと思う。>>180 黒沢に向けた懇願のような言葉の数々を耳にして、 もう前髪で隠されていない俺の表情も、 ほんの少しもらい泣きしそうになっていただろう。 ]
(193) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 俺も聞きたかったこと。>>184 仮説の話、───もしも手遅れじゃなかったら? ]
もしも、この世界が黒沢の最後のSOSなら 手遅れなんて言わせない、間に合わせてみせる
それに、少しくらいわがまま言ったって ここには誰も咎める人はいないだろ?
俺たちに気を遣う必要だってない 俺たちはいつだって対等な関係にあるんだ
[ 暮石のように、友達≠ニ俺の口からは 自信をもって言えなくてこんな言い回しになる。 ]
(194) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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俺もこのまま、黒沢を思い出にしたくない まだ黒沢の知らないところがたくさんあるんだ
でも黒沢は聡いから、このまま戻れても その先はどうして生きたらいいのかって悩むだろう
でも、俺も暮石も、 それに先に帰ったみんなもいる。 黒沢からのSOSはしっかりと受け取ったから、 もうひとりで悩まなくていいんだ
黒沢の生きる場所は俺たちに作らせてほしい
(195) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 暮石みたいに顔を歪ませるようなことはないが、>>185 やっぱり泣きそうになっている顔は変わらない。
それから、今ぐらいは触れてもいいだろうか? 暮石には気兼ねなく触れられたけど、 やはり黒沢に対しては、許可を取りたくなってしまう。
叶うなら、そうだな。 ほとんど同じ高さにある頭くらい撫でさせてくれ。 **]
(196) 2021/06/15(Tue) 17時頃
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[ 綿見と話せたこと、 それが黒沢の出した結論で、 向き合う努力をしたことを知れれば、 失望なんてする筈もなかったよ。>>210
いや、どんな結果を選んでも、 失望するしないの資格もないんだが。 ]
(213) 2021/06/15(Tue) 21時頃
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[ 三人で帰りたいと、暮石は言う。>>198 同意を求める言葉に、俺は頷いた。>>199
俺が此処にいられるのも、暮石のお陰だった。>>197 教室で動けないで居た俺を迎えに来てくれたのも、 こうして黒沢に近づくよう促してくれたのも、 俺が先延ばしにせず向き合えているのも。
俺にとっても暮石は、 今日限りだったとしても相棒だ。 同じ方向を向いている親しみを持った相棒だ。 ]
(214) 2021/06/15(Tue) 21時頃
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[ でも、黒沢は───… まだ同じ方向を向いてはくれないらしい。>>212
ピアノの演奏を聴いていた黒沢は、 確かに揺れていたように思ったのに、>>207 黒沢の口から溢れでたのは、 楽になりたいというわがままだった。>>208 ]
(215) 2021/06/15(Tue) 21時頃
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……俺だったら、生きようと思う けど、楽になることが悪いこととは思わない 人は誰しも、楽な方に流れるものだろ
これまで頑張ってきたんだもんな、黒沢は これ以上頑張れとも言えないよ
(216) 2021/06/15(Tue) 21時頃
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でも、それでも、生きて欲しいと思う これは命令でもなくて俺の我儘でお願いだから もちろんこの手を振り払ってくれてもいい
ただ、黒沢が怖くなくなるまで 俺は絶対に手を離すつもりはない
[ そう言って、片手を差し伸べる。 手を取ってくれなかったら? 多分、俺の顔はようやく歪む。 *]
(217) 2021/06/15(Tue) 21時頃
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[ 俺が言いたいことを、 あの日黒沢がピーマンに例えて説明してくれたように 暮石がかみ砕いて 言葉にしてくれるのを聞いていた。>>227
もしも、黒沢の中が空っぽのように感じているのなら 暮石が心残りをひとつ積み上げたように 俺たちが黒沢の中を埋めてあげたいと思う。 ]
俺も、わがままを言ってみたかったんだよ 人生ではじめてのわがままをここで使うとはな
(243) 2021/06/15(Tue) 23時頃
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[ 黒沢のひとつ目の願いは、>>234 俺も先延ばしにしてきたことだったから、 どこまで力になれるのか自信はないが。
二つ目の願いは、>>235 俺でも叶えられそうな内容だった。 ]
(244) 2021/06/15(Tue) 23時頃
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[ べそべそとクレープを食べる姿が、少し可笑しくて ちゃんと食べ終わるのを待っていた。>>236
それから、黒沢がわがままを言う。 ]
分かった、約束しよう 絶対に叶えてみせる …俺のできる範囲にはなるが、善処しよう
俺の未来にも、黒沢が居て欲しい
[ 今回だけ、特別だからな。 わがままを全部、叶えてやろう。 だから、右手でも左手でもどっちでもいいから、 この手を取って欲しいと思う。
二本の腕は、手を取られるのを待っている。>>228 *]
(245) 2021/06/15(Tue) 23時頃
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[ 握られた手を、強く握り返した。>>250 ]
(253) 2021/06/15(Tue) 23時半頃
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[ 俺のはじめてを貰った責任は、 ちゃんと取ってもらわないと困る。>>249 だから、俺のわがままが叶うまでは 黒沢から目が離せない。
ところで、俺たちも帰る為には、 これまでの法則からすれば、 マネキンになる必要があるんだろうか?
……それとも、この世界の主が、 帰ると決めたのであれば、 もう少し違う帰り方があるんだろうか? ]
(254) 2021/06/15(Tue) 23時半頃
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[ そうだ、それから。 ]
帰る前に、言っておきたいわがままはあるか?
[ 現実世界の黒沢がどうなっているのか、 それを俺たちはまだ知らないけれど、 きっとすぐには会えないかもしれないから。
今、こうして話せるうちに聞いておきたい。 ]
(255) 2021/06/15(Tue) 23時半頃
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[ どうやって帰るのかは、黒沢次第。 ただ、この世界から帰る直前に呟くだろう。 ]
───… ありがとな
[ この世界に招待してくれて。 特別だと、思ってくれて。
反対側の腕が暮石の方に引かれれば、>>251 俺の腕も同じように引っ張られる。 黒沢へ視線を向ければ、向こうに暮石が見える。>>252
時の止まった冷たい校舎から、 みんなの待つ明日≠ヨ向かおう。* ]
(256) 2021/06/15(Tue) 23時半頃
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炭蔵君は不器用な人だと思ってたけど、
私、少し認識を改めた。
私、炭蔵君は天然だと思う。天然な上に人たらしでしょ。
綿見さん、本当の天然は私じゃなくてここにいるよ!
怖くなくなるまで手を離さないって、
そんな安請け合いしていいのかな。
私、一生怖いままかもしれないのに。
委員長ってそこまで責任取らなきゃいけないものなの?
絶対違うと思うんだけど。
でも、炭蔵君のわがまま、嬉しかった。
炭蔵君の言う通り、この校舎は私のSOSだったよ。
助けに来てくれてありがとう。
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