1 冷たい校舎村(別)
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―― 現在/3-1教室 ――
ただいま。
[ 教室に戻ってきた私が真っ先にしたことは、 ほうきを掃除用具入れに戻すことだった。 見知らぬ第三者なんてどこにもいなかったし、 もしいたとしても、 人をマネキンに変えることができる相手に ほうきでどうこうできるとも思えないし。
それから、黒板に向かう。 チョークを握って、少し考えた ]
(240) 2020/11/12(Thu) 20時半頃
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『メアのマネキンは保健室』
(241) 2020/11/12(Thu) 21時頃
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[ メアは多分、精神世界から出られたのだと思う。 そのことも書こうか迷って、結局やめにした。 教室の窓を開けてはいけないこと。>>1:373 職員室に誰もいないこと。>>1:396 昇降口が開かないこと。 1階の窓が開かないこと。>>1:421 3階に人がいないこと。 食堂に食料があること。>>111 黒板に書かれているのは、事実ばかり。 それならきっと、推測にしか過ぎないことは、 書かない方がいい気がしたの ]
(242) 2020/11/12(Thu) 21時頃
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[ チョークを置いて、指先についた粉を払う。 教室にいた面々に ]
あれから、何か変わったことはあった?
[ って聞いたけど、 教室の外は文化祭で、蝶々が飛んでて、花が咲いていて、 変わったことしかないよね、と後から苦笑がわいた。 とりあえず、サラに貸す約束をしたジャージを、 ロッカーから取り出して、抱えた* ]
(243) 2020/11/12(Thu) 21時頃
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/* リコ、ありがとうありがとう……教室で落ちたかったから、できれば教室で雑魚寝は避けたかったと供述しており
(-25) 2020/11/12(Thu) 21時半頃
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―― 現在/3-1教室 ――
[ ああそういえば、 もう一つ書いておいた方がいいことがあったなって、 私はもう一度チョークを摘まむ。
『今日の寝床は校長室のソファです』
確かソファは、対面の6人掛けだったと思う。 でも、1人分がすごく大きかったから、 9人でも大丈夫。きっと。>>248 私たちスリムな女子高生だし! でも4人と5人に分かれるから、 誰が4人になる方に寝れるかは、 戦いの火ぶたが切って落とされるかもね ]
(271) 2020/11/12(Thu) 21時半頃
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[ でもさ、こんな状況だもの。 ちょっと狭いくらい身を寄せ合って、 お互いの存在感じられるくらいの距離で 寝る方がなんだか安心しない? 私だけかな。 というか、こんなこと恥ずかしいから言わないけどね! ]
(272) 2020/11/12(Thu) 21時半頃
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[ 書き終わったら、ヒナの声が聞こえて>>259 私は今度こそチョークを置いて、 振り返ると頷いた ]
そう。メアがマネキンになってたの。 多分、この世界から出られたんだって、 私は思ってるけど。
私も保健室に戻るけど、一緒に行く?
[ マネキンを見てくるって言うヒナに、>>260 サラにジャージを持っていく約束してて、と 抱えたジャージを見せる。 ノッカの見ない方がいいって忠告>>266も 無理もないと思ったから、 どうする?って首を傾げた* ]
(273) 2020/11/12(Thu) 21時半頃
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―― 回想/将来の話 ―― [ 裏表がない。>>267 それって、必ずしも長所とは言えないんじゃないかなって 未来の私は思うけど、 この時の私はそんなこと全然わからなかった。 言うべきでないこと。 隠すべき感情。 そういうものを、人は裏にそっと秘めているんだろう。 表も裏もない私は、それらをすべてオープンにして、 そして、“無神経”のできあがり ]
(285) 2020/11/12(Thu) 22時頃
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[ 将来何になりたいか。>>165 ヒナにそう言われて、 私はそれを“将来何の仕事に就きたいか”だって 解釈した。>>181>>182 だから、ヒナは?って聞き返した時、 当然、何かの職業が返ってくるのだと思ってた。 でも、ヒナの返事は全然違ってて、 私は思わず瞬きをした ]
かわいいまま? ……あー、ヒナの質問ってそういう意味だった?
[ 就きたい仕事じゃなくて、なりたい人間? こんな人間になりたい、みたいな、 そういうことを聞かれてた? それなら私、的外れなこと言ったなって、 ちょっと決まりの悪い顔をしたかも。 質問に的確に答えられないってちょっと格好悪いでしょ ]
(287) 2020/11/12(Thu) 22時頃
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そういう意味なら、……私は、 期待される人間でいたい……かな?
