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さて……もしちゃんと式を挙げるとするなら、両親の了承が必要になる。
僕の両親は割りとそういう部分おおらかだからいい。 だが、康生の両親はどうだろうか……。
「コウ。僕、君のお父さんにきちんとご挨拶に行きたい。
君と僕が挙式を挙げるとしたら、それは戸籍上などの関係でなくとも必要なことだと思うんだ……」
“お父さん、息子さんをお嫁さんに下さい。必ず幸せにします。”僕は彼の父親にそう告げたが、反応はどうだったのだろう。
彼のウェディングドレスを選ぶなどのお楽しみはそれからだから……。
ちなみに僕は康生の女装が好きで好きでたまらないので、ラブホテルに行く度にメイド服やら魔法少女の衣裳やらを持参し、彼に着て貰っては濃厚プレイを楽しんでいる。
だから康生もウェディングドレスにもう抵抗はないと思われるが。
(69) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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僕は式を楽しみとし、大和や珊瑚とは四人のグループLINEで話題を弾ませた。
『珊瑚はどんなウェディングドレスにするの?』
『大和はさ、珊瑚をお姫様だっこして登場とかはどう?』
そこには幸せが溢れていた。 僕と康生にも、珊瑚と大和にも。*
(70) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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――数年後の僕らは――
[>>64ウェディングドレスはマーメイドスタイルのドレスを。 珊瑚と一緒の考えだったので嬉しくなる。 破顔した珊瑚は可愛いから可愛いねってキスしてしまうくらいに可愛い。 身体のラインを気にしているようだけれど数年前よりも胸も大きくなっているし日々運動しているから活動量は多いはず。 それにご飯も家庭的な料理が多いので太る要素はあまりない気がする。
ヴェールは思い出の品を被るらしい。 きっと珊瑚によく似合うだろうし何よりも透明ながら白いヴェールの下に隠れる碧の瞳は海の宝石のように綺麗だろうねって笑いながら伝えたい]
(71) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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うん、でもほら、礼服持ってるか聞かないとだし。 その辺りからかな。 良かったら誘うよ、ありがとうね。
[珊瑚の心遣いに感謝して誘う算段をつけていこう。 しかし友達ができるなんて随分と社交性がついたなと命自身苦笑してしまうことだった。 数年前では想像もできなかったことだ。 >>65飲み会こそ参加しないが同じ講義を受けたりしていると大学内で一緒に行動する人も多いし、大体工学部の中でも内向的な者が集まっている。 この場合の内向的というのは陽キャ陰キャとかではなく趣味趣向がという意味である。 逆に命は珊瑚の方が気になっている。 頑張って早く帰ってきてご飯を作ってくれるし、たまに飲み会があるときは迎えに行ったりしたので友達がいないなんてことはないだろうけれど自分のために交友関係を狭めるのは心苦しいものがあるって、お互いにそう思ってたって知ったら笑ってしまった。
多分、出会ったことがない人だらけだから挨拶も大変そうだ。 取り合えず連絡をつけていき着てくれる人に招待状を送った]
(72) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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[そして、当日――。
新郎新婦の準備室を先に出た命は全身白のタキシードを着ている。 マーメイドラインのドレスを身に纏った珊瑚はとても綺麗で素敵だったから朗らかに頬を緩めて素直にそう伝えたけれどそれはもう少し後らしい。 黒檀の婚約指輪は珊瑚と揃えて置いておく。 置き場所はいつもの場所に、奏でられるメロディの中で数年分の思い出と共に納めていく]
それじゃあ、待ってるね。
[命が待っているのはヴァージンロードの先へ。 司祭の待つ祭壇の前に待ち、ヴァージンロードをお義父さんにエスコートされて歩いてくる珊瑚を待っている。
お義父さんは既に涙がぼろぼろで折角の顔が台無しで。 すごく若いお義母さんはそれをどう見ているのかは――きっと参加してくれているだろうけれど、まあ横目に見るばかりにしておいた。
一歩一歩と近づいてくる。 やがて二人の距離が縮まって、お義父さんからなんとか珊瑚を預かり受けると、ふう、と一息ついた]
(73) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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珊瑚、とても綺麗だよ。
[にっこり笑って伝えよう。 丁度陽光の加減が良い時間帯でステンドグラスの様々な光が降り注ぐ中で、一段、一段と誓約の場に進む。 練習でも何度か聞いていた流れを踏襲しよう。 司祭の近いの言葉に――]
はい!
