ケイは壊れちまった──俺が、パイロットにしたことで。
でも、これだけ壊れても、一番大事なとこは残ってた。
小さい頃の大事な思い出。ケイにとっての宝物。
俺には兄弟が居ないから、どっか間違えてるかもだけど。
ケイが匡先輩に向けてる想いは、何となく“普通”とは違う気がしてた。
違和感が形になったのは、ケイがキスして謝って来た時だ。
俺のこと、雨竜先輩と同じように好きなのかって聞いたら
ケイの答えはこうだった。
『ーー…同じ、ではないと思う。
むしろ兄さんに対する気持ちに近い、かな……。
僕の事を心配し、傍にいてくれるのが嬉しくて』
ケイが必要としてたのは、最初から匡先輩だった。
匡先輩みたいにケイを心配して、守ってくれる相手。
それは別に、俺じゃなくてもよかったんだ。
もし瑠璃川があの夏合宿に参加してたら、瑠璃川だったかも
しんねーなってくらいに。
(169) 2023/11/12(Sun) 22時半頃