愛してるから……。
ケイの求める愛じゃねーのは、わかってるけど。
[その瞳が映す希望も、魂の輝きも“死ぬまでは”という限定付きだ。乾恵一が生臭い溝なら、康生は消毒液の川だ。どんなに美しく澄んだ色をしていても、其処に命は無い。生を奪う事しか出来ない。流し込めば、溝の命は終わる。康生にはその自覚があるから“できることしかできない”のだ。激しく求められようとも。]
……ごめんな。ケイのこと、好きで。
好きで、好きなのに。ごめん。
俺、ケイのこと傷付けるしかできなくて、きっと──。
[血液は乾くのが早い。塗られれば水分を奪う。言い淀んだ言葉は、零れる事無く共に喰われた。縮こまっていた舌は簡単に追い付かれ、絡め取られる>>210。]
んーっ、んー……!
[垂れる赤>>211に、康生はぎゅっと両眼を閉じた。視覚を自ら遮った事で、与えられる感触がより鮮明になる。舐め回される歯茎に、ぞくり、ぞくりと背を走るものを感じた。息苦しさに鼓動が強まる。酸欠の頭が生んではいけない多幸感に浸かり始めた頃、漸く唇が離れた。]
(220) 2023/11/13(Mon) 19時半頃