31 私を■したあなたたちへ
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「こんな嵩張るモノ持ってちゃ、 観覧車よじ上るのも一苦労だよね……うぅん。」
モナリザのディスプレイに表示されたデジタル時計は、既に日付が変わっていることを伝えている。救援はいつ頃来るのだろう。それまでに決めなければ。自分の居場所を。
「るくあ、好きだよ、好きだ――。」
星空を見上げながら心で慟哭する。カウントは728回を刻んでいた。**
(208) りしあ 2023/11/26(Sun) 00時半頃
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(キラ様へ個別送信)
「 本当のことを教えて下さって、ありがとうございます。
彼女にも、あなたにも、どうしようも出来ない
事情があったのだろうと推察します。
煙崎さんと個人的なつながりがあったことですら
先日知ったばかりの私からでは、
何をお伝えすることもできないですし
あなたを責めるつもりもありません 」
(灰羅さんに個別送信)
「 おはようございます。
昨日は、お疲れさまでした。
ロビーに降りて、窓際の席で何か飲んでいますね。
ゆっくりしていますので、いつでも大丈夫です。
灰羅さんのご都合の良いときに、会いましょう 」
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――深夜/中央カフェ――
最後の晩餐がギャラクシードリンクなのはさすがに御免被りたい。深夜まで遊び歩く中、さすがに空腹を覚えてカフェの隅っこで一息。 子供が喜びそうな見た目の拘りメニューがずらりと並ぶ。彩り豊かなオムライス・プラネット(>>2:17)を注文してみたけれど、三色のオムライスの味の違いが分からない、残念な結果になってしまった。
「不味さだけ分かるのって、 苦行以外のナニモノでもない……。」
口元を汚す無味のチーズソースを舐め取って。存外柔らかかった他人のくちびるの感触なぞを思い出す。混乱は未だ晴れず、黒髪をガシガシ掻いてから、テーブルに突っ伏した。
「仮眠とる。誰か来るか、3時間経ったら起こして。」
モナリザに見守られながら、起きたら関節の痛み必至な姿勢で、夢のない眠りへ落ちていく。**
(254) りしあ 2023/11/26(Sun) 14時半頃
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――中央カフェ――
「ん……? ふぁーあ……ねむいな……寝てていい?」
ピピピッ、――ピピピッ、 微かなアラーム音。
目を擦りながら大きく両手を天に突き上げる。無理な体勢で寝たから、予想通り全身がゴキゴキ軋みをあげていた。半覚醒の頭で、アラーム発信源のモナリザを見て、おふぁよぅ、と欠伸を一つ。 窓から見える空は薄らと明るい。そこで漸く、寝入る前にはなかった、机上の封筒(>>275)に気が付いた。預かりものをしかと届けたと、胸を張る代わりディスプレイを明滅させるモナリザに、うん、と目を眇め頷く。
「誰か来たら起こして、って言ったのに。 寝言で変なこと言ってなかったかな……あ、卯木さんか。」
ころん、と落ちてくる硬貨。便箋を読んでも、それが何なのか理解するのに数分を要した。頭を抱えて呻く。
(334) りしあ 2023/11/27(Mon) 10時半頃
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「これ、マジで言ってる……? あんな短期間行ってただけで、客の顔を、 僕のことを覚えてるなんて……。
マスターってそんな記憶力あるの? あの時は変装だってしてたのに。 もしや卯木さん、本業は探偵かナニか??」
封筒ごとパーカーのポケットに捻じ込む。しがらみが、また増えてしまった。誰の記憶にも残らない、取るに足りない存在に自らを貶めたいのに。
「世界にはお人好しが多過ぎる……。」
朝食代わりに、太陽に見立てたブラッドオレンジが飾られたスムージーを飲み干して。モナリザを従えて、「次はどこ行こうか。」とエアるくあに問いかける。マップに表示される、未体験のアトラクションは、後8つ。**
(335) りしあ 2023/11/27(Mon) 10時半頃
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(密星へ個別送信)
密星さん、丁寧にありがとうございます。
灰羅さんともお話しました。
