[ 私は決して鋭い人間じゃない。
品行方正なのも、優等生なのも、
それが自然体なわけじゃない。
そうあろうと自分に課しているだけ。課されているだけ。
本質が優秀ではない私だけど、それでもね、
一回、二回なら気のせいで済ませても、
回数を重ねればなんとなく察することくらいはできる。
綿見さんに私が話しかけたら、
いつも一拍、間が空くこと。
どうやら綿見さんは、私が苦手みたいだってこと ]
うん、そうなの。
やっぱり宣伝的には見た目って大事だから。
目玉になるようなの、考えてもらえたら助かるなって。
決まったら教えてくれる?
[ SNSに上げる写真を撮るにも、ポスターを描くにも、
決まらなければこちらとしては動けないから。
私は、綿見さんの苦手意識に気づいていないふりをして、
にこやかに話を進めた ]
(291) 2021/06/03(Thu) 23時半頃