3 ディアス家の人々
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もちろん。 私も毎夜、新たな気持ちで抱いている。
[彼の主張を、当然のこととして受け止める。]
―― なにより、 今宵はおまえと私が永久の契りを結んだ夜だ。
忘れ得ぬ夜にしよう。
[囁いて、抱きしめて、侵掠を再開した。]
(66) nekomichi 2021/01/18(Mon) 23時頃
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[初めての夜以来、彼の内側に潜ませていた闇を呼ぶ。 彼の内側で震えるそれが、始まりの合図だ。
衣服を全て剥ぎ取って肌を吸い、指先で全身を掻き立てる。 体の防御が緩むのを見計らって膝を割り、指先を彼の中へ送り込む。 一本。二本。潜らせた指を数えながら入り口を十分に柔らかくし、彼の奥が切なく締め付けて来る頃には、こちらの準備もできている。
幾夜も繰り返してきたそれらの動作を、ひとつひとつ解説しながら行った。]
ここがおまえの弱いところだよ。 こちらを刺激しながらここを吸うと――、腰が跳ねたね。
ほら、ここ。好きだろう?
[これまでの積み重ねを存分に彼の体の上で開示して、]
(67) nekomichi 2021/01/18(Mon) 23時頃
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欲しい、と言って――
[蕩け落ちそうな声音で、囁いた。*]
(68) nekomichi 2021/01/18(Mon) 23時頃
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[欲しい、と言葉が反響する。 捧げられたその場所は、浅く口を開いて息づいていた。]
ああ――、私も、おまえが欲しい。 おまえに全て注いで、ひとつになろう ……
[吸い込まれるように、彼の中へ自身を収める。 鍵が鍵穴に合わさるように、寸分の狂い無く結びつく感覚。 私が拓き、私が耕し、私の為に実るよう手を掛けた沃野。 収穫の時を迎えた甘露を、思うさまに味わう。]
(71) nekomichi 2021/01/19(Tue) 00時半頃
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[動かずにただ抱き合い確かめ合う時間から、少しずつ動いて快感を高め、やがては他の場所へも手を伸ばして、快楽の階段をひとつひとつ共に上っていく。 頂点へ向けて疾走する段階になれば、自分自身をも欲望の炎に投げ込んだ。]
愛してる、愛してる……っ ああっ、一緒に、 どこまでも、 おまえと、 共に、 いこう …… っ !
[想いを彼の中へ迸らせ、ともに極みへと駆け上がった。]
(72) nekomichi 2021/01/19(Tue) 00時半頃
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[やがて、全身が蕩けたかのような幸福感の中で再び彼を見いだし、抱きしめて呼吸を思い出す。
彼の鼓動を聞きながら、暫しは余韻に浸っていた。*]
(73) nekomichi 2021/01/19(Tue) 00時半頃
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[肌を吸われるくすぐったさに身を捩る。 胸元に落ちた花弁は普段ならすぐに消えてしまうけれど、少しの間残しておこうかと思う。
存分に事の後を楽しんでから、彼の身を清めた。 浴室に連れ込めばまた彼を押し倒したくなるのは明白だったので、ベッドの上で全身を濡らした布で拭う。 クローゼットからナイトローブを出してきて彼に着せつけ、寝具の間に寝かせる。
毎夜していた事でも、彼の意識があるとやはり違う。 ひとつひとつの動作に喜びが伴う。 こんな風に世話を焼くのもまた楽しいと、教えてくれたのは彼だ。]
(75) nekomichi 2021/01/19(Tue) 09時半頃
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おやすみ。 また明日。
[呪を伴わず囁いて、唇を合わせる。 少し考えてから、隣に潜り込んだ。
彼が寝入るまで、そうしていよう。]
(76) nekomichi 2021/01/19(Tue) 09時半頃
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[翌朝、紅茶の香りと共に1日を始める。]
お目覚めの時間でございますよ、我が主。
[我が主、と告げる声は甘く囁くよう。 ティーカップをベッドサイドに置いて、主が身を起こすのに手を差し出し、素早く唇の端に接吻けた。*]
(77) nekomichi 2021/01/19(Tue) 09時半頃
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[翌朝の彼は、これまでになく生気に満ちていた。 町に出ようと言うのは初めて聞く。
愛が、彼に力を与えたのだろう。 あるいは、将来の展望が。]
どこまでも、共に。
[返答は揺るぎなく。手を取るのは慈しみをもって。 彼の望むまま、どこへでも導いていこう。*]
(80) nekomichi 2021/01/19(Tue) 21時頃
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― 旅立ち ―
[続く日々をそうして準備に費やし、やがて旅立ちの時が訪れた。