今後の身の振り方は考えるところがありますが…
るくあさんと個人的交流があった先生に、
そのようなお言葉をいただけて救われます。
一生をかけて向き合っていくつもりです。
(灰羅へ個別送信)
雛子ちゃんと色々話したのですが、
彼女の境遇を聞いて(とはいえ詳細は分かっておりません)
僕の元に引き取ることにしました。
家出人受け容れる事もよくある世界ですので
細かいことは問題ないのですが、
帰還してから僕が刑務所に入った場合には
出てくるまで、懇意にしている役者に預けようと思います。
いずれにしても彼女のことは僕がすべて引き受けます。
必要あるか分かりませんが連絡先を記します。
中村屋一門 中村綺羅之介
×××-× ×-××
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――三日目――
カフェの片隅のカプセルトイを、景気付けに5回ほど回してみた。最後に、シークレットがくる予感はビンビンしていたけれど、結果はやたらと毛足の長い太陽。う〜ん残念無念。
「キミは僕の太陽だ――なんて思ってたけど。 るくあのイメージはやっぱり星かな。 でも、空に輝くあの小さな光も、 実際は恒星なんだから太陽も同じ、かも。」
ボールチェーンの先、眼前で赤い毛玉を揺らしながら、口角を歪めて苦笑する。
(346) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時頃
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まず足の向いた先は、『星の夢』と掲げられた貸衣裳館。キャンディの衣装に勝るとも劣らない、そこはかとなく宇宙的なコスプレ衣装がずらりと並んでいる。試しに手に取ったのは、耳にタグのついた白鼠の着ぐるみだった。人間サイズだと、かなり巨大な鼠になってしまう。
「実験動物的なヤツかな。早々に投棄されそう……。 この遊園地のマスコット的存在なら、 モナリザで十分だよね。 るくあは、こっちなんてどう?」
一見すると、手術に臨む医者のような白衣とマスク。だがセットに、顕微鏡のレンズが複数くっついたようなゴツいゴーグルが付属している。さながら、怪しい人体実験でもしてそうな科学者のコスプレ。
(347) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時頃
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「女医さんやナースもいいけど、 もうちょっと宇宙風味足さないと 園内で浮いちゃうかなァ。
こっちの、金属の全身覆うみたいのも、 神秘的で恰好いいね。 どうせなら、僕が衣装に似合うメイクとか してあげたのに……いくらでも……。」
一通り、あれこれと見回ったけれど、そもそもキャンディの姿がコスプレのようなものだ。今は中学生の頃の気持ちで、るくあとのデートを妄想しているのだから、担当のモナリザに頭を下げて、モブスタイルのまま建物を*出て行く。*
(348) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時頃
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プラネタリウムで星を鑑賞したり、遊覧船に揺られたり。 のんびりと満喫していたら、結局は全部乗りきらないままに、その時はやってくる。
救援の船が到着する頃。地味な青年の姿は桟橋になく、尚回り続ける観覧車の下に。
「きっとあの天辺が、この島で一番宇宙(そら)に近いね。
――楽しかったよ、るくあ。 きっと、キミが一緒に遊びたいと思っていたみんなも、 楽しんでいたと思う。
でも、もうじきに、夢は醒めるんだ。
キミの居ない、灰色の現実に、かえる時間だから。」
眩い陽射しに手を翳しながら、一心に円周上の最高地点を、様々な絵の描かれたゴンドラが過ぎていくのを眺めて。覚悟を決めたように、固唾を*飲んだ。*
(349) りしあ 2023/11/27(Mon) 13時半頃
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(中村へ個別送信)
『 雛子から、アンタの付き人になるという
連絡なら来たよ。
俺はあの子の保護者じゃないが、
あの子のことは妹みたいな存在だ。
俺からいえるのは、
泣かせるようなことはしないで欲しい。
それだけだ。よろしく頼む。 』
(一斉送信)
