─乾恵一の家 応接間─
ほんと、ケイは心配性だな。
俺から頼んでんだから、いいに決まってんだろ。
どこまでされたら壊れんのか、ちょい興味も出て来たし。
[苦笑すら浮かべつつ、康生はそう言った。実際、脚を折った程度で康生の心は折れないだろう。この子の場合、単純な下肢の骨折よりも感染症の方が命の危険を伴う。変な話、骨を折られるよりキスをされる方が、被る身体的損害は大きいのだ。唾液を飲み下した時点で、骨を折られるのを拒む理由は既に無くなっていた。拒みたいと願うのは私だけだ。]
それに、言ったしな。「傍に居る」って。
だから逃げねーよ。
[二の腕を掴まれ、今度は床に叩き付けられる。一体、何処まで康生を痛め付ける気なのか。彼の求める愛でなかったとしても、康生はこんなにも彼を愛してると言うのに。荒事が得意な訳ではなかったが、もし身体が在ったなら、私は彼に掴み掛かり殴り付けていただろう。その程度には怒りを覚えていた。]
(120) 2023/11/12(Sun) 13時半頃