23 あの春の廃校だけが僕らの学校だった。
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[片眉がぴくりと跳ねる。
ふたつのカップ越しに鋭い視線を投げようとして、うまっ、と素直に上がる声に毒気を抜かれた。]
────止めるって、
どうやって?
ずっと見張りでもすんの?
ん?
いや、お願いと命令するだけだが?
あと、状況きいての最大限の説得。
[ずずずーーー]*
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―― Lycanthrope Game 2 End ――
[もはや耳慣れたチャイムの音。 システム音は無機質なのに、どこか道化めいていて。 勝利陣営の生存者が、淡々と命令を発していく。
途中、エラーが発生したようだが、うとうとと微睡む意識の下で聞き流していた。]
――――ん、
…………????
[ご参加まことに――ざいま――た。>>#14 アナウンスを聞き届け、呆気ないほど簡単に開いたマシンから再び這い出す。]
ど、うな……あれ?
[ここが現実かVRか分からない。杖を掴み損ねて転びかけ、咄嗟に踏み出した左脚が、
――しっかりと、体重を支え地に立てていたから。]
(37) りしあ 2023/04/30(Sun) 22時頃
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[呆然と立ち尽くしていたら、やたら遠くガシャンと杖の倒れる音がした。 慌てて頬を抓る。痛い。当たり前だ。でもVRの世界でも同じ痛みを感じた。
――この世界はどちらだ?]
…………ゃ、 いやっ、
[身体が小刻みに震え出す。 あれほど精巧な廃校を再現できるVR技術。この個室だって、再現可能だろう。手に馴染む杖も、握ったスマホも、確かにそこにあるようだが、何より脚の感覚がVR内のそれに近い。
――胡蝶の夢。もはや、どうやって現実感を確かめれば良いか分からない。
腕を掻き毟った。細い赤線が幾筋か、ちりちりと痒いような痛覚。 首元に手をやった。あのチョーカーも石もない。 ただ、そこに突き立てられた鋭い――痛みと、鮮血と、灼かれるような、]
あ、あああぁあ――――!
[絶叫。そのまま昏倒し、胡蝶の夢を漂う。**]
(38) りしあ 2023/04/30(Sun) 22時頃
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[説得はともかく、お願いと命令って併存すんだな。]
……つか、飲むの早くね?
[何だろなあ。
尻ポケットに突っ込んでいたくしゃくしゃのパンフを取り出す。何となく丸めたりして手遊びをしながら、だらしなく背凭れに寄り掛かった。]
…………じゃあまあ、
やってみてもらおうか。
[ぽつりぽつりと、カップの氷が溶け切るまでの時間を遣って、寝たきりの嘗ての親友の話をした。]*
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─ リアル・個室の中 ─
[ゴーグルを傍らに捨てて、 震える手でウェアラブルデバイスを外した。 喉元に手をやる。汗ばんだ首。
──あの忌々しい首輪は、もう無かった。]
……──はぁっ、っは…… ……
[願いの最申請を叫んだあと、 "受理しました。処理を実行します。"の 音声が聞こえて、 身体中に電流が走ったような衝撃と苦痛を受けた。 何が起こったのか分からない。 いや、 何かが"処理"されたのだ。]
(39) steel 2023/04/30(Sun) 23時頃
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[頭の中に色々な数字が点滅して、 かつてないほど混乱していた。 ──しっかりしないと、発狂するんじゃないか。 額から流れ落ちてくる汗を腕で拭って、 息を深く吐いた。]
………、…
………受理、処理、と聞こえた… ……成功したんだ。
[自分で提出した文言を、辿る。
桐野玲の運ステータス26(0..100)x1%を使い 参加者全員の精神肉体を治癒する
……そうだ、そうだった。]
(40) steel 2023/04/30(Sun) 23時頃
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[ひとつずつ丁寧に思い出して行くと、 ようやく体の震えが止まり。 マシーンのロックは外れているようだったが、 深い息を吐いて、背もたれに沈み込んだ。
目の前のモニタは暗くなっていて、 桜森高校はもうどこにも映し出されていなかった。]
……
終わったんだ。
[そうだ。自分はこの光景を知っている。]
(41) steel 2023/04/30(Sun) 23時頃
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[去年は、申請した後にこんな身体的負担は無かったが、 桐野はやたらマシーンの中で待たされた。 …ほどなくして、廊下を隔てた別室から 絵里の叫び声がかすかに聞こえた。]
………
……サラは?
みんなは……大丈夫なのか?