『ボクはるくあとずっと一緒に居たいから、
ここに残るよ。
キミたちは気にせず、日常に戻って。』
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――観覧車――
遺書にも満たない短い文を、『アポロ』に打ち込んで送信して。デバイズを外すと、最後まで付き合ってくれたモナリザの首にかけた。ついでのように、権利書一式も押し付ける。
「桟橋に行って。何なら救援の船に乗せて貰うといい。」
ポンポン、と優しく頭を撫でてやると、モナリザは聞いたことのないピルピルした電子音を発した。そのままじっと、岩のようにその場を動かない。島から出られないよう、プログラムに組み込まれているのだろうか。 離れ難さに2つほどゴンドラを見送ったけれど、意を決して空に溶ける青い地球色のゴンドラに向かう。開いた扉の隙間に手と足をかけ、ゴンドラ本体の上に飛び乗った。
(390) りしあ 2023/11/27(Mon) 22時半頃
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「――行ってったら。」
どんどん小さく遠ざかっていく、此方を見上げるモナリザの姿。緩慢に見える回転速度も、風を切るゴンドラの天井に座れば、結構早いのだと体感する。太陽に灼かれたゴンドラの表面は熱く、お尻が焦げそうだ。 バイバイ、と手を振っても、追い払う仕種をしても、眼下のモナリザは去ってくれなかった。困った子だ、と呆れた失笑。緊急停止でもされたら、自力でゴンドラを攀じ登るらなければ、未だ高度が足りない。
「…………夢みたいなひとときだったね。」
風に煽られる短い髪を抑えながら、隔てるものなしに足元に展開するギャラクシー・ランドの全景を収め、うっとりと呟いた。*
(391) りしあ 2023/11/27(Mon) 22時半頃
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時折風に揺れ、軸の繋ぎ目でガタンと傾ぎ、曲面に座った身体はバランスを崩しそうになる。その度に冷やりとしながら、爪を立ててしがみ付いて、体勢を立て直して。本能的に四肢は震えてくるけれど、胸中は次第に解放感と清々しさが充ちてくる。味覚と同じように、恐怖心すら次第に麻痺してしまうのだ。
死への畏れを凌駕するそれは、ただの脳内麻薬の作用に過ぎない。愛と錯覚するには、狂い過ぎている。
予行演習は終えていた。窓から落とした向日葵のコームのように、自分もまた誰にも見つからず、掃除ロボットの手だけ少し煩わせてしまうだけ。 弧の軌道が天に差し掛かる。上昇は緩まったから、作業のようにゆっくりと確認しながら。一本一本指をゴンドラから剥がし、腰を上げ、不安定な足場に二本の足で、まるで初めて立ち上がった赤子のように。
(404) りしあ 2023/11/28(Tue) 00時半頃
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世界が あお で埋め尽くされる。
るくあの居ない世界の色。
あおが沁みて眼球を覆う水分が、粒になって散っていく。
(405) りしあ 2023/11/28(Tue) 00時半頃
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蒼穹の果てに、あるはずのない星を一つ、見つけた気がした。 その輝きを手中に掴もうと腕を伸ばす。上体が泳ぐ。何の変哲もないスニーカーの足が、トントンと踏鞴を踏む音。
「――――――――っ」
吸わずとも肺に飛び込んでくるほど、風が強い。悲鳴も出せない。
人は高所から落下する時、途中で失神すると謂う。 けれどそれより更に高みから、スカイダイビングなら地表まで意識はハッキリしていると。
落下速度のせいなら、自分は前者だろうか。
ただ、放り出された空はどこまでも広くて広くて高くて優しい。
その青空の抱擁に委ねる刹那は、 自由と存在と実感が、 ちっぽけな命とともに、確かにあった。*
(406) りしあ 2023/11/28(Tue) 00時半頃
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――9月XX日/カモメ荘108号室――
ピピピッ、――ピピピッ、 耳慣れたアラーム音。
頭が割れるように痛くて、ガンガンコンクリ壁にぶつけられてるよう。歪む視界は完全に宿酔のそれで、天井と自分の間に割り込む音の発信源の白いロボットを胡乱げに見上げた。
「…………っつつ、……またイけなかった?
