28 僕等(ぼくら)の
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[予想していた痛みも衝撃も、来なかった。それはいい。寧ろ喜ぶべき事だろう。だが、代わりに口の中にぬるりとした……これは、舌か? 舌を挿れられている?]
んぐ、っ……んッ、ん………!
[口の中に、彼の舌が? 口の、中────拙い]
ん、ふっ…………んぅ、んッ!!
[薄く開かれた視界に移る光景は、推測が正しかった事を裏付けていた。漸く何が起きていたのか理解した康生は、全力で彼の身体を突き飛ばした。初めての、拒絶らしい拒絶の行動。傷付けるかも知れないが、康生にはそうせざるを得ない事情があった。それは、感情以前の問題だった。]
[キス病というものが存在するのを、知っているだろうか。知らなくても問題は無いし、康生に直接関係がある訳ではない。ただ、キスというのが様々な病気を媒介する危険な行為だという事だけ理解してもらえればそれでいい。通常問題にならないのは、免疫の働きに因るものだ。免疫力さえあれば、キスが問題になる事はそうそう無い。]
(175) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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[問題は、康生の免疫力が通常よりかなり低い状態にある事だった。だから風邪や胃腸炎に罹り易いし、重症化し易い>>0:284。通常口を通る食べ物でさえ、様々な制限が掛かっている>>0:261>>0:301のだ。キスなんて、安易にできる訳が無かった。]
[康生がお付き合いを長く続けられない>>0:112>>0:113理由の一つが、これだった。キスすらしてくれないのだから、彼女達が康生の愛を疑うのは当然だろう。仮に康生が上手く事情を説明出来たとしても、普通に過ごす分には健康に見えるのだ。理由付けをしてまで、キスを避けているのだと思われるだけだった。そして、康生の説明下手に関しては、今更語るまでも無い。異性にでさえ、そうなのだ。同性の彼に、キスが出来ない理由なんて語る筈も無い。]
[だから、この事態は防ぎ様の無いものだった。彼は青褪めていたけれど、まだ康生は何一つ事態の深刻さを伝えられてなかったのだ。もし聞けば、今以上に青褪めたのだろうが。少なくとも今はそうならなかったし、それどころではなくなった。彼が不自然に蹲ったからだ。]
────……ヶィ、ケイ? 具合、悪いのか……? え、なに……?
(176) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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[解放されて自由になった手が、胸元に置かれる。声色からは、混乱と動揺が感じ取れた。キスは出来ないが、康生だって思春期の男子だ。性に関する知識が無い訳ではない。独特の臭いに、混乱しつつも何とか事態を吞み込んだ様だった。]
だ、大丈夫。大丈夫だ、ケイ。俺、着替え持って来るから。 その間、待てるか? さっき、独りは嫌だって言ってたけど……。
[色々とズレている気もするが、康生は康生でいっぱいいっぱいだった。動揺していた。沈み掛けている親友に手を伸ばそうとしてはいるけれど、それだって正しいのかは何もわかっていなかっただろう。*]
(177) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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公安部 カガは、メモを貼った。
2023/08/13(Sun) 21時頃
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―― 合宿所:教師の詰め所 ――
[たくさん溢した不安の声を、 本郷先輩はいっぱい拾ってくれて。 その度に宥めても貰えたからか、詰め所に 着く頃には先輩の顔を見て話せるようにまで 落ち着けていた。>>168 落ち着けてた、んだけど。 そこにいた先生達はあまりにも今まで通りで さっきの異常からはあまりに切り離されて見えて。]
……… ―― ぅぅ、せんせー!
