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[竿の方を、ゆっくりしごかれているだけだというのに。
頭がびりびりして、思考が『気持ちいい』に満たされて、溺れしまいそうになる。
快楽に身をよじらせ、そのうち縋るものが欲しくなると。
君の肩口に凭れかかり、体重を預けたでしょう。
中途半端に乱れたベルトが、本来の用途を発揮する訳もなく。
ただ私の太腿を飾るだけのものへと、成り下がってしまい。
私が身を震わせる度に。
留め具の部分がベットの布地に擦れ、微かな金属音を鳴らしたような気がしました。]
[耳元で熱い吐息を震わせ。
特に腰を跳ねさせながら、君から与えられるものを受け入れ続けます。
体重を預けるだけじゃ足りなくなると、両腕を肩に巻きつけるようにして君の身体を抱きしめたでしょう。]
··········ぁっ。
[我慢できずに漏れでた嬌声。
それを狙ったのか。
僅かに開いた口から捩じ込まれた君の舌が、私の口内を弄ぶ。]
[···息が苦しくなって頭がぼぅっとする。]
[呼吸を求めて、また君へ口付けを求めて、そしてまた呼吸を。
そうして、唾液が混ざり合い。
どちらのものか分からなくなった透明な液体は、
私の喉を通って、胃の中へと落ちてゆく。]
[······甘い。
そんな感覚がしたのは、きっと気のせいでしょう。]**
そうよ。詳しいのね?
灰占ってあまりメジャーでは無いからね……炉に残った燃え残りの灰を掻いて、その模様から吉凶を見るの。
貸していただけるなら、是非。
[方式を混ぜて使う事はしないが、占いの方法が増えればそれだけで楽しいから。実質趣味の教養に近い。
主人の知人からも知恵を貸して貰えそうなので、そちらとも今度、話をしようと思った。]
そんな前のめりにならなくても、占いは逃げないわよ……
灰占は……今日はちょっと難しいかしら。燃やすモノが無いしね。
手軽に実践できるやつ……人相占いにしましょうか。
[好奇心旺盛に飛びつく姿は、見慣れたものではあるが。迷わず人の寝具の上に座られると流石に困惑してしまう。……特にそういう意図はない、と唱えながら。簡単に見れるものという事で、人相占いをする事にした。
……「他にも色々あっただろうに何故それにした」と、この時の己自身に野次を飛ばしたい。]
じゃあ少し失礼して……
[ベッドに座った彼女の顔に向き合う。その貌をよく見て、触れる。骨格から、パーツの位置までじっくりと。
……当人は野暮ったいと言われがちだとは言うが、こうして見ると中々に整った顔立ちである。華やかではないが、素朴で、純粋そうで。眼鏡に印象が持っていかれてしまいがちだが、大きい目からは力強さも感じられて。]
……良い貌ね、生命力を感じる。目の周りが特に……人に好かれる形だわ。黒目と白目のバランスもいい。
それから、唇も。意外とふっくらとしているのね……愛情を注ぐのも、注がれるのも、上手なかたち。
[指先が彼女の唇をなぞり、その形を覚えようとした刹那。
…………衝動的に、己の唇をそこに重ねていた。]*
面白そうだな、って興味。あったから。
残りの灰を掻いた模様で?色々な法則がありそう。
絶対同じ模様が出る、ってわけでもないだろうし。
じゃあ、話してみるわ。
多分快く貸してくれると思う。
[何せ、私や友人にも隙あらば占術を極めてみないかと
勧誘してくる人物なのだから。
機関の魔術師見習いは割合癖の強い者が多い。
――私含めて。
そして、他者の魔術に対して興味津々な者も多い。
私は、特に。
なので前のめりになる私への窘めにも、
反省はしつつ仕方のないことだと主張したい。
確かに。
レポートの書き損じのものとか、
取っておくべきだったかしら。
人相占い!面白そうね。
私、一体どんな結果が出るのかしら。
[金欠とか言われたらどうしよう。
いや、それより勉学に難ありとか言われたら。
まあ、東洋の端の諺に、当たるも八卦というのがあるらしいので
その金言を信じてしまおう。と内心の言い訳。
良い結果が出ますようにと、じっと彼を見つめる。
期待と、高揚と。
水晶占いを初めて見た時のように。]
[そして爆速で後悔していた。
――顔がいい!
