[ずっと>>103、と。その言葉を聞いてふと、アリババはいつから探査船に乗っているのだろうと、今更のように思った。スペランツァだけでも、ケトゥートゥよりも長い筈だ。
その間に、いくつの死を見送ってきたのだろう。その間、悲しさをひとりで抱えてきたのだろうか?
きっと、ケトゥートゥの感じてきたものは、そこには全然足りない。また届かないのだろうか。何を伝えたら、少しでも寄り添えるだろう。
そんな風に考えを巡らせていたとき、不意にアリババが形を崩しかけて、ケトゥートゥは内心で物凄く慌てた。ちょっと表にも出ていたかもしれない。
ぎゅっとしているからよく見えてはいないけれど、先程から何か、後ろ側に零れている気配もしているし。
大丈夫? これ大丈夫なやつかナ?
ドキドキしながら、少しでも支えようと、回した腕に力を入れる。自分がしてもらったように、トントンと、一定のリズムで背を撫ぜる。
ごく当たり前にありふれた、誰かが誰かを慰めるときにする仕草で。*]
(114) sleepingxalice 2021/11/19(Fri) 01時頃