[ こういうことを言語化するのって少し恥ずかしいけど。 私は、期待されていたい。 そして、期待に応えられる人間でいたい。 失望されるのは我慢ならない。そんな風に思う。
恥ずかしかったから、自分の発言をかき消すみたいに、 少し早口で言葉を続けた ]
ヒナはきっとなれると思うな。 だってヒナ、可愛いに妥協しないもの。
[ 大丈夫!って太鼓判を押してあげた。 ヒナは今も可愛いし、明日もきっと可愛い ]
(288) 2020/11/12(Thu) 22時頃
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[ もしも私が、ヒナの可愛さの裏を知っていたら?>>270 幻滅はしなかったと思う。 止める権利もきっと私にはないって思っただろう。 でも、きっと、悲しくはなったんだろうな。
ドリンクバーなんかじゃ私の時間は買わせない。>>0:328 リコのその気持ちを私は知らないし、 ヒナが同じ気持ちなのかもわからないけど、 でも、きっとこう思った。
買わせているのは、売っているのは、きっと、 時間だけじゃないよ。 そしてきっと、時間と一緒に売ってしまってる “ソレ”はそんなはした金で買わせていいものじゃない。
私は、そう思ったと思う* ]
(290) 2020/11/12(Thu) 22時頃
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/* 情緒のない(?)言い方をすると、結婚話とかが持ち上がった時に、相手側から調査が入ったりすることもあるわけで。 優秀な調査会社だとそういう過去って暴かれるよねって。 将来に陰を落とす可能性があるんだよっていう。
(-30) 2020/11/12(Thu) 22時頃
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/* ところでレン、大丈夫かな……22時過ぎたけど……しんぱい……
(-32) 2020/11/12(Thu) 22時頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2020/11/12(Thu) 22時半頃
巫女 ゆりは、メモを貼った。
2020/11/12(Thu) 22時半頃
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―― 現在/教室→保健室へ ―― [ 行くってヒナが決めたから、>>277 うん、じゃあ行こうって 私はヒナと並んで保健室に向かう。 なにしろ血で汚れた制服のサラを待たせてるからね、 いつもよりちょっと急ぎ足。
校長室で寝るという私の案は、 おおむね好意的に受け入れられたようでなによりです。 もしキャットファイトだったら? 私のほうきは掃除用具入れにしまわれることは なかったでしょうね?
って、いやいや、私、戦闘民族じゃないからね!? ]
(307) 2020/11/12(Thu) 22時半頃
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こんな時じゃなかったら、 校長室に忍び込んでみんなでお泊りなんて、 きっとすごく楽しかったのにね。
[ きらきら。チカチカ。 蝶々の撒く鱗粉が、文化祭の電飾が、 廊下を明るく彩ってる。 蛍光灯に照らされて、咲いてる花も綺麗に見える。
でも、 文化祭当日の、あの浮き立ったような気持ちは もちろんやってこない。 カラフルで賑やかな光景なのに、 しんと静まり返った廊下は、 お祭りが終わった後みたいで、物寂しい感じがした* ]
(308) 2020/11/12(Thu) 22時半頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2020/11/12(Thu) 22時半頃
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―― 現在/廊下 ――
[ さっき、サラと約束をした。 ここから出たらお互いの志望校を言い合おうって。>>281 私は笑って「いいね」って返事をしたの。 私とサラだもの。きっと2人とも合格間違いなしだから。 だから、志望校が一緒だったら、 ライバルとかそういうのは横に置いておいて、 やったねって笑うんだと思う。 やったね。大学でもよろしくね。 別々だったらそれはそれで、 残念!って笑うんだろうな ]
(328) 2020/11/12(Thu) 23時頃
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[ そんな未来の話。 お互い、自殺したのはあなたじゃないよねって 確かめ合うみたいな未来の話。 実現したらいいなと思う。 未来のことが話せる私たちは、 きっとこの世界の主じゃないと思う。
でも――――ここにいる9人の中に、 確実にこの世界の主はいて、 そして、この世界を閉じるためには、 誰かひとり、残らなくちゃいけない、らしい。
私たちは、未来の約束を、全員とは交わせない、らしい ]
(329) 2020/11/12(Thu) 23時頃
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[ そんなことを考えてた。 ゆりちゃん、って名前を呼ばれて、>>311 私はヒナに顔を向ける。 花を避けようとして、 ちょこちょこと右に左に体が揺れてるヒナ ] 死にたいって思ったっていうか…… 途方に暮れたことならある、かな。
[ 信じてたものがひっくり返るみたいな、あの感覚。 揺るがないと思っていたものがぐらぐら揺れて、 どうしたらいいかわからなくなった ]
(330) 2020/11/12(Thu) 23時頃
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……なりたい自分になれなかったら、 私だったら、足掻くかな。 足掻いて、もがいて、なんとかしようって思うけど、 でも、溺れそうになっちゃうことも、あるかもね。 溺れても、なんとか陸に上がろうとするけど、 ふっと、このまま楽になっちゃいたいって 思う瞬間が、あるかもしれない。