(178) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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[再帰する不安から逃げ出したい一心で 先生に飛びついていた。>>@30
「どうした?」と声を掛けられても 暫くはしがみついたまま。
ようやく顔を上げられても、ワープした! 七星先輩が消えた!さっきまで小屋に居たのに… なんてまとまらない返答しか出来ず。
代わりにと一緒に来てくれた本郷先輩が さっき起きた全ての事象を綺麗に、的確に 先生に報告してくれていた。>>170]
(179) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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[改めて今の状況を言葉にして貰えて、 実物の大人にも会えた事もあって、 ようやく。ようやく本当に落ち着けてきた。]
…先輩、ありがとうございます。 先生に来てもらうの、同感です。>>171
[ひっつき虫していたのを離れて、 今度は誰の服の裾も引かないで 先輩と先生の後について行こうと。*]
(180) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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[合宿所への帰り道、そういえば大和と2人でゆっくり話した事もなかったなと思い。]
……そうだ。僕、帰ったら天文部に入ろうと思ってるから、よろしくね。
[LINEはやっていないようだから、電話番号くらいは聞けただろうか? スマホを弄るついでに、歩きながら柊木に、丸太小屋のあった場所の写真を送信した。]
💬 小屋のあった場所に来たけど、これだったよ…… 道は間違ってないと思う、んだけど。
Aにもメッセ送ったけど、返事はない。既読も付いてない。
あ、天文部のLINEグループあるんだよね? この写真、共有していいから。>>17
[まだ入部していない縁士はそのグループに入っていないので、柊木にお願いして。 ほどなくしてから合宿所に帰り付いた。]*
(181) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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――回想・誕生日――
[>>93瑠璃川の家にいく前日はとても緊張していた。 着ていく服は少しでもマシなのを選んだしいつも通り朝一で銭湯で汗を流しておいたので変な匂いはしないはずだった。 初めて訪れた友達の家は自分の家とは異なる匂いがした。 ワクワクもしていたけれど緊張も強くて、それでもケーキが出てくると歓喜一色に感情は染まったのだけれど。
作ってくれたケーキはホールだった。 ホールのケーキなんて見たことがなかった。 12cmもあるらしい。 クリスマスに貰ったのなんておっちゃんらの食べ残しである。 上に乗ってるイチゴだけないとかそんな感じだったがイチゴのショートケーキは上に乗ってるイチゴがメインディッシュなのに食べたことがなかったけれど、今日のは上に名前とハピバの文字が掛かれた――これは幻のお誕生日プレートというものらしい。
最早口はうわー、うわーとしか言ってない。 漸く感謝の言葉を伝えられたし、後になってお礼にと瑠璃川の誕生日プレゼントを渡せたけれどやっとだった]
(182) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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そういえば一瞬だけ年上だったけど、 ほとんどの期間は同い年だろ?
[そんなに年上のほうが良かったのだろうか。 大和は首を傾げて、落ち着きを取り戻してきたのでそこで漸く部屋を見渡せるようになっていた。
きちんと整理整頓されていて綺麗な部屋だった。 玄関から全部綺麗で片づけられていて、これが女の子の家かと感心してしまっていた。
ケーキは折角だから二人で食べようと提案した]
(183) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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ほら、一か月遅れだけど僕も瑠璃川の誕生日を祝いたいしさ。
[誕生日の歌も歌ったことはないけど一緒に歌えたらいいと思う。 紅茶はあんまり飲んだことはないけど少し渋い味がするもので、それはそれで美味しい飲み物なのだけれど――。
>>95プレゼントを渡すと瑠璃川は赤くなってしまったけれど、大和も大和で喜んでくれて嬉しいので赤くなって視線を逸らしたり頬を掻いたりしてしまっている。
でも――浮かんだ笑顔が見れたので初めての誕生日パーティーはとても幸せだったと思えるものだった]
(184) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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うん、そうしてくれたら嬉しい、かな。 それ瑠璃川の誕生日の花らしいからさ。
ハッピーバースデイ。
[それから二人で誕生日の歌を歌おう。 ケーキも食べて、すぐに美味しいと感想を伝えられた。 おっちゃんにもらったコンビニケーキなんか目ではなかった。 スポンジにはシロップが塗ってあって甘いし生クリームも美味しいしイチゴも新鮮な感じで美味しかった、つまり美味しかった。 味についての語彙力なんて期待されても存在はしない。 ただ、美味しいと笑顔で言えるだけ。
残ったケーキは持ち帰りさせてもらって、食べ終わったらごちそうさまとちゃんと伝える。 いくらお礼を言っても足りることはない。 別れた後でショートメッセージで『ありがとう』と伝えなおすくらいに感謝しても仕切れなかった*]
(185) 2023/08/13(Sun) 21時頃
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――小屋を探し、合宿所へ戻る――
[>>172そう、確かにここだった。 場所を違えるはずがない、二人同時に間違えることはないはずだ。
小屋は影も形もない空間がそこにはあった。 謎は余計に深まり大和にはもう処理しきれないでいた。
>>173その間に天道はスマホでこの空間を撮影していた。 やはりスマホは便利だと思ったが、あれはすごく高い。鬼のように高い。 ガラケーの何倍するんだという話であるから手は出ない。 できることがないので周囲を確認するが特になにかあるわけでもなく、獣道があるわけでもなかった]
(186) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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ん、うん、そうしよう。 何もないし、本当に丸太小屋どこにいったんだろ。
[声をかけられて丸太小屋があった筈の空間を後にする。 天道は何度も振り返ったが大和は振り返らなかった。 振り返ってもそこには何もない気がしていた。
七星も、丸太小屋ももしかしたら夢や幻であったのではないかと思うほどに不可解なことが起こりすぎていた]
(187) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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[帰り道は静かなものになるかと思ったが>>181予想外に天道から話しかけてくれた]
あ、え、そうなんだ。 僕はもう部員なんだけどアルバイトで忙しくて、 月に一回参加できるかできないかの幽霊部員なんだ。
それでも、その時はよろしく。
[勿論、電話番号は教えた。 歩きながら文字を打ち込み送信できるらしい。 すごいスキルだなと感心してしまう。
大和は転げないように足元を照らしていくだけだった]
(188) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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夢じゃないよな、本当に。 ゲームだとかよくわからないし……。
[合宿所に到着するとそう呟いてから別れることにした。 こういう時は風呂に入るに限るから――そう言えば花火の後片付けは皆やっている暇はなかったと思うから残していた荷物を片づけてから部屋に戻ろうか*]
(189) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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――丸太小屋で――
それなら設計図でもいいよ。 操作方法とか大体書き込んでるでしょ?