[と声を高らかに宣言しよう。
向かい合って微笑みながら珊瑚の左手を取る。 今日のために用意した銀の指輪を左手の薬指へと差し入れていき、はめ込むと微笑みの奥に溜め込んでいた緊張をゆるりと息を吐くことで抜いていく。 そして今度は自分の番だ。 左手を恭しく差し出して珊瑚の手指の動きを見つめていよう**]
(74) 2023/11/18(Sat) 15時半頃
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─乾恵一戦 コックピットにて─
[康生の推測>>49に、乾恵一も彼なりの見解>>54を述べた。途端に、康生の眉根が寄る。珍しい表情だ。]
……ねーと思うけど。 あの下が、マジでんなカッコした女の人みたいだったとして ケイが気ぃ取られたら、俺、何となくモヤッとするかも。
[雨竜春音と過ちを犯したくらいだから、乾恵一は性別に関係無く、相手を性的な目で見る事が出来る。私達の見解はどうしてもそうなるし、康生としてはそれが面白くないのだろう。何故面白くないのか、自覚までは出来ないにしろ。穏やかだった息子の中に、妻と似た嫉妬深さが垣間見えた気がする。私に頭は無いが、あれば抱えていた。康生お前、性格変わってないか?]
……ん。俺だって、愛してる。
[何気なく彼が付け足した「愛してる」で、一先ず康生の機嫌は直った。乾恵一が康生の事しか見てないのは(少なくとも私からすると)今更だが、康生までそれに応えだしたせいで、完全にバカップル状態だ。周囲が口を挟めないのは当然だろう。アストロの名前に話が及べば>>55>>56尚更だ。]
(75) 2023/11/18(Sat) 22時半頃
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や、十分ハズい……。 ってか、そんならケイの名前でもいいだろ!? ケイが思ってるより、ケイは好かれてんだからさ。
……ほんと、ケイって自分への好意に鈍いよな。 俺の好きとか愛してるも、中々信じてくんなかったし。
[照れ臭いのもあるのだろう、少し拗ねた様な口ぶりだ。今が拗ねてる場合ではないのは理解しているので、すぐに表情は引き締め直されたし、アストロが歩めば褒めたが。]
[康生の助言通り、彼はアストロの両腕を動かした>>57──が、何故か右腕を振り上げようとしてバランスを崩す。減衰されているとは言え、片膝を突いた衝撃にコックピットが揺れた>>58。]
っ、あ……!?
[不意の揺れ。左手は彼と繋いでいたし、脚はギプスで固められ曲げる事さえ儘ならない。咄嗟に伸ばした右手は届かず、派手な音を立てて点滴台が倒れた。引っ張られて床に投げ出されずに済んだのは、抱き留められたお陰ではあるが。結果として、点滴は倒れる勢いそのままに抜けてしまった。]
ああ。ケイが抱き留めてくれたから……。 それより、前見ろ前!
(76) 2023/11/18(Sat) 22時半頃
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[モニターに映る“敵”は、形状を変える>>59だけではなく、音楽まで流し始めた>>60>>61。入院生活の長い康生は音楽に親しめる境遇に無かったから、クラシックに詳しくはない。だが、私にはすぐに判った。]
この曲、どっかで聞いたことあるな……。 確か…………レヴァ、か?
[通しで一度見ただけでも、記憶に残っていたのだろう。レヴァは劇中曲として、幾つかのクラシック音楽を使用している。“主よ人の望みの喜びよ”も、その内の一曲だ。使われた場面を思えば、嫌な予感がした。あれは主人公が──]
ケイ? どうした……? 危ないって、誰か警告でも──……ケイ?
[最初は首を傾げ、次に誰かから戦闘についての警告が来たのかと思ったのだろう。熱で戦闘以外への注意が散漫になっていた自覚があるのか、康生は周囲を見回す。だが、コックピットに居る誰も、そうは言ってなかった。そもそも、そうであれば「誰?」という反応>>62がおかしい。]
(77) 2023/11/18(Sat) 22時半頃
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ッ、ケイ!? おい、しっかりしろ!! ケイ……恵一ッ!!
