26 卒業試験の共存試験【R18ペア】
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[人員の配置を聞けば、彼は慎重な答えを返す。 髪を撫でて承諾と労りを伝えた。 もとより、口にしづらいことを聞いているのだ。 彼にバディが付いていない事だけ分かれば十分だった。
続いて、手を胸の上まで導かれる。 意識を集中すれば、鼓動以外のなにかが蠢いているのを感じた。 呪詛と呼ぶに相応しい、濁った猛々しい気配だ。 それも、複数。]
なるほど。 これは困った仕掛けだね。
[こうして探るだけで、敵意の矢が飛んで来る。 対策無しで発動させれば、ふたりとも無事では済まないだろう。]
(107) nekomichi 2023/07/31(Mon) 17時半頃
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この仕込みを躱して、おまえの中にまだ残っているだろう血の誓約を上書きするために、正式に私の子に迎え入れたい。 そのためには一度死んでもらわなくてはいけない。
私に身を任せてくれるね?
[来ると分かれば、呪いに対抗する手段はいくらでもある。 そして、こと吸血鬼にとって、死は終わりではない。
覚悟を問うというほどでもなく、計画を伝える程度の重さで、彼の命を求めた。*]
(108) nekomichi 2023/07/31(Mon) 17時半頃
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[命を求め、承諾を得る。 喜色の滲む声音に頷き、示された痕に微笑んだ。 確かに、彼には吸血鬼化したときに付く噛み痕が見当たらない。]
これからは無二の親になろう。
[接吻けに答え、ちらりと舌を触れあわせる。]
(111) nekomichi 2023/07/31(Mon) 19時頃
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では、始めようか。
[作戦の開始を告げて、ゆっくり彼を持ち上げる。 抜けきる前に揺すったのは、まあわざとだ。]
まず、私たちの身代わりを作っておこう。 ちょうど良いものがあるからね。
その間に身体を流しておいで。 私とゆっくり入りたければ、後でも構わないよ。
[下ろした彼を寝具で拭って、シャワーを浴びるよう勧める。 拭った掛け布団はくるりと丸め、バスローブの紐で括って頭と胴だけの人形を作った。 血と精を吸った布は、形代に使うのに都合が良い。]
(112) nekomichi 2023/07/31(Mon) 19時頃
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すぐに役立つとは思わなかったけれど……
[呟いて、脱ぎ捨てた服を呼び寄せ、即席の人形に着せかける。 その胸のあたりにブローチを留めた。 今までのオークションで入手した、琥珀の嵌まった大ぶりのものだ。 指先を爪で突いた血の珠を琥珀に塗りつければ、じわりと吸い込まれて消える。
これで大まかな準備は完了である。*]
(113) nekomichi 2023/07/31(Mon) 19時頃
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[作戦の準備をする間にバスルームから戻ってきた彼が部屋の中を動き回っている。 時折殺気とも付かない気配が飛んできたが、害はなさそうなので気にしないでおいた。]
こちらにおいで。 仕上げをしよう。
[こちらは変わらぬ素裸のままで彼を呼ぶ。 その肌にはいくつかの文字と文様が墨書されていた。 簡易な魔除けで、実体持つものには無意味だが、呪詛の類を逸らす程度の役には立つ。]
ここに横になって。
[示したのは、やはりベッドの上だ。]
(116) nekomichi 2023/07/31(Mon) 22時半頃
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おまえを血族の一員に迎え入れるにあたって、私から名前を贈ろう。
[呼び寄せた彼に接吻けて、息の交わる距離で告げる。]
祗蘭。 それが生まれ変わるおまえの名だよ。 覚えておきなさい、祗蘭。
[彼の胸板に綴った字は、彼の文化には無いものかもしれない。 荒れ地でも逞しく咲く蘭に由来する名は、一方で芝蘭と音通する。 芝蘭結契と綴る熟語の意味を、いずれ彼にも教えたい。]
(117) nekomichi 2023/07/31(Mon) 22時半頃
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[彼の肌にも魔除けを書いた後、手首を自らの爪で裂く。 溢れた血が凝って、短い刃の形を成した。]
では、いくよ。
[囁いて、切っ先を彼の心臓に擬する。*]
(118) nekomichi 2023/07/31(Mon) 22時半頃
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[彼が伏せて腰を上げていたら、うっかりと官能の第二幕が上がっていたかもしれない。 実際に行われるのは、血の洗礼だ。]
祗蘭。私の愛しい子。 おまえの命を断ち、新たに私に繋ごう。
