──園内・中央広場──
あぁ、そうなんだ。リストなんてセンスいいね。
僕、この曲好きだな……。
[勿論、このあと殿のサンバが流れ始めるなんてことは夢にも思わない。
隣に座る彼は、遠目から見立てた通り、美形だけど女っぽさは無く、端正な少年という感じだった。日本人受けする甘さもあって、役者になればさぞかし女性人気が出そうだ。
彼氏だった、とあっさり言い放つのには、一瞬目を丸くして、すぐに微笑む。]
へー!?るくあちゃん、こんな美形の彼氏が居たんだ。
彼女も綺麗な子だったからお似合いね。
[当然ながら、るくあから彼氏の話どころか素振りも感知したことはない。推しに彼氏の話をするわけがないのはあるけど、坂理君と付き合っていた時代と、自分が僅かながら交流した時代がズレているのかもしれない。
”彼氏でした”、という過去形が、過去に別れたからなのか、それともずっと付き合っていて死別したのか、判断はできなかったので、あまり突っ込んだ事は聞かず。]
(323) 2023/11/20(Mon) 16時半頃