[ベッドから離れる彼>>63に、康生は手を伸ばす。だが、届かない。右脛もだが、砕かれた上に曲げ伸ばしが行われた左膝は、開放を伴う複雑骨折を起こしていた。康生の容態と更なる感染症を招く危険から、手術すら行えず、ギプスで完全に固定するという処置を取る他無かった。将来的に歩行能力を失う可能性より、命が優先された状態だ。つまり、全く足が動かせない。]
行くな……行かないでくれ! 傍に居るって言ったくせに、なんでそっち行くんだよ!! なあ、ケイ────あッ!! っ、う……!
[身を乗り出し過ぎたせいで、康生はベッドから転落する。痛みに息を詰め、顔を顰める。すぐに彼の方へと視線を向け直したが、乾恵一が振り向く事は無かった。**]
(78) 2023/11/18(Sat) 22時半頃
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──コックピット/僕の闘い──
康生が僕に嫉妬? ーーマ?
僕は一瞬耳を疑う。
えッ僕が女の子(※ロボットです)に興味を持つ(※武器や性能には興味がある)のが嫌?
焦った僕は慌てて言っただろう。
「そんな事あり得ないよ!! あのカーテン下の身体がどんなにナイスバディだろうと、コウに敵うはずがないじゃん!
考えてくれコウ、君の花嫁姿は三国一だった。あんなに可愛らしいウェディングドレスで僕を魅了しまくった癖に、あれ以上があると思う?
あり得ないな!!」
(79) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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そもそも相手はロボットだ。 女型でもせいぜい土偶だ。 そして痴話喧嘩をしている場合ではない。
だいたい、嫉妬という感情を彼に対して先に抱いたのは僕だ!
合宿にて彼が倒れた時、担架の上に寝そべる彼から僕は珊瑚へのお土産を預かった。
康生の性格を落ち着いて考えたら、友達から頼まれたら好意の深さに関係なくお土産を買うのは僕ですらわかることなのに。
あの事件がなければ僕は康生への恋心をしっかり自覚することはなかった。
嫉妬は度が過ぎれば困るものだ。だけど僕は、こんな僕に嫉妬してくれる彼が凄く可愛かったしーー嬉しかった。
(80) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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僕らはもう憚る事なく愛を語りあう。 場の空気を読んでいない自覚はあったが、もうすぐ死ぬのであれば、遠慮なんかしてる場合はない。
そういう意味では”行け、コウ大好きラブラブ号!”と高らかに叫びながら闘っても誰も気にしないのかもだが、照れる彼が可哀想だからやめておこう。
彼が指摘するように、僕は自身への好意に鈍感というか懐疑的だ。 それが彼を拗ねさせていたなんて思いもよらなかったから、 微笑んで彼の頭を撫でただろう。
正直もしこのアツアツぶりを敵パイロットが見ていたらドン引きして白旗を上げてもおかしくはない。 そんな勝ち方もありだったろうか。いや、ない。
(81) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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アストロが揺れた時、僕は彼が転ばぬよう支えるのには成功した。しかしこの時点滴が抜け落ちてしまう。 僕はそれに気を取られ、彼を心配する。戦闘より彼の方が大事だから。
彼の注意喚起がなければ音楽にすら気付かなかったかもしれない。
康生は曲を知っているようだ。
「レヴァ?ああ、アニメか。その劇中曲なの?」
僕はアニメにはさほど詳しくない。特にレヴァは話題になっているのは知っていたが見ていなかった。
僕が知っている範疇の知識は、少年がロボットに乗り闘う事。
そうだ、今僕らはロボットに乗っている。 アニメと同じーー?
