情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
[当時、青年は実母と二人暮らしだった。
貧しいながらも平和な暮らしをしていた。
幼児に分かる範囲では、の話だが。
その暮らしを壊したのが青年の父親だ。
ある日唐突に家を訪れ、青年を連れ去った。
突然に実母と分かたれ、別の女性が“母”になった。
父のことは立派な人だと聞かされて育ったが
まず実母と離されたことを恨み、
道具めいた扱いをされていると気付いて嘆き。
ようやく働き始め、貯蓄を得たら父の元を離れて
実母を探そうと思っていたところで
命を懸けてこいと指示され、完全な失望に至った]
[当初は、父への復讐を果たせたなら、
その後は実母を探して共に暮らそうと思っていた。
だがあのゲームを経た今、
実母と合わせる顔がなかった。
そもそも敗者としてここに囚われ永遠の眠りを
強いられている以上、不可能なのだが。
会う道が存在しないことは、
青年にとって、いっそ救いですらあった]
[青年はかつて彼に尋ねた。
なぜ参加者の血で盤を埋めたがるのかと。
その結果聞いた答えと、今日ここで聞いた話とで
彼が相当に人間嫌いなのはよくわかった。
その中に、どうやら自分は途中まで
含まれていなかったらしいことも。
だが、青年もまた、動機はどうあれ
“こんなゲームに参加するような人間”なのだ。
そのことを青年は強く思い知ってもいる]
[彼が人間を疎む理由の詳細まではわからずとも、
複数の人間に酷な目に遭わせれたのだろうと
想像することは容易かった。
だが、いかに悲惨な目に遭わされようと
ゲームを主催するという形で
人間たちへの報復を試みるさまは受け入れ難かった。
かつて青年が彼に感じた反発は
人間とはそういう者たちばかりではないと
思いたいがためだったはずなのだが、
今青年が思うことは少し違っていて、
こうして起こされることがなければ
そんなふうに変わることも無かったろうと思えば
八つ当たりじみた怒りも湧きはする]
[その一方で、彼が青年の願いだけはほとんどを叶え
そしてこれからも叶える気でいたと知った今、
それを信じていないと表明したときに
心外だと言いたげに言い返してきた姿を見た今。
そこから彼が自分を起こしたことを考えてしまえば、
憎みきれないものを感じてしまうどころか
懐いた仔犬のごとき従順ささえ見出しかけて
握り拳を窓ガラスに叩きつけた。
どうあれ彼に抱く嫌悪は変わらず存在はし続け、
彼の手は取れないと感じる思いもそのままで、
相容れる道が無いのはわかりきっている。
それでも彼を踏み躙ったことには
罪悪感が芽生えてしまい、相反するいくつもの思いが
どれもやり場の無いものとして溜まっていった]
[或いは無意識に重ねた部分もあるかもしれないが。
自分が____事など当に諦めきっている。]
[しかしながら一度彼の印象が変わってしまえば、
荒れる姿に思う内容すら変わるのを感じた。
・・・
己の行動ひとつでそれだけ心を乱してくれるのか、と
ある種の満足感さえ覚え、
そんな自分の思考に嘆息する羽目にもなった]
[元々が清濁入り混じっていた彼への思いは
今やますます混濁してまとまらない。
千々に乱れる思いをどちらかに振り切って、
反対側の感情には目を塞いでしまえれば
楽になれるのだと青年は自覚してはいた。
好くにしろ、嫌うにしろ、
どちらかひとつを選べれば。
何日も何十日も時間があれば、
どちらが現実的で望ましいかも含めて
ゆっくり考えられるだろうに、
そんな時間が許されていないのも事実で]
[結局俺に向けられていた感情は分からない。
ただ、『味方』という言葉に
振り返るよう乞う様なあの声掛けに
ずっと何かを期待されている様に感じていた。
そんなもの誰にも届く筈が無いと
自分が捨て去った願いと重なるようで
・・
それを他でもない俺が無視し、
切り棄てようとしたのだという意識に
いつまでも引き摺られ苛まれもしていた。
これで楽になるのだろう。
―――そうだと信じ込もう と。して。 ]*
[自ら死を望み、「心中でもいい」とまで言った者の
飲み物に毒がないと信じられたと
もし青年が知ったなら、
彼がさらに可愛らしく思えてしまうのだろう。
そのことに屈辱を伴いながら]
[『お前こそ、そんなに俺が好きだったのか。
それは残念な思いをさせたな』
あのとき彼に言い返された言葉に、
当時の青年は腹を立てもしなかった。
そうだろうか、と疑問を感じはしたが。
今思い返しても苛立ちのひとつも湧きはしない。
だが今は、そうだったのかもしれないと思いもする。
『好き』の一言で括られると
えも言われぬ不快感が渦巻きはするが、それでも
彼に向ける思いの一部は好意の類であろう、と
今の青年は認めないわけにはいかなかった]
[彼への好意に類する思いに目を向ければ、
彼に抱く嫌悪や軽蔑心が苦痛だ屈辱だと騒ぎ立てる。
逆恨みめいた思いや疎ましさに目を向ければ、
それを拒んで彼への愛着を語る心もまたあって。
その両方の折り合いがつくのが殺意なのではないか。
だからやけに真っ直ぐに彼に向くのではないか。
だからこれだけ捨て難い思いなのではないか。
そう思い至ってしまえば、青年は
自分の思いの屈折ぶりに改めて嘆きたくなった]