[言葉を贈り、添えられた彼の手と共にナイフを彼の心臓へ埋める。 そのまま横へ大きく引き裂けば、血飛沫と共に黒い風が噴出した。]
(121) nekomichi 2023/08/01(Tue) 00時半頃
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[呪詛と怨念と澱みが凝ったような颶風が渦を巻き、室内のあらゆるものを吹き飛ばしなぎ倒す。 極小の嵐の中心で、自身は石のように動きを止めていた。 息も止め、微塵も動かずに気配を殺す。 動かずさえいれば、魔除けの紋が姿をも隠した。
憎悪の対象を見失った異形の群れの前にあるのは、標的の気配を纏う形代だ。 荒れ狂う群れは唯一気配のするそれへ襲いかかり、仕掛けられていた呪に捕らえられた。
琥珀を使った呪は、肉体持たぬものを捕らえ封じ込める。 呪詛を封じた琥珀は真っ黒に染まってがたがたと震えたが、やがて元の透き通る色を取り戻した。 中央に滲む太く黒い筋が、狂える眷属らを封じた証だ。]
(122) nekomichi 2023/08/01(Tue) 00時半頃
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[音の止んだ部屋で、そっと息を吐き出す。 事前に準備できていたからこそ凌げたものの、まともに受けていたら危険だった。 実体の無い相手は厄介なのだ。
あらためて、愛しい子の様子を見る。 黒い嵐の間も見つめ合っていたのだ。彼の瞳から光が消える瞬間も、ずっと見ていた。
おびただしい血が流れ出し、周囲を染めていた。 血の気の失せた彼の体は、まるで蝋細工のように白い。 ただ、散らした唇紋だけは色を残していて、未だ誘うようだった。]
(123) nekomichi 2023/08/01(Tue) 00時半頃
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おいで、祗蘭。 私の愛しい子。
[歌うように告げて、刃を成していた血の硬化を解く。 液体に戻った血が、彼の心臓に染みこんでいった。]
私のもとに戻っておいで。 目を覚まして、私に接吻けておくれ。
祗蘭。私の子。 おまえを私の血で目覚めさせるよ。
[手首の深い傷から、惜しみなく血を注ぐ。 彼の体が貪欲に血を吸い込むのを見守り、新たな命を得るのを、与えた名を呼びながら待った。*]
(124) nekomichi 2023/08/01(Tue) 00時半頃
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[注いだ血を飲み干して、裂けた胸が修復されていく。 透けそうなほど白かった肌に赤みが戻る。 睫毛が震え、唇がわなないて、 開かれた瞳の中に、私がいるのを見た。]
おかえり、私の祗蘭。
[呼びかけ通りの接吻けを受けて、微笑みながら抱き起こす。]
(132) nekomichi 2023/08/01(Tue) 08時半頃
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身体はどうだい? 痛みはないかい?
私の事はわかるね?
[質問を重ね、彼の状態を確認し、ついでに胸の尖りを指先でくすぐる。 バスローブから引き抜くように起こしたので、やはり互いに裸だ。*]
(133) nekomichi 2023/08/01(Tue) 08時半頃
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[祗蘭と名乗って、彼が晴れやかに笑う。 その表情だけで、全ての苦労が消え失せるようだ。 腕の中に収まった彼を抱きしめ、舌や指で戯れる。 早くまた彼と愛を交わしたい。]
祗蘭。 私は目的のものをもう手に入れたようだ。 早く帰ろう。
[愛しい子を手に入れた以上、この後のメインオークションなど興味はないと、帰還を告げる。]
(135) nekomichi 2023/08/01(Tue) 22時頃
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[彼の胸に手を当て、闇を喚ぶ。 細やかに織られた闇は服の形を成して彼を包んだ。 黒一色の漢服が彼の精悍さを引き立てる。]
服を贈るという約束だったろう? 帰るまではそれで納得しておくれ。
[最初に交わした約束を果たす気はあるのだと言いつつ、自身もまた闇の衣を纏う。 黒い薄絹を幾重にも重ねた古風な衣装は、明らかに女性のものだった。 編んだ髪を解けば、長い髪が背に広がる。]
(136) nekomichi 2023/08/01(Tue) 22時頃
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では、エスコートしておくれ。
[長手袋に包まれた手を彼に差し出した。*]
(137) nekomichi 2023/08/01(Tue) 22時頃
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[彼に手を委ね、歩き出す。 その途上で思い出し、視線をベッドの上に向けた。
掛け布団の人形は無惨な姿になっていたけれど、琥珀のブローチはまだ胸元に留まっている。 それを視線で呼び寄せて手に取り、彼に差し出した。]
おまえの中にいた呪詛を封じてある。 私が処分しても良いけれど、どうしたい?