[ そういうのを、魔が差すって言うんじゃないかな。 そんな気がした ]
(331) 2020/11/12(Thu) 23時頃
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[ 保健室についたら、サラにお待たせって言って、 ジャージを渡すよ。 リコとライが寝具を取りに来てるのを見て、 あ、しまった、もうちょっと後に到着してたら 手伝わずに済んだのにって 思わず本音が漏れたりしちゃったけど、 ちゃんと運ぶのは手伝いましたよ、ええ>>324 ]
(332) 2020/11/12(Thu) 23時頃
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巫女 ゆりは、メモを貼った。
2020/11/12(Thu) 23時頃
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―― 朝が来る ――
[ 校長室で目を覚ました。 誰よ私のおなかに足乗せてるのは。 遠慮なく押しのけて、ソファから立ち上がる。
ぐるりと部屋を見回すと、 ソファの上でみんなはまだ思い思いの格好で寝てて、 立派な机の上にはポテチの袋とか、 サンドイッチの包み紙とかがそのままになってた。 昨日の夜はパーティーみたいだったもんね。
さて、身支度整えなくちゃね。 顔を洗いたいし、髪も梳かしたい。 ポーチを持って、みんなを起こさないように そっと廊下に出る。 手洗い場で顔を洗って、髪もいつも通り整えて、 それから私は、花が咲く廊下を歩き出した ]
(357) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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[ 文化祭は楽しかった。蝶々も花も綺麗だと思う。 でも、どっちもあり得ない光景だと思うと、 今は何でもない日常が恋しい。 非日常の景色の中を、日常を求めて、 私は教室に向かってた。 どこもかしこも変わってしまったのに、 唯一変わらない3-1の教室。 窓の外も日常の光景だったら完璧だったのにね ]
(358) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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[ あくびを噛み殺しながら、私はドアを開けて、 そして、入り口でフリーズした。 教室はがらんとして……なんか、いなかった。 席が埋まってる。 黒板には「現代文 小テスト」の文字。 眠気が一気に吹っ飛んだ ]
(359) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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[ そうだ。今日の1限は現代文だった。>>0:310 しかも、よりにもよって小テストなのに、 私、遅刻しちゃったみたい。 慌てて私は自分の席に向かった。 俯いてテストに向かってるクラスメイト達が、 なんだかマネキンみたいに見えたけど、 今優先すべきは出遅れた小テストだし! ]
(360) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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[ 机の上には、既に小テストのプリントが置いてある。 ペンケースからシャープペンを取り出して、 私はテストと向き合った ]
(361) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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・次の文章を読んで、以下の問いに答えよ
(362) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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[ 言われなければわからないし、空気なんて読めない。 相手が何を考えてるかなんてわからない。 それでも、私は現代文の成績も優秀だった。
〇〇の気持ちを答えなさい。 あんなの、テクニックでなんとかなるの。 〇〇の気持ちなんてわからなくていい。 というか、わかったことなんてない。 問題の意図、出題者の意図、 そういうのを汲んで答えを選べばいいだけ。 間違い探しみたいなものだと思う。 それは、理解じゃなくて単なるテクニックだ。 それで何の問題もなかった ]
(363) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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片月高校に入って 文化祭を楽しんで みんなと出会えて 好きに生きられて 素敵な人生でした 本当感謝してるよ みんなは代わりに 明日も生きてね。
ありがとう、ばいばい
(364) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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[ え、って思わず声を出しそうになって、飲み込んだ。 今はテスト中だ。 でも、私の頭の中はパニックだった。 こんなの、授業でやってない。 でも、私はこの文章を知ってる。 教科書で見たんじゃない。 これは、 私に届いたメールで、 クラスメイトの誰かの、遺書、で ]
(365) 2020/11/12(Thu) 23時半頃
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