東方の商人がこの国の話者を雇いたがっていると新聞に広告を載せ、応募した彼が採用された形を装う。 商人として現れたのは背の高い男で、故国で商売の手伝いをしてほしい、いずれは共同経営者にもなれる人材を探していると流暢に話した。 香を扱っているので、目が見えない方がむしろ目利きになれると保証する。 信じるに足るだけの書類も、用意されていた。
話は全て順調に進み、彼が家を出て遠い国に移る形が整った。]
(81) nekomichi 2021/01/19(Tue) 21時頃
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[当日訪れた迎えの馬車は、四頭立ての立派なものだった。 黒を基調とした車体は頑丈な作りながら、細やかに飾りが施されていて優美さも感じさせる。 無口な御者は一礼したのみで御者台から動かなかったが、服装は上質なものとわかる。]
準備が整いました。我が主。
[変わらぬ口調で呼びかけて、彼を馬車へと促す。*]
(82) nekomichi 2021/01/19(Tue) 21時頃
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[ディアス邸の敷地を出て、窓の日除けを降ろせば馬車の中は真の闇だ。 いつしか車輪も砂利道ではなく、もっと滑らかな場所を走っていた。 馬蹄の響きも、今は聞こえない。
異界を旅する馬車は、ふたりを乗せて駆けていく。 彼にとってはこの先の何もかもが未知だろう。
それでも共に行くと言う彼へ、私は惜しみなく愛を注ごう。]
―― ああ。行こう。 新たな世界を、おまえと共にひらこう。
[きっとそれは、喜びに満ちた世界になるはずだ。*]
(87) nekomichi 2021/01/19(Tue) 22時半頃
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こちらにおいで。
[周囲から切り取られた馬車の中は、小さな密室だ。 もはや不要となった仮初めの姿を脱ぎ捨て、彼へ手を伸ばす。]
到着までは暫く掛かるからね。 その間、いいことをしよう。
[どんな小さな時間も、おまえとの愛で埋めたいと囁く。*]
(-51) nekomichi 2021/01/20(Wed) 08時半頃
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[鉢植えの事を聞かれれば、冬は寒くなるよと答えただろう。 温室は良い。 彼の国の技師を招いて、建ててみようか。
彼と共にしたい楽しみが、またひとつ増える。]
(-54) nekomichi 2021/01/20(Wed) 15時頃
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[微笑む彼の口を、唇で塞ぐ。 たっぷり舌を絡めてから、指一本分だけ離した。]
おまえの従者でいるのは、これきりだよ。 気が向けば、またするかもしれないけれど。
[面白かったから、とは言わないけれど、多分口調に出てしまっている。]
(-55) nekomichi 2021/01/20(Wed) 15時頃
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心配いらない。 ここはもう、あの家の領内でも、あの国の中ですらない。 私たちふたりだけの空間だよ。
だから、おいで。
[彼の手を引いて、膝の上に誘う。*]
(-56) nekomichi 2021/01/20(Wed) 15時頃
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そんなに私の従者が良かったかい? 褒められるのは嬉しいことだね。
[手に従ってやってきた彼を膝に跨がらせ、後ろから抱いた。]
ずっと付きっきりで世話をしてやりたいのだけれども、 私も仕事をしていないと怒られるのだよ。 うちには怖い従者がいるからね。 いや、あれは秘書というのかな。
[楽しげな笑い声と一緒に、向かう先の様子を語る。]
(-59) nekomichi 2021/01/20(Wed) 22時半頃
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しばらくは影をつけてあげよう。 けれども、あれらはさほど気が利かないからね。
いずれ、おまえ好みの従者を作り出す業を教えてあげよう。 本来は使い魔を作るものだけれども、望めばどんな形にでもできるよ。
[要望に応えて、そんな約束もする。 彼の耳朶に舌を這わせ、上着の裾から手を潜り込ませながら。]
(-60) nekomichi 2021/01/20(Wed) 22時半頃
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けれども――そうだね。 私の子になれば、目も見えるようになる、 ……とまでは言いきれないけれども、 周囲を知覚できるようになるのではないかな。
私たちは夜に生きるものだから。
[彼がこちらに手を伸ばせば気付くだろう。 今、私が身に纏っているのは絹の単衣だ。 これが本来の姿だった。*]
(-61) nekomichi 2021/01/20(Wed) 22時半頃
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おまえのための苦労なら、喜びだよ。
[彼を手に入れる為に時間を取るのも、 彼の望みを聞き入れて滞在を延ばすのも、 全ては彼との暮らしを実り豊かなものにするため。 そのための苦労は―― 半分くらいは他人がしている、というのは言わぬが花だ。]
おまえに私のような従者ができたら、 ……三人でするかい?
