― 船外・草原 ―
[おしゃべりをしながらも、採取作業は順調だ。予想外のサイズを持つサンプルも、今のところは無い。保存容器の一つには、水分を含んでいそうな土を入れておいた。
ふと、採取の為に避けた葉の下に、小動物の排泄物と思しき塊を発見する。
たぶん土ではない……と思う。どうだろう? 手持ちの端末の方で接写してから、先程避けた葉に、ちょいちょい、と指先で触れる。]
イーヤー。
[挨拶だけ口に出して、じっと見つめる。ここにいたのはどんな子? 君たちとは仲良し? 心の中で語り掛けながら、ゆっくりと目を閉じていく。
サワサワ。サワサワ。風で草原の草が揺れる音。それよりもずっとずっと小さい、植物たちの息づかい。耳を澄ませる。心を澄ませる。
暫くそうしていた後で、パッと目を開けた。]
デイキ!
[そう言って、笑って、身体を起こし。アリババ>>93へ向けて通信を送る。]
(116) 2021/11/08(Mon) 01時頃