28 僕等(ぼくら)の
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ケイイチに1人が投票した。
ナナオに7人が投票した。
ナナオは村人の手により処刑された。
時は来た。村人達は集まり、互いの姿を確認する。
ルリが無残な姿で発見された。
現在の生存者は、ハロ、エニシ、ケイイチ、ヒイラギ、マユミ、ヤマトの6名。
僕等の地球を守るための戦いの、1戦目は、
僕等が通う学校の傍で行われた。
壊れた建物
軍の大規模な作戦の爪痕
それらの復旧には時間がかかるため、
学校も暫くは休講になった。
――……2人目に『声』が届いたのは、
それからどの位が過ぎた頃だっただろう。
(#0) 2023/08/17(Thu) 00時頃
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─戦闘終了後 相談─
[戦闘終了後、康生は一旦は皆と同じ場所へと降ろされた。皆がそれぞれに七尾千映の死を悼む中、康生は点滴台を曳きながら、静かに加賀先生の元へと向かう。彼女の死を悼んでいない訳ではない。ただ、嘆くよりも先に、どうしてもしておかなけければ事が在った。]
──加賀先生。
[周囲に気付かれまいとしたのだろう、小声での呼び掛け。声色も表情も、いつもの康生らしからぬものだ。真剣で、何処か冷たささえ孕んでいる。]
……相談があります。すごく大事な相談が。 他のパイロットには絶対聞かせらんないから、加賀先生が来てください。 俺、あと二日は入院してますから。 ハロに頼めば、一瞬で来れると思います。 時間は、そっちで決めてくれていいです。来れる時で。 長い話には、ならないと思いますし。
[そうして加賀先生から了承を得てから、康生はハロに病院へと再転送されて行った>>2:668。]
(0) 2023/08/17(Thu) 00時頃
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―2度目の戦闘の日 帰宅後―
[七尾さんの遺体は先生が確認して、乾君が抱き抱えていて、それから、ご家族のもとに転送された。私はそのまま無言で帰宅した。
ミーティングの時に私は…取り繕っていた。 でも、七尾さんが実際に戦って、死んで、今度こそ分かった。
ミーティングで私の言ったことは、 何もかもではないけれど、取り繕いばかりだった。 そうして場を保つ方に私は動かないといけなかったから。 天道君も随分場を取り持ってくれたとは言え、 途中で口論もおきかけたから。 そういうのを仲裁して場をスムーズに進めるのは いつも私の役割だったから。 私もいつもそうして来たから。 クラスでも、生徒会でも、天文部の中でも、 …もしかしたら家庭でも、そうだったから。]
(1) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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―― 戦闘後 ――
[問いの後か、先か。>>@2:43 乾に抱え上げられていた七尾の身体は 七星の時と同様にその場からゆっくりと掻き消える。 消えてしまうだけでは、コックピットに居る者は 七尾がどこに向かったのか判断が出来ない。]
[ 『アストロの隙間』―― >>668 転送場所のことをハロから聞くことが出来たかどうか。 聞いたとて、すぐに理解するのは難しかっただろうが。*]
(@0) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[七尾さんはいい子だった。いい子過ぎた。 泣き言も言わず、文句も言わず、理不尽を嘆かず、きちんと自分の役目をはたして死んでいった。 次か、次の次か、その次か…私の番が来る。
家に帰ったけれど、父さんも母さんも帰っていなかった。特に父さんは検事長なのだ。一般の検事ならともかく、検事長ともなるとどういう仕事なのかわからない。でも、忙しいのは確かなんだろう。 正直、なるべくなら顔を合わせたくないからいいんだけど。]
(2) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[部屋に戻った。しっかりした勉強机の横に、ゲーミングPCとモニター。ゲーミングチェアに、壁の一面を埋め尽くす、参考書と本でびっしり埋まった本棚。
制服のまま、ベッドに座り込んだ。いつもはすぐ机に向かうけれど、勉強どころか、PCに手を伸ばす気すら起きない。
枕元には目覚まし時計のほかに、鮭に食われる木彫りのクマと、卯三郎こけしと、巨大さるぼぼが置いてある。その中の卯三郎こけしを握って、見つめて]
(3) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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こんなっ………!!!!
[思わず床に叩きつけた。ガシャンと音がして割れる。黙って破片を拾い集め、ゴミ箱に捨ててしまってから改めてさるぼぼを握り、殴りつけた。]
この、このっ………!!! こんな、こんなのっ……く、っ………ううっ………!!