[きっと楽しい。 想像しながら、彼の肌をまさぐる。]
(-64) nekomichi 2021/01/21(Thu) 00時頃
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[彼の手が体に触れる。 求める言葉が愛おしい。]
ではまずは、もっとさわって。 触れて、舐めて、味わって、感じて、想像して。 私も、おまえに、もっと知って欲しい。
[彼の腰を持ち上げ、足を片側へ寄せて、横抱きに近い形で座らせ直す。 互いに触れあえる姿勢。 彼のベルトを外すにも、具合がいい。*]
(-65) nekomichi 2021/01/21(Thu) 00時頃
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ああ。 だからこそ、飽きるということがない。 おまえもいずれ、翻弄する側に回ってみるといい。 きっと、驚くから。
[私にはおまえこそが驚嘆すべき相手なのだと告白する。 おまえこそが、私の生きる意味。]
もっと知りたい。おまえを。 もっと愛し合いたい。
[欲望に忠実に、襟を開いて彼の手を導く。 早く触れたいと、彼の腰から下の衣服は器用に剥いていた。 周囲の闇も動員しての技だ。*]
(-68) nekomichi 2021/01/21(Thu) 01時頃
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[肩に乗ってきた彼の頭を抱いて、髪に接吻けを降らせる。]
熱くなってる。 おまえも、私も。
[重ねられた言葉に、胸が満ちて溢れそうだ。 愛しいと素直に伝えられるのは喜び。 それが返ってくるのは、なお大きな幸福だ。]
(-70) nekomichi 2021/01/21(Thu) 11時頃
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私も、脱がせて。
[想いのまま、彼の手を取って自分の胸に触れさせる。]
襟をこう、引き下ろして、 その帯を解いて。
そう。そこを引けばいい。 簡単だろう?
[手を重ねて帯を解く。 衣服の前を左右に払えば、あとは肌があるのみだ。*]
(-71) nekomichi 2021/01/21(Thu) 11時頃
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おまえも同じものを着るかい?
[脱がせることにも喜びを感じているらしい彼に誘いを掛ける]
確かに、ナイトガウンと似ているね。 私は普段から、こういう服装をしている。 いつでも、すぐに触れあえるだろう?
[彼の手が足の内側に触れて、吐息が零れる。]
(-73) nekomichi 2021/01/21(Thu) 21時半頃
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そこ、 触って。
おまえの手で、 されたい。
[彼の手が欲望の源に至れば、腰を揺らして求めた。*]
(-74) nekomichi 2021/01/21(Thu) 21時半頃
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[ねだられて、彼は主人としての矜恃をくすぐられたらしい。 微笑んで、彼の首筋に鼻先を擦り付ける。]
私を感じさせてください、我が主。
[忍びやかな笑い混じりに求めて、彼の手に急所を委ねる。 感じれば素直に声を漏らし、喜びを言葉にする代わりに彼の首を甘噛みした。]
ああ…もうたまらない。 おまえが欲しい。
[昂ぶりの果てに彼の腰を持ち上げ、引き寄せる。 存分に愛でられ満ちた愛の形を彼の中に埋めれば、新たな歓喜の始まりだ。]
(-76) nekomichi 2021/01/21(Thu) 22時半頃
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[そうして睦み合ううちに、馬車は目的の地へと到達した。
深緑に抱かれた、石造りの城館。 彼の目にはそれが映らずとも、匂いは感じるだろう。 かの地とは違う木々の、湿り気を帯びた匂い。 厚く積もる苔の、土混じりの匂い。]
ようこそ、私の城へ。
ここが、おまえと私が暮らす場所、 おまえが新たに生まれる場所だよ。
[ごく自然に彼の手を取り馬車から降りるのを助ける。 そして彼を背後から抱いて、目に映るものを語って聞かせた。]
(-77) nekomichi 2021/01/21(Thu) 22時半頃
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ここから始めよう。 おまえと私の物語を。
その全ての頁に、愛が語られるように。
[全てをかけておまえを愛すると、約束した言葉と同じ強さで彼を抱きしめ、誓いの接吻けを求めた。***]
(-78) nekomichi 2021/01/21(Thu) 22時半頃
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