そう、顔がいいのだ。それがとても近くにあるのだ。
あまつさえ、形よく美しい指が振れるのだ。
頬の輪郭、否。骨格をなぞる様に。
或いは、眦や瞼の様子などを知る様に。
顔がいい。
声もいい。
つまりはとても間近に、私は美の極を見ているようなものだ。
思わずはわわ、と真っ赤になってしまう。
緊張が襲ってきた。羞恥も襲ってきた。
結果は、占い結果があまり頭に入ってこない、それに尽きる。]
[慈しむようになのか、或いは確かめるようになのか。
なぞるように、弧を描くようにして指先がかすめる唇
――離れた、と。思ったら。
指ではない感触が。
もっと近い距離で、貴方の瞳が私を、見ていた。
声を出すことすら、忘れ。彼を見る。*]
[私が自分のより冷たい肌の質感を、楽しんでいる時
坊ちゃんは止めてと言いたげな声を出していたみたい
ベルトに一目やって]
いいのよ、無理に脱がなくても。
付けたままでも……なんだか。
[坊ちゃんの白い肌に巻きついてるのが、扇情的に見えて。
含み笑いをして「興奮する」って教えてあげた。]
[肩ら辺に抱きつかれて、少し身体を震わせる。
不意に触られたのを、昂っている神経が敏感に
拾い上げたのか、坊ちゃんが少し冷たく感じたのか
きっとそのどちらも。
でも……今日の坊ちゃんのお体全体は
いつもよりもっと暖かい気がする。……気のせい?]
[布擦れの音や金属の少し動くようなのや……
あなたの熱の篭った声を聴きながら。
1番耳に入ってくるのは口内でつくられる水音。
何度も何度も舌を絡めて。彼の口の中をたっぷり味わって
口を遠ざけた時に、つうと糸が伝うのが好き。
架け橋みたいで綺麗だと思うの。]
ふふ、坊ちゃん。私にこういうことされるの、
好き……?
[ふぅと1度、坊ちゃんのを触っていたのを離して
口の銀糸を拭ってから。]
私は坊ちゃんのお身体触るの、
大好き……。いっぱい、可愛いのが見られるから。
[ぐりぐりと掌で先っぽをいじめていたのをやめて
手の全体で先も包み込んで。竿の方と同じように上下に。
力加減を弱めたり、強めたりしながら動かす……
精を吐くのを促すみたいに。]
何時でもいっていいからね……?
[なんて言葉も息を整えていそうなあなたの耳元に添えて。]
私の手を、あなたのでよごしてほしいの……。**
[夜道を滑る馬車は、やがて聳える邸宅の敷地へと。
分厚い門扉が、下男の手で押し開かれる。
庭先では、花々が見頃を迎え始める季節だが、
夜更けの今は、月下に朧な輪郭が見えるばかり。
ただ、門扉に括り付けられた灯りに、
枝垂れるウィステリアが照らし出された。
馬車を降りると、玄関から繋がる
天井の高いホールを抜ける。
進む足音は、敷かれた絨毯が吸い込んだ。
マントルピースの暖炉の上、先代の父と母が
佇む肖像画を、シャンデリアが柔らかく照らす。]
[さて、ジャーディンを何処に通そうかと考える。
客人を招いて晩餐会も開くダイニングルーム。
居心地の良い応接間。異国の本を並べた書斎。
自室に通しても良かったが、連れ帰ったばかりの
彼には刺激が強そうだ。]
まずは、食事ね…、
そういえば、パルテールではどうしていたの?
他のドール達と一緒に?
[控えるメイドに、軽食の用意を申し付ける。
もてなしをすれば、彼にまた恐縮されかねないと踏んで、
パンと温かなスウプと、コールドミート程度を。
自身には、チーズとフルーツ、それにワインを。]
[お互いに、目は開いたままで。視線同士が交差する。
はっと我にかえり、すぐに離れる。
俺は何をしているんだ?]