しかし僕は脳内に聴こえた声に気を取られてしまった。
(82) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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聴こえる、見える。 僕は耳を澄まして目を閉じた。
嗚呼。あそこは僕の家だ、庭だ。どんぐり亭は今より真新しい。庭にはーー滑り台がある。
……声の主は母さんだ。 作業というのは、兄さんが滑り台を作ってくれた時の事。
あの時僕は滑り台の完成が待ちきれなくて兄にじゃれついた。
『痛いッ』
金槌を使っていた兄が悲鳴を上げる。指を怪我したのだ。
美しいピアノの旋律は、僕にじわじわ浸透していく。 隣で誰かが叫んでいても聴こえない。
忘れていた。そして僕は思い出した。小さな時は家にあったのに、今はないもの。
(83) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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「……ピアノ、だ。うちには大きなピアノがあったんだ。
小さな頃に兄さんが弾いていた。ピアニストになりたいって、言ってて……
いつか、そのピアノはなくなった。僕は忘れていたけどあれは、兄が指を怪我してピアノを辞めたから。
……僕のせいで怪我をしたから。」
ーーやっと思い出した? そう、貴方は匡の夢を奪ったのよ。 そしてそれを忘れ、のうのう生きてきた。
「兄さんは僕を責めなかったし、指を使わなくていい新しい趣味を始めた。それが天体観測だったんだ……。」
兄の指は動かなくなった訳ではない。ただピアノのように繊細な動きが必要とされるものは難しくなっただけ。
(84) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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「兄さんは優しかった。自分の夢を奪った僕にずっと。
僕を護り愛してくれた。 それなのに、僕はーー兄さんの恋人、を……」
自分のしでかした大きな罪。 それが消える事はない。
「あ、あ、ーーあああッ」
僕は叫んだ。肩を震わせ、頭を抱える。
「兄さん、ごめんなさい。 ごめんなさいごめんなさいごめんなさいッ
僕はやっぱり最低だ、最低の蛆虫だッ
他人を傷つけたり迷惑をかけることしか出来ないクズだッ」
音楽はどんどん大きくなる。
(85) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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頭が割れそうだ!
僕は見る余裕がないが、敵ロボットのカーテンがゆっくりと開いた。
確かにロボットは人型であった。しかも僕らの予想通り女性の身体をしている。胸に二つの膨らみ、腰は細くしまり、お尻が大きい。
ーーそうよ、貴方は最低なの。 だから私とお似合いなのよ、恵一くん。
また声だ、今度はさっきより若い。
「……せん、ぱい?」
ーー貴方みたいな無価値な人間が 誰かに愛されるわけないでしょ?
私も匡から愛されなかった。 貴方も同じ。 貴方が恋人だと思ってる人は、本当に貴方を好きなの?
(86) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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「コウは……コウは、僕を愛してるって、愛してる、って、……ちがう、の?違うの、か?」
言葉が消え入る。彼は僕にまだ語りかけているだろうか。
敵ロボットは両手を広げるようなポーズを取った。 その形状が変化する。 胸の膨らみ二つから無数の鋭いトゲが突き出たのだ。
いらっしゃい、恵一くん。 慰めあいましょ? さあ、私を抱いて……早く。 貴方の太いので貫いて……
(87) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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「……雨竜、先輩、……せん、ぱい……」
敵ロボットと雨竜先輩の裸体が重なる。 アストロが一歩踏み出した。 それが僕の意思だからだ。
僕は完全に精神を支配されている。このまま進めば死の抱擁が待っている。
僕を救えるのはたった一人しか、いない。*
(88) 2023/11/19(Sun) 00時頃
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─数年後の俺ら─
[うちの改築が済んで同居が終わっても、ケイは変わらず俺のこと大好きだったし、いっぱい抱かれた。あん時思った通り、抱かれんのが“いつものこと”になるくらいに。ホテルの常連になる頃>>67には、俺はすっかり感じやすくなっちまった。それで困ることもあるっちゃあるけど、嫌じゃない。もし俺がなんか嫌がったら、ケイはやめてくれるだろうし。]
[大学は離れたけど、ケイも俺も実家から通えるとこ選んだから、あんま変わってないと言えば変わってない。一人暮らしも考えたけど、ケイんち行きにくくなっちまうし、父さん母さんにも反対された。やっぱ、うちってちょい過保護じゃね?]