[何度も何度も。何度も何度も何度も何度も、原型が潰れるぐらいさるぼぼを殴って、やがて殴る元気もなくなって、その上に突っ伏した。シーツを握りしめた。]
(4) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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なんで私が…… なんで七尾さん、なんで、あんなっ…
[七尾さんはあんな風にいい子のまま死んだ。 誰も恨まず、恨み言を言わず、誰よりも先んじてロボットに乗って、立派に戦って、死んだ。私も順番が来たら多分そうするだろう。それを求められているんだろう。
私達だけが死んで、世界は救われて、相変わらず私達抜きで続いていく。救われた世界のみんなは、私達に感謝なんてしない。家も壊されたり、被災して死んだりする人が、世界が救われたからって感謝するわけない。むしろ、乗っていることが知られたら誹謗中傷に巻き込まれるだけ。多分その被害は家族知人が全部こうむることになる。
万一…本当に万一感謝されるとしても、みんなすぐに私達の事を忘れてしまう。
救いなんてない。]
(5) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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そんなのって、ない……
なんで私が、世界のために死ななきゃなんないの!! 嫌だよ…………!!! 私が死ぬんだから地球も死ねよ!!
なんでっ…… 私は……
死ぬときまで物わかりの良いままか……!! 死ぬまで優等生か……!!!
(6) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[素直に死ぬなんてできるわけがない。 昔、死刑になりたいと言って無差別に人を殺した通り魔がいたらしい。私はそんな事はしない。…できない。いくら自暴自棄になったからって、そんな真似はプライドが許さない。
でも、黙って物わかり良く死ぬのだけは絶対に嫌だ。どうせ、みんなすぐに私達の事を忘れてしまう。
せめて誰か、私の事を絶対忘れられないように爪痕を刻んでから。
その相手は、これから死ぬ誰かではなくて、私達が地球を救えばその後も生きていく人。せめてそんな事でもしなければ…]
(7) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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公安部 カガは、メモを貼った。
2023/08/17(Thu) 00時半頃
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……助けて。
[家には誰もいない。真っ暗なままの部屋の中、制服を脱ぎ捨てベッドにもぐりこむと、涙が溢れてくる。
考えるのはあの顔。しっかりして、優しく、包んでくれる、頼れる…憧れの人。
私が本当の意味で初めて、もっと知りたいと思えた人。
―――私の、初めて好きな人。]
(8) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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いやだ……死にたくない… 怖いよ…
助けて……… 先生。
……加賀先生………… 助けて……
(9) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[顔が浮かんだその名前を呟き続ける。
助けてもらうのは簡単だ。きちんと言えばいい。 先生は立派な大人で、きちんとした教師だ。私が素直に助けを求めたら、きっときちんと正面から向き合ってくれるだろう。他の生徒と同じように、分け隔てなく適切に距離を持って、私に接してくれるだろう。 私が戦って、死ぬところもきちんと最後まで見ていてくれるだろう。悲しんでもくれるかもしれない。
―――――――――それじゃ、意味がない。
先生だってどうせ忘れてしまう。どんなに良くたって6人の中の1人。 私は人として面白みもないから、きっとそのまま埋もれてしまう。
嫌だ。私の事をこそ、覚えててくれなければ…]
(10) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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………………
[私のやる事は、一つ決まった**]
(11) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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― 一方、その頃(墓下) ―
この戦いが、無数に枝分かれした世界、
地球の未来の可能性の淘汰、剪定のための戦いとして。
これは、七星 永が、
天体観測の後、日暈学園高校 天文学部のメンバーを、
契約に誘わなかった世界の話。
(#1) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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ーー転送後ーー
[戦闘は終了した。 千映は死力を尽くして闘った。
そして、命を落とした。 たった1つしかない命を。
僕は、この腕に抱いた彼女の命の重みを忘れない。
ーー決して。]
(12) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[コックピットからの転送後、僕は誰とも話さずにすぐ場を去った。康生にも声は掛けない。彼が加賀先生の元に行くのも見る迄もなく。>>0
辺りはまた、惨憺たる光景が広がる。
海辺での戦闘はまだましだった。 田舎だったから倒壊した家の数も少なかったから。
跡形もなくぺしゃんこになった家もあった。 ひっくり返った車などもあった。
僕はそれらを一瞥した後、早足で帰路に着く。
(13) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[現場からは少し離れていたので、どんぐり亭と自宅家屋、両親は無事だった。
帰宅した僕は心配し過ぎて憔悴しきった両親に迎えられた。
