―― GW/桜森高校への道 ――
[焦がしカラメルとオレンジの香が絶妙にマッチしたクレープ・シュゼットも、「今日がお前の命日だ!」とばかりに綺麗に平らげて。
葉桜を通り抜ける風に吹かれながら。休日に、三人バラバラの制服で、通学路を談笑しながら歩くという不思議な光景。
目敏く見つけた野々花の猫のストラップの話とか。
二人とも通学を再開すると言う、学校の話とか。
もしかすればコイバナも、根掘り葉掘り。
沙羅の体調を窺いながらそぞろ歩いて、やがてその南京錠で閉ざされた正門が見えてくる。]
……不思議。本当にあるんだ。
[また、この瞬間もマシンの中で、VRの世界を見ているのではないかと――乖離感に襲われる。
向かう足が重くなって、それも隣の二人に気取られぬよう必死で前へ動かしながら。
参加者が誰でも抱くであろう、奇妙な既視感を共有していた。]
私は飛び越えられるけど、
二人は無理だよね?
[ぐるりと校庭を囲む柵に沿って歩いて、やがて裏門まで。**]
(277) りしあ 2023/05/04(Thu) 15時半頃