[最初は、ただ「まだ学生やりたいから」って理由で大学行ってたんだけどさ。通ってる内に、俺は「先生になりたい」って思うようになった。カガセンを始め、いい先生にいっぱい会ったのもあるし、学校生活自体に憧れもあった。ケイに勉強教えたりしてたのも、影響してる。俺の知ってること、誰かに伝えられんのって素敵だよなって思ったから。]
(89) 2023/11/19(Sun) 06時半頃
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[幸い、単位をちょっとやりくりすれば教員免許が取れるってことだったから、そっちは問題がなかったんだけど。一番困ったのは、俺の説明下手をどうにかしなきゃならないってことだった。ケイにいっぱい付き合ってもらって特訓して、今は人並み程度には説明できるようになった…と思う。多分。気ぃ抜くとすぐ、前みたいに色々すっ飛ばしちまうんだけどな。]
[そんな頃、珊瑚からW結婚式の提案>>30があった。前に、命と結婚式には行くって約束してたけど、W結婚式(ってかW披露宴?)なら互いに参列したことになる…のか? その辺がわからなかったけど、珊瑚は先に命に話通してるだろうし大丈夫か。]
[俺は形に拘る必要ないと思ってるし、法律上なんか変わるわけでもないから、結婚願望があるわけじゃない。特別なんかやらなくても、ケイが俺のこと一番に考えてくれてるってのはわかってるし。でも、ケイが結婚願望めちゃくちゃ強いのは知ってるし、「大人になってからしたい」って言ってんのも聞いた。今も、ドキドキした顔してる>>68し。そんで今、(内面は兎も角)俺らは年齢的に“大人”だ。]
(90) 2023/11/19(Sun) 06時半頃
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ちょうどいいじゃん。やろうぜ、結婚式。 俺ら、もう大人なんだしさ。
[いつもの感じで了承すると、ケイは真剣な顔で、父さん達に挨拶したいって言い出した>>69。できたら祝福されたいって思ってた俺は、喜んでOKした。]
[その日の夕食後に「ケイが結婚の挨拶したいって言ってんだけど、いつ空いてる?」って訊いたら、父さんは思いっきり噎せた。食後のコーヒーが変なとこに入ったらしい。咳き込むのが治まっても変な顔のままだったけど、日程はちゃんと擦り合わせてくれた。母さんは妙にテンションが上がってた。]
[父さんは最初、ケイの言葉>>69に「康生は私達夫婦の一人息子で、男だ。嫁にはやれない」って言った。それから、食い下がるケイに溜息を一つ吐くと「……恵一くんも私達の息子になりたいと言うなら、嫌とは言わないが」って続けた。]
[つまり、俺がケイの家に入る形じゃなくて、ケイが俺の家に入るって形なら認めてくれるって意味だ。ケイんちには匡先輩も居るしな。俺には好きな仕事してほしいけど、自分の事業を継がす相手もほしい父さんは、ケイに目を付けたらしかった。ケイが頷かない理由は多分無いから、そっからはトントン拍子だったはずだ。]
(91) 2023/11/19(Sun) 06時半頃
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[これは完全に余談だけど。産まれた俺が身体弱かったから、父さんはいろんな趣味を中断してた。俺が普通の生活送れるようになって、まず再開したのがプラモデル作り。そんで10年ぶりにアーマーなんとかの新作が出たのを切っ掛けに、ゲームも再開したらしい。ケイに「君はゲームをするのか?」って聞いてた。どうも、俺が父さんのオタクっぽい話にあんま付いてけねーから、ケイを話し相手にしようとしてるっぽい。顔にも口にも出さないけど、息子が増えたこと実は喜んでるだろ?って俺は思ってる。]
[この頃にはもう、俺は自分がウェディングドレス着ることになるんだろうなって思ってたし、ケイがリクエストして来たのは予想通りドレスだった。父さんは「バージンロードを歩く事になるとは……」って唸ってたけど、反対はしなかった。その代わり会社関係の人とかは呼ばずに、身内と俺らが呼んだ人達だけで挙げたいって希望した。立場とかあるもんな。]
『お姫様抱っこって、ドレスの形によっちゃムズいだろ』 『提案すんのはいいけど、命と珊瑚にもプランあんだから』
[そんな風にLINE>>70でケイを宥めつつ、俺もその日が楽しみでワクワクしてた。*]
(92) 2023/11/19(Sun) 06時半頃
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─乾恵一戦 コックピットにて─