無理もない。今回の戦闘舞台は僕らの高校である。
つまり、二連続息子が巨大ロボットが暴れる危険極まりない場所に居たことになるのだから。
スマホには両親からの着信が溜まっていた。]
(14) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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父さん、母さん。 電話出られなくてごめん。 心配かけてごめん。 でも、聞いてほしい事があるんだ。
[僕は二人にーー全てを話した。
今起こっている事態を話すかどうか。特に秘匿しようという話し合いはされていない。
ただ、大人は信じてくれないであろうとの意見は出たけれど。
僕の両親も例外なく最初は信じなかった。
自分の息子が巨大ロボットに乗り地球を護り死ぬ運命にあるなど。
しかし、僕は両親に対して、今までこういう真面目な話で嘘をついたことはない。
僕の真剣な訴えに、二人は次第に態度を変えた。]
(15) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[警察を頼る意見が当たり前のように出たが、僕は頚を振る。]
父さん、母さん。 暫く兄さんがいるアメリカに避難してくれないか。 どんぐり亭をお休みすることにはなるけど…
後5体。後五回ロボットの戦闘があるんだ。
今回は、父さんも母さんも無事だったけど、次はわからない。
戦闘舞台が必ずしも日本かはわからないから海外なら安心とは言いきれないけど…。
僕は、父さん母さんに巻き込まれて死んで欲しくないんだ。
どうか、お願い。 一生のお願いだ。
(16) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[母さんは『そんなロボットに乗らないで一緒に逃げよう』と言った。
でも僕はゆると頚を振る。]
僕、好きな相手がいるんだ。 最後まで彼と共にいて。 なんとか僕、彼、他のみんなが生き残る術を模索したい。
[逃げてもコックピットには問答無用に転送されるだろうとかは、思ったが言わない。]
僕は諦めていない。 黙って運命を受け入れて、死んだりしないから。
[最後に頷いたのは父さんだった。動揺混乱する母さんを宥めて『私は二人の息子を他人に恥じないように育てたよ。だから、息子を信じる』と。]
(17) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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[それから僕は自室に行き、ベッドに横になる。
ーー暫く目を閉じていたら、夜になっていた。 父さん母さんは、疲れている僕を起こさないでくれたのだろう。
僕は身を起こして、康生に電話を掛けた。
彼が電話に出てくれるなら話をするだろう。]*
(18) 2023/08/17(Thu) 00時半頃
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雲水 ハロは、メモを貼った。
2023/08/17(Thu) 00時半頃
雲水 ハロは、メモを貼った。
2023/08/17(Thu) 00時半頃
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── 戦闘終了後 ──
[人目に触れぬように解散すべき、とは頭の端にあるが すぐにその場を離れる気になれず、転送先では 生徒たちから少し離れたところに佇んでいた。
倒壊した建物や避難の痕跡。目の前の光景は 受け入れ難い現実を二重三重に此方に突きつける。 合宿を終えてから、否、あのロボットを見てから 立て続けに心沈む出来事ばかり起きるからだろうか、 どうにも建設的な方向に思考が向いてくれない。 何か出来ることを。 出来ることは。]
(@1) 2023/08/17(Thu) 01時頃
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[回らぬ思考を巡らせている最中、呼びかけられて。 驚いたように振り向けば柊木の姿があった。>>0]
……おわ。 吃驚した。柊木、どうした? 相談………?
[常の彼とは違う様子に、一も二もなく頷きを返した。]
構わない。 病院の方に行けばいいんだな? 流石に、今日の今日というわけにはいかないから 明日、昼過ぎに見舞いに行くよ。
[柊木にはそう返答し、その日は帰路についたのだろう。]
(@2) 2023/08/17(Thu) 01時頃
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―― 翌日:病院 ――
[ハロに転送を依頼しても良かったのだが 病院の場所は顧問との連携で知っていたし 見舞いの態……というか、見舞いも兼ねて車で赴いた。] よう。 これ、見舞いの品な。 食い物じゃない方が良いと思って、 色気もなく飲み物だけだけど。 …で、どうしたんだ。 らしくない顔してた、が?
[柊木に座って良いかと確認を取りつつ 適当な椅子を引いて腰かけた。*]
(@3) 2023/08/17(Thu) 01時頃
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─戦闘のあった日 病院─
[康生の元に、安否を心配する連絡は無かった。当然だ。対外的には、病院に居た事になっているのだから。まさか、その時学校のすぐ傍どころか渦中に居ただなんて、誰も想像していないだろう。安否確認は、康生が皆に送る側だった。学校から然程離れてない家に住まう母親、学校の友人達。皆一様に、大丈夫だし心配無いだとか、近くで見たロボットが如何に強大であったかだとかを語った。真っ白な病室のベッドから、ひっきりなしに返信する。]
[それらが一段落付き、夕食も終えた辺りだろうか。親友からの電話があった>>18のは。すぐに取る事は出来ないから、通話可能なエリアにまで移動する。その間に切れてしまったなら、改めて掛け直した。]
もしもし。 ケイ、どした?
[コックピットで普通に話していたくらいだ。声は淀みない。話す調子もいつも通りで──そこは少し、不自然だったかも知れなかった。*]
(19) 2023/08/17(Thu) 01時頃
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