[今度こそ知られぬまま眠ろう、
あとほんの数時間のことなのだから。
青年はそう己に言い聞かせる。
その間、知られぬように耐えればいいだけで、
……もし耐えきれずに漏らしても
そこにいるのは彼と愛犬だけだから]**
[あの時『孤独』だろうと
俺に知らしめんとしたその言葉は、
俺からしてみたら青年自身にこそ
当てはまる言葉に思えていた。
生き方を指すのではなく
『孤独』という自体そのものが
あの時の青年を指し示していたかの様で
今も変わらずに、
………寧ろ、当時以上に『孤独』に映り
当惑する。
容を得た罪悪感が
意識に踏み入ろうとして ]
[―― 黙れ、と扉を閉める。
どうにしろ、
何かをしてやる理由なんて無いのだと。
無い筈だろと言い聞かせるように
意識の扉を頑丈に塞ごうと。 ]**
[彼が常の平静さを取り戻したように見えれば、
青年の内には名残惜しさが芽生えた。
取り乱し声を荒らげる姿も、
必死に犬を守るべく隠そうとする仕草も
それはそれは愛らしいもので。
当時意識に昇らぬよう勤めていても
いざ過去の光景になってしまうと、
もっと見ていたかったという思いが浮かぶ。
彼が願われれば死ぬ気さえ起こしていたことなど
青年には知る由も無かったが、知っていたなら
さぞかし愛おしく思ったことだろう。
この他に何が彼の心を乱せるだろう、どうやって
動揺させようかと、そんな思考まで巡り始め、
それら全てを今すぐ消し去ってしまいたかった]
[「狂ってる」
その表現が的確なものとして青年の心に馴染んだ。
狂ってしまったのだ。
そう思えばいろいろなことに納得できる気がして。
それがいつからなんて考える気は無かった。
彼に可愛らしささえ感じ始めたのは、
きっと狂気の果てに至ってのことなのだろう。
そう思ってしまえば諦観の中、
やけに和やかな安堵感が青年の心に染み渡った]
[もう、どこにも戻れはしないのだ。
ありとあらゆる意味で]
[青年は孤独ではあるのだろう。
実の母親と引き離された後、父は言わずもがな、
新たな母親にもまともな愛情を注がれず。
人当たりのいい好人物として育ってはきたし
極端な虐げを受けたわけでもないが、
距離の近い友人や恋人などいたためしがない。
ゲームに参加するに至って、やっと
気安く話せる参加者が数人できたが、
それも互いに素性を知らぬ間柄ゆえだったのだろう。
その彼らの誰とも話さないことを望み、
誰も来られない場所で独り眠ろうとさえした]
[実際には眠りに就く前に
数人と対話することになったし、
思いを分かち合えたはずの相手もいるのだが。
こうして起こされたことで
考えを改める機会を得てしまった。
それでも青年が実感することは無いかもしれない。
己の孤独を。
仮に実感したとしても、わざわざ
そこから逃れようとすることもないだろう。
元々、既に終わったはずの命。
今与えられたのも一時の幻想でしかないのだから]**
[必要の無い事は口にしない。
それはGMとしての公平さを保つ為であり
プレイヤーとして弱点を晒さない為であり
伝える必要が無いと判断したからだ。
余計な事等口にしない。…絶対に。]
[そうして今度こそ終わらせようと。
抱いた何もかもを流しきり
元へと還る
・・・・・
例外等無く
全ての人間を嫌い、憎んだままの自分へと。]*
[ただ嫌いと伝えるだけで、
そんなに体を強張らせる彼が
やはりどうしようもなく可愛らしく思え、
とうとう、反発する感覚さえ湧いてくれなかった]
[もう彼に抱いていたはずの嫌悪も何もかも
抵抗を示してはくれないことにだけ、
青年は少なからずの失望を覚えたが。
それもこの瞬間を以て
忘れていってしまう感情なのだろう]
[振り切ってしまえれば楽だろうと思っていた。
いざ振り切ってしまえば、
ただ、後戻りのできない道に踏み込んだだけで。
どうせもうすぐ終わりが来るのだと思えば、
これすらどうでもいいことではあったが、
……]
[彼に信じてもらえるような、
彼の心を溶かせるような
そんな人間であれればどれだけよかったか、と
思ったことが無いといえば嘘になる。
それすら叶わぬ夢であることを、
もう、嘆く気すら起きなかった]
[意識も呼吸も正常であったとしても
向けられた言葉は一切理解できなかっただろう。
誰に向けられた言葉なのかわからない。
何を示しているのかわからない。
どうしてそうなるのか
何を考えているのか
何もかも理解できず
強い拒絶を示してみせていただろう。]**
[殴られたことがあるのか。
暴力に晒されてきたのだろうか。
彼の人間嫌いの原因は、もしやそれだろうか。
彼が語りたがらない過去をひとつ紐解いた気がして、
青年の心はさらに満たされる。
彼が現状を認識せず、
青年を見ていないことなど些細な問題だった]
……ああ、
そうだった、思い出した。
情報 プロローグ 1日目 2日目 エピローグ 終了 / 最新
sol・la
ななころび
下記の場所以外では、人狼議事内キャラチップ
の利用を許諾しておりません。ご了承ください。
議事総合トップ
人狼議事lobby
人狼議事morphe
人狼議事cafe
人狼議事perjury
人狼議事xebec
人狼議事crazy
人狼議事ciel
SoyBean
Sangria
@hello_giji
@7korobi