…………あ、その。ゴメン。綺麗なかたちしてたから、つい…………
[多分それだけでは無いのだ、衝動的に及んでしまった理由は。
ずっと、心の奥底に仕舞い込んでいた本能が、理性を食い破ろうとうごめいている。
……軽い接触程度なら、ときおり店でする事はあれど。性的な意図を載せた触れ合いは一切彼女とはしなかった。望まれていないから、自分はドールだから、という理由でどうにか覆い隠して。]
…………もう一回、する?*
[ジャーディンを伴ったのは、大窓が庭に面する
開放的なパーラー。
今は、窓枠が夜暗の漆黒を切り取る。
時折お茶会を催すガラスのテーブルと椅子が
置かれている。
ダイニングのそれよりは、ずっと小振りの設え。
カコが庭を眺めて、お茶を飲むこともよくある場所だ。]
どうぞ座って。
食事の間に、差し当たっての着替えや
身の回りのものは、部屋に用意させるわ。
[引かれた椅子に座り、ジャーディンにも向かいの
席に着くよう促す。
直に軽食の準備は整った。]
[ジャーディンのグラスには葡萄ジュース。
カコのグラスには、赤ワインが注がれる。]
ようこそ、ジャーディン。
[彼の方へと軽くグラスを掲げ、
葡萄の馥郁とした香を薫る。
一口含んでから、彼にも食事を勧め、
フルーツを摘み始める。]
明日は、執事長とメイド長に会ってもらって、
近いうちに園丁にも。
与えられた仕事をこなすうち、
自ずと得手不得手も知れるでしょう。
好きなことや、新たな興味も
出てくるかも知れない。
けれど先ずは、何よりも。
私と、それにこの家で暮らすことにも
慣れて頂戴。
ここが、貴方の終の棲家。
───ここで生きて、ここで死になさい。
ジャーディン。
[言葉の傲慢さに反して、声音は柔い。
彼が選べないというのなら、選ぶまで。
一度己を選ぶと言わせた以上、
もう躊躇いはなかった。]**
[綺麗な顔が、離れていく。
視線は絡み合ったままで。多分、私は茫然として。
そのまま顔を真っ赤にしている、ことだろう。
「つい」
だと、彼は言う。
麦穂の、くすむ金色の髪で
赤縁の野暮ったい眼鏡の子でも
唇が綺麗な形なら。触れたくなるの?
――ことばがきっと足りない、あなたと、わたし。
でも、1つだけ。]
煙さんは、したいの?
[尋ねると同時に、手を伸ばす。
貴方の頬には触れられたかしら。
触れられたなら、頬から唇の方へと指を動かして。
上弦の月のように弧を描こうか。
ああ、確かにそうね。
綺麗なかたちをしていたら。触れたくなる。
”選ぶ”の、ならば。]
私はそうね。してみたいわ。*
……………あのねえ…………
ちょっとは躊躇しなさいな、口調がこれだから忘れてるかもしれないけれど。
……「俺」は男だよ?
[先程問うたのは己の方だと言うのに、この言い種である。ある種の最終通告に近い。
――蠱惑的な笑みを浮かべられて、ぞくりとしたのだ。普段はすぐに引っ込んじゃうくせして、そんな顔も出来ちゃうのか。本当に、この子は。
人の気も知らないで。]
……したくないのなら、
お誘いなんてしないでしょ。
了承は取ったから、ね。
[己へと触れた手に、自身の手を重ねて握り。
再び口付ける。今度は重ねるだけのものではなく、より相手を求めるように。舌先で唇を突き、隙間から忍び込ませる。「逃げちゃ駄目」と言い聞かせるよう、唾液を絡ませて、深く深く。]*
[夜道を馬車で進むのは初めてのことではないが
思い出はどれも憂鬱だった。
今も不安が無いわけではなく、夜闇に刺激されてか
ジャーディンは重い気分になっていた。
やがて屋敷へとたどり着けば
灯に照らされたウィステリアに迎えられ、
馬車を降りて入った邸内は
絨毯のおかげで靴音が響かない。
暖炉の上に飾られた夫婦らしき肖像画は
恐らく彼女の両親であろうと当たりをつけた]
食事は、はい、ドールたちは皆一緒に。
自分たちで作ることがほとんどでした。
材料はオーナーが用意してくれました。
[料理ができない者は互いに教え合うか
オーナーに教えてもらうか、
あるいは作る以外の仕事をするか。
質素なメニューを用意してもらえば安堵して、
彼女の後をついてパーラーへとたどり着く]
あの……カコ様と一緒のテーブルで……?
[案内してもらった席は彼女と一緒のようだ。
そのことに戸惑って問いかける。
呼びかけは彼女の返答通り、今までと同じだ。
主人との同席がこの屋敷のルールだというなら
従う以外にないが、ジャーディンにとっては
あまりにも慣れないことであった。
グラスに葡萄ジュースが注がれたのには気付いても
彼女に応じるようにグラスを掲げる知識はなかった]
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