――9月XX日/カモメ荘108号室――
ピピピッ、――ピピピッ、 耳慣れたアラーム音。
頭が割れるように痛くて、ガンガンコンクリ壁にぶつけられてるよう。歪む視界は完全に宿酔のそれで、天井と自分の間に割り込む音の発信源の白いロボットを胡乱げに見上げた。
「…………っつつ、……またイけなかった?
やっぱり市販薬程度じゃ、どれだけ混ぜてもダメかぁ。
―――― っう゛ぅぅ、ぇえ゛、」
敷きっぱなしの薄汚れた布団から、苦労して身を起こす。途端に頭痛が酷くなって、ユニットバスまで這って行った。
ギリギリ間に合って、迫り上がってくる胃液や何やを、床にぶちまけずに済んだ。洗面台に凭れながら嘔吐する。
曇った鏡には、幽鬼のように痩せこけて尚薄い顔立ちの青年が、窪んだ眼窩に虚ろなまなこを置いて、佇んでいた。傍らに、タオルを差し出す白い機体を*伴って。*
(409) りしあ 2023/11/28(Tue) 01時頃