[乾恵一の必死の弁解>>79、そして頭を撫でられた>>81事により、康生は照れ臭そうに笑いつつ機嫌を直した。熱っぽいのもあり、恋する乙女の様な可愛らしさ>>80ではあっただろう。色々と突っ込みたくはあるが。]
[康生は、彼が自分へ向ける嫉妬自体には気付いている>>0:170。つまり、嫉妬の定義は理解していた。ただ、自分が抱いた感情>>75が嫉妬だという自覚は、まだ無いのかも知れない。]
ああ。確か、急に実写になったとこで流れてたと思う。 向こうがレヴァファンってこともないと思うけど……。
[そんな康生の返答は、もう彼の耳に届いていなかった>>82。地面に転がった状態だから、彼の踵くらいしか見えない。康生は見上げようとしたが、体勢が良くないのか、後頭部から首筋に掛けて強く痛みが走った。彼の様子を確認するのは断念し、匍匐前進で近付くと左手を伸ばす。彼が立ち止まるなら、足首を掴んだだろう。]
[その間、彼は過去の出来事を述懐していた>>84>>85。そして“先輩”を呼ぶと、あろう事か康生の気持ちを疑い始めた>>86。高熱に朦朧としながら、それでも彼へと手を伸ばす康生を見もせずに。]
(93) 2023/11/19(Sun) 08時半頃
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「僕のせいで」って、なんだよそれ……。 傷つけたり、迷惑をかける? ……匡先輩、死なねえだろ。
俺なんて、殺すことしかできねーよ。 七尾だって、命だって────ケイだって。本郷だって。 追加でパイロットになる人も、父さんも、みんな。 ……ケイが蛆虫なら、俺なんて蛆虫の餌同然だっての。
[は、と自嘲の笑みが零れた。天道縁士の名が漏れているが、これは無意識だろう。彼の真意を確かめる間も無く今に至ってるから、彼は康生の中で“自分が死なせてしまう相手”に含まれていないのだ。少なくとも、この時点では。]
──……でもさ、ケイは俺を「好きだ」って言ったじゃん。 「愛してる」って、何度も……何度も言ってくれたじゃん。
それなのに……匡先輩や、雨竜先輩んとこ行くのかよ。 いっぱいくれた言葉も……全部、嘘なのかよ。 一つになれたって思ったの、俺だけ……?
[声は震え、途切れがちになっていく。床しか映っていない視界が歪み、ぽたりと雫が落ちた。]
(94) 2023/11/19(Sun) 08時半頃
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っ……やっぱ、なに願ったって、叶わない>>6んだな。 気持ち、疑われて…………き、傷付いてばっかだ、俺。 もう、これ以上やれるものなんて……なんも、ねー…のに。
[足首を掴んでいた手から、力が抜ける。滲んだ視界は閉ざされ、そのまま動かなくなった。]
[鉛の心臓すら持たない幸福の王子が、全てを分け与えてしまったのなら。其処から救われる方法なんて、果たして有るのだろうか。**]
(95) 2023/11/19(Sun) 08時半頃
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青い星 地球は、メモを貼った。
2023/11/19(Sun) 10時頃
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──コックピット/僕の闘い──
僕が正気であったなら。
点滴が外れ床に倒れた康生をそのままになんかしなかったろう。
だが今や僕の精神は完全に蝕まれていた。
清らかな音楽に耳を犯され、思考を奪われて。 懐かしい光景を見せられて。
だが、母の言葉はありもしないものだ。
(96) 2023/11/19(Sun) 11時半頃
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確かに兄は怪我をした。それは事実。そしてピアノを辞めたのも指が理由だ。
だがそれで僕を責めるような母ではない。幼い僕が兄にじゃれついてしまったのは仕方ない事で事故でしかない。
むしろ兄も両親も、僕に自責の念を抱かせぬ為に必死に隠してきたぐらいだ。
つまり僕は脳内に偽りの声を聴いた。ただし、外部からその声が実際に送り込まれた訳ではないだろう。何故なら、母の台詞を捏造するには僕の過去を正確に把握する必要があり、そんなのは外部の人間には不可能だから。
僕は起きた事実は把握していたから、母の声の内容は恐らく、僕の深層心理が産み出したものなのだ。
人は勝手に他人がこう思っているんじゃないか、を産み出し思い込むのが得意であるから。
(97) 2023/11/19(Sun) 11時半頃
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