[操作説明書とかは大体設計図から取って来るだろうし設計図を見たらわかるんじゃないだろうか。 IDとPWを入力して板に手を触れると光り出して――、結局設計図も見られないままに七星は姿を消したんだったか。
説明書があったら全部読んでからやる方なのだ。 ゲームはしたことがないし初見でやるなんて絶対失敗する未来しか見えなかった*]
(190) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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ーーブナの木の下→恵一の部屋ーー
[僕は忘れていた。自分の力が思いの外強いことを。
もしかしたら、僕が掴んだ彼の肩には青痣が残ったかもしれず。>>174 脱がない限りはわからないが。
僕には康生を殴るつもりなど毛頭なかった。
荒事には無縁に生きてきた。 兄や友達を喧嘩をしても手を出した事はない。
しかし、僕の剣幕に彼が怯えるのも無理はなかった。
僕はーー幻覚さえ見なかったものの。 この時の僕は、ある意味狂っていたのだから。]
(191) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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― 七緒 ―
[ずっと一番前を歩いていた俺と、一番後を歩いていた七尾。>>140
何度か話しかけようとしたけれど、タイミングを逃して、 結局話せないままだった。
天文部なのに、 天道が俺に教えてくれたアプリをこっそりダウンロードして、スマホごしに空を見ている時とか。 花火の時。 クーラーボックスを女子が持つのは重いだろうから、 持ってあげようかと思った事も。
即席のドリンクスタンドは、 俺は合宿の参加者ではないから遠慮してしまったんだけど。 俺の分も用意してくれてたなんて思わなかった。
無糖の紅茶。 偶然だろうけど、俺の好みと一致していたそれは、 七尾のクーラーボックスに残ったまま。*]
(@32) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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―― 合宿所:教師の詰め所 ――
[怪我、事故、少ない可能性では喧嘩など。 それらの問題を疑って身構えたのだけれど。 本郷から語られたのはまるで性質の違う出来事。]
ま、待て待て。 要は、七星に誘われて戻る途中で どこか小屋に寄り道した後、知らん間に 全員でワープしてたって話…か…? いつの間にか? で、七星が消えた?
[話を統合して簡潔に纏めるとそういうことか。 二人が冗談を言っているとは思わない。しかし、 ワープのくだりについては俄かには理解し難い。 本郷の真剣な口振りや不安げな眼差し>>170>>171 混乱し怯えた様子の七尾>>179の姿に、 暫し、困惑したように眉根を寄せて思案する]
(@33) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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[僕のキスはそう、テクニックもなくただ。 求めるままに、貪っただけ。>>175
去年の過ちの時しか経験はないのだから仕方ない。
しかし、ここで僕が身体を痺れさせるような上手さを披露できたところで、僕らは男同士である。
そして、彼には僕の知らないーー粘膜の触れ合いと唾液と言う異物の侵入を拒むのっぴきならない理由があった。>>176
だから、彼が僕を突き飛ばす結果は必然だった。]
(192) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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……あッ!!
[この時点尻餅を付かず踏みとどまるも。
僕は直後にとんでもない無様を晒す。
じわと広がる内部の湿りと不快。 みるみる顔が赤くなり、そしてくしゃり歪んだ。
地面に蹲る僕に彼が声を掛ける。>>176
先程乱暴に唇を奪ったことを鑑みるなら、怒るのが普通だ。
しかし彼はどこまでも優しく、海のように深い慈愛の心で僕を心配するのだ。]
(193) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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……やだ。 こんなとこで着替えたくない。 早く、脱ぎたいからーー ……部屋に。
[ブンブン激しく頭を振り、僕は濡れた下肢を隠したまま立ち上がる。
こんなにびっしょりで、おまけに恥ずかしい匂いがしたら彼は全てを把握しているのだろう。
よろよろと歩きながら、僕は彼と共に宿泊施設に向かっただろう。]
(194) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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……わかった。 みんなは玄関の方にまだ居るのか?