[よろけながら、筐体の中から脱出して。]
(42) steel 2023/04/30(Sun) 23時頃
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なるほど。
ん、確かにそれは、辛い話だけど。
お前、頭いいけど、ちょっとわかってないな。
お前の親友が言いたいことは、
お前に殺してほしいってことじゃないよな。
[そう、呟くと、
残り無くなったカップを弄りつつ、
机に視線を落としてから、また、見上げる]
わかってんだろ。
殺してほしい、は、お前に、執着してるからだ。
だから、お前がすることは、殺すことじゃない。
辛いだろうけど、離れることだ。
そいつは、お前を見ると、辛いんだよ。
死にたくなるんだよ。だから、殺してくれって言ってる。
|
[脱出する時、マシーンの僅かな出っ張りに 運悪く靴紐が引っ掛かり、転げて落ちた。]
──、!!痛ってぇ!!!
[そこで、急に正気に返ったように 焦りが出て来た。
靴紐を直し、所定位置に置いた黒いリュックを取って 扉に手をかけた。 部屋のロックはもう外れている。]
(43) steel 2023/04/30(Sun) 23時頃
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お前が、罪悪感を抱いて、そいつに会いにいくから、
そいつは、お前を責めて、自分を追い込んでるんだと思う。
死にたい、なら、そばにいないとだけど、
殺してほしい、は、もう、側にいちゃいけない。
そいつは、死にたいわけじゃない。
ただ、ぶつけたい。誰かのせいにしたい。
ちょうどよく、お前がいるから、
それを言える。
でも、それじゃ解決にはならない。
お前さ、
そいつから何かを奪ってしまった、と思ってるなら、
それ以上、生命まで、奪うのは、
むしろ、逆なんじゃない?**
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────サラ!!!
[どこの個室なのか、分からないので 廊下に出てとにかく叫んだ。
申請は受理された。願いは叶った。
──リアルのサラに早く会いたい。]*
(44) steel 2023/04/30(Sun) 23時半頃
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―― 中央病院/208号室 ―― [次に目を覚ましたのは、最早自宅より見慣れた病室だった。 未だ奇妙な乖離感があって、ともすればこの世界をモニタ越しに見ている気さえする。]
「鷹羽君、非常に言い難いことだが、 君の足は――――」
[目の前の主治医の言葉に、傍らに控えた両親がワッと泣いて左足に取り縋る。 それすら物語の一幕のようで。 ぼうっと両手を見下ろし、そして窶れてしまった両親の震える肩に触れてみる。その体温で、漸く一枚膜が剥がれ落ちたよう。トク、と心臓が跳ねた。]
し、んぱい、いっぱいかけて、ごめ ――なさ、 おか ぁ さん おとー、さん
[謂れ無き中傷と悪意に晒された一人娘を守ろうと必死だった両親。 抱きしめ、噎び泣く、嗚咽の度にまた一つ。現実と虚構を隔てていた靄が次第に晴れていく。]
「二度検査し直したが、奇跡的に完治している」
[見舞い品の果物籠の隣には、クルーエル社のパンフレットと、深い菫色した灰簾石(タンザナイト)が置かれていた。]
(45) りしあ 2023/04/30(Sun) 23時半頃
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[最早歩行のリハビリはほとんど必要なくなった。 退院は一か月以内に。 それを機に、本格的にアメリカへ移住しよう、と両親は提案する。]
……ん、わかった。
[オフラインのままのスマホの待ち受けを眺める。 毎日消灯前の一時間だけ、病棟内のフリースポットでLINE接続ができていた。]
(46) りしあ 2023/04/30(Sun) 23時半頃
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[────こいつは。
いつだって、俺に響く言葉を、知っていた。]
………………。
…………。
………………それ、さあ。
[誰の話してんの、とは、声にならなかった。]
……………………。
[離れる。
手を離す。俺が? ──俺から。]
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―カプセル内ー
[>>#0 何度目かのチャイムはモニタ越しに聞いた。
勝利者が願いを伝える声。>>0>>1>>2 無慈悲な機械音に、>>#10 失敗した……? 思わず目を細めたが
>>#13 旧世紀のRPGを彷彿させる場違いなジングルと。]
……っ
[小指の先に走る痛みで、 願いが成されたことを知る。]
(47) yunamagi 2023/04/30(Sun) 23時半頃
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運、て、また随分曖昧な……、 でも、上手くいったんだね …………皆、お疲れ様。
[幾らかの運を失った玲に、今度アイスでも奢ろう なぜかそんな気分を抱きながら
安心したように微笑んで、再び目を閉じた。*]
(48) yunamagi 2023/04/30(Sun) 23時半頃
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ASIOS キリノは、メモを貼った。
steel 2023/04/30(Sun) 23時半頃
ニジノは、今日はやたらランダ神の機嫌がいい。むしろ今こそ鮫島と🏀対決すべきでは!?