[荒れ狂う黒い影の正体が墜ちた同族であることは、気配で分かった。 ならば自ずとその正体も推測が付く。 まずは彼の判断を待つべきものだろう。*]
(140) nekomichi 2023/08/01(Tue) 23時頃
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そうか。 ならば良いようにしておこう。
時間を取らせたね。 行こうか。
[琥珀を懐に収めて、改めて促す。 彼の他に持ち出す荷物などは無い。]
(142) nekomichi 2023/08/02(Wed) 00時頃
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[ひとりしか出られない、と彼が言った部屋の扉を潜る。 変装が功を成したか知らないが、襲撃などはなかった。 そもそも、魔物さえ含めた裏社会で通用する警備態勢の整った会場だ。仕込みを含めた彼ひとりを送り込むのがもっとも確実な方法だったのだろう。
とはいえ、まだなにか仕掛けてこない保証はない。 早々に領地へ戻るに限る。]
チェックアウトを。
[正式な手続きを踏み、ホテルを出た。 高速船に乗って島を離れれば、後は転移して帰還できる。 その船こそが、最後の関門だった。]
(143) nekomichi 2023/08/02(Wed) 00時頃
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[乗り込む前から、彼と目を見交わす。 気配に気付いたが、乗船をやめるには不自然なタイミングだった。 それになにより、早く帰って彼とふたりになりたい。
乗員は他に5名。 富豪のカップルとその使用人、買い付け人らしき男、そして船長。 全員がおそらく敵だ。]
(144) nekomichi 2023/08/02(Wed) 00時頃
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[出港して間もなく。 誰よりも先んじて、愛しい子に囁く。]
祗蘭。 任せるよ。
[祝福の代わりに、耳朶に接吻ける。 もちろん、あとの御褒美は唇に、だ。*]
(145) nekomichi 2023/08/02(Wed) 00時頃
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[デッキに佇んで、暗い海を眺める。 水平線の手前に街の明かりが輝いていた。 夜の世界にも光が溢れている。
視線はいくつか感じていたが、次第に減っていった。 彼の気配は、よほど意識を凝らさないと気付かない。
最後の視線が消えて程なく、彼が戻ってきた。 シャンパングラスを受け取って、代わりに軽やかなキスをする。]
(148) nekomichi 2023/08/02(Wed) 09時頃
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おかえり、愛しい子。
[腕を広げ、抱擁を交わした姿勢のままで共に海を眺める。 彼が腕の中にいるという事実だけで、波間が煌めいて見えた。
彼を正式な子として吸血鬼の社会に認めさせるには、また煩雑な手続きやその他もろもろが必要になるだろう。 けれどもそれもまた後回しだ。]
戻ったら脱がせておくれ。 次は湯の中で。
[しよう。 囁きを耳に吹き込んで微笑んだ。*]
(149) nekomichi 2023/08/02(Wed) 09時頃
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[彼が口をつけた場所に唇を重ねて、シャンパンで潤す。 弾ける感覚が楽しい。 潮風に吹かれるうち、開放的な気分になってきた。 今は少し、大胆なことをしてみたい。]
帰る前に、もう少し遊んでいこうか。 大海原のただ中で、というのも楽しそうだ。
[舳先の手すりを中指で撫でる。 触れたところから闇が染みこみ、船を黒く染め変えていく。 幾度か聞こえたはぜるような音は、船に残った邪魔なものを塵へ変えた音だった。]
(152) nekomichi 2023/08/02(Wed) 22時頃
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[闇に溶ける漆黒に変わった船は、音も立てずに進路を変える。 どこか生き物のような動きで船体を震わせた。]
仮初めの使い魔にしてみたのだよ。 可愛いものだろう?
[秘密を明かして、楽しげに笑う。]
(153) nekomichi 2023/08/02(Wed) 22時頃
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どこか行きたいところはあるかい? それとも、ふたりで星空を眺める?
おまえの瞳に星を映して眺めるのもいいね。 こんな風に。
[覗き込むように見つめ合い、顔を寄せて唇を合わせる。 結局、彼の瞳には、私しか映らなくなってしまうのだ。*]
(154) nekomichi 2023/08/02(Wed) 22時頃
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では、このままここで、だね。
[安全で、人目にも付かず、ふたりでいられる。 屋根はあっても無くても、構いはしない。]
(157) nekomichi 2023/08/02(Wed) 23時頃
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私はもっとおまえのことを知りたい。 おまえも私を知りたいだろう?
これから私たちには永劫の時があるけれども、 今夜は初めておまえと過ごす、特別な夜だ。
まずは、おまえが一晩でどれだけ達けるか確かめないと。 耳でも唇でも達けるようになるかな。
[楽しくてたまらない顔で、彼を抱きしめる。 意を受けた船は、夜明けから逃げる方向へひた走り始めた。]
(158) nekomichi 2023/08/02(Wed) 23時頃
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私の祗蘭。 そう呼べることが何より嬉しい。
これからは私の全てを注いで愛するよ。 私はもう、おまえのものになったのだから。
[合わせた唇を震わせて言葉を紡ぐ。 後はもう、もつれ合って倒れるのみだった。*]
(159) nekomichi 2023/08/02(Wed) 23時頃
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