[頬に触れれば、荒れ気味のがさがさした男の肌の手触りが返ってくるだろう。
伸びてくる指先を追って視線が動くが、されるがままになっている。人肌よりは低く、金属よりはずっとあたたかい温度。]
ま……名付けた奴はそういうつもりでつけたんだろうさ。
"希望"にも、色々あるだろ。
[いいよネ、という言葉に、いいよ。と頷く。
それは誰かにとっては目的で、別の誰かにとっては夢や憧れで。
生きる場所だと言う誰かも、いるかもしれない。]
……、
[安心したと少し笑う顔>>113に、笑顔は返せなかった。それほど器用ではない。多分、少し困ったような表情になっただろう。
昼間見た、深い青に沈んでいく石ころ>>35が、ずっと。頭の中にある。]
そろそろ戻ろうぜ。
冷えてきたし、風邪でも引かれちゃ困る。
[これからも一緒に、とは言えないまま立ち上がる。
『スペランツァ』の灯りを背景に、男の輪郭は完全に影になった。*]
(124) 2021/11/14(Sun) 14時半頃