14 冷たい校舎村10
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キーンコーンカーンコーン…………
(#0) 2021/11/07(Sun) 00時頃
──午前8時50分
教室の前方にかけられた時計の針が、
きっかり8時50分を指した時のことだった。
君達は全員、教室の中にいた。
凍えた校舎に響くチャイムの音。
聞き慣れた始業の合図が静かな空気を揺らす。
聴覚から感じる日常があるなら、
次にやってくるのは、鼻腔をくすぐる非日常。
閉じられた扉の向こう、廊下の方から微かに漂う、
甘い、辛い、香ばしい。雑然とした食べ物の香り。
目を凝らせば、廊下に面した磨りガラスの向こう、
チカチカと瞬くカラフルな光にも気付けたかもしれない。
そして、文化祭を彩る陽気なBGMにも。
(#1) 2021/11/07(Sun) 00時頃
さあ、扉を開けてみて。
(#2) 2021/11/07(Sun) 00時頃
──その先で、君達は目にするだろう。
高校3年。最後の文化祭。
君達の記憶通りの、あの日の校舎。
時間が凍りついてしまったように、
あの日の光景がそこに広がっている。
君達のいる教室だけが、日常に取り残されたまま。
そのことに気がついたとき、
通じなかったはずの携帯電話が一斉に受信する。
君達全員が受け取るのは、誰かの死を仄めかすメッセージ。
(#3) 2021/11/07(Sun) 00時頃
ようこそ。冷たい校舎へ。
あの日に取り残された世界を、
君のためにつくられた世界を、どうか楽しんで。
(#4) 2021/11/07(Sun) 00時頃
[ 星が綺麗だった。
今ならば誰も己を知らない場所に行けそうだと思った ]
…………私はここにいる。
みんなもここにいるよ。
固い殻の中に閉じこもっちゃえば、みんな一緒だ。
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