『母さんへ』
『何も言わない方がきっと苦しませずに済むと思うけど、父さんががんばったってこと知ってほしくてこれを書いてます。
俺が通ってた高校の近くに出てた、巨大なロボット。俺らは、「アストロ」って名付けたんだけど。
アストロは地球を守るロボットで、六人のパイロットが契約して、一人一体ずつ敵を倒すことで地球を守ってます。
なんで一人一体ずつかって言うと、アストロを動かすのには、人の命が必要だから。
一回動かすごとに、誰か一人が必ず死ぬ。パイロットは全員、命懸けで戦ってる。もう二人死にました。
俺の後輩の女の子と、同級生の友達。二人とも、この世界を守る為に命を賭けて戦ってました。』
『三人目のパイロットに選ばれたのが、父さんです。
さっき六人のパイロットって言ったけど、そのうちの二人が、俺と父さんだったんだ。
つまり、人智を超えた力で動くアストロが、俺と父さんをどっちも別の命だって判定したってこと。
父さんが俺の中で生きてるってのは、俺と母さんの思い込みとかじゃなくて、本当の話だったんだ。』
(334) 2023/08/20(Sun) 22時半頃