りしあ 2023/04/30(Sun) 23時半頃
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[身体が急激に回復した反動か、もしくは、3時間もゲームの世界に居て、精神力と体力を消耗して衰弱していたからか。 酷く目眩がして、身体にも力が入らないけれど。]
[名を呼ぶ声>>44が聞こえた気がして、バランスを崩しながらも扉へ走る。]
――……ぁ、きり、の、さん。
[扉を開けて、少し遠く、見えた姿は先程までと少し違う。 服装も、身長も。そして少し、大人っぽく見えた。
先程までのVRの中の出来事は、関係は、ゲームの中でだけのとても幸せな夢で。 現実に持ち込んだら迷惑かもしれない、と。 急に弱気になってしまった私は、『玲』と呼ぶ事ができなかった。]
(49) doubt 2023/04/30(Sun) 23時半頃
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お前が離れたら、
多分、そいつは、お前を、詰るだろうし、恨むだろうけれど、
でも、それをなんとかするのは、お前の仕事じゃない。
離れれば、人は少しずつ忘れる。
そんなふうにできてる。
そんなふうにできてるんだ。**
ニジノは、キリノが微笑ましい>>-468
りしあ 2023/05/01(Mon) 00時頃
ヒイラギは、どこかに向けて手を振った
yunamagi 2023/05/01(Mon) 00時頃
ニジノは、ヒイラギのナルシストは1mmも間違っていなかった把握。
りしあ 2023/05/01(Mon) 00時頃
ラプター ニジノは、メモを貼った。
りしあ 2023/05/01(Mon) 00時頃
ラプター ニジノは、メモを貼った。
りしあ 2023/05/01(Mon) 00時頃
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[長い廊下を走りながら名前を呼んでいると、 少し先にある個室の扉が、 頼りなく小さく開くのが見えた。>>49 扉の隙間から僅かに覗いているのは。]
……!! ……サラ…っ
[今度は、探していた時の大声ではなく、 会いたかった相手を見つけたときの、 安堵混じりのような声になった。
駆け寄り個室の近くに行くと、 白いワンピースを着て、 幾分かVR内よりも色の白い、 少し弱々しい彼女の姿があった。]
(50) steel 2023/05/01(Mon) 00時半頃
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[──きりのさん、と、
聞き慣れたよりも少し細い声に呼ばれる。>>49
彼女は自分の足で立っていた。 病気は治ったのか、無事なのか、 色々なことが頭を掠めたけど。]
サラ……、
[何を言うか、決めていなくて。]
……あー、っと、初めまして、 …桐野玲、だよ。
[思わず自己紹介を始めた。 顔は同じだから、分かる筈ではあったが。]
(51) steel 2023/05/01(Mon) 00時半頃
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[サラの反応はどうだったか。 顔を見つめたら、思いが込み上げてきた。]
──、……会いたかった……
…リアルで、 やっと会えたね……。
……俺、約束破らないでしょ?
[そこまで言うと、 VR内でいつもそうしていたように微笑んで、 彼女に向かって両手を拡げた。]*
(52) steel 2023/05/01(Mon) 00時半頃
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ところで大和だいじょーぶ?
もう寝てるかな?
折角エピなんだから普通に話しにおいでよー。
ラプター ニジノは、メモを貼った。
りしあ 2023/05/01(Mon) 01時頃
ASIOS キリノは、メモを貼った。
steel 2023/05/01(Mon) 01時頃
ニジノは、そろそろねむみが…… キリノ[[who]]を抱き枕にして寝るぅ**
りしあ 2023/05/01(Mon) 01時頃
[ぬるく、しゃばしゃばになった珈琲を啜る。]
………………。
[言えば良かったんだろうか。
多分、俺は諦めていて。
痛かったこととか、傷付いたことを、本当は俺だって持っていた筈なのに。あいつを頑なにさせたのは、俺か。]
…………スマホ、
買わねえとなあ。
キリノは、そのランダムは危険なんだ…。ニジノ[[who]]の掛け布団を与えた
steel 2023/05/01(Mon) 01時頃
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[安堵混じりの声>>50、駆け寄ってきてくれて。]
[自己紹介>>51をしてくれたのには、なぜか、少し肩が跳ねた。]
ぁ、はい。 私、『沙羅』……双樹 沙羅です。 ……初めまして。
[とっさに、名前を呼べなかったのは、私の方。 初めましても、自己紹介も、初めて会ったのだから当たり前の事で。 その距離感を、寂しい、なんて思ったらいけないのに。]
[だけど。重なる視線。紡がれる言葉>>52に。 両手で口元を押さえると、目が潤み、ぼるぼろと、涙が零れて。]
(53) doubt 2023/05/01(Mon) 01時頃
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ニジノは、サラも巻き込めば無問題!
りしあ 2023/05/01(Mon) 01時頃
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――……ぁ、あ、きら!
[広げてくれた腕に飛び込……もうとしたけれど、直前で、なんか、止まってしまって。 俯いた。]
……うれしい、けど。 ――……はずかしぃ……。
[声も、どんどん小さくなっていってしまって。 ここが現実で、本物だって思うと、何だか、VRの中の時よりドキドキしてしまって。 両手で、真っ赤な顔を押さえた。*]
(54) doubt 2023/05/01(Mon) 01時頃
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