やっぱり市販薬程度じゃ、どれだけ混ぜてもダメかぁ。 ―――― っう゛ぅぅ、ぇえ゛、」
敷きっぱなしの薄汚れた布団から、苦労して身を起こす。途端に頭痛が酷くなって、ユニットバスまで這って行った。 ギリギリ間に合って、迫り上がってくる胃液や何やを、床にぶちまけずに済んだ。洗面台に凭れながら嘔吐する。 曇った鏡には、幽鬼のように痩せこけて尚薄い顔立ちの青年が、窪んだ眼窩に虚ろなまなこを置いて、佇んでいた。傍らに、タオルを差し出す白い機体を*伴って。*
(409) りしあ 2023/11/28(Tue) 01時頃
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――9月XX日/カモメ荘108号室――
島を訪れたあの日から、キャンディ🌟チャンネルに新着動画が投稿されることはなかった。配信用のウィッグも衣装も化粧道具も、今は一切破棄して室内は簡素なモノトーン。ブロック型の栄養補助食品と爪とを交互に齧りながら、デスク上のモニタに映っているのは動画編集ソフトでなく、裏掲示板の書き込みだった。
「心臓麻痺に誤診される毒物ってどれかなァ。 できればるくあと同じのがいいけど、 キラ様に訊くわけにもいかないし……。 2度も幇助させたら駄目だよね。
……うぅん、どれも高い……。」
三つほど約束を取り付けてから、ネットバンクで支払いを済ませる。全ては画面越しで実感に乏しく、あの遊園地での出来事もまるで夢のように遠く記憶の底に霞む。現実は、灰色の水槽を搖蕩うようで、その乖離感を越えるのは痛覚だけになっていた。
(461) りしあ 2023/11/28(Tue) 12時頃
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「早くしないと、――もう随分キミを見ていないから、
好きなのに、大好きなのに、――だったのに、 忘れてしまう。顔も声も思い出せなくなってしまう。
……だから、はやく、し ないと、……」
半分以上赤黒く染まってしまったミサンガごと、左腕の蚯蚓腫れを掻き毟る。圧し掛かる不安に、眩しい彼女の笑顔を必至で思い出そうとするのに。いつしか柔和な表情は、よく似た坂理の風貌と重なって、脳内のるくあを上書いていく。だからモナリザのカウントは、5桁に入る前に停滞してしまっていた。
甘い毒の染入る感触をなぞるように、罅割れたくちびるを指先でなぞる。
(462) りしあ 2023/11/28(Tue) 12時頃
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準備も計画も整って、後は実行を待つばかり。ラップトップとモナリザをコネクタで繋いで、遊園地の管理とは異なるプログラムを流し込む。
「キミったら、銀島の外の地図すら組み込まれてない 超カスタマイズ仕様だもんなァ。 色々調教するの苦労したけど、 最新にアップデートしておいたから、暫くは大丈夫。
死亡届けも火葬予約もオンラインで仕込んだから、 後は大家さんを呼ぶのと、兎坂庵にお使いね。 何ならそこでまた、給仕の仕事するのもいいんじゃない。 ……和風の店構えと、やっぱりぜんっぜん合わないけど。ふふ。」
遺書はなく、全ての指示はモナリザへ。
巡り巡ってきた銀島の権利書と。 自分だけ異なる苗字の同居家族を疎んじて、十八歳で分籍した『宗美ワ』と書かれた謄本と。 時限で手続きされるはずの、各種届出のコピーと。 『お手数をおかけしますが、銀島に眠らせて下さい』と添えた骨壺と。
向日葵の枯れる季節から、数週間遅れて。木々が紅に染まる前に、プログラムされた通りモナリザが兎坂庵へと全て届けてくれるだろう。**
(463) りしあ 2023/11/28(Tue) 12時頃
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――銀島。
一体、また一体と欠けてゆき、辛うじて動き続けるモナリザたちは、今日も園内を掃除し、点検し、ホテルの客室も整えて、水やりもこなしながらお客様を待っている。
冷たい潮風が島を渡る頃、そこかしこに植えられたクリスマスローズが可憐な花をつけ、白、薄紅、淡橙、黄、緑、桃色から濃紫まで、グラデーションの波を描いて揺れていた。それはきっと、この地に眠る魂を、優しく慰撫するように、寄せては返し、幾度も、幾度も。
誰も目に留めることのない、観覧車脇の一株に隠れるように、添うように。端が罅欠け錆びついた向日葵の飾りが、置き去りにされていた。
(534) りしあ 2023/11/28(Tue) 23時半頃
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