[詳しく話を聞かないことには何もわからない。 聞いたところで、説明できる言葉は持たないのだが。 本郷の言葉に頷いて>>171、話は聞いていたであろう 顧問へも視線で合図を送った。]
……大丈夫、そのままでいいから。 少し落ち着いたら、一緒に聞きに行く。
[この状況下、無理に離さなくとも良いだろう。 七尾が落ち着くのをゆっくりと待って>>180 それから案内されるままに二人に続くはずだ。*]
(@34) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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ーー現在/宿泊施設/恵一の部屋ーー
[部屋までの道のりは長くはない。
それでも、誰ともすれ違わなかったのは幸運中の幸運としか言いようがない。
僕は彼に寄り添い隠れるようにして足早、部屋の扉が見えたら急いで駆け込んだ。
移動の間僕は無言だ。恥ずかしさに声も出ない。
彼も気を使い、何も言わず傍にいてくれたと思う。]
(195) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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[学生が独りずつ個室を使っているのは贅沢かもしれない。 普通は相部屋や雑魚寝が多いだろう。
しかし合宿参加人数は少ないし、この宿泊施設は学校の理事長の親戚が経営しているだかなんだかのコネで、そんな余裕ある使いが出来ている。
僕は彼と部屋に入ると、すぐシャワー室に消えた。
汚れた下着とジーンズを脱ぎ(洗濯機はさすがに各部屋にはない)、熱い湯を浴びた。
身綺麗にしたら上半身は裸、腰にタオル一枚を巻いて部屋に戻る。]
(196) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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ーー…ごめん。
[僕はベッドに腰掛けた。彼が横に来てくれるかは、わからない。]
あんなこと。 コウに、あんなことするつもり、なかったのに。
……去年のあの時も。 僕は欲望に駆られて雨竜先輩を押し倒してキスをした。
僕はーー僕は、おかしい。
時々強い衝動が沸き上がって。 身体が熱くなって抑えが効かないんだ。
相手の事が好きで。 欲しくなるとーー。
(197) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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[震える声を絞り出す。 そしてゆるゆる頸を振り。]
……なんて、言い訳でしかないよね。
気持ち悪かったよね、怖かったよね…… 僕たちは男同士だし。 突き飛ばされても仕方ないよ。
ーーほんとに、ごめん。
[項垂れて、ひたすら謝る。
彼が拒んだ理由を語るなら、僕は更にショックを受けるかもしれないが。]*
(198) 2023/08/13(Sun) 21時半頃
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─回想・大和くんの誕生日─
ふふふ、私頑張りました! >>182その評価を目の前の反応が物語ってくれる。それについえへんと胸を張りそうになるけど、我慢我慢。 今日は大和くんのお祝いだもんね!
「ふふふ、まあね! 年上が良いわけじゃないけど、 ひと足先に大人になるんだな〜って。 ちょっとだけ優越感だっただけ〜。」
>>183まあ、私の中では先にお酒が飲めるよ!くらいなんだけどね。 大人になるのはもう目の前じゃない。 だけどほとんど同じなんだな、なんて事も思ったり。 でも、そんな気持ちもすぐに消えた。 だって、お返しというか…誕生日プレゼント?くれたようなものでしょう? ケーキも二人で食べようって言ってくれたしね。 >>184一ヶ月遅れでもって。
(199) 2023/08/13(Sun) 22時頃
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「うん、嬉しい。私も今年、一人だったんだ。 だから一緒にお祝いしよ。 ハッピーバースデー大和くん!」
それから、お互いにハッピーバースデーを歌って拍手してお祝いする。 ケーキは大和くんには好きなだけ、私は少なめにカット。我ながら美味しい! 美味しいって感想ももらえて、私の心はほかほか暖かくなって。
「二人で食べるからより美味しいかも。 今度からこういうのも良いかもね、 誕生日近いし?」
お喋りして、ケーキを食べてお茶をして。 帰る時には保冷剤と一緒に入れて、またねってお別れしたの。 でもそのあとで調べた。私の誕生花。 いくつかあるけれど、栞にあったのはフェイジョアっていう花らしい。 花言葉は「情熱に燃える心」「甘美な思い出」
(200) 2023/08/13(Sun) 22時頃
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「…ふふ。うん、嬉しいなあ…。」
私はプレゼントの栞を眺めて、頬を緩ませる。 大事に大事に使おうって、それを一番大好きな夜空の写真集に挟んでおいた。 ショートメッセージに『私も楽しかった、ありがとう』と打ち返す。 この時は返事を見てすぐだったからできたけど後日やり方がわからなくなるのは…まあ私の頭の悪さと至らなさ、なんだけどね。
とにかくこの日は、私も嬉しい誕生日だった。 17歳の誕生日は、私にとってはこの日の方だ。*
(201) 2023/08/13(Sun) 22時頃
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