「冗談でなく、ボクの世界の中心はるくあなんです。
彼女が死んでいたなら、ボクが生きている意味もない。
もしも本当にるくあが望んだら、犯人探しだって始末だって
ボクは喜んでやり遂げますよ。
ただ、あのホログラムは贋者だと思うから、そうしないだけで。」
常人が聞けば狂人と、或いは恋の奴隷と捕らえられるのだろうか。淡々と告げる言葉に一片も嘘はない。卯木の顔色を窺い、舌で渇いた唇を湿して続ける。
「卯木さんは、彼女の……
るくあのことをどれくらいご存知ですか?
ボクはそもそも、誰かが敵意や害意を持って、
るくあを『殺す』ことなんてできるのか、
それだって疑わしいと思っています。」
ただ、その仮説が正しいなら、るくあの死は不本意や無念でなく、彼女が受け入れたことになってしまう。だからずっと、ぐるぐると思考の迷路を彷徨い続けていた。
卯木がその推察の根拠を求めるなら、中学時代の思い出を掻い摘んで聞かせることになる。
(381) 2023/11